「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線

コンテンツが飽和する時代に埋もれてしまう作品をしっかりユーザーのもとへ届けたい

連載・特集 インタビュー
「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線
  • 「埋もれる不安」をなくしたい―“DLsite”有するviviONグループがインディーゲームレーベル「viviON Lab」とスマホ向けクラウドサービス「viviON GAMES」で目指す、“発見から選択”までの導線

電子コミックアプリの「comipo」やVTuberプロダクション「あおぎり高校」、そしてなによりグループ会社が国内最大級の二次元コンテンツ配信サービス「DLsite」を手がけていることで知られるviviON

そんなviviONがインディゲームレーベル「viviON Lab」とスマートフォン向けのクラウドゲーミングサービス「viviON GAMES」を発表。2026年度はゲームに注力していくという。

Game*Sparkではキーマンとなる3名にインタビューを実施し、この「viviON Lab」と「viviON GAMES」の狙いについてお聞きしました。

▲左から株式会社viviON 事業推進部の池田奈々帆さん、事業推進部/社長室 プロダクト戦略室の辻 勝明さん、事業推進部の堀田 敏稀さん。

作品が「発見」から「選択」されるまでのすべてフォローしたい

――自己紹介をお願いいたします。

辻:株式会社viviONの事業推進部でviviON GAMESの責任者をしているシニアマネージャーの辻です。

池田:「viviON Lab」というパブリッシングレーベルの運用を担当している池田と申します。

堀田:「viviON GAMES」のサブリーダーとしてクリエイター様やメーカー様とのやり取りを担当している堀田です。よろしくお願いします。

――viviONさんは2026年5月8日にゲームレーベル「viviON Lab」を発表し、そこでゲームにまつわる事業に注力していくことを発表していました。現在は大手の出版社や映画配給会社もゲームのパブリッシングに乗り出すなか、なぜゲームに乗り出そうと思ったのか。viviONさんならではの強みなども含めてどうお考えでしょうか?

辻:ゲーム市場の拡大についてはさまざまなところで話題となっている一方で、クリエイターさんとお話をするなかで「埋もれることへの不安」を聞くことが多くなっていました。ユーザーの方がおもしろいゲームを発見し、理解して、選択して、遊んで、楽しむ……その最初の発見するというところまで、ユーザーさんに届いていないのではないかと。

viviONがゲーム事業というところに踏み出した理由としては、グループ内に「viviON Lab」であれば供給側として、「viviON GAMES」であれば体験の拡張として、クリエイターさんのお手伝いができるのではないかと思いました。

我々は既存グループにコンテンツ配信の流通基盤を持っていますので、需要との接続が並んでいるというところが強いのではないかと考えています。我々はユーザーさんがゲームを発見して楽しむまでの流れのを設計できる位置にある会社であると考え、ゲーム事業に注力することを決めました。

――クリエイターさんの「埋もれることへの不安」というのは、viviONさんのグループ会社が実際にコンテンツ配信サービスであるDLsiteを運営しているDLsiteを運営しているからこそ聞こえてくる声なのでしょうか。

辻:そうですね。我々の子会社に当たるエイシスではDLsiteのサービス運営を通して約30年に渡ってクリエイターさんと向き合い、コンテンツ配信をやってきています。

DLsiteで30年ぐらいクリエイターさんと向き合ってコンテンツを配信するということをやってきています。これまでのクリエイターさんとの関係値や信頼度からそのようなご相談を受けることがあり、課題が見えてきたという形です。

――今回の施策について、どのぐらいの準備期間があったのでしょうか?

