Castlevania(悪魔城ドラキュラ)シリーズ40周年という大きな節目の年に、ファン待望の完全新作探索型2Dアクション『Castlevania: Belmont’s Curse』が2026年10月15日に発売。対応機種はPS5 / XBOX Series X|S / XBOX on PC / PC(Steam) / Nintendo Switch、早期購入特典/予約特典とMidnight Editionの内容も公式サイトにて公開されています。
旧作の移植・復刻コレクションやコラボレーション作品等を除くと、2014年に発売された『悪魔城ドラキュラ Lords of Shadow 2』以来、コンシューマー向けにおける完全新作は実に12年ぶりです。この長い沈黙を破り、ファンが待ち望んだ正史のベルモンドの物語が再び動き出すというだけでも胸が熱くなります。
記事執筆時点(9月30日)のSteamレビュー数の156,569件中97%が「おすすめ」とする“圧倒的に好評”、「The Game Awards 2018」において「Best Action Game(最優秀アクションゲーム部門)」を受賞した『Dead Cells』を手がけるEvil EmpireとMotion Twinが本作の共同開発として参加。追加DLC「Return to Castlevania」の制作がきっかけで、本家KONAMIとの最強タッグが実現しました。
弊誌では、これまでにもメディア向け先行試遊会の模様や開発陣へのインタビューをお届けしましたが、今回はついに本編へと踏み込みます。
なお、本稿執筆にあたっては開発元よりSteamキーの提供を受けてプレイしております。記事内には物語の中盤以降や演出に関するネタバレが含まれておりますのでご注意ください。今回は、約20時間のプレイを経て3種類あるうちの1つのエンディングを達成した状態でのレビューとなります。

伝統の「鞭」と新たな武器となる「タロット」、そして縦横無尽に駆け抜ける「ウィップアクション」を携えて挑む漆黒のパリを翔ける新たなベルモンドの物語。骨太なバトルの手応えや緻密なマップ探索は、歴史を積み重ねたCastlevania(悪魔城ドラキュラ)の新作であることをプレイ体験を通じて確かに感じさせました。

女性主人公であるローズが背負う血脈の運命
1499年、夕闇と火焔に包まれたフランス・パリの市街地から物語は始まります。時系列としては『悪魔城伝説』から23年後にあたり、かつてヴァンパイアを打倒した英雄トレバー(ラルフ C・ベルモンド)とサイファ・ヴェルナンデスの娘、ローズ・ベルモンドが物語の主人公となります。

突如パリの街を襲った凄惨な災厄の中で、父トレバーに別れを告げローズ単独で調査することになります。ローズは一人の戦士として独り立ちするために奔走し、己の力で立ちはだかる過酷な困難を切り開こうと奮闘します。しかし、どれほど遠く離れ過酷な境遇に置かれようとも、親子の絆は切っても切り離せません。


本作において最も印象深い物語的アプローチの一つが、主人公を女性であるローズに設定した点です。シリーズ40年の歴史において、ベルモンド家の直系血統として単独主人公を務める女性キャラクターは非常に稀有な存在と言えるでしょう。
シモンやリヒターといった歴代のベルモンド当主たちは、頑強な肉体で魔物に立ち向かう「剛腕な戦士」としての印象が強いです。それに対しローズは、父トレバーから受け継いだヴァンパイアキラーとしての物理的な退魔の力(ベルモンドの血筋)と、母サイファから受け継いだタロットカードや霊力(ヴェルナンデスの血筋)という魔法的な力を等しく宿しています。力任せの突破ではなく、両親の異なる才能をしなやかに融合させた新しい戦術スタイルの象徴が「ローズ・ベルモンド」なのです。
さらに注目すべきは、ローズの右腕に深く刻まれた「呪い」の存在です。この呪いは、ベルモンド一族が代々逃れることのできない「ドラキュラとの長きにわたる死闘」という負の歴史そのものの継承として重々しく描かれています。


父と母の偉大な光の継承と、一族が抱える血の呪縛という影の継承。この二つを同時に背負わされた一人の女性が、重圧に苦悩し繊細な葛藤を抱えながらも、凛とした強さで宿命へと立ち向かっていくプロセスは強烈なストーリーラインとして描かれています。



