
コーエーテクモゲームスから、『BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ(以下、ブルリフQ)』がリリースされました。
『ブルーリフレクション』といえば、「アトリエ」シリーズで知られるガストブランドが手掛けるRPG作品であり、今なお根強いファンを持つ人気タイトルの一つです。
そして今回発売された『ブルリフQ』は、そんな人気シリーズが一つにまとまったオールインパック。
2017年に発売された一作目『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』から、集大成の『BLUE REFLECTION TIE/帝』まで、シリーズ4作品をこれ一本で全て履修できる、いわば集大成といった内容になっています。
BGMやキャラクターデザインなどで話題になることも多いこのシリーズ。名前は聞くけれど、今まで遊んだことがなかったゲーマーにとっては、まさに今が本作に触れるチャンスと言えるでしょう。
そして実は、筆者もそんな「気になるけど遊んでいなかった」ゲーマーの一人。今回特別に本作を遊ぶ機会を頂いたので、初見の視点から、改めて『ブルリフ』の魅力について迫るプレイレポートをお届けします。
『ブルーリフレクション』って何するゲーム?→王道コマンドRPGしながら美少女の青春を眺めるゲーム
まず皆さん、『ブルーリフレクション』というゲームが「何をするゲームなのか」、ご存知でしょうか?

ファンの方にとっては意外かもしれませんが、本作がどんなゲームなのかについて知っている人は、実はあまりいないのではないかと筆者は思います。
というのも筆者自身、本作を遊ぶまでは『ブルーリフレクション』というゲームの実際の内容についてほとんど何も知らなかったからです。
ゲームライターの身分でこんなことを言うのは大変恥ずかしいことですが、そもそもこのシリーズ自体への印象が「噂には聞くけど、何するゲームなの?」というものでした。「RPG?アドベンチャー?もしかしてギャルゲー?」と、筆者以外にもこう思っている人は多いのではないでしょうか。
なので、そういった方に向けて、ここで声を大にして『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』を遊びながら本作が「何ゲー」なのかをお答えします。
本作は、“超王道”のコマンドRPG(全員美少女)です!!

『ブルーリフレクション』は、超が付くほど王道な、非常に分かりやすいRPGです。
可愛い女の子が多数出てくるし、舞台も女子高という特殊なシチュエーションなので混乱しますが、ゲームの主な目的は一貫して「バトルで敵を倒す」というところにあります(現時点で筆者が遊んだのは一作目の『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』なので、次回作以降については不明ですが)。
ゲームの流れは、女子高生として学園生活を送る「青春ADVパート」と、ステージを攻略しながら敵を倒す「RPGパート」。ストーリーは基本的にこの二つを繰り返すことで進行し、アクション性や自由度といったものよりも、かなりストーリードリブンに寄せた作品となっています。


正直言って、これは筆者的にはかなり意外な点でした。ビジュアルが尖っているからゲーム部分ももっと奇抜なものなのかと思いきや、最近の和製RPGではあまり見られないようなこの安心感。
ADVパート・RPGパート共に、その内容もかなりシンプルにまとまっています。
日常パートは、キャラクターたちからのサブクエストをこなしたり、特定のキャラクターとの親密度を上げデートイベントを発生させたりというもの。日数という概念や、特定のルートにのみ進むという煩雑さもありません。

バトルシステムは『ファイナルファンタジーX』などに代表されるカウント制バトルを採用しており、いわゆる一般的なRPGのルールを理解しているのであれば、誰でも気軽に楽しめるものとなっています。
ストーリーが進むにつれて細かいシステムが随時追加されていくものの、それでもゲームを複雑にするレベルの難しいシステムは極力排除。「敵の行動を遅らせる」「キャラクターに役割を与える」というカウント制RPGのセオリーを守っていれば、RPG初心者でもかなり楽にゲームを進めることができる印象でした(難易度ノーマルの場合)。

