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カオスでサイケなRPG『YIIK: A Postmodern RPG』プレイレポート!JRPGに影響を受けつつも独特で魅力的な世界観

『MOTHER』など日本のRPGや村上春樹の作品に影響を受けつつも、独特でカオスな世界観を構築したRPG『YIIK: A Postmodern RPG』のプレイレポートをお届けします。

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カオスでサイケなRPG『YIIK: A Postmodern RPG』プレイレポート!JRPGに影響を受けつつも独特で魅力的な世界観
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『MOTHER』など日本のRPGや村上春樹の作品に影響を受けつつも、独特でカオスな世界観を構築したRPG『YIIK: A Postmodern RPG』(以下『YIIK』)のプレイレポートをお届けします。

本作はAckk Studiosが開発し、Ysbryd Gamesによって1月17日にSteamで配信されました。Ackk Studiosは、Andrew Allanson氏とBrian Allanson氏によって設立されたインディーゲームデベロッパーで、2013年にゲームボーイのようなビジュアルのゼルダ風アクションRPG『Two Brothers』をSteamで配信していました(現在は配信停止)。JRPGをリスペクトしたゲームは本作で2作目となります。また楽曲には『Undertale』のToby Fox氏や、『聖剣伝説2』の菊田裕樹氏、『リトルビッグプラネット2』のBaiyon氏、シンガーソングライターの丸山ミカ氏らがゲスト参加しています。

パブリッシャーのYsbryd Gamesですが、昔の日本のPCゲームを思わせるベネズエラ産アドベンチャーゲーム『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』や、タクティカルRPG『Masquerada: Songs and Shadows』など、色彩豊かなビジュアルや独自の世界観を持ったゲームを扱うパブリッシャーとして知られています。今回もその例に漏れず、『YIIK』はサイケデリックなビジュアルと独特過ぎる雰囲気のあるRPG。1月31日にはPS4とニンテンドースイッチで日本語版が配信される予定で、それに伴いSteam版にも日本語が追加される予定だとか。今回はそれに先んじて英語版でのプレイレポートとなります。ちなみにタイトルの『YIIK』はY2K、2000年のことです。

『YIIK』ローンチトレイラー

本作の内容ですが、時は1999年。主人公アレックスは、知り合った女性が謎の人物たちに連れ去られる事件に遭遇し、仲間たちとともにその行方を追います。やがて世界の命運を賭けた戦いへと巻きこまれていく、といったJRPGっぽいストーリーです。1999年と言えば、日本ではノストラダムスの大予言で盛り上がっていた時期ですね。

舞台はファンタジー世界ではなく、『MOTHER』のような一般の町。90年代のオタク文化を中心としたサブカルチャー的世界観が展開されていきます。ぱっと見た感じ、街並みや雰囲気などは『MOTHER』っぽいです。戦闘はターン制ですが、リアルタイムの操作を求められるところがあるので気を抜けません。さっそくプレイしていきましょう。

タイトル画面からカオス


タイトル~オープニング

動画を観ていただくとわかる通り、タイトル画面からしてすでにサイケでカオスな雰囲気を漂わせています。ゲームをスタートさせると、ユーザーインターフェースの色やプレイヤー本人の名前、あなたが知っているクールな女性やオタク男性の名前など、いろいろ入力させられます。名前が思いつかない場合はランダムネームを使うことも可能。項目が多いので、人によってはここでかなり時間を取られそうです。


ゲーム開始時、主人公の住む町「Frankton」の風景が流れます。独特なデザインの町で、色使いなど「サウスパーク」を思い出しました。頃は1999年4月4日、大学を卒業した主人公アレックスが、Franktonのバス停に降り立ったところから始まります。セーブは公衆電話などで行うことが可能。また次に何をすればいいのかわからなくなったときは、メニュー画面のヒントを見れば教えてくれます。現在の目的は自宅に戻ることです。


自宅へ行く前に、しばらく町の中を散策してみました。ゴミ箱など調べられるところは多く、宝箱も隠されています。このあたりのプレイ感覚は『MOTHER』っぽいですね。また家のドアを調べれば、中にいる住人と話をすることができます。基本的に変な人の多い町です。

自宅に謎の電話が……


自宅到着~謎の電話

海外ドラマ「フルハウス」に出てきそうな自宅のリビングに到着。ブラウン管テレビの上にあるのはVHSのカセットテープです。またアレックスの自室には初代PSやスーパーファミコン、ゲームボーイが置かれているなど、90年代を感じさせます。こういう作りこみはノスタルジックな雰囲気が出ていて良いですね。

家には誰もいないようで、テーブルには買い物をするよう母親からの手紙が残されていました。不満に思いながらも家を出ようするアレックス。そこへ謎の電話がかかってきます。「レコードの針は下りた。今世界が聞くこの音楽はすべての実在の本質を変えるだろう」と何だか哲学っぽいことを言われます。「そんな音楽聞こえないけど」と困惑するアレックス。いったい何なのでしょうか。


自宅を出て、町の外へ向かいます。途中、森があるのですが、ここでアレックスの独白が入ります。こういう長い語りが所々で出てくるあたりが村上春樹リスペクトなのかなと。ちなみにこの後、そばにいたサルバドール・ダリのようなヒゲの猫に買い物リストを取られてしまいます。猫は森の奥へと逃げていきました。


猫を追って森の中に入ると全体マップに。昔のファミコンゲームっぽい感じの構図ですね。猫はマップ奥の廃墟のようなところへ入っていったようです。とりあえず道なりに進みます。

バトル開始!