また、作中にはジャンヌ・ダルクをはじめとする歴史的英雄や、教会内部で渦巻く思惑、さらには過去のシリーズ作でおなじみのキーパーソンが複雑に絡み合っていきます。


アニメ版のキャスト陣が一部役柄を続投している点も見どころで、ボイスの重厚感がカットシーンの緊張感を極限まで高めています。中世ヨーロッパの暗黒史とゴシックファンタジーが融合した世界観は、深い没入感をもたらしてくれます。
「罠と分かればそれは解明すべき謎」––複雑なダンジョンで待ち受ける骨太な戦闘
メトロイドヴァニアとしての完成度を測る上で最も重要な要素であるマップデザインとギミックの構造において、本作は確かな歯ごたえと緻密さを感じさせます。

シリーズ中期以降の作品では、広大な城内をくまなく歩き回って新たなアビリティを手に入れ、探索範囲を広げていくカタルシスが醍醐味でした。本作もその黄金パターンをしっかり踏襲していますが、ギミックの質はより知的な方向へと深められています。

特に印象的なのはボス部屋へと至るまでの道のりの設計です。単にマップを埋めていけば辿り着くといった単純作業ではありません。各エリアのボスのもとへ辿り着くためには、ダンジョン内のあちこちに潜む亡霊などから手がかりを集め、背景にいたるまでのあらゆる箇所をじっくり観察し、本格的な仕掛けを解き明かす必要があります。


思考を巡らせ、苦心して複雑なギミックを解除し、ボスが待ち受ける重厚な扉を発見しただけで既に達成感に包まれます。トレバーとローズの「罠と分かればそれは解明すべき謎」という言葉を、まさに自身のプレイを通じて体現させられるような構成です。観察力と発想力で暗黒のダンジョンを切り開く探索型アクション本来の醍醐味が存分に凝縮されています。


そうして高まる期待と緊張感のなかで足を踏み入れた先で対峙するのが、趣向を凝らしたボス戦の数々です。
以前の試遊記事では物語序盤に立ちはだかるボスについて触れましたが、中盤から終盤にかけて登場するボスたちも決して一筋縄ではいきません。本作のボス戦における秀逸な点は、単に攻撃力や耐久力が高いだけでなく、そのキャラクターの背景や性格がそのまま戦闘スタイルに反映されているという点です。
例えば秘術師のカードのカーミラは、血液学と“自らは望まぬ検体”を用いることでドラキュラに永遠の命をもたらす「血染めの月」を召喚しました。彼女は血液を使った攻撃だけでなく、8回攻撃を受けると体力にかかわらず即死するという呪いを戦闘開始時に付与してきます。



狂信者のカードのアイザックは時計塔の番人であり、かつてヘクターに倒されたものの復活を遂げ、ドラキュラに心酔しています。彼は圧倒的な速度かつ次々と増える分身で、息をつく暇もないスピード勝負に挑んできます。


シリーズ恒例のドラキュラの腹心である死神「デス」も登場。やはりローズにとっても脅威として立ちはだかります。初見で画面の端まで届く大鎌を見た時は絶望を感じざるを得ませんでした。



それぞれのボスが持つストーリーが独自の能力や戦闘スタイルと密接に結びついているため、強烈な個性を備えた強敵として記憶に強く刻まれる作りになっています。
また、2Dアクションにおける戦闘の基本であるヒットアンドアウェイや、敵のモーションから次に来る攻撃を読んで避けたり背後に回り込んだりという操作も本作ではしっかりと叩き込まれます。冷徹な観察と正確な操作が噛み合って勝利を掴み取った瞬間の脳内物質が噴き出すような快感は、まさに骨太なアクションゲームの王道と言えるでしょう。
多彩な武器コンボかそれとも鞭か…ビルドで広がる戦闘スタイル
アクション面における選択肢の広さと、それに伴うビルド構築の面白さも本作の大きな柱です。
アルカードや来須蒼真のように、過去のシリーズ作では多種多様な武器を付け替えて戦うスタイルが定番となっていました。本作でもその系譜が色濃く受け継がれており、道中で手に入る武器カテゴリーは多岐にわたります。

7種類の基本武器があり、探索を進めることで4段階の強化版を入手可能。槍を使えば安全な間合いから遠距離の敵を突き刺してアウトレンジから攻撃したり、双剣に持ち替えればハイスピードな連続攻撃で爽快なコンボを叩き込んだりなど、多種多様な性能を持っています。手に入れた新たな武器の振りの速さやリーチ、固有技を試すだけでも時間が飛ぶように過ぎ去っていきました。


