気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Oxymoron Games開発、PC/Linux向けに3月18日にリリースされたチェコ産SFターン制ストラテジー『Heroes of Science and Fiction』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、銀河同盟の発祥地でありながら外宇宙から切り離されてしまった「サイレン星系」を舞台にしたSFターン制ストラテジー。マップ上での探索・都市建設・資源確保とグリッドによるターン制戦術バトルが組み合わさっており、SF設定ならではの要素を加えたデザインとなっています。プレイ可能な勢力は5種で、それぞれ専用の拠点・7種類の強化可能なユニット・固有のスキルと複数のコマンダーが用意されています。記事執筆時点では日本語未対応。
『Heroes of Science and Fiction』は、3,850円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Jiříこんにちは。Jiří Urbanecです。チェコ・プラハにあるOxymoron Gamesというスタジオで働いています。私はパートタイムのナラティブデザイナー、パートタイムのアニメーター、レベルデザイナー、VFXアーティスト、そしてSteamフォーラムのサポート担当を兼務しています。つまり何が言いたいかというと、私たちのような小規模なインディー開発チームにとって、特定の職種や開発業務に専念できるという「贅沢」は、とても手が出せないものだということです。とは言え結局のところ、インディーとして自分たちですべて行うことで得られる「表現の自由」を考えれば、それは安い代償にすぎません。
質問の後半についてですが、私の青春時代において一番の衝撃は『Heroes of Might & Magic III』でした。そして、私の中での歴代ナンバーワンは『ディスコ エリジウム』です。このゲームは、およそ美しさなどなさそうな「意外な場所」にこそ、美しさを見出すことを教えてくれました。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Jiříまず何よりも、ファンタジーではなくSFを舞台に選んだのは正解だったと思っています。私のストーリーテリングのルーツは、テーブルトークRPG(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のチェコ版コピー作品)にあります。剣と魔法の王道プレイを数年も続ければ、自然と新しい実験をしたくなるものです。ですから、私がナラティブ担当としてチームに加わったときには、すでに自分の中の「ファンタジー熱」は過去のものになっていました。何か少し違うものを探求したかった、あるいは少なくとも、私たちのゲームに主流とは一味違うひねりを加えたかったのです。
それに加えて、私たちは最初から、自分に酔いしれるような壮大な作品を作ろうとはしていませんでした。それよりも、もっと軽やかなトーンを選び、そこに一つ二つのジョークをちりばめるような自由を私は与えられていたのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Jiříもちろん、最も分かりやすいインスピレーションの源は『Heroes of Might & Magic III』です。しかし膨大なテキストを使用せず、より実験的な勢力の全体的なテーマを確立する方法を模索していたとき、私は「寓話」の要素をいくつか借りることとしました。
また、ストーリー担当として影響を受けた本やゲーム、その他のメディアも当然あります。数え上げればきりがないですが、『ウォーハンマー40,000』、フランク・ハーバートの小説「デューン」、アンドレアス・エシュバッハの小説「毛髪絨毯編み(Die Haarteppichknüpfer)」、そして地元で有名なチェコの作家ヴィルマ・カドレチコヴァによる「Mycelium」シリーズなどは挙げておくべきでしょう。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Jiříはい、いくつか覚えているものがあります。本作の開発は2020年に始まり、6年を費やしました。あのコロナ禍による外出禁止令の年に始まったのです。プラハはゴーストタウンと化し、レストランや食堂がすべて閉まっていたため、私たちはスタジオのオフィスで自炊し、交代で食事を作って一緒に食べていました。逆説的ではありますが、本格的な開発ラッシュに飛び込む前の、穏やかで、ある意味ではよりフレンドリーな時間でしたね。
また、全4章の各キャンペーンのリリース直前に、自分に課した「セルフ・クランチ」も決して忘れません。その上、開発の初期と中期には子供も生まれ、さらに軍に入隊するという私の決断が状況をより複雑にしました。今振り返れば、そのどれも後悔していませんが、当時の自分が、今の私のこの「後悔なんてない」という気取った姿勢を見たら、一体どんな言葉を浴びせてくるかは見当もつきません。
…それと、開発チームでの交流イベント中、同僚の一人の股間をペイントボールガンで「うっかり」撃ってしまったこともありました。マスクのバイザー越しに彼の目が飛び出しそうになっていたのは一生の思い出です。人生最高の日でしたね!
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Jiříこのインタビューに答えている現在、Steamのレビュー数は700件に近づいていますが、私はそのすべてに目を通してきました。私にとって、レビューというのは創作活動のエネルギー源であり、人生においての励みでもあります。
プレイヤーに愛される何かを作り上げることに自分が貢献できたのだと実感するたび、その一日はパッと明るくなります。満面の笑みを浮かべながらレビューを読みふけっている自分に気づくことも、一度や二度ではありません。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Jiří最近のフィードバックの多くは、細かな快適性の向上やパフォーマンス、その他の技術的なものに集中しています。幸運なことに、そうした課題はそれらを担当している同僚たちの肩に掛かっているので、私自身にはそれほど重くのしかかってはいません。おかげで、私はまだ公表していない新しいコンテンツの開発に集中できています。新しい勢力やマップ、そしてストーリーについても少しだけ進めていると言えるでしょう。
とはいえ、私の担当範囲でもやるべきブラッシュアップは常にあります。例えば、キャンペーン用にもっとテーマに沿った楽曲を追加したいですし、いくつかのユニットのアニメーションも再調整の余地があります。それから、古くなっている視覚効果もいくつか作り直したいと考えています。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Jiříもし決定権が私にあったなら、日本語をはじめとするもっと多くの言語が、今ごろすでにゲームに実装されていたでしょう…そして、うちのスタジオは2年前に破産していたことでしょうね!なので、私が担当じゃなくて本当に良かったです。
冗談はさておき、もし有志の方、あるいは有志のグループが翻訳に協力してくれるというのであれば、それは本当に素晴らしいことです。実際、ハンガリー語、ロシア語、そしてブラジル・ポルトガル語は、有志の皆さんの協力のおかげでゲームに実装することができました。
興味がございましたら、私たちの翻訳専用Discordサーバーからご連絡いただけます。実現することを祈っています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Jiříもちろん大丈夫です。私たち開発チームのメンバー全員にとって、人々が自分たちのゲームをプレイし、それを楽しみ、さらには独自の二次創作コンテンツまで作ってくれること以上に大きな達成感や報酬はありません。
私たちのスタジオの内部チャットには専用のスレッドがあり、開発チームの誰かが記事やレビュー、あるいは私たちのゲームに関するちょっとした言及を見つけるたび、そこにリンクを貼ってメンバー全員で共有しているんですよ。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Jiří読者の皆さん、ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。いつか私たちのゲームをプレイして、お気に入りの部分を見つけてもらえることを願っています。そして、あなたが書いてくれたレビューを読みながら、私が一人でニヤニヤと笑みを浮かべる日が来るのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