辻:サイトの立ち上げまで、2、3年ぐらい準備していました。今回、「viviON Lab」と「viviON GAMES」を同じタイミングで発表し、viviON はゲームに注力していくというリリースを出させていただきました。

別々に動いていたものが偶然並んだということではなく、先ほどお話をしたような問題意識を持っていくなかで、これを解決するために我々はどういうことができるのかということを考えていくなかで生まれました。

インディーゲームの市場において、発見されない、理解されない、選ばれないといった構造的な詰まりが大きくなってきているんじゃないかというところが出発点で、そういった作品を世に出すという役割で「viviON Lab」というものがありますし、プレイヤーが触れる入り口を増やすための「viviON GAMES」、その両方が必要になるのではないかと考えました。

――辻さん自身も市場の変化は感じられていましたか?

辻:出版社さんやメーカーさんがパブリッシャーとして次々に参入しており、市場が急激に広がっている実感はありますね。

――なるほど。「viviON Lab」のゲームはSteamなどでも発売をするようですが、これは海外も見据えてユーザーを広げていくというお考えでしょうか?

辻:海外に注力していくことは考えています。というのも、現在、DLsiteの新規ユーザーの半分ぐらいが海外の方になってきており、世界中の方々が日本のコンテンツを欲して我々のサイトに来てくださっていることを感じています。日本だけでなく海外の方も広く買えるようにすることはひとつの柱になるのではないかと思っています。

――「viviON Lab」はSteamに限らずいろいろなプラットフォームで発売する予定でしょうか?

池田:はい。基本的にはそのように考えています。タイトル発表にあわせてSteamでのストアページを公開していますが、もちろんDLsiteやviviON GAMESへのリリースもしていきます。また、クリエイターさんからはニンテンドースイッチやPlayStationへの移植を望むお声もいただいておりますので、将来的にはコンシューマー機にも対応していく予定です。

――「viviON Lab」では今後どのような作品をパブリッシングしていきたいですか? viviON Labの掲げるイメージやカラーなどがあって特定の層に刺さるものを届けるのか、それとも「おもしろいものであればなんでもあり」の精神で多彩なジャンルのものを世に送り出すのか教えてください。

池田:「viviON Lab」を立ち上げるときに最初から決めていたことは、特定のジャンルや特定の国のクリエイターさんだけに注力することはしないということでした。『7 Days To Think About It』のようにホラーゲームも扱っていきますし、『明月の娘』のような育成ゲームも扱っていきます。そのように手広くいろいろな作品を扱っていけたらと考えています。

取り扱い作品のひとつ『7 Days To Think About It』

クリエイターに寄り添う姿勢を大事に。リリース数の目標数は定めない

――タイトルに関してはフォームからパブリッシングの相談や問い合わせを受け付けていますが、池田さんたち「viviON Lab」のみなさんからクリエイターさんにお声がけすることもあるのでしょうか?

池田:両方とも実施していく方針です。たとえばゲームのピッチイベントなどでパブリッシャーさんを募集していると仰っているクリエイターさんにお声がけすることも、イベントなどでお声がけすることもあります。一方で募集フォームをご用意していたり、イベントに出展したりと、クリエイターさんのほうからお声がけいただけるような施策もご用意しています。

――応募が来た作品は社内のチームで精査をして、パブリッシングするかどうか決めていくのでしょうか?

池田:そうですね。「viviON Lab」のパブリッシングのスタンスについてお伝えしますと、売上100万本を超える作品を取り扱いたいというような感じではなく、条件面であったり、viviON全体が目指す方針と合致しているかどうかを重要視しています。

いくら売れそうな作品であっても、viviONとの価値観が合わなかったり、条件面がかなり厳しかったりする場合は、無理に協業してもお互い不幸になってしまうかと思います。それよりは、お互い同じビジョンとリスペクトを持っていて、同じ条件下でお互い幸せになれるような方を優先して、契約に至れるような流れで進めております。

――viviONさんはグループ事業の「DLsite」にしろ「あおぎり高校」にしろ、伸び伸びと自由な表現ができる場を提供しており、すべてを包み込むような優しさを持っていると感じているファンは多いのではないかと思っています。そんななかで、「viviON Lab」はどのようなビジョンを持っており、どのようなクリエイターさんと一緒なら作品を広げていけると思いますか?

