エイリアンを食べたよ!? リドリー・スコット監督の映画『エイリアン』に登場する宇宙生物そっくりな「ワラスボ」という魚が、九州有明海にいる。日本ではここだけに生息し、地元を中心に消費されているが、これの干物が東京で入手可能となった。
世の中に珍味やグロテスクな形をした食材は多いが、実在の(?)キャラクターに似て、しかも美味というのだから、ぜひ試食せねばなるまい。
有明海に臨む佐賀県佐賀市の資料によると、ワラスボはハゼ科の魚で、ウナギのような細長い体型をしており全長は25~45cm。灰紫色の体と歯がむき出しになっている顔が「エイリアン」に似ている。新鮮なものは生や焼き物で食べるが、一般には干潟の泥臭さが残るため、内臓を取って干物にすることが多いという。
PS4/Xbox One『ALIEN: ISOLATION - エイリアン アイソレーション -』の日本版を発売するセガゲームスコンシューマ・オンラインカンパニーは、「エイリアン」つながりで佐賀市とコラボし、SEGA×SAGAプレゼンツ「ワラスボ」×『エイリアン アイソレーション』キャンペーンを5日より開始した。これにより「干しワラスボ」が、東京都内の佐賀市物産販売協力店に登場したわけだ。
干しワラスボは透明のプラスチックの袋に入って売られており、グロテスクな姿が外からも見える。干物になっても歯を剥き出している。予備知識無しで店頭でこれを見て、買おうとは思わないだろう。30cmクラスが7匹入って税込み1517円。珍味やグルメという言葉から連想されるほど高価ではない。
開ける。その姿から何か特別な匂いでもするかと思ったが、ごく一般的な干した魚の匂いだった。煮干しの匂いをうんと薄めたような匂いで、アジなど日頃おなじみの干物の方が匂いは強い。全体の形はゴルフクラブのようで、ほぼまっすぐの胴体の一端に曲がって頭がくっついている。木の枯れ枝のようで、軽い。
まずは焼いて食べてみた。どのぐらい焼けばいいか見当がつかないので、トースターに放り込んで様子を見た。2分半ぐらいで身が曲がってきたので取り出す。火傷しないように口にする。ん!? ポリポリポリ……。固いがもろいのだ。皮も身も骨も全部食べられてしまう。火を通しすぎたかと思ったが、後で焼かずに食べてもこうだった。
味はいわゆるオサカナの味。淡白な白身魚を連想させる。匂いといい味といい、見かけによらず上品だ。むき出しの歯も、人間の歯には何の抵抗も無く粉砕されてしまう。噛めば噛むほど味が出るというような身ではないので、一味マヨネーズや辛子マヨネーズで、味を引き立てると同時に口中滞在時間を延ばすのがいいだろう。日本酒やビールのつまみに良い。
干しワラスボは美味い。美味いが正直物足りなかったので、一手間加えてみた。油で揚げるのはどうか。火が通りやすいのはわかっていたので、低温の油に入れ、皮に気泡が生じた所で引き上げる。軽く塩胡椒をふったら、これは美味い。ポリポリ“スナック感”が増した。次に酒、味醂、醤油で煮てみた。水分を吸うと干物の臭さが立ち上ってくる。短時間の調理では味も染みないし身も柔らかくならず、課題となった。
最後は「すぼ酒」を作った。熱燗の湯飲みに干しワラスボの頭を入れる。……3匹分。酒は「肥前蔵心」(ひぜんくらごごろ)特別純米酒、地元の辛口を合わせた。干しワラスボは水分を吸うと臭くなるが、肥前蔵心のどちらかというと強い香りが、うまい具合に打ち消してくれたようだ。味の方は、ワラスボの上品な味と酒の旨味とが相乗効果を得ている。熱燗の季節ではないが美味しくいただけた。湯飲みの中をみた家内は「ぎゃっ」と叫んでいたけど……。
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