しかし、様々な武器を触り比べながら多彩な戦闘スタイルを試行錯誤しても、激戦を潜り抜けていくうちに不思議と鞭をメインウェポンとして選んでしまいました。

横方向への絶妙なリーチ、空中からの振り下ろし、そして何より先端で打撃を与えるほど高火力であること。他の武器でどれほど華麗なコンボを決められようとも、ベルモンド一族の真骨頂は、このしなやかで力強い鞭のひと振りに集約されていると納得させられます。

浮気をして様々な武器を試した結果、初心に帰って鞭の使い勝手の良さとロマンに帰結する現象は、過去作をプレイしている人であれば避けては通れないでしょう。

そして、本作の探索や戦闘における肝となるのが「アルカナシステム」です。倒したボスの魂をタロットカードに封印しアクティブスキルや特殊能力として組み込まれるシステムであり、『暁月の円舞曲』の「タクティカル・ソウル」を思わせる収集の楽しさがあります。


収集したアルカナ(タロットカード)は、ストーリーと密接にリンクしています。イベントムービーや特定の場面において、カードに封じられたボスたちが精神体として会話に登場し、ローズの旅路に対して助言や皮肉を投げかけてくるのです。
かつて刃を交え激闘の末に倒した強敵たちが、今度はカードの力を通して主人公を支えるパートナーとなる。この演出によって、孤独な探索でありながらも「かつての宿敵たちと共に戦っている」という、どこか胸が熱くなるようなチーム感が醸し出されています。



ただし、この熱い演出があるからこそ直面するジレンマも存在します。それは少年漫画の定番展開でもある「かつての強敵が仲間になると弱体化しがち」という現象です。
ボスとして立ちはだかっていた時には絶大な脅威を誇っていた技が、いざ自分のスキルとして使用可能になると動作の発動前隙が大きくて扱いづらかったり、間合いの取り方が難しいと感じてしまったりする場面に遭遇します。もちろん、筆者の操作の習熟度やテクニックの不足という側面も大いにありますが、この性能のクセの強さに最初は戸惑うことも事実です。
スキルに関する要素として、特定の条件を達成することで各カードのパワーアップや強力な追加効果の付与が行える「救済の道」や、装備することでステータスの上昇や探索の補助といった役割をもつ「魔導器」が用意されています。


これらは本来、近接特化や魔法特化などの戦闘スタイルに合わせたビルド構築のためのものですが、プレイスキルを補完するためのある種の救済措置としての役割も担っています。
もし特定の武器やアルカナのスキルの扱いに難しさを感じた場合は、メニュー画面の難易度設定を開く前に、雑魚敵との戦闘で地道に練習しながら立ち回りに組み込んでいきましょう。こうした試行錯誤こそが、プレイヤー自身の成長と重なり合い深い達成感へと繋がっていくからです。
空中を自在に舞うスピード感と硬派なアクション性
操作感の手触りにおける重要な要素の1つである「ウィップアクション」は、画面を大きく使ったスタイリッシュな立ち回りの軸として大活躍します。
かつてSFC版『悪魔城ドラキュラ』にあった「フックを使った振り子移動」を彷彿とさせつつ、現代的に洗練されたアクションへと昇華されています。空中や高い壁面に設置されたリングへ鞭を引っかけ、大きな弧を描きながら跳躍したり空中へ一気に浮遊したりと、立体的な移動へスムーズな移行が可能です。

また、敵に引っかけて距離を詰める瞬間にタイミングよく攻撃ボタンを押せば強力な一撃を放つといったアクションの組み合わせで、戦闘の幅が大きく広がります。『Dead Cells』譲りの軽快な操作性が組み合わさることで、一度手に馴染むとやめられない中毒性を秘めていました。


しかし、操作が軽快だからといってゲーム自体の難易度がぬるいわけではありません。戦闘における手応えはどこまでも硬派であり、甘い立ち回りをすれば一瞬で追い詰められる緊張感が次々と襲い掛かります。
ボスに限らず、敵の一撃はダメージ量が高めに設定されています。相手の攻撃パターンを見極めずに力任せにボタンを連打しているだけでは、あっという間に体力を削り取られて倒れてしまうでしょう。相手の予備動作を凝視して正確なタイミングでパリィ、スライディングやバックステップによる回避を合わせ、生じたわずかな隙に急襲をかけるといった精密な駆け引きが常に求められます。