池田:具体的にどういう方に来て欲しいというものは定めていませんが、「viviON Lab」の立ち上げの背景にはクリエイターさんやデベロッパーさんが増えてきているものの、パブリッシャーがなかなか増えておらず、需要に対して供給が追いついていないというものがあります。

弊社で100、200のデベロッパーさんのサポートはできないと思いますが、少しでもお手伝いができたらと思っています。コンシューマ移植もそうですし、マーケティングや翻訳など支援を求めるクリエイターさんがいらっしゃいましたら、ぜひ来ていただきたいと考えています。

辻:我々はプラットフォームの運営社という側面も持っているので、そんなプラットフォーマーがパブリッシングも手がけるとなると「クリエイターさんやゲームを囲い込むのではないか」という不安がある方もいらっしゃるかと思うんです。ただ、我々としてはぜんぜん懸念されているような意図はなくて、先ほどのユーザーさんの発見から選択までの一気通貫をやりたいという考えです。

viviONには従来から作品を海外に届けることを仕事としている海外担当のスタッフがたくさんいますし、マーケティング部門もあります。また、ものすごくゲームに詳しいオタクのスタッフもたくさんいるので、そういった部分も強みになってくると思っています。

我々の持っている強みでクリエイターさんがやりたいと思っていることが実現できそうであれば、ぜひご一緒させていただきたいと考えています。池田が話した通り、「ここだけやって欲しい」というご相談もあると思いますし、我々のほうから「このジャンルはお断りします」といったようなことはないですね。

――なるほど。翻訳の部分だけをお願いしたいといった相談の仕方もできるわけですね。

池田:はい。そういったケースも当然あり得ますね。

取り扱い作品のひとつ『明月の娘』

――レーベルの立ち上げにあわせて発表された作品はどのようにパブリッシングが決まったのでしょうか。

池田:『明月の娘』はクリエイターさんとつながりがあり、その縁でお話をする機会がありました。そこで、協力と支援を求めているというお話を聞き、社内で検討をしたうえで「こういった線であればおこなえる」とお伝えして、デベロッパーさんと弊社で双方の意見が一致して契約に至り、国内パブリッシャーという形でパブリッシングさせていただくことになりました。

辻:うちの会社にいるメンバーはものすごくゲームが好きだったり、インディーゲームに精通していたりともするので、国内外のいろんなコミュニティに入っていたりとクリエイターさんとも繋がりがあります。

そういった繋がりのなかで、いろいろとお話をさせていただき、困っていることややりたいことを聞いたりすることがあります。『明月の娘』に関してはちょうど「viviON Lab」を立ち上げようと考えていた時期だったので、タイミングもよかったですね。

――いろいろなご縁が重なり、パブリッシングすることになったと。

池田:最初の『明月の娘』と『7 Days To Think About It』に関してはとくにそうですね。「viviON Lab」を立ち上げる前の話ですし、viviONがパブリッシャーをやるということを表に出していませんでした。

――『7 Days To Think About It』はいかがでしょうか?

池田:こちらはもともと「viviON GAMES」のほうでお声がけをした作品でした。お話を伺っていくなかで、パブリッシャーを探していることをお聞きしまして、『明月の娘』と同様、お互いの求めるビジョンや条件面が合致しましたので、パブリッシングが決まりました。

また、viviON Labではなく、viviONの子会社が運営しているDLsiteのパブリッシング事業でとなりますが、DLsiteの翻訳サービスをご利用していただいた縁でSteam展開もワンセットでおこなうようになった『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -』もあります。

――それぞれどのような作品になっているのでしょうか?

