
「東京ゲームショウ2026(TGS2026)」のコーエーテクモゲームスブースでは、今冬発売予定の『信長の野望・飛翔』が世界最速でプレイアブル出展されていました。
今回、筆者も会場でTGSで試遊版をプレイ。『信長の野望』シリーズはほぼ未経験で、歴史シミュレーションゲーム自体にもそこまで詳しくありません。だからこそ本稿では、シリーズ経験者との細かな比較ではなく、「初めて触った人間にどう見えたのか」という目線から、本作の印象をお届けします。
1983年に第1作が発売された『信長の野望』シリーズ。その最新作となる『飛翔』では、「生きろ、『大義』のために。」をコンセプトに、“なぜ戦うのか”をゲームシステムへ落とし込んだ「大義名分」、約20年ぶりに復活する「町づくり内政」、そしてシリーズ初となる「ストーリーモード」などが盛り込まれています。
実際に触ってみると、いずれもシリーズ未経験者が「何をすればいいのかわからない」となりにくいよう、目的や結果が見えやすく作られているのが印象的でした。
「勝てそうだから攻める」だけでは終わらない――新要素「大義名分」
今回もっとも印象に残った新要素が「大義名分」です。

プレイヤー目線だけで考えれば、隣国へ攻め込む理由は「今なら勝てそうだから」でも成立します。しかし実際の戦国時代で戦を起こすには、家臣や周囲を納得させるだけの理由が必要です。本作では、その“戦う理由”そのものがシステムとして組み込まれています。
たとえば、相手の行動や周囲との関係によって戦う理由が生まれ、それを大義として掲げることで戦へとつながっていきます。単に「攻められるから攻める」のではなく、「この理由があるから、この勢力と戦う」という流れが見えるため、シリーズ未経験の筆者でも状況を理解しやすく感じました。
さらに面白いのが、これは攻める側だけの仕組みではないという点です。他勢力も大義名分をもとに行動するため、「次にこちらへ仕掛けてきそうなのはこの勢力かもしれない」と、相手の動機をある程度読みやすくなっています。やられる側から見ても納得感があり、個人的にはかなりわかりやすい仕組みだと感じました。
武将には新たに「革新」「保守」「信義」「実利」という4系統の「気質」が設定され、メインとサブの気質を持ちます。大名の気質は勢力全体の「家風」となり、たとえば織田家は「革新+実利」、武田家は「実利+保守」といった具合です。家風と掲げる大義名分の方向性が合致すれば、その効果も高まります。
大義名分はバリエーションを含めて約1000種類が用意される予定で、兵力や武将能力、国衆支配、忠誠、調略耐性などにも影響します。単なる「開戦理由」にとどまらず、本作全体の判断基準につながる根幹のシステムと言えそうです。
約20年ぶりの「町づくり内政」は、気軽に触れる箱庭感が楽しい

『烈風伝』や『天下創世』などで採用されていた「町づくり内政」が、シリーズでは約20年ぶりに本格復活します。
城下町に施設を配置し、商業・農業・兵備などを発展させていく仕組みで、商業を伸ばせば人口が増え、その人口を支えるためには農業も必要になります。人口が増えれば兵力にもつながり、さらに城の発展によって開拓できる土地も広がっていきます。
システムとしては触ってすぐ理解しやすい一方で、土地ごとに適性があるのが面白いところです。たとえば山間部では農業に向きにくい一方で、金山など地域ならではの強みを活用できます。難しい数値とにらめっこするというより、試遊ではちょっとした“シムシティ感覚”で城下町を作っていく楽しさを感じました。
ただし、作った町は発展させて終わりではありません。攻城戦になれば、その城下町自体が戦いの舞台になります。
防御を厚くしたければ櫓などの防衛施設を置きたいところですが、そのぶん商業や農業に使える土地との兼ね合いも出てきます。豊かな町にするのか、それとも攻められにくい城にするのか。限られた土地を何に使うかという部分には、城主らしい悩ましさがありました。
合戦は「見守るゲーム」だと思っていたら、かなり触れる

筆者は最近の『信長の野望』シリーズをほとんどプレイしていないため、直近作品との細かな違いについては比較できません。ただ、今回実際に触って驚いたのが、合戦でかなり直感的に部隊へ指示を出せることでした。
正直なところ、プレイ前は「政治や内政が中心で、戦闘はある程度眺めるもの」という勝手なイメージを持っていました。しかし実際には、部隊をどこへ動かすかを直接指示し、戦況を見ながら進路を変えるなど、自分で触っている感覚がしっかりあります。
今作の戦場には、自由に移動しやすい「平野」と、経路が限られる「小道」が存在します。平野の大要所を巡って正面からぶつかるだけでなく、小道から回り込んで挟撃したり、少数部隊で相手を足止めしたりと、地形を使った動きも可能です。
一方で、家臣は状況を判断して自律的に行動してくれるため、すべてを自分で細かく操作する必要はありません。慣れないうちは任せ、わかってきたら自分で指示を増やすという遊び方もできそうです。
個人的には、SLGというよりRTSに近い手触りを感じる場面もありました。「信長の野望=難しそうな政治シミュレーション」という筆者の先入観は、いい意味でかなり崩された部分です。
シリーズ初のストーリーモードが、初心者への入口になる

そして、シリーズ初心者としてもっともありがたく感じたのが、シリーズ初となる「ストーリーモード」です。
主人公は織田信長。物語に沿って信長の生涯を追いながら、町づくりや大義名分をはじめとしたゲームの仕組みを段階的に覚えていけるようになっています。
TGS試遊版では「メインモード」と「ストーリーモード」の両方を選択できますが、筆者のようにシリーズ経験がほとんどない人であれば、まずストーリーモードから始めるのがかなりわかりやすいと感じました。チュートリアルを単独でこなすというより、物語を進める中で「次はこれをやってみよう」と自然に操作を覚えられます。
製品版のストーリーモードは、クリアまで20~25時間程度を想定して調整中とのこと。単なる導入用のおまけではなく、ひとつのモードとしてしっかり遊べるボリュームが予定されています。
『信長の野望・飛翔』を試遊してもっとも印象に残ったのは、戦う理由を「大義名分」として可視化したことで、国取りに納得できる動機が生まれていることでした。
そこに、自分の手で城下町を作る内政の楽しさや、想像していた以上に直接触れる合戦、そして初心者でも入りやすいストーリーモードが組み合わされています。シリーズをほぼプレイしてこなかった筆者でも、「何をすればいいのかわからない」という壁を感じにくく、短い試遊時間の中でもそれぞれの要素の面白さを掴むことができました。
シリーズ経験者にとって新要素がどう映るのかはもちろん気になるところですが、これまで「難しそう」という印象だけで触れてこなかった人にとっても、『信長の野望』へ入るきっかけになりそうな一作です。










