『The Tomorrow Children』のディラン・カスバート氏にインタビュー「いつも最先端の技術に関わるのが好き」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『The Tomorrow Children』のディラン・カスバート氏にインタビュー「いつも最先端の技術に関わるのが好き」

Q-GamesのPS4向けソーシャルアクションゲーム『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』。先週ラスベガスで開催されていたPlayStation Experience会場で、Q-Gamesの代表者ディラン・カスバート氏にインタビューを行い、本作の開発背景や魅力を語ってもらいました。

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『The Tomorrow Children』のディラン・カスバート氏にインタビュー「いつも最先端の技術に関わるのが好き」
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ドイツのgamescomに合わせて発表された、Q-Games(キュー・ゲームス)のPS4向けソーシャルアクションゲーム『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』。11月にはクローズドアルファテストが実施され、一部のユーザーの手に触れているものの、他に類を見ない独特のビジュアルやゲーム性には、まだ多くの謎が残されています。

Game*Sparkとインサイドでは、先週ラスベガスで開催されていたPlayStation Experience会場で、Q-Gamesの代表者Dylan Cuthbert氏(ディラン・カスバート)にインタビューを行い、本作の開発背景や魅力を語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――本日はよろしくお願いします。まず最初に聞いておきたいのですが、『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』のアイデア・コンセプトはどのように生まれたのですか?

Dylan Cuthbert: 私は1972年生まれなのですが、子供の頃は冷戦のイメージや風景がまだ残っていて、当時の映画やドラマにも時代を扱った面白いものがたくさんありました。今回、PS4でシェアリング(共有)が注目されるようなゲームがあったほうがいいという話があり、共有といえばコミュニズムやマルクシズムとも通ずる部分があるので、幼少時代に感じた、冷戦のクールで謎めいた印象と合わせて、ゲームを作り始めました。

それと、もともと私が好きだったチェコアニメーションのニュアンスも少し加えています。『The Tomorrow Children』の開発にあたっては、アーティストをチェコ共和国に出張させ、木材の人形作りなどで練習を重ねて、ゲーム中の独特のスタイルが生まれたのです。他にも、『2001年宇宙の旅』に代表されるキューブリック映画の要素も混ざっています。


――Q-GamesがこれまでPlayStationでリリースしてきたPixelJunkシリーズは、ミニマルなゲームビジュアルを採用していました。それらに比べると『The Tomorrow Children』はゲーム画面が3Dになって、随分と雰囲気が異なります。

Dylan Cuthbert: PixelJunkの頃から3Dのゲームを作る考えはありました。もともとは私も『スターフォックス』や『X(エックス)』などの3Dゲーム開発で業界に入っています。

――初期の3D作品ですね。

Dylan Cuthbert: はい、いつもその時代の最先端技術に関わっている感じが好きなんです。PS3初期のあひるちゃんのデモも私が作ったのですが、『The Tomorrow Children』のスタイルと通ずる部分もあります。ピクサー映画のようなビジュアルを作りたいと思っていて実現できたので、開発もどんどん楽しくなっています。


――11月にアルファテストを実施しましたが、ユーザーからの反響、フィードバックはいかがでしょうか。

Dylan Cuthbert: すごく良いです。これほど話題性があるのは初めてですね。やはりアルファテストでユーザーみんながストリーミングできたのが、広がった一番の理由だと思います。中にはブログの記事を書いてくれたり、面白いスクリーンショットをとってくれたり、毎日色々アップしてもらいました。最近はスマホで簡単にTwitchなども見れますからね。

ユーザーからの意見や指摘もたくさんありました。それに応えるのがアルファテストを行う理由のひとつです。例えばアルファ版では勝利条件と失敗条件が設定されていたのですが、「ずっと町に住んでいたい」という声が最も多くありました。開発チームも同じ考えだったので、調整の方向で考えています。アルファだけに不丁寧な部分もいろいろあって、はじめて死んでしまった時に原因を分かりやすくするなど、たくさんのユーザーの意見と開発チームの考えを混ぜて、優先順位を決めて、実装していくつもりです。

――日本のユーザーさんもたくさん参加していましたか?

Dylan Cuthbert: そうですね。日本のユーザーさんからは今回たくさん意見もいただきました。愛情を感じました。ネガティブな声もほとんどなかったのが印象的です。他のゲームと比べて、今まで見たことのないビジュアルやライティングだと感じてもらえたみたいです。


――本作のライティング、独特の質感はどのような処理が施されているのでしょうか。

Dylan Cuthbert: ライティングについては、Voxel Cone Tracing(ボクセル・コーン・トレーシング)という技術を用いています。ライティング自体の処理がリアルタイムで動いているので、例えば穴を掘る光と影がしっかりと表示されます。シャドウも例えば壁やオブジェクトに近付いた時、うっすらと絶妙に表示されて、リアルさ、存在感を生み出しています。光の反射も3回まで発生するので、ずいぶん印象が変わってきます。細かい部分ですが、こうした絶妙な表現があることで全体の統一感が出ますね。

もうひとつは、シネマティックなカラーグレーディングです。画面全体的に特殊なアルゴリズムを使って、雰囲気・色合いを与えています。これは単に全体を赤くするようなフィルターではなく、一眼レフの写真で使うような、もっと深いレベルで設定が可能です。最近の映画でもよく利用されています。

――オンライン要素についても教えてください。

Dylan Cuthbert: 『The Tomorrow Children』はオンライン専用タイトルです。ただ、常に他のプレイヤーがいると、自分もやらないといけない、というプレッシャーになってしまうので、通常のマルチプレイヤーゲームは好きではありません。本作では何か行動を起こした時しか他のプレイヤーが画面に現れません。足跡だけが見えていて、穴を掘ったり、物を置いたりした瞬間だけに、姿を見ることができます。

――そうした非同期マルチプレイのアイデアはどこから?

Dylan Cuthbert: いろいろあるのですが、私は『Dark Souls』の大ファンですので、『Demon's Souls』もそうですが同作の非同期の他のプレイヤーの見せ方には驚きました。1人で遊んでいるのに、他のプレイヤーの存在が感じられる。その発想をもっと延長して、自分の世界にももうちょっと関わるようにしたら面白いのではと考えました。


――アルファテストを実施して、想定外だったこと、驚いたことはありましたか?

Dylan Cuthbert: 日本のユーザーさんはみんな良い子だね(笑)。本作ではビルを壊したり、がんばれば他のプレイヤーを倒したり悪いこともできるのですが、みんな力を合わせて仲良くしていました。日本人らしいと言えるかもしれません。あと、女性のプレイヤーも多くて、毎日遊んだという声をいただけたのがうれしかったです。

――『チェブラーシカ』のようにキャラクターに人気が出るかもしれませんね。

Dylan Cuthbert: そうそう、そういうノリですね。警察の顔などもチェコアニメのスタイルです。ソ連のプロパガンダ風アートもあったり、深みとにぎやかさのあるデザインです。

――現在の開発進行度は。

Dylan Cuthbert: 基本的なところは大分出来上がっています。ビジュアルもしっかりしていますし、あとはアルファテストの結果やバランス調整を施して、いつリリースできるか判断すると思います。それほど遠くではないでしょう。

それと、本作では駅を使って他のプレイヤーの町に移動できるようになります。ひとつの町に50~100人くらいのプレイヤーが入って、全体のプレイヤー数に応じて増えていきます。ある町がピンチになったら助けに行って、手伝ったぶんのボーナスがもらえます。町だけだったアルファテストと違って、広い国で遊んでいるような感覚だと思います。

――わかりました。本日はありがとうございました。
《Rio Tani》
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