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NIGORO楢村氏らが語る開発環境によって敷居が下がるゲーム制作

秋葉原で開催している東京インディーフェス2015。1日目のビジネスデイには「プロとインディーのあいだ:どんどん無くなる境界線」と題されたワークショップが開かれました。ここではそのリポートをお届けします。

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秋葉原で開催している東京インディーフェス2015。1日目のビジネスデイには「プロとインディーのあいだ:どんどん無くなる境界線」と題されたワークショップが開かれました。ここではそのリポートをお届けします。

本ワークショップはミドルウェアベンダーの株式会社ウェブテクノロジ・コムと株式会社CRI・ミドルウェアの共催。ご存知の通り、昨今、多くのゲームエンジンやミドルウェアがインディー向けのパッケージを公開しています。無料で使用できるものも多く、ツールという意味では現在、プロとアマチュアの差は徐々になくなりつつあります。



司会は株式会社ウェブテクノロジ・コムの浅井維新氏。登壇者は『LA-MULANA』で有名なNIGOROの楢村匠氏、先日、PS4でリリースされた『CroixleurΣ』を開発する同人サークルsouvenir circ.の凛氏、株式会社CRI・ミドルウェアで自身もインディーゲーム『Back in 1995』の開発を行う一條貴彰氏の3名です。

■インディーゲーム開発のきっかけは?



まずは3名の登壇者にインディーゲーム開発のきっかけが聞かれました。楢村氏はもともとは趣味からゲーム開発が始まりました。小学生の頃かノートに作りたいゲームの企画を描き、デザイナー時代もゲームが作りたくてしょうがなかったそうです。ダウンロード販売が登場した時代から、ゲーム開発で生計が立てられるのではないかと思い、インディー開発者の世界に足を踏み入れました。

souvenir circ.の凛氏は2006年に同人サークルを結成。「こういうゲームあったらいいよね」と共感して集まったメンバーで制作しています。またプログラマとしての勉強を兼ねて、ゲーム制作することが多いそうです。

ミドルウェアベンダーに務める一條氏も基本的には作りたい気持ちその一心で開発を始めました。プログラマやアーティストとしてのスキルはありませんが、Unityなどのエンジンを利用することで何とか一人でもゲームを開発できています。

いずれにしても、ゲームが作りたいという気持ちがインディー開発者にとっての一番のきっかけのようです。制作環境が充実してきた現在、それを実現できている人が増えているといった印象です。

■どうやってゲームを作ってきたのか?



次にどういう制作方法でゲームを作ってきたのかが問われました。ツールに加えて、制作チームの作りかたなど具体的なことが議論されました。

楢村氏のNIGOROは現在3名で開発を行っています。この3名はネット上で知り合った仲間であり、実際に合う機会は非常に少ないそうです。オフィスもなく、会議はいつもSkype。ドロップボックスといったツールでファイルを共有しているそうです。ツールは基本的には自作のものが大半でした。そのため毎回、制作ゲームに合わせて作りなおす必要がありましたが、最近ではその労力をカットするためUnityを導入しています。

souvenir circ.も自作ツールでの制作がほとんどとのこと。またチームもNIGOROと同じく、ゲームを制作しながら仲間を増やしていきましたが、ネットの知り合いよりもオフラインのつながりが中心だと凛氏は説明します。

一條氏は基本的に一人で制作しています。今はコワーキングスペースなどを利用して黙々と開発中。ツールはほとんどがUnityですが、自身が営業しているサウンドツールCRI ADX2 LEも利用しています。

■制作ツールの利用法



昨今の制作環境の変化についても議論が移りました。先述のとおり、NIGOROでは自作ツールからUnityの移行が行われているそうですが、これは他のプラットフォームへの移植なども考慮した結果であるそうです。凛氏もUnityを触ることもあるそうですが、でも『CroixleurΣ』は自作エンジンで開発しました。その理由はUnityでは日本のゲームらしい挙動を作るのが大変だからということのようです。これには楢村氏も同意し、Unityの物理演算では昔ながら2Dゲームの動きは作りにくいと述べています。

またミドルウェアの個人向けのライセンスにも触れられました。現在では個人向けの無料版が多くリリースされているため、会社で使っているツールを個人で使っている人も増えています。会社では数千万円単位のライセンスが必要なものも、無料で扱えるため、個人開発者にとってはかなりのメリットです。

こういったミドルウェア無償化の動きはまずはUnityが先鞭をつけました。その影響で企業向けのミドルウェアを販売していた株式会社CRI・ミドルウェアからはCRI ADX2 LE、株式会社ウェブテクノロジ・コムからはSprite Studioの個人向けライセンスも登場しました。

凛氏はCRI ADX2 LEを使用していますが、かなり満足しているそうです。特に同人サークルだとサウンドに精通している人が少ないため、非常に助かっているそうです。また一條氏はインディーでもサウンド制作の需要は多くなっているため、CRI ADX2 LEの出番も増えていると語っています。

楢村氏は2DアニメツールのSprite Studioを利用しています。もともとAfter EffectsやFlashといったタイムラインを操るアニメツールを使っていたため、すぐに移行できたそうです。他方、Unityには満足のいく、アニメ制作ツールがないため、現在はそれらの併用で開発しています。

■これからのインディー開発



最後に会場へのアドバイスとしてこれからのインディーゲーム開発について議論されました。凛氏は臨機応変にツールを使い分けることが重要だと指摘しています。これまでの個人開発では自作ツールを作るのにほとんどの時間が取られていましたが、これからはツールを利用したうえで、どう作りこむかが重要になります。

NIGOROではUnreal EngineかUnityかという選択があったそうですが、低スペックのマシンでも動くことを重視してUnityを選択したそうです。ツールを選択することは使いやすさだけではなく、プラットフォームやユーザー層も規定するため、慎重に行う必要がありそうです。

一條氏はほぼ全面的にUnityを採用しています。結果としてUnityが使えないとゲームが作れないわけですが、ひとつのゲームで培ったノウハウがその後も生きるため、ツールによるゲーム開発能力の向上はおおきいようです。

ビジネスデイには他にも多くのワークショップが開催されました。残念ながら出展者の方々は自身のブースから離れられないため、ワークショップ参加人数は少なめでした。今後、こうした形のワークショップが開催されるならば、一般向け、それもこれからインディーゲームを開発したいという人に向けた形が望ましいと感じました。
《Shin Imai》
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