海外サイトUploadVRは、VRヘッドセット「HTC Vive」に外付けする、TPCAST社が手がけるワイヤレス化キットのレビュー映像を公開しています。
このワイヤレス化キットはHTC Viveに追加で設置することにより、同機をワイヤレスとして、現世代のVRヘッドセットの大きな弱点であるケーブルを廃することができるようになるという夢のようなもの。HTC社が開催したVR向け開発支援プログラム“Vive X Accelerator”を通して支援されている公認のプロジェクトでもあるこのキットは、2016年11月の発表から程なくして、中国向けに予約が開始されており、大きな期待を集めています。

TPCAST社の方から持ち込まれたプロトタイプを用いて行われたこのレビュー。動作PCはFalcon Northwest Tiki(GTX 1080を搭載した4 Ghz i7 PC)ということですが、GTX 1070搭載のラップトップ上でも同様の結果が得られたようです。設備的な部分では通常のViveのセットアップに加え、ビデオ信号の送信機を追加で設置する形となります。レビュー時はプレイエリアは4m×2.6mほどに減少してしまったものの、TPCASTによれば理想的な状態では5m×5mの本来のViveのルームスケールをカバーすることが可能であるとのこと。

また、ヘッドセットやコントローラーの移動データ送信用のルーターをPCへ接続する必要もあるようですが、製品版ではこのルーター部分はドングル程度の大きさとなる模様です。Vive本体には頭頂部にレシーバー、後頭部へバッテリーを設置する形となり、5時間継続するとされる大型バッテリーキットであっても、すっかり後頭部のポケット部分に収まる程度。

気になる実際の動作ですが、これはなんと側転やバク転などを含む非常に極端な動きをしたとしても問題なく追従し、有線時と比べて大きな遅延も感じないと、驚くべき結果であった模様。ただし、再現性はないものの時折、瞬間的に画像が低解像度のストリーミングビデオのようになってしまうことがある、とのことです。バッテリーの熱問題もなく、ヘッドセットもケーブルがない分逆に軽く感じるほどとレビューでは報告されています。
TPCAST社CEOのMichael Liu氏によれば、本ワイヤレスキットの4k映像対応版も既に開発が始まっているとされており、将来的な4k対応VRヘッドセットの普及へも追従していく予定のようで、今後にも期待が持てそうです。なお、TPCAST製ワイヤレスキットは2017年に、米国向けにも販売開始予定となっています。