敵とのバトル

全体マップでしばらく歩いていると、ランダムエンカウント方式で敵に遭遇。戦闘ですが、コマンド入力後にレコードが回り、針がレコードの黄色い部分に来たときにボタンを押すことで1コンボとなります。赤い部分は1コンボ+レコードもう1周(1周目のみ)。レコードには黄色い部分が2カ所と赤い部分が1カ所なので、目押しをすべて成功すれば6コンボになります。1コンボもできないと空振り扱いになりますので、しっかりレコードの回転を見てボタンを押しましょう。

敵の攻撃のときも、動画にあるようにバーの茶色い部分でタイミングよくボタンを押すことで防御力アップの「Defense+」、赤い部分では回避となります。赤い部分はかなり細く目押しが難しいため、安全策として茶色と赤の境目あたりを狙うのがいいかと。何にせよ、攻守とも気の抜けないバトルになっています。


廃墟にたどり着いたアレックス。地域マップでの敵との遭遇は、シンボルエンカウント方式になります。奥のほうにいる女性に話を聞いたところ、猫は廃墟にあるビルの中へ入っていったとのこと。さっそく追いかけましょう。


ビルの入り口が開いていなかったので窓から侵入。画像左側にあるウォータークーラーではHPやPP(スキル使用時に使うポイント)の回復ができます。ビルの中には何カ所かあるので、危なくなったら戻って回復しましょう。何度でも利用可能です。

謎解き要素も



ビル内を探索していると、とある部屋で盾を持ったパンダが登場。昔からの友達のようで、「落ち着けって。僕だよ。パンダだよ」「パンダ?なんでおまえがここにいるんだ?」「君を助けに来たんだよ」と当たり前のように会話を始めていて何だかシュールです。


先程の部屋でパンダを仲間に加えたアレックス。彼(?)は戦闘ユニットではなく、マップ上に呼び出すことのできる配置オブジェクトです。用途としては、重石の必要なスイッチの上に置いたり、ちょっとした隙間を越えるときの橋にして頭上を渡ったりします。また戦闘時に防御スキルとして召喚することもできます。


パンダを活用した謎解きステージ。スイッチや渡れない隙間があるので、パンダを配置して上手く乗り越えていきましょう。パンダは召喚ボタンを押すことで呼び出し、もう一度押せば呼び戻す(画面から消える)ことができます。

旅の仲間



探索を続けていくと、猫の飼い主の女性サミーと遭遇。ここに住んでいるらしく、猫を探すため共に行動することになります。ちなみに猫の名前はダリ。そのまんまでしたね。ダリと言えばシュールリアリズムなので、本作の雰囲気に合った名前と言えます。


謎解きをこなしつつ、やっとのことで猫を見つけたアレックスたち。猫もパンダのように、マップ上に召喚することが可能です。猫の能力は一直線に飛んでいき、遠くのレバーを押すというもの。これもパズル要素として使われます。


猫が見つかった後、サミーはバトルに参加してくれます。攻撃はレコードの目押しではなく、アナログスティックを下に引き、緑色になったときに放すというもの。このゲームには他にも仲間が出てきますが、それぞれ攻撃方法に特徴があります。


「サミーが加わってバトルが楽になった」と思ったのも束の間、エレベータに乗っているときに突然ドアが開きました。外に見えるのは、人間っぽくない人物たちの影。アレックスは何もできず、サミーは彼らに連れ去られてしまいます。果たしてアレックスはサミーを救うことができるのか。この先は自分の目で確かめてみてください。

先の読めない独特過ぎるRPG


トレイラーからもかなり独特な雰囲気が漂っていましたが、実際にプレイしてみると思った以上にカオスでシュールな内容のゲームでした。『MOTHER』の影響を受けているとの話でしたが、このゲーム自身がもはや独自の世界観を築き上げています。戦闘も退屈しないものになっていて、しっかり防御を成功させないとそれなりのダメージをもらうことに。それに謎解きや動物ユニットを使ったパズルもあるので、パズルゲーム好きな人も楽しめます。

『クロノトリガー』『エストポリス戦記2』『聖剣伝説2』とJRPGの素晴らしさを語り出す友人マイケル。この後『Two Brothers』の自虐ネタも

またゲーム中には様々なオタク文化やサブカルチャー的な内容もあり、レトロゲーマーがニヤリとするようなネタも。開発者が楽しんで作っている感じがあるのが良かったです(そして開発者の日本ゲームに対する愛もよく伝わってきました)。1月31日にはSteamでも日本語が追加される予定なので、レトロゲームの好きな方、斬新な世界観のRPGをプレイしたい方は、ぜひとも本作をプレイしてみてください。

製品情報


《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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