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中華ゲーム見聞録:春秋戦国時代が舞台の爽快コンボACT『Bladed Fury』歴史と神話の融合した中華ファンタジー世界

「中華ゲーム見聞録」第16回目は、古代中国の春秋戦国時代を舞台にした横スクロール格闘アクションゲーム『Bladed Fury(幽林怪談)』のプレイレポートをお届けします。

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「中華ゲーム見聞録」第16回目は、古代中国の春秋戦国時代を舞台にした横スクロール格闘アクションゲーム『Bladed Fury(幽林怪談)』のプレイレポートをお届けします。

本作はNEXT Studios(「NEXT Studio」とされることもありますが、公式サイトやSteamの表記で統一します)によって、12月18日にSteamで配信されました。NEXT Studiosは中国の大企業であるテンセント(騰訊)内に作られたインディー会社で、上海と深センにスタジオを構えています。

総経理(社長)の沈黎氏はEpic Gamesやユービーアイソフトでゲームエンジンの研究をしていたことがあり、『スプリンターセル:パンドラトゥモロー』『スプリンターセル:二重スパイ』の技術責任者を務めた経験もあります。また深センスタジオの責任者である呉郁君氏は、テンセントで『アラド戦記』や『リーグ・オブ・レジェンド』、『フォートナイト』などの中国展開や国内ゲームの海外展開を担当していました。

NEXT Studios誕生のきっかけとなったのは2016年末のこと。沈黎氏がテンセントで『モンスターハンターオンライン』のチームを引き継いだとき、仕事上でさまざまなボトルネックに出会い、これを改善するために新たなチームを作る必要性を感じました。内部での何カ月かの討論の末、2017年3月にNEXT Studiosが誕生します。ちなみに「NEXT」は「New Experience and Technology」の略だそうです。

NEXT Studiosが最初に着手したのはゲーム事業の運営改善。開発したいゲームがあれば、ジャンルやプラットフォームを問わずにチームを作り、デモを提出させてそれを審査します。審査基準は、多少の欠点はあっても何かしら群を抜いた部分があること。審査を通ったあとはプロジェクト段階に入り、定期的に再審査を行います。方向性が正しいと判断すればそこに多くの資金を投入。複数のインキュベーションチームを抱えることができて資金力もある、といったところは大企業をバックにした強みと言えるでしょう。また、開発するゲームジャンルやプラットフォームも問われないため、商業系とインディー系のいいとこ取りといった運営方式になっています。
(※参考資料:中国スマホゲームサイト「TapTap」2018 年10月16日記事、中国ゲームサイト「游民星空」2018年9月21日記事


NEXT Studiosは2017年11月6日にSteamで『Death Coming(死神来了)』を配信し、これが10万本を超えるヒット作となります。Steamの売り上げランキング上位にもしばらくバナーが並んでいました。日本語もサポートしているので遊んだ方もいるとは思いますが、極めてジャンルの説明しにくいゲームで(「パズルストラテジー」と言ったところでしょうか)、いかにもインディーデベロッパー的な独創性のある作品です。このようなゲームが出てくるあたり、自由に開発している様子が伺えます。さらに今年12月7日にはアクションパズルゲーム『Iris.Fall』(日本語に対応)でその技術力と芸術性を見せてくれました。

『Bladed Fury』のトレイラー

本作『Bladed Fury』ですが、ジャンルは横スクロールの2D格闘アクションゲームです。春秋戦国時代を舞台に、中国の古代神話のテイストも融合させ、さらにはなぜか近代兵器まで出てくるというエンターテインメント作品。しかしこうしてNEXT Studiosの3作品を見てみると、同じデベロッパーが開発したとは思えない統一感のなさです。これも先程述べた運営方式による、自由な開発の結果なのでしょう。『Bladed Fury』はSteamでのユーザー評価も良く、また売り上げランキングの上位にも並んでいた作品なので期待が高まります。さっそくプレイしていきましょう。

主人公は斉国のお姫様


オープニングの会話~操作できるようになるまで

難易度選択で「普通」を選んだのち、ゲームが始まりました。時代は中国の戦国初期。「春秋戦国」という歴史区分ですが、鎬京(長安)を都とする周王朝が洛陽に遷都してから秦の始皇帝による中国統一までの期間を指します。どこまでが春秋でどこからが戦国かについてはいろいろと意見が分かれていて、一括りで「春秋戦国時代」と呼んでしまうことが多いです。

また周王朝の洛陽遷都前を「西周」、遷都後を「東周」と言うことから、中国では春秋戦国時代と言わずに「東周時代」と言うこともあります。ちなみに「春秋」という名前ですが、孔子が編纂したとされる魯国の歴史書「春秋」から来ています。「春秋」で扱われている時代という意味で「春秋時代」と呼ばれるようになりました。

周王朝は、『封神演義』を読んだことのある方ならなじみ深いかと思います。太公望を軍師とした周の武王が、悪逆非道で知られる商(殷)の紂王を滅ぼして天下に覇を唱えたのがその興りです。この功績により、太公望は封土として斉の地を授けられました。これが本作の舞台でもある斉国の始まりです。太公望は姓を姜、字を子牙と言い、中国では「姜子牙(きょうしが)」とも呼ばれます。