と、このようにゲームシステム部分だけで見ればかなりシンプルかつ堅実な造りとなっており、一見普通のJRPGと何ら変わらないシステムと言えます。
しかし、こんな前フリをしておいて言うのもなんですが、本作はかなり普通のRPGとは違う「ちょっと特殊な」作品なのです。ここからは、本作の特別な部分についてお話ししましょう。
爽やか、ときにネットリ……“青”全開の繊細なシナリオ
本作でプレイヤーが操作する主人公は、「白井日菜子」ちゃんという女子高生です。
彼女は中学までバレエで輝かしい結果を残していた優秀な女の子だったのですが、足を怪我してしまったことから、惜しくもバレリーナへの道を断念してしまうことになります。

憂鬱な気分を抱えたまま高校入学初日を迎え、意気消沈の日菜子ちゃん。そんな彼女の前に、「司城夕月(ユズ)」「司城来夢(ライム)」と名乗る2人の姉妹が現れ、「世界を救うのに協力してほしい」と唐突に告げてきます。
そして二人の導きにより、日菜子は魔法少女「リフレクター」へと変身。最初は戦いを拒む日菜子でしたが、「世界を救えば一つだけ願いが叶う」という二人の言葉をきっかけに、もう一度バレエをするためにやがて戦うことを決心しました。
人の感情を媒介に生きる魔物との戦いへ、半ば強引に巻き込まれていく……というのが本作の導入となっています。


魔法少女モノの展開と日菜子を通じた青春の機微、というのが本作のシナリオ上の醍醐味ですが、その中でも特に注目したいのはやはり青春の機微を描くという部分。
本作の物語はただ敵と戦うだけではなく、随所に青春という名の「女子高生の日常体験パート」が挟まれます。その内容は本当にただ女子高生として友達の恋の悩みを解決したり、将来のことについて考えたり、女子同士の微妙な距離感の友情に悩んだりといった、かなり等身大なスケールの物語です。ここがまず異質です。

そしてこういうテーマを描く際、普通のシナリオでは爽やかな部分が強調されるものですが、本作のシナリオは本当に等身大の女子高生像を描こうとしているのか、やたらと湿度の高いネットリとした展開が多い。
女子高生のまだ成熟しきっていない自意識を丁寧に描こうとする気概が、シナリオからビンビンと伝わってきました。

そんな『ブルーリフレクション』のお話が分かったところで、ここからはさらに際立った本作の特徴について詳細に語っていきましょう。
透明な世界観と圧倒的フェティシズム
『ブルーリフレクション』が他のRPG作品と決定的に異なる部分は、作品世界全体に溢れる「透明感」、そして随所にみられる「変態性(誉め言葉)」です。
まずは透明感について説明しましょう。
本作のキャラクターデザイン・総監修を務めるのは、「アトリエ」の『アーランド』シリーズでお馴染み・岸田メル先生。そんな先生によるキャラクターデザインが非常に良いのです。
主人公である日菜子ちゃんをはじめ、仲間キャラクターである司城夕月ちゃん、司城来夢ちゃんやその他のクラスメイトキャラクターなど、そのどれもがとても可愛らしく、透明感のあるデザインをしています。

個人的な感想ですが、『ブルーリフレクション』のキャラクターたちは、どれも「萌え」の文脈から少しだけ外れた位置にあるような気がします。
もちろん、これは令和に遊んだ筆者の極めて個人的な主観ですが、彼女たちの見た目はどれも「可愛いけれど媚びていない」ような質感を感じさせてくれるのです。近年はかなり性癖を前に推し出したキャラクターデザインが多い中で、本作のキャラクターはどこか“綺麗さ”をはっきりと残している印象を受けます。それが岸田メル先生の性癖なのかもしれませんが……。

リマスターによって向上した本作のグラフィックも、この透明感のあるビジュアルを強化するのに貢献しています。
テクスチャの解像度が上がり、より細かく世界を描写できるようになったほか、水のきらめきや空気感といった細かいディテール部分も大幅にパワーアップしており、匂いまで伝わりそうな本作の空気を演出するのに役立っています。

