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編集部による『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』ミニレビューひとまとめ

ナチス・ドイツが第二次世界大戦で勝利したというifの世界でゲームが展開されていく。ナチスの圧倒的な科学力による支配。残忍な人体実験。敗戦から復活する兵士。序盤の抑圧からの開放がカタルシスとなっていく。

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編集部による『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』ミニレビューひとまとめ
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一線級のエンターテイメントを体験
by 土本学 インサイド編集長

おどろおどろしい赤と黒のメインビジュアルが暗く重い物語を予感させる本作。『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』ではナチス・ドイツが第二次世界大戦で勝利したというifの世界でゲームが展開されていく。ナチスの圧倒的な科学力による支配。残忍な人体実験。敗戦から復活する兵士。序盤の抑圧からの開放がカタルシスとなっていく。

美麗なグラフィックは物語だけでなくFPSとしての本作も引き立ててくれる。戦いは陰鬱とした精神病院だけではなく、銃をぶっ放す爽快感のある青空の元でも繰り広げられる。が、抵抗者たる主人公の武装は潤沢ではなく、敵がドロップする弾薬やアイテムを確保しながら苦しい戦いを耐えしのいでいかなくてはならない。「Very Easy」から「Very Hard」まで自分の腕で難易度を選択できるが、タフな戦いが楽しめる。

いまやゲームは総合力の時代となった。ゲームプレイ、物語、演出、グラフィック、音楽、どれ1つ欠けることもAAAタイトルにとっては致命的だ。しかし本作は、強烈に物語に引き込むオープニングから始まり、次々と用意される新しいシチュエーションと戦いの場、ナチスの強烈な兵器、そしてタフな敵たち、ドキドキしながら体験していく一線級のエンターテイメントとして魅力的な作品となっているのは間違いないだろう。


ど真ん中の次世代機向けオールドスクールFPS
by 谷理央 Game*Spark編集長

「ウルフェンシュタイン」と聞くと、トンデモ兵器でナチスと戦うB級アクション映画のような作品を連想してしまうかもしれない。私もその一人だったが、最新作『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』をプレイして、そのお粗末な先入観は消し飛んだ。本作はマルチプレイ要素を廃し、物語性や世界観、そして何より純粋なシングルプレイヤーFPSとして作りこまれたタイトルだと感じられた。

第二次世界大戦から始まるストーリーは、オープニング直後から意表を突かれる展開。ゲーム序盤から、危機に瀕した二人の戦友のうち一人の命しか助けられないという、残酷な選択肢が主人公を待ち受ける。自分の選んだ仲間が目の前で惨殺される、ショッキングな瞬間。この重大な選択によって、その後のストーリー進行が二つに分岐していく点も深みを与えている。

最も印象的だったのは、ゲーム全体に漂う「重厚感」。細部の小物まで緻密に描き込まれたステージ中の雰囲気はもちろん、レトロフューチャーな武器の数々、敵ロボットやナチス兵の衣装に至るまで、一貫性のあるデザイン。そればかりか、ゲームプレイフィールや登場キャラクターの強烈な演技にも、ある種の「重み」がある。流血シーンですら格調高い。

本作は、『The Chronicles of Riddick』や『The Darkness』で知られるStarbreezeの元主要メンバーで構成されるというスウェーデンのMachineGamesが開発。数々のトリプルAタイトルを送り出すベセスダと、id tech 5エンジンを提供するid Softwareのエッセンスも加わった、ど真ん中の次世代機向けオールドスクールFPSに仕上がっている。


FPS好きからみる、シューターとしての面白さ
by milkydrift FPSゲーマー

筆者は『Quake』シリーズや『Doom』シリーズをはじめとしたFPSの熱狂的な信者だ。『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』はステルスプレイもできるよう設計されているが、今回はあくまでアクション・シューターとしての面白さを評価したい。始めに断っておくが、本作をステルス無しで進めるのは難しい。なぜなら敵の司令官が存在する戦場では、見つかると増援を呼ばれてしまうからだ。さらに基本構造は昔ながらの作りで、体力や弾薬は限られているため、自身がおかれている立場を理解したうえで戦略を練る必要がある。往年のFPSプレイヤーには嬉しい仕様だと言えよう。

もうひとつは、敵AIの行動パターンが難易度を上昇させる要因となっている。基本的に敵AIは障害物に隠れ、できるだけ体をプレイヤーに晒さないよう撃ってくる。こちらも隠れていると、いつの間にかAI部隊が展開して囲まていたり、グレネードを投げてきたりと非常に厄介。隠れる場所を変えながら戦うなど、工夫が必要となる。

とはいえ、ステルスをメインに戦っていけばFPSが得意ではなくてもテンポ良く進める事ができる。侵入ルートも正面だけではなく、隠し通路や地下水路などの裏ルートも多々存在するので探索してみると楽しい。「敵に見つからずに高台にのぼり、ライフルで敵を殲滅する」といった小さな戦略的ストーリーをプレイヤーが組み立てられる自由度が、忘れかけていたFPSのワクワク感を思い出させてくれた。


スタイルに応じて解除されるPerk
世界を映すコレクタブル

by 河合律子 Game*Spark編集担当

シングルプレイに特化しつつも、複数の攻略ルートや戦略からプレイヤーに豊富な選択肢の自由を与えているのが本作の魅力。シューターらしく銃弾をばら撒きながら正面突破することもできれば、敵の背後を取って急所をナイフで一突きする「テイクダウン」で隠密プレイを楽しむことも可能になっている。そんなゲーム攻略の多様性をより引き立たせているのが、スタイルに応じてキャラクターを強化できる4種類のPerkカテゴリーである。「ステルス」「タクティカル」「アサルト」「デモリション」に分かれており、チャレンジの条件を達成することによって新たなPerkが解除されていく。

ナイフや消音装置を多用する「ステルス」には、スプリント時の足音軽減やしゃがみ移動速度を向上させるPerkのほか、ナイフ投げを可能にするもの、果ては「テイクダウン」時に敵のライフを奪うものが用意されている。「タクティカル」は銃器の装弾数やリロード速度の向上といった戦闘スキルの強化が、「アサルト」は2丁拳銃や2丁小銃に対応した同様のPerkが含まれる。そして「デモリション」には爆発物の所持数や攻撃範囲の強化、自身に対するダメージ軽減といった、ボマーに欠かせないスキルが揃っている。自分に合ったスタイルに専念することで特定の能力を極めていく楽しみがあるだろう。

その他、潤沢に散りばめられた収集アイテムからは世界観を構成する細かな設定が垣間見える。コンプリートを目指して探索する中で、情報の断片から本作の舞台裏を知り尽くすのもまた一興。さらに、懐古の情あふれるおまけ要素が収録されており、過去作からのユーザーに向けたファンサービスも忘れていない。
《Game*Spark》
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