池田:Egg Hatcherさんの『明月の娘』は前作『火山の娘』の続編になります。厳密にはストーリーは地続きではないのですが、同じようなプレイ感の後継作ではあります。作品の雰囲気も『火山の娘』と近いのですが、前作のファンタジーから打って変わって今回は中国のような東洋の世界観になっています。

7 Days To Think About It』はサイコロジカルホラーです。作品の内容は『8番出口』や『新幹線 0号』のような間違い探し系のホラーゲームで、異変があったら引き返すというような即時的な対応ではなく、異世界のように変化した自宅を探索して、最後にこの家具はこのように変化していたのかどうか、記憶を元に回答し当てるゲームです。

『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -』は『フォレスティア~ちいさな町の牧場ライフ~』を前身とする牧場生活シミュレーションゲームです。先ほど紹介した通り、viviON LabではなくDLsiteのパブリッシングレーベルが手掛けます。

――これら以外にもパブリッシングが決まっているタイトルはあるのでしょうか?

池田:契約に至っている作品はありませんが、すでに話が進んでいるタイトルに関しましては複数あります。

――これからどんどん盛り上がっていくと。

池田:はい。作品数に関してはどんどん増やしていきたいです。

――DLsiteはアドベンチャーゲームやシミュレーションが多いイメージですが、「viviON Lab」はジャンルにとらわれずにいろいろなものに挑戦していくのでしょうか。

池田:そうですね。現在進行形で話が進んでいる作品に関しても、『明月の娘』や『7 Days To Think About It』に近しいジャンルのものもあれば、まったく違うアクションゲームやRPGもあります。

――目標として年に何本ぐらいのリリースを予定していますか?

池田:目標数は設けない方針にしています。デベロッパーさんの開発が遅れてしまうことは当然あると思いますし、そこでパブリッシャー側の都合として年内に合わせてもらわないと困るから早く作って欲しいとお願いするのは違うかなと。

辻:パブリッシングだけをやっている会社さんであれば事業戦略として大事だと思うのですが、我々の強みは、プラットフォームをやっていたり、パブリッシングもやっていたりするなかで、クリエイターさんが納得のいく作品を出したいと思うタイミングで出せるように調整できることかなと考えています。もちろん市場的に「今このタイミングで出した方がいいですよ」というご案内はしますが、最終的にどうされるかは、デベロッパーさんサイドで決めていただけます。

池田:契約が決まっているデベロッパーさんを後回しにしてまでさらにパブリッシングタイトルを獲得したいというようなことはありません。社内のリソースを見ながら、すでに契約が決まっているデベロッパーさんを最優先にしていこうと思っています。そのように無理に作品を増やすことはしないということは前提ではありますが、まずは1年ぐらいの間に3、4本を発表できればと考えています。

――緩やかなペースで考えられているんですね。

池田:DLsiteとして今までたくさんのクリエイターさんと関わってきたなかで、「クリエイターさんと向き合うことの大切さ」を学びました。会社の文化にも深く根付いています。最優先にすべきクリエイターさんがいるのに別のクリエイターさんにもお声がけをして結果的に元からやりとりをしてきたクリエイターさんとのやりとりが十全に進められなくなる状況を招くのは、お互い不幸になるだけであって、こちらもそういったことは望んではいません。最初はできることを増やしつつ、少しずつ作品を増やしていこうと考えています。

――「viviON Lab」はDLsiteでの実績があるのでメンターとしても安心できると言いますか、クリエイターさんの気持ちに寄り添うことができるのかなと思いました。

池田:ありがとうございます。DLsiteはいろんなタイプのクリエイターさんにご利用をいただいています。売上げを第一に考えて少しでも売上げを立てたいという方もいらっしゃれば、兼業で創作活動をされていて、売上げよりも自分の世界観を表現したいというような方など、いろいろな価値観の方がいらっしゃいます。

「このクリエイターさんはこういうふうに考えているんだな」とか、「このクリエイターさんはこういうふうに作品を表現したいんだな」というような気付きはDLsiteに関わっていくなかで学んでいきました。

