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『ファイアーエムブレム 万紫千紅』はきわめて異色なSRPG。壮大な遊びの設計に圧倒された70時間プレイレポ

遊びも物語も攻めまくっている最新作です

連載・特集 プレイレポート
『ファイアーエムブレム 万紫千紅』はきわめて異色なSRPG。壮大な遊びの設計に圧倒された70時間プレイレポ
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『ファイアーエムブレム』シリーズ最大の売上となった『ファイアーエムブレム 風花雪月』から7年。同じ世界を共有する最新作である『ファイアーエムブレム 万紫千紅』がついに発売されました。

選んだ主人公によって変化する物語や、5年の歳月を跨ぐ物語など、一見すると『風花雪月』の要素を順当に引き継いだ続編のようにもみえるかもしれません。

しかし、実際にはこのゲームの遊びは『風花雪月』とは大きくかけ離れたものになっています。それどころか、過去の『ファイアーエムブレム』のどれとも似つかない、きわめて独特な設計を持つ作品になっていました。

何よりも圧倒されるのは、その壮大すぎる遊びの設計です。筆者は現在70時間ほど本作をプレイしていますが、まだすべての要素をさらうことができていないと感じさせられます。Game*Sparkでは『ファイアーエムブレム 万紫千紅』のレビューの掲載を予定していますが、まずは本作のこの“只者でなさ”を伝えるべく、プレイレポートをお届けします。

底知れぬ特大ボリュームの群像劇と英雄譚

上述したとおり、本作は5年の歳月をまたぐ物語になっており、ゲームも大きく5年前と5年後の2つに構造が分かれています。

5年前のパートは、帝都ダグシオンで開かれる祭典「大剣闘祭」に挑む「カイ」、「ディートリヒ」、「セオドラ」、「レダ」の4人の主人公をそれぞれの視点から描くものです。思惑、目的が異なるそれぞれのキャラクターたちの物語によって、舞台となるダグザの地の全容が明らかになっていきます。

5年後のパートでは、魔人バロールの軍勢によって滅びかけているダグザを「救世主」として救うことになります。5年前のパートをクリアした主人公らが仲間として加わり、ここから一転攻勢の戦いがはじまるのです。

そのため、5年前の大剣闘祭パートはそれ自体が群像劇になっているというだけでなく、5年後のための準備という側面も兼ねています。手塩にかけて、大剣闘祭優勝のために育成したキャラクターたちは、そのままバロールとの決戦の舞台でも活躍してくれます。

ですが、筆者と同程度のプレイ時間のプレイヤーは、まだこの5年後にたどり着けていないという人も多いかもしれません。5年後の決戦の前に4人の主人公の物語をクリアし、彼らを救い出すことを目的に遊ぼうとすれば、その時点で100時間はかかるように思えます。

決戦自体はすべての主人公の物語をクリアしていなくても挑むことができるため、筆者は「カイ」ルートと「レダ」ルートを終わらせた段階で、いちど決戦に臨むことにしました。

この状態でも、5年後の進行度を保ったまま5年前の主人公のルートを進められるようになっています。オートセーブになり、いわゆる「リセマラ」のようなことがしづらくなった分、本作はゲーム全体を通して「取り返しのつかない要素」が極力生まれないように設計されているようです。

冒険と生活も“手強いシミュレーション”

『風花雪月』は、先生として生徒たちを育てる形で、学園生活における育成パートが存在していました。カレンダーにあわせて日付が進んでいくなかで、授業を行って技能を高めたり、拠点内の施設を駆使したり、遠征に出て敵との戦闘を行ったりと、効率的な育成を模索していきます。

それでも、選択肢はある程度絞られており、何を選んでも結果的にはリニアに進行するため、ノーマル難易度をクリアするだけならそこまで育成に頭を悩ませることはなかったかもしれません。

それに対して、『万紫千紅』はこの準備パートでできることがかなり複雑化しており、「何から手を付けるのが正解なのか」にかなり悩むことになります。

ダグザ大陸の中心に位置する帝都ダグシオンの中では、味方の技能を向上させる「訓練」キャラクター同士の支援レベルを上昇させる「食事」や「観劇」、神位から受けられる恩恵を強化する「奉仕」など、さまざまなアクションが行なえます。

そして、ダグシオンから出て「ワールドマップ」にてさまざまなアクションを行うことも重要です。ダグシオンで受けたクエストの達成や、各主人公が固有で行えるアクションの活用、素材収集や装備の入手、ダンジョンでのレベル上げなど、ワールドマップ上ですべき要素も膨大です。

これらのアクションはほとんどの場合、日付日時と連動する「ターン」という単位を消費します。限られたターン数でいかに効率よくキャラクターを育成できるか、マネジメントとスケジューリングの能力が試されるのです。

ワールドマップ上では、魔法の使用残数やHPなどが戦闘後に回復しないため、特定のスポットでの回復などを行う必要があるなど、冒険の中でのリソース管理も要求されます。

ここまで複雑化すると、単に準備パートというよりは、ファンタジー世界での冒険と生活そのものの“シミュレーション”ととらえることもできるように思います。次の試合のために新しい武器を新調し、訓練をして己を鍛え、誰といつ時間を共にするべきか考え、一歩ずつ世界が広がっていくワールドマップでの探索に励む。主人公ごとにできることが異なるアクションなども含め、本作はダグザの地での生活をロールプレイさせることに余念がありません。

CRPGを遊んでいる時に近い感覚を覚えながら冒険と育成を楽しむ中で、定期的にその成果が存分に試せる機会としてのメインストーリーの戦闘が発生します。

そして、5年後にはワールドマップ上での移動やアクションがターン消費を伴うシミュレーション的な仕様になっていた理由も明確になります。詳しい内容の言及は避けますが、5年前の時点から、あくまですべてのシステムと物語が、壮大な英雄譚へと収束していくための仕込みになっている設計に驚かされました。

戦闘も最終的にはかなりハードに

このように非常に複雑なシステムのゲームになっているためか、序盤はチュートリアルが多めになっています。そういったデザインに即するように、戦闘も最初はかなり控えめな難易度になっているため、シリーズをやり込んでいるプレイヤーはしばらく物足りなさを感じるかもしれません。

そういった緩やかな難易度曲線を辿りつつも、次第に本作はその牙を剥きはじめます。特に、大剣闘祭パートクリア以降は目に見えて戦闘マップのサイズが広大になり、要求される味方の兵数も、敵の数も増加。外伝マップも含めて、それぞれのステージごとに異なった遊びになるようにデザインされており、さまざまな勝利条件や特徴的なマップ構造のために一筋縄ではいかなくなってきます。

ワールドマップ上での探索も、よりリソース管理が要求される遊びへと変貌し、一手一手の行動が重要に。5年前から手塩にかけて育ててきたキャラクターたちの武器、スキル、ステータスすべてを生かしきって勝てるバランスになっていると感じられます。

ゲームの全体の構造の理解と、歯ごたえが出てくるまでに時間がかかることから、本作は序盤と終盤で大きく評価が変わりうる作品であるように思えます。しかし、ひとたびこの体験が手に馴染んだなら、あとはズルズルと沼に引き込まれる、きわめて異色ながら調和の取れた新しい『ファイアーエムブレム』がここにあります。

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は、ニンテンドースイッチ2向けに発売中です。

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《ライター:お茶缶,編集:みお》


ライター/ミンナニ ナイショダヨ お茶缶

任天堂タイトル中心に、けど色々手を出すゲーム好きな人。ベストゲームは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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