太公望の子孫である姜姓の者たちは代々斉国を治め、16代目の桓公のころには、三国志でもよく名の出てくる管仲の補佐によって春秋時代の大国となります。しかしその後は衰退していき、戦国時代初期、康公の代になると、力のあった貴族・田氏によって国を乗っ取られてしまいます。以降、斉は田氏によって支配されたため、それ以前を「姜斉」、以降を「田斉」と区別します。

本作はこの政権交代の時期を舞台としており、康公の娘である主人公・季姜(ききょう)と、その姉である叔姜(しゅくきょう)の会話から始まります。中国では長男(長女)から伯・仲・叔・季と付けるので、姉はおそらく三女、主人公は末子でしょう。康公は病でもう長くなく、叔姜は田氏の頭領である田和に嫁がされるようです。


季姜を操作できるようになったので、父に会いに行きます。基本操作は、XboxコントローラだとAボタンでジャンプ、Xボタンで攻撃、RBでダッシュ、RTでアイテムを使って回復。アクションは後々増えていきます。途中、田氏の息のかかった兵士たちが襲ってきますが、Xボタン連打のコンボアクションで撃破。父に会うと、どうやら具合が悪いようです。

いきなりボス戦~父殺しの罪を着せられる季姜

突然父が消え、巨大な敵が現れました。ゲーム開始早々の、いきなりのボス戦です。しかも序盤の敵とは思えない多彩な攻撃。戦闘後には、剣に刺された父の姿がありました。先程戦ったのは、まさか父?しかもこれを家臣に見られてしまい、季姜は父殺しの濡れ衣を着せられてしまいます。田和が斉国簒奪のために謀ったことではないかと思いつつ、その場から撤退します。

宮殿からの逃亡



姉のもとに戻る途中、「蝉翼」というシールドを手に入れました。LBを押しっぱなしにするとシールドを構え、敵の攻撃を防ぐことができます。また敵の攻撃を受ける直前にシールドを出せば、格闘ゲームでいうところのジャストガード(本作では「完璧」と呼ばれる)となり、ピカッと白く光ってその衝撃で周囲の敵にダメージを与えます。またアーマー持ちの敵相手にはこの衝撃でアーマーを剥がせるため、できるだけ完璧で敵の攻撃を受けつつ戦うのが本作の戦闘スタイルです。


姉のもとに戻ると、早く逃げるよう言われます。季姜は姉に「一緒に逃げよう」と言いますが、姉は追手を食い止めるため、田和に嫁ぐとのことを決心。今後のため、季姜には生き延びてもらいたいとの思いです。季姜は手薄な屋根から逃げますが、背後から黒い塊が追ってきました。田和が放った悪霊です。


何とか宮殿を抜け出し、城外の林の中にたどり着いた季姜。そこには后ゲイ(ゲイの字は画像参照)がいました。中国神話に登場する弓の名手で、9つの太陽を射落としたという伝説があります。季姜は姉を助ける方法をたずねますが、おまえはまだ弱すぎるので鍛えたほうがいいと言われ、赤霄(せきしょう)という大剣を授かります。振りは遅いが威力のある大攻撃(Yボタン)が可能になりました。

伍子胥との戦い



斉での情報収集に明け暮れる季姜。自分の無実を証明してくれそうな将軍がいると知り、兵士たちの野営地へと突入していきます。ここから盾持ちの敵が現れ、こちらの攻撃を防御してくるので非常に厄介です。


陣営を抜け、墓場のようなところにたどり着くと、そこには伍子胥(ごししょ)がいました。春秋時代、兵法で有名な孫子(孫武)とともに呉に仕えていた人物です。魂がまだ現世に残っているようで、宮殿での顛末を見ていた模様。季姜は自分の無実を証明してもらおうとしましたが、田和に操られているのか聞き届けてもらえません。ここで戦闘になります。

伍子胥との戦い(2戦目)

伍子胥を倒すと、「白骨山まで来い」と言われます。言われたとおりにそこへ行くと、2戦目が始まりました。結構強いですが、どうにか撃破。動画ではシールドを使って防御するときに、白くピカッと光ることがありますが、これがジャストガード「完璧」です。衝撃波によって敵の体力が減っているのがわかります。


屍に囚われていた伍子胥の魂が解放され、季姜がそれを取りこみます。ここからLT+Xで英魂召喚を使うことができるようになりました。他にも英魂がいるようです。季姜は果たして自分の無実を証明し、姉を助けることができるのか。この先は自分の目で確かめてみてください。

格闘ゲームのセンスも要求されるアクションゲーム


本作は人気アクションゲーム『ICEY』のように画面を飛び回ってコンボを繰り返すアクションゲームかと思いましたが、プレイ感覚としては違うものがありました。敵からのダメージが案外に大きいので、丁寧な対応をしないとあっさりと死にます。とくにジャストガードができないと、アーマー持ち相手は厳しいかと。ボタン連打だけではクリアは難しく、それだけに骨があります。

伍子胥を召喚

ゲームでは中国史や中国神話の有名な人物が多く登場するので、中国史好きな人も楽しめるかと思います。また季姜もさまざまなスキルを身に着けていき、どんどんアクションが派手になっていくため、コンボを考えるのも楽しいかもしれません。骨のあるアクションゲームを求めている方には、本作はうってつけかと思います。

製品情報


    『Bladed Fury(幽林怪談)』


    開発・販売:NEXT Studios
    対象OS:Windows
    通常価格:1,010円
    サポート言語:日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語
    Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/927250/Bladed_Fury/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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