辻:我々の会社は「ユーザーとクリエイターが楽しみながら幸せに生きていける社会にする」という理念を持っており、そこも活きているのかなと思います。我々の都合で売上だけ追求するということもないですし、逆にクリエイターさんがゆっくりしすぎてユーザーさんが待っているときは「頑張りましょう」とお伝えすることもあると思います。ユーザーさんとクリエイターさん、両方を大切にしていきたいと考えいます。

池田:「viviON Lab」のパブリッシングに関しては、作家さんの表現したいこと、作風というものを重視しています。viviON のほうから、「これは売れないからこうした方がいい」とか、「これはちょっとウケないから直してください」とか、そういった感じのことは強くは言わないスタンスです。無理なスケジュールを組もうとしているときなどはアドバイスをお伝えしますが、基本的にはデベロッパーさんの作風や価値観を重視してやっていただきたいなと考えています。

――viviONならではというところで、DLチャンネルのアテナちゃんやニャン作、あおぎり高校のメンバーとのコラボ施策は考えていますか? たとえばあおぎり高校のメンバーが動画で「viviON Lab」のゲームを紹介するといったこともありえるのでしょうか?

辻:こちらはどちらかというと「viviON GAMES」のほうで考えています。というのも「viviON GAMES」はスマホのブラウザだけで遊べるという設定にしています。ネィティブアプリを入れてしまうとワンステップの手間が増えてしまうのでブラウザ上でパッと遊べるようにしました。そして、そういう設計であれば、ゲーム実況とも親和性が高くなるなと。新しいゲームを宣伝するマーケティング手法のひとつにもなるのではないかという期待を持っています。

弊社内は「あおぎり高校」をはじめ、いろいろなVTuberグループがいたり、IPコンテンツも持っていたりするので、親和性を高めていっしょに宣伝活動を手伝ってもらうということはあり得るかなと思っています。

多彩なゲームをスマホで遊べるようにサポート

――では、そのまま「viviON GAMES」についてもお聞かせください。2025年11月におこなわれたOOParts Engineを使用した「DLsiteの大実験」から生まれたものでしょうか?

辻:そうですね。もともとOOParts Engine自体が、PCゲームをサーバー上で動かしてスマートフォンのブラウザに届けるという技術を通して開発されていたものなのですが、2025年8月に終了しまして、我々viviONのグループの方で、運営していた会社さんの技術や関連特許をを買収させていただきました。

サービス終了に伴って、技術や運営ノウハウを引き継いだほか、実際に開発されていた方も含めてviviONグループに合流しています。そのため、社内にクラウドゲーミングの技術基盤を持っている会社になったことが大きなポイントだなと思っています。

クラウドゲームというと、どうしても月額制のようなビジネスモデルになることが多かったと思いますが、そうではなく、買い切り型でも経済が回るような設計を考えることができると思っています。

先ほどの弊社のIPを使ったマーケティング施策もできますし、お試しプレイを会員登録なしでできるようにすることも可能です。「viviON GAMES」は「あのゲームが、スマホでいますぐ。」というものをキャッチコピーにしていますが、この体験を成立させるためのど真ん中の資産になると考えています。

――本技術を活用したテスト「DLsiteの大実験」は私も触らせていただきましたが、PCで遊んでいるゲームがそのままスマホで遊べて感動しました。ユーザーさんからの反応はいかがでしたか?

