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「愉快なサプライズ」を追求し続ける『ハースストーン』新拡張「天下一ヴドゥ祭」開発者インタビュー【BlizzCon2018】

「BlizzCon 2018」で発表された『ハースストーン』の新拡張「天下一ヴドゥ祭」開発者インタビューをお届けします。

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「愉快なサプライズ」を追求し続ける『ハースストーン』新拡張「天下一ヴドゥ祭」開発者インタビュー【BlizzCon2018】
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Cat Morgan氏(左)Ben Thompson氏(右)

今年で配信4周年を迎えた、Blizzard Entertainmentのデジタルカードゲーム『ハースストーン』。シンプルなルールや派手でランダム性を持ったエフェクトが独特で、カジュアルなプレイヤーからe-Sportsのファンまで幅広い層に人気です。その人気を維持するには、新鮮な拡張版が必要ですが、11月2日から3日にわたって行われた「BlizzCon 2018」では、「天下一ヴドゥ祭」が発表されました。本拡張は、12月4日に配信予定ですが、編集部ではそれに先駆け、開発チームへのインタビューを実施。テーマやデザインのインスピレーション、新しいシステム、カードの種類、この1年の振り返りなどについて語ってもらいました。



――まずは自己紹介をお願いします。

Ben Thompson氏(以下Thompson氏):『ハースストーン』のクリエイティブディレクター、Ben Thompsonです。

Cat Morgan氏(以下Morgan氏):『ハースストーン』のソフトウェアエンジニア、Cat Morganです。

――新拡張「天下一ヴドゥ祭」のテーマや開発目的についてご説明いただけますか?

Thompson氏:「天下一ヴドゥ祭」はトロル族をテーマにした拡張です。最初のアドベンチャーが企画されるずっと前から、チーム内ではトロルの拡張を作りたいと思っていましたし、いつか絶対にやるとわかっていました。とても『World of Warcraft』、『Warcraft』や『Warcraft II』らしいですからね。ただシステム、モチーフ、デザイン的に、これまではまだその時ではない、と感じていました。それでも毎回、「トロルのなにか」というアイデアをホワイトボードには書いていたのです。そんな中、去年の『WoW』拡張版「Battle for Azeroth」で紹介された新しいトロルや、デザイナーが思いついた「血祭」というメカニックを考えたうえで、アイデアが固まってきたのです。そして、「グラディエーターの戦いをテーマにするなら、トロルが最適じゃないか。ストラングルソーンフォレストの中にあの使われていないアリーナもある。それを利用して、彼らを入れよう」と思いついたのです。それから精霊とロアというコンセプトが出てきて、獣のロアがまさにグラディエーターらしいなと思いましたし、競技場で戦士と戦うトラがぴったりだと。


Morgan氏:『World of Warcraft』プレイヤーなら知っているキャラクターも、私たちが本拡張のために作ったキャラクターもたくさん出てきます。それが「天下一ヴドゥ祭」です。ラスタカン王が取り仕切る戦いになります。

――大会がテーマの拡張というと、これが2番目になりますね。

Thompson氏:そうですね!前回よりルールがかなり少ないですが。

――グラディエーターの大会を表現するため、どんなゲームシステムを追加していますか?

Morgan氏:「血祭」というキーワードはまさにそうです。例えば私たちが発表会で披露した新しいウォリアーの武器「スルスラズ」。これは6マナで4/4、そして「血祭:再度攻撃ができる」というものなんです。ミニオンに残りのHPより多いダメージを与えてフィールドを暴れるか、一度トレードしてまた別の機会で「血祭」を利用するか、という面白い選択が可能なので、そういった派手な瞬間がたくさん生まれてくるでしょう。見るのが楽しみです。


Thompson氏:ほかのキャラクターのなかでは、「戦士」たちが重要ですね。各チームのリーダーは全員トロルで、精霊もロアもいます。拡張版の配信後、最初にログインすると、1枚のランダムなロアと精霊を2枚もらえるほど、このセットにとって重要です。プレイヤーはすぐにロアと精霊を使って様々な試みをすることができるので、どんなコンボの可能性があるか試してもらえます。

Morgan氏:精霊は緊張と期待を持ち合わせています。最初のターンはステルス状態なので、次はどう出るかわからないじゃないですか。それで、どう裏をかくか考え始めます。

――各クラスに「精霊」「ロア」「戦士」のカードがあるので、クエストが導入された時のように、新アーキタイプがそれぞれ出てきます。クラスのデザインはどう考えていますか?どんなスタイルを狙っているのでしょうか?これまでに強くなかったスタイルを強化する狙いもあるのでしょうか?