それでいて「画面の表示と判定がズレていて納得がいかない」というような理不尽さとは無縁です。こうした立ち回りを感覚で覚えていく過程はは、これから『Castlevania(悪魔城ドラキュラ)』シリーズや探索型アクションに触れる人にとっての“入門編”としても最適だと感じました。
仮に倒されてしまった場合でも、直前にセーブを行ったチェックポイントからリトライが可能です。特にボスがいる部屋の近くにあるチェックポイントは比較的安全に戻れる設計になっているので、きちんとルートを確認してから再挑戦するとテンポが削がれることがありません。

何度も挑戦して「次こそは絶対に完璧に見切って倒してみせる」という前向きな闘志が自然と湧き上がってくるような難易度調整が行われています。
漆黒のパリを彩るゴシックなアートと現代的サウンド
過去作における緻密なグラフィックへの美意識を残しつつも、現代的なアニメーションとパリの夜を照らす光の演出が、2Dアクションゲームの表現力を新たな高みへと引き上げています。


カタコンベ内部の不気味な暗闇の奥で揺らめく松明の炎と積み上げられた人骨、崩れかけた大聖堂の巨大なステンドグラスから差し込む荘厳な光。どの画面を切り取っても一枚絵として完成されています。


絢爛豪華な調度品が飾られた城内では、額縁の中に入り込むことでジャンプ台として機能するギミックなどもあり、世界観への没入感が途切れることがありません。こうしたギミックがウィップアクションと組み合わさることで、視覚的にも楽しい探索へと昇華しているのです。


サウンド面においても、「Bloody Tears」を始めとする楽曲が重厚なオーケストラや疾走感あふれるモダンロックサウンドへと現代的にアレンジされています。
誰もいない静寂が支配する地下墓地や廊下を歩く際の寂寥感あふれるパイプオルガンやチェンバロの調べから、ボス部屋の扉をくぐった瞬間にアツい戦闘BGMへの移行は、精神的な緊張感と昂揚感を極限まで引き上げてくれます。静と動のコントラストが極めて明確であり、ダークファンタジーの世界観を構築するための重要なピースとして機能しています。
エンディングまで駆け抜けた後に残ったのは、長年続くCastlevania(悪魔城ドラキュラ)という金字塔的なIPに対する開発陣の惜しみない愛と敬意をベースに作り上げた、純粋な2Dアクションゲームとしての完成度に対する深い感銘でした。
父トレバーから受け継いだ鞭と母サイファから受け継いだタロット、そして腕の呪いに象徴される血脈の過酷なドラマ。女性主人公ローズという新たな存在を通して描かれる物語は、過去作の偉大な歴史を確かに踏襲しつつも新鮮な風を吹き込んでいます。

思考をフル回転させて挑む奥深いダンジョンの謎解き、キャラクター性が色濃く反映された手強いボスたち、アルカナシステムなどによるビルド構築、作品を構成する要素が噛み合って新たな歴史を紡ぐ作品です。
渡し守による船着き場間のファストトラベルが用意されていますが、収集要素のコンプリートを目指すのであれば相応の時間を要するでしょう。ただ、全て集めきれなかったとしても作品全体のクオリティが損なわれるほどではありません。

『Castlevania: Belmont's Curse』は、往年のファンとして悪魔城の血脈を追い続けてきたプレイヤーにとっても、近年の優れたメトロイドヴァニア作品からこのジャンルに触れたプレイヤーにとっても、充分に楽しめるかつ新鮮な驚きと発見があることでしょう。闇と炎に包まれたパリから、幾重もの罠と暗雲が渦巻くドラキュラ城へと足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

Game*Spark レビュー 『Castlevania: Belmont's Curse』 PC/PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ 2026年10月15日
40年の血脈を継承しつつ洗練されたアクションは新規の入口としても秀逸だが、癖の強いスキルとコンプリート時のマップ移動には一考の余地あり
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GOOD
- 直感的で手触りの良いウィップアクション
- 1499年パリを舞台に描かれる、ローズの血脈と葛藤を込めた重厚なドラマ
- 過去作の強敵たちが仲間として旅路を彩る熱いストーリー演出
- 「魔導器」と「救済の道」による自由度の高いビルドカスタマイズ
BAD
- アルカナスキル単体における動作の重さと間合いの扱いづらさ
- 広大なマップのコンプリートを目指す際に生じる長距離移動の手間
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