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中華ゲーム見聞録:中国発の音ゲー『MUSYNX』音楽を奏でる楽しさを追求した「本当のキーサウンド」搭載!

「中華ゲーム見聞録」第15回目は、「曲の演奏」という点に力を入れた中国発のインディーズ音楽ゲーム『MUSYNX』のプレイレポートをお届けします。開発者インタビューもあります。

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「中華ゲーム見聞録」第15回目は、「曲の演奏」という点に力を入れた中国発のインディー音楽ゲーム『MUSYNX』のプレイレポートをお届けします。

本作はI-Infernoが開発を行い、Zodiac Interactiveによって12月5日にSteamで配信されました。開発者の張秋馳氏によれば、もともとは2人だけで開発していたゲームだそうです。2014年にPlayStation Mobileで配信を始めて以来、iOSやAndroid、海外PS4、PS Vita、ニンテンドースイッチとさまざまなハードで配信されてきました。そのたびに開発チームのメンバーが増え、現在では9人に。ちなみに『MUSYNX』の中国語名は『同歩音律miao賽克(「miao」は苗に口へん)』と言います。今回も、記事の最後で開発者インタビューを掲載しておりますので、本作が気になった方はあわせてご覧ください。

『MUSYNX』のトレイラー

『MUSYNX』は、曲に合わせてキーを押す一般的な音楽ゲームです。中国では現在でもゲームセンターで音楽ゲームが流行っています。以前筆者が住んでいた鄭州にあるゲームセンターでも、音楽ゲームとレースゲームはやたらと数が揃っていました。

本作のこだわりとしては、キーを押したときの音がただのパーカッションではなく、ちゃんと曲に合わせて演奏がされるという点。キーサウンドはすべて楽曲内で使用される楽器や音声などから取ってきたものです。つまり「リズムに合わせるゲーム」ではなく、「音楽を演奏するゲーム」ということ。さっそくプレイしていきましょう。しかしこれまで「中華ゲーム見聞論」で取り上げたゲームの中でもっともアクション性が高い作品なので、ちょっと緊張します。

曲の多さに圧倒!



スタートしてまず驚くのが、曲の多さ。筆者はゲーム本体に加え、DLCの「Forever Friends」もインストールしています。本体だけでも48曲を収録。さらにDLCで85曲もあり、今後も新曲が無料で追加されるとのことです。DLCはシーズンパスみたいなものですね。

曲には『DJMAX』などの作品で知られるM2U氏、Paul Bazooka氏、Lunatic Sounds氏、MEMME氏など、名だたるメンバーがそろっています。また中国語VOCALOIDやインディーゲームの曲、クラシック、京劇っぽい歌、16bit調サウンドなど、ジャンルもかなりの幅広さ。日本語の曲もありますね。


最初なので無理せずレベル1の楽曲からいきます。選択するとカスタマイズ画面が登場。「Sound Enhancer」は補助機能で、「AUTO」「STRONG」「WEAK」「OFF」の4つから選べます。「AUTO」だとキーを押さなくても音楽が演奏される自動モード。「STRONG」「WEAK」はちょっとずれても補正をかけてサウンドを鳴らしてくれます。「OFF」は補正無しです。

奥行きのあるデフォルトモード

上から落ちてくるクラシックモード

ゲーム画面もデフォルト(奥行きのある立体画面)とクラシック(平面で上からキーブロックが落ちてくるもの)の2種類が選べます。ゲームスピードなど細かい設定もできますので、自分の好みに合わせてカスタマイズしましょう。今回はとりあえずすべてデフォルト(「Sound Enhancer」は「OFF」)でいってみます。

演奏する楽しさ


キーを押さない場合と押した場合の比較

ゲームは4鍵モードと6鍵モードがあり、自由に切り替えられます。4鍵はキーボードの「DFJK」に、6鍵は「SDFJKL」に対応しています。直感的に押せる配置です。試しにキーを押さない場合と押した場合でどのように音が変わるかを動画に撮ってみました。見ていただければわかると思いますが、キーを押すことによって歌が挿入され、実際に演奏しているかのようなプレイ感覚を味わうことができます。


プレイ結果ですが、初プレイでまさかのS判定!……まあレベル1ですし、判定はかなり甘めでした。しかしリズムゲームが苦手な人でも取っつきやすいレベルなので、万人におススメできるゲームと言えます。次はちょっと調子に乗って難しめでやってみましょう。