Morgan氏:デザインチームは、クラスのアイデンティティに注力しています。各クラスにはユニークなスタイルがあり、例えば、ローグは敵単体に強いですが複数相手だと苦手とかもありますよね。ロアも精霊と一緒のデッキに入れたらシナジーが発揮されますし、戦士も同様です。色んなアーキタイプが作れると思います。

Thompson氏:さきほども言ったように、(ログインすることで)ロアとそのロアの精霊を一緒にもらえますが、別に一緒に使わなくても大丈夫です。一方がある場合、もう片方がどうしても必要だ、という考え方は望んでいません。プレイヤーとして、デッキをどう作るか、どうプレイするかは自由です。ロアを最初に出して、後から精霊をプレイするか。それとも2枚の精霊をプレイしてからロアを召喚するか、プレイの仕方は大きく異なります。クエストと違って、正しいやり方は一つじゃないのです。

Morgan氏:「コウモリのロア・ハイリーク」と「コウモリの精霊」の場合は、精霊を使ってハイリークを大きくしてから召喚して陣地を満員にできますが、その逆も可能です。ハイリークのコピーを使って精霊のエフェクトを発生させて、ほかの手札のカードを強化することもできます。


――アーキタイプのことですが、今年は「妖の森ウィッチウッド」の偶数と奇数、その前の拡張版でクエストと、今までとは異なる様々なタイプのものが生まれてきました。この一年を振り返ったとき、これらの実験は功を奏したと思いますか?また、なにか驚いたことはありましたか?

Thompson氏:その実験こそが『ハースストーン』のプレイの楽しさだけではなく、開発の楽しさでもあります。開発者として、今回楽しみたいコンセプトは何だろう?ドクターブームの超電磁と実験?偶数と奇数?血祭、精霊とロア?と考えると、それらのコンセプトで拡張版のストーリーと雰囲気が生まれるのもありますが、おっしゃる通り新しいアーキタイプにもつながります。一番起きてはならないと思っているのは、「当たり前」という言葉がデッキ作りに出てくることです。このカードが必要、そしてこのデッキを作る必要があるんだ、と。多様性は十分ありますし、メタの変貌も早いのでそんな発言は出てきて欲しくないんです。次に楽しませてくれる新しいコンビネーション、新しいデッキは何だろう?と思って欲しいのです。

Morgan氏:スタンダードだけではなく、ワイルドにも溶け込めるようなデザインも大事だと思います。マナ・ワームの弱体化などもあるので、どのカードが使われすぎているのか、強すぎるのかを見ています。

――これでまた『ハースストーン』の1年が過ぎました。今年のセットには、以前できなかったはずのエフェクトなどがありましたね。エンジニアさんがいらっしゃるので、裏ではどんな技術的な改善が行われていたか気になります!プラットフォーム自体は1、2年前に比べてどう変わりましたか?

Morgan氏:セーブデータをはじめ、色々なテクノロジーを追加しました。ダンジョン攻略的なモードにおける、進みながらデッキを作っていくものとかですね。これがあれば、中断して後で進めることができるでしょう?1人でしっかり楽しめる、そんな技術をチームが頑張って可能にしました。

Thompson氏:それ以外にも、始めたばかりの新人プレイヤーを迎える要素もよくできたと思います。パックから、同じレジェンダリーが出ないようになっています。新拡張版の最初の10パックからレジェンダリーが必ず出てくること……それはエンジニアリングのおかげです。一番大きかったのはおそらく、25のランキングレベルかもしれません。新プレイヤーがランク50に入り、同じ新人同士で学び、見たことのないカードに出会うことなくコツをつかんで、ランクを5つ上げるとパックがもらえる……これらすべてにおいて、エンジニアリングの負担が大きかったと思いますし、可能にできたのは、Catたちのおかげです。


――開発している中で、入れるのは技術的に極めて難しい―例えばコードをたくさん書き換えないと入れられない、そういったキーワードやシステムはありましたか?

Morgan氏:それは私の仕事ではないのですが、エンジニアとして私たちはいつもデザイナーに「力」を与えようとしています。「はい、できます」といつでも答えたいですし、「魔法」を実現させたいんです。とはいえ、それに数年かかる場合もあります。

Thompson氏:その例の一つとして、「えー、本当に?」と最初に言わせたのは、「先遣隊長エリーズ」をパックに入れたときです。エンジニアたちも、「それってどういうこと?」と当初は言ってましたが、一丸となって「これならいけるかも」と答えてくれました。ほとんどの場合は「できる」と言ってくれますよ。

――キーワードに少し触れましたが、次にどのようなキーワードを加えるかを決めるまでに、どんなプロセスがありますか?CCGによく出てくる「ライフスティール」や「毒」などがありますが、『ハースストーン』特有のものもあります。

Thompson氏:「血祭」はそのいい例です。開発の初期段階で「血祭」は、「過剰ダメージを敵ヒーローに与えられる」というものでした。しかし、それはあまりにも直球すぎるようにも感じていたんです。

Morgan氏:『ハースストーン』はプレイヤーが判断するゲームです。初期段階のもう一つのバージョンは、過剰ダメージが左か、右か、ランダムなミニオンに与えられるというものでした。しかしそれより、「血祭」をもったカードに、そのカードに適したユニークなエフェクトを与えたほうが面白い判断がたくさん生まれるだろうと思いました。こういった「っぽさ」が『ハースストーン』の楽しさだと思います。

――『Magic: The Gathering Arena』のオープンベータや、Valveの『Artifact』、そしてリリース済みの『シャドウバース』といった様々なカードゲームが『ハースストーン』の成功をもとに作られています。『ハースストーン』のチームは逆に、彼らから何か学んだこと、例えばUIやゲームプレイ、デザインなどで『ハースストーン』にも入れてみたいものはありますか?