辻:ありがとうございます。ユーザーさんからも好評でした。「DLsiteの大実験」は「スマホでPCゲームができるよ」ということをユーザーさんに提示したときにどんな反応がくるのかと知りたかったんです。あのときは2万タイトルぐらいの作品が対応していたのでクラウドゲーミングのサービスとして世界でも最大規模だったのではないかと思います。

堀田:実験と銘打ってやらせていただいたので、本当にどんな反応が返ってくるのか未知数でしたが、操作や遅延の不満感よりも、「このゲームも対応していた」とか「あのゲームを久々に遊んで楽しかった」という声をお聞きしました。作品をスマホで体験できたことへの喜びの反応がとても大きかったです。

辻:この反応を受けて「viviON GAMES」を本格的にサービス化しようと考えました。実際に実装するにあたり、サブスクや買い切りなどのいろいろな選択肢がありましたが、自分が持っているゲームをそのままスマホで遊べるという体験に共感していただいたので買い切り型が合うのではないかと考えました。

堀田:OOParts Engineを自社で持っているとはいえ、実際に運用してアクセスが増えたらどうなるのかといったところは未知数でした。「DLsiteの大実験」でユーザーのみなさんがご協力してくれたおかげで具体的な部分が分かりました。

辻:また、先ほどお話したような配信者さんやVTuberさんに「viviON GAMES」の魅力をお伝えしてもらう施策についても見えてきました。「DLsiteの大実験」をやってみたときにSNSでは「あのゲームを私も遊んでみた」とか「久しぶりにDLsiteに来た」というようなつぶやきをしている方もたくさんいらっしゃったので、スマホのなかで完結する情報の拡散性には可能性を感じました。

――「DLsiteの大実験」はDLsiteで購入したゲームを遊ぶことができましたが、「viviON GAMES」はどのような形になるのでしょうか?

辻:「DLsiteの大実験」はOOParts Engineの実験でしたが、「viviON GAMES」は新しいサービスと考えており、DLsiteとは異なるものになります。完全に全年齢で、Steamで売っているような作品を中心にラインナップして並べることを想定しています。

辻:美少女系だけ、ホラー系だけ、とジャンルを絞るつもりはまったくなく、どんなジャンルのものでも提供していく予定です。ゲームは好きだけどPCを子供に取られてしまっている親御さんだとか、Macを使っているので遊びたいゲームが対応していない方など、ユーザーさんに遊びたいゲームを体験していただく機会を増やすことができればと考えています。

――リリース時にはどれぐらいの本数のタイトルを予定されているのでしょうか?

辻:現状で20~30タイトルぐらいは揃いそうです。今、堀田が交渉を頑張ってくれてます(笑)。BitSummit PUNCHではユーザーさんから「このゲームをスマホで遊びたかった」と注目していただきましたし、クリエイターの方も「これがクラウドなの!?」と驚かれていました。

さすがに弾幕系のゲームやFPSのようなフレーム単位でシビアな対応が必要なタイトルは技術的に厳しいところもありますが、ものすごく重い3Dの作品だったとしてもサーバー上では動いているので、技術的には乗り越えられてるのかなと思っています。そういう意味でも幅広く作品を集めていきたいなと思ってます。

――Game*Sparkの読者は比較的エッチなゲームもすごく大好きだと思うので聞いておきたいのですが、「viviON GAMES」は全年齢向けのサービスになるのでしょうか?

辻:はい。DLsiteとは棲み分けを考えており、「viviON GAMES」は全年齢のタイトルが揃っているサービスを考えています。

堀田:……ちなみにDLsite側のサービスで調べていただくと、ご期待に応えられるものがあるかもしれません。

――なるほど。「viviON GAMES」と同じシステムのサービスが大人向けのDLsiteにもあると。安心しました。では、話を変えて、「viviON Lab」のゲームが「viviON GAMES」でも遊べるようになるパターンもあるのでしょうか?

辻:そこはクリエイターさんの選択次第で、Steamだけで出したいと言われればそれはそれでまったく構わないです。もちろん我々としてはSteamで遊びたい人もいれば、「DLsiteの大実験」の結果からスマホで遊びたい人が多いことをお伝えして、「viviON GAMES」をご案内することもあります。クリエイターさんがやりたいとおっしゃってくれれば一気通貫でお預かりする形です。

――BitSummit PUNCHで出展していたクリエイターさんに最初に「viviON GAMES」を案内したときの反応はいかがでしたか?