6鍵モードの速い楽曲

……うん、無理。少なくともしばらく練習しないとできる気がしません。おとなしく4鍵のゆるめの曲に戻ったほうがよさそうです。ちなみに筆者の音楽ゲーム歴ですが、『beatmania 2nd MIX』で「Ska a go go」を頑張ってクリアーしたことがあります。今でもあの曲が頭にこびりついて離れません。あれも演奏する面白さがありましたね。

中国風の曲ではテーマが変化

16bit調の曲ではドット絵のテーマ

曲によってテーマも変わります。中国風の曲などは表示もすべて漢字に。他にも16bit調サウンドの場合はドット絵調のテーマ、かっこいい曲にはかっこいいテーマ、可愛い曲には可愛いテーマと、曲の雰囲気に合わせたテーマが用意されています。これも張秋馳氏が開発時にこだわった点とのことです。

開発者へのインタビュー


初心者からでも遊びやすいキー配置や難易度が用意されている一方で、音楽ゲーマーを満足させられる難易度もあり、幅広い層から支持を得ることのできるゲームです。また曲のジャンルもかなり広く、種類の多いテーマによってそれらが違和感なくプレイできるという点も本作の特徴と言えます。そして「演奏をする気持ちよさ」があること。「音楽ゲーム」なのですから、演奏ができるというのは重要なファクターかと思います。以下は開発者の張秋馳氏へのインタビューです。



――まずは自己紹介をお願いします。

張秋馳氏:張秋馳と申します。北京で活動しています。『MUSYNX』の開発チームは当初2人だけでしたが、いろいろな機種で開発するにつれてメンバーが増え、現在では9人になりました。会社名は「同歩音律信息科技(Musync Information Technology)」と言います(「I-Inferno」は英語での個人名とのこと)。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょう?

張秋馳氏:始めた理由ですか……。会社勤めをして他人のために働きたくなかったから、でしょうか。それと当然ですが、音楽ゲームが好きだったことですね。ちょうど二次元原創音楽(アニメ系オリジナル音楽。VOCALOID曲も含む)を作っていた友人が何人かいたので、音楽リソースもあることですし、それで始めました。

――本作の特徴を教えてください。

張秋馳氏:もっとも力を入れたのは画面表現です。いかに多様なテーマを作るか、そしてどんなジャンルの音楽であっても違和感を生じさせないようにするかという点に注力しました。それと画面エフェクトを一定に保持した状態で、どのような機種でも高いフレームレートで動くようにしたことです。

それから音楽ゲームで重要な「キーサウンド」。現在の音楽ゲームのほとんどが、キーを押したときのサウンドは固定されたパーカッション音になっています。しかし『MUSYNX』では、プレイヤーがプレイする曲の楽器や音声などからキーサウンドを作り出しています。そのため、拍に合わせてパーカッションを打つような簡単なものではなく、音楽演奏を本当にシミュレートして楽しむことができます。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

張秋馳氏:2つの作品から大きな影響を受けました。ひとつは韓国の『DJMAX』、もうひとつは日本の『太鼓の達人』です。『DJMAX』から受けた影響は、音楽ゲームのプレイ感覚やキーサウンドから来る演奏の楽しさ。高品質な演奏体験とはまさにこのようなものだという点です。

『太鼓の達人』から受けた影響は、どうすればユーザーフレンドリーで親和性のあるゲームを作ることができるのか、老若男女問わずいかに多くのプレイヤーに楽しんでもらえるかという点です。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

張秋馳氏:音楽ゲームの文化の源は、実のところ日本からだと思います。本作の開発過程において、たくさんの日本の作曲家、イラストレーターが参加してくださり、我々も成長し進歩することができました。日本の芸術家たちに大変感謝いたします。また『MUSYNX』を楽しんでくださっている日本のユーザーたちにも心よりお礼申し上げます。今後我々は『MUSYNX』を完全なものにする努力を怠らず、継続して無限の新しいコンテンツを追加し、さらに多くのゲーマーたちに好きになってもらえるよう尽力するつもりです。

――ありがとうございました。



張秋馳氏が語ってくれたように、「音楽を演奏する気持ちよさ」がこのゲームにはあります。京劇っぽい曲を演奏する体験などは、筆者にとってこのゲームが初めてでした。今後もアップデートを重ね、新しい楽曲を追加していくとのこと。さらなる『MUSYNX』の進化に注目していきたいと思います。

製品情報


    『MUSYNX』


    開発・販売:I-Inferno、Zodiac Interactive
    対象OS:Windows
    通常価格:410円
    サポート言語:日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語
    Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/952040/MUSYNX/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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