Thompson氏:たくさんのカードゲームが出ているというのは、私たちの考えが正しかったことを証明しています。『ハースストーン』を開発し始めた数年前、「カードゲームは開拓できていないので、作るのもプレイするのも楽しいゲームを作るタイミングが整っている」と感じていました。『ハースストーン』を作っていくことで、ほかのカードゲームにも道を切り開いたように思います。(カードゲームが)たくさんあるほうが良いでしょう。たくさんの人がカードゲームをプレイし、私たちの考えを理解し、『ハースストーン』を楽しく始める人が多ければ多いほど私たちの5年間の努力が報われます。そういった人たちを見るのは最高です。

Morgan氏:まず根本的に、私たちはカードゲームがとにかく大好きですし、ほかのカードゲームを見るのも素晴らしいと思います。チーム内では、ボードゲームやカードゲームをよくプレイしていますが、『ハースストーン』は今でも特別です。私たちは、「らしさ」を掴んだので、それを追求し続けるつもりです。

――少し話題を変えますが、シングルプレイヤーのコンテンツはボスと戦ってカードがもらえるアドベンチャーとして始まりました。それが、カードがもらえないがプレイの仕方が一味違うダンジョン攻略とパズルに代わりました。発表できないとは思いますが、今後のシングルプレイヤーではどんなコンセプトを検討していますか?

Thompson氏:シングルプレイヤーのコンテンツは、酒場の喧嘩みたいな、新しいプレイの仕方を実験する場として見ています。ダンジョン攻略をその一つとして導入してみて、予想よりも楽しかったので、それが「ウィッチウッド」の「怪物狩り」に進化しました。「ダンジョン攻略」とよく似ていますが、9人のヒーローの代わりに4人のモンスターハンターがいます。ドクターブームのパズルも同様、アドベンチャーの進み方に似ているものの、プレイの仕方が新鮮です。今回の「喧嘩祭」はダンジョン攻略や怪物狩りと同じようなシステムですが、いろんなところでこれまでと異なり、楽しいですよ。


――他人との新しいプレイの仕方も気になります。例えば、『Magic: The Gathering Arena』は、いつもの対人戦以外にも「ドラフト」や「シールド」があります。『ハースストーン』では、競技用のアリーナモードのようなものが欲しいというファンもいます。対人戦の新しいプレイの仕方というのに可能性はあるでしょうか?

Morgan氏:それは常に意識していますね。そういった考えで「炉端の集い」が生まれてきました。他人と一緒に、同じ場所でプレイしてから出会う的な、そういうのが狙いだったのです。しかし『ハースストーン』の社交性は改善していくところがいっぱいあると思います。

Thompson氏:私も賛成です。好きな喫茶店や友達の家での「炉端の集い」は、軽くプレイするにも大会にも最適だと思います。

――この拡張版を、ファンにどう受け取ってほしいと思っていますか?

Thompson氏:私としては、私たちの実験はまだまだ続いているということですね。新しいカードだけじゃなくて、新しいシステム、ストーリー、ビジュアル、ゲームの全面を通して『ハースストーン』の原点となっている「愉快なサプライズ」というコンセプトと、楽しくて幻想的なこのアゼロスの世界観を追求しつづけていきたいと思います。

Morgan氏:そうですね。私は多少の混沌が大好きです。だからプレイヤーの皆さんが素晴らしいデッキを作って、最高の、一番派手なプレイができるように挑戦してほしいです。いったい何が出てくるのか、この目で見るのを楽しみにしています。

――「愉快なサプライズ」ですが、『スタークラフト』などをテーマにした拡張の可能性は?

Thompson氏:開発の初期段階で、ゲームの形をたくさん話し合いました。たしかに、ブリザードには作るのが楽しそうなシリーズがたくさんそろっています。しかし「Warcraft」の世界観が一番広いと感じたのでこれに決めました。壮大な部分もあれば、気楽なところもあります。かわいいところも衝撃的なところも。それでトグワグルみたいなキャラクターがラグナロスと同じ世界で存在しています。この世界にはまだまだ可能性が残っていて、アイデアが尽きることはおそらくないと思います。

Morgan氏:それに『ハースストーン』の「酒場」の持つ暖かさは、『World of Warcraft』のファンタジーにぴったりだと思います。

――ありがとうございました。

取材協力:Blizzard Entertainment
《Cameron Gilbert》
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