堀田:スマホでも遊べるようにしたいという需要はすごくあることが分かりました。直接お話を伺ったクリエイターさんの中には、使用しているゲームエンジンの事情からにネイティブのスマホアプリ化をするのが難しく、スマホ対応ができるのであればしたかったという方もいらっしゃいました 。あとは、工数だったり費用面だったりと、いろいろな課題を抱えて実現できないなかで、そこをviviONがやってくれるのであればありがたいというお声も届いています。

辻:これがサブスクなどのサービスであれば、クリエイターさんが想定している収入の入り方とは違ったものとなり、最新の作品ではなくてひとつ前の作品にするといった方向になるかもしれません。しかし、今回は買い切り型で、スマホへの変換作業も我々のほうでおこなうとお声がけさせていただいているので、非常に好評をいただいています。

池田:「viviON Lab」をご案内するときに「viviON GAMES」も紹介することが多いのですが、クリエイターさんが懸念されるのは移植費と移植のための手間がかかるのではないかというところですね。移植費のほうは「viviON GAMES」で持たせていただきますし、ゲームの配信にあたってスマホ向けにゲームパッド操作をタッチ操作に切り替えなければいけないといったことをする必要はないので安心していただきたいです。

――クリエイターに優しく、メリットが大きいですね。

堀田:PCで出したあと、スマホでも展開したいものの、その余力がないクリエイターさんは多いと思います。そういったクリエイターさんのお力になりたいと思っています。

――最後にひとことお願いします。

池田:クリエイターさんとお話をさせていただくなかで、パブリッシャーに興味はあるけど話しかけにくいと感じている人が多いことが分かりました。

我々はDLsiteでクリエイターさんと長く付き合ってきておりますので、気負いなくご相談いただけるとうれしいです。相談をしたら絶対にやらなければいけないということはありませんし、せっかくクリエイターさんが大切に作った作品をより多くのユーザーさんに届けるための戦略のひとつとして、ぜひ検討なり活用なりしていただけますとありがたいです。

堀田:「viviON GAMES」はクリエイターさんとユーザーさんの接点になりたいなと思っています。ゲームに限らずいろいろなエンタメが増えて広がっているなかで、自分のゲームを見つけて楽しんでもらうみたいな機会を作り出すのは難しい部分もあると考えています。

「自分のゲームがスマホの環境にあうだろうか?」と疑問を感じているようなクリエイターさんもいらっしゃるかもしれませんが、お試しでやってみるような形でもウェルカムです。お気軽にご相談していただければと思います。

辻:インディーゲームの市場が広がれば広がるほど埋もれてしまう作品も増えてきているんじゃないかと考えています。「viviON Lab」に関しては選ばれる手前でちゃんと作品が届くようにするという取り組みですし、「viviON GAMES」に関しては遊びの入口の人口自体を増やそうという取り組みです。

 向き合っている方向は違うのですが、同じ課題に対するふたつのアプローチかなと考えています。ゲームに触れる人口を増やしたり、「こんなゲームがあったんだ」というよろこびを、viviONとしてきちんとお届けするお手伝いができればなと思っています。2026年中に両サービス本格的に始動しますので、ぜひ、今後の動きを追いかけていただけるとうれしいです。

――ありがとうございました。

ライター:カワチ,編集:みお

ライター/スーパーファミコン時代のRPGやゼロ年代の美少女ゲームを愛するライター カワチ

1981年生まれ。東京都出身。2000年よりゲーム雑誌のアルバイトを経て、フリーライターとしての活動を開始する。 アドベンチャーゲームやRPGなどのジャンルを好み、オールタイムベストは『東京魔人學園剣風帖』。ほかに思い入れのあるゲームは『かまいたちの夜』『月姫』『CROSS†CHANNEL』など。

+ 続きを読む

編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top