また、音楽についても触れないわけにはいきません。本作のコンポーザーは、ガスト作品の音楽を作り上げてきた一人である浅野隼人(現・アサノハヤト)氏。
収録されている楽曲は氏が全て担当されており、ピアノをメインに据えた名曲の数々は、どれもこれもが透明感抜群です。ハッキリ言って、本作が放つ透明感の正体は、半分以上この「音楽の良さ」に支えられていると言っても過言ではないでしょう。それくらいに本作の楽曲は素晴らしいと思います。
特に、通常戦闘曲「OVERDOSE」は、ゲーム音楽の話になると大抵は話題に上がる名曲中の名曲。これを聴くためだけに本作を買っても損はないでしょう。全ゲーマーはこれを聴くべし。
そして、こうした透明感と対になるかのように存在するのが、本作のとてつもないフェティシズムです。
まず、本作の制服表現。セーラー服は決してエロいものではないし、本編中でも露骨な変態表現というのは入浴中のサービスシーンなどを除けば殆どありません。
しかし、何なんでしょう。この画面全体から感じるどことない変態性(誉めてます)は。

キャラクターモデルのクオリティが良いから?カメラワークが何かちょくちょく“やらしい”から?あるいは、筆者が勝手に暴走しているだけ?
恐らく全てでしょう。
本作のキャラクターモデルは、髪の質感、(サブキャラ含めた)各キャラクターの体型、濡れたときの制服がちょっと違う見た目になるなど、「そんな力入れる部分か?」と思えるレベルの細部にまで、やたらとこだわりを感じます。制作チームの中にその道の“プロ”がいることは明らか。

しかも、カメラワークがちょっといやらしいときがちょくちょくあります。妄想を掻き立てられる構図や、「そんなギリギリを攻めたら…!」といった構図など、スケベ心をゲーム内カメラマンから感じました。
ゲーム内でカメラをグリグリ動かせる瞬間自体あまりないのも、「このカメラマンを信頼しろ」というガスト側からのメッセージなのかもしれません。

世界観やビジュアル、音楽はめちゃくちゃ透き通っていて心が洗われるほどの透明感がありながら、そうした透明感の細部に妙なフェチとこだわりが宿っている……この絶妙なチラリズムの美学こそが、本作を普通のRPGではない特別なものたらしめている要因でしょう。
そして意図したものかは分かりませんが、ゲーム部分がシンプルであることも、むしろこうしたビジュアルや世界観の特異性をハッキリ浮かび上がらせる構造に繋がっていると感じます。そこが非常にユニークで面白いです。
ここまで『ブルーリフレクション』という作品がどういう話で、どういうゲームで、そしてどんなところが特別かという点について語ってきました。見た目の雰囲気とゲームシステム、フェティシズムと繊細過ぎるシナリオなどそれぞれの部分部分にかなりギャップがあるため、一概に「こういうゲーム」と定義するのが非常に難しい作品です。
そして、それが本作の最大の魅力でもあるということは、実際に遊んでみて筆者が達した結論の一つです。

実際に遊ぶまでは決して断定できない、不思議な魅力と独特な雰囲気を持っている本作。シリーズ一発目の作品にしては余りにもデカすぎるインパクトをプレイヤーに間違いなく残す作品だと思います。「そりゃ根強いファンもいるわけだ」と、実際に遊んで一人納得したのでした。
これを読んでいるあなたもぜひ、実際にその眼でこのゲームの質感を感じてみてはどうでしょうか。
『BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ』は、PS5/ニンテンドースイッチ/ニンテンドースイッチ2(ダウンロードのみ)/Steamで発売中。
なお、Game*Sparkでは今後続けて『ブルリフQ』残りの収録タイトルである『BLUE REFLECTION RAY/澪』『BLUE REFLECTION SUN/燦』『BLUE REFLECTION TIE/帝』の記事も掲載予定です。お楽しみに!













