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中華ゲーム見聞録:南京を舞台にした青春ADV『茉莉之夏』実在の名勝地が登場、観光要素もアリ

「中華ゲーム見聞録」第27回目は、南京の田舎を舞台にした、実在の名勝地も登場する長編青春アドベンチャーゲーム『茉莉之夏(Jasmine Summer)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録:南京を舞台にした青春ADV『茉莉之夏』実在の名勝地が登場、観光要素もアリ
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「中華ゲーム見聞録」第27回目は、南京の田舎を舞台にした、実在の名勝地も登場する長編青春アドベンチャーゲーム『茉莉之夏(Jasmine Summer)』をお届けします。

本作はJasmineSummer Projectによって、2018年12月28日にSteamで配信されました。その名の通り、このゲームのために立ち上げられたデベロッパーです。もともとは南京の名勝地や茉莉花(ジャスミン)文化を伝えるため、茉莉花の栽培で有名な「中華茉莉谷」と行った共同企画だったようです。日本で言うところの「村おこし」みたいなものですね。

江蘇省のネットニュース「江蘇国際在線」1月16日の記事によれば、開発者は最初は本を書く予定だったそうですが、のちに「若い人たちに伝えるには、もっと違う方法がいいのではないか」と考え、ゲームを開発することになったそうです。

結果として美少女ゲームになったあたり随分思い切った感じはしますが、日本でも「萌え」を使った村おこしはありますので(と言うか日本が元祖ですが)、多くの人に知られる手段としてはいいのではないかと思います。実際、本作のストアページがSteamに登場してから、初週で170万ものアクセスがあったそうです。


本作の内容ですが、都市部から離れた南京のとある田舎が舞台になっています。3人の若者の織り成すドラマを描いた長編作品とのこと。1人は果物屋の経営者、1人は民俗学の研究者、そしてもう1人は天文学者です。いったいどのような物語が繰り広げられるのか。さっそくプレイしていきましょう。

舞台は南京?



本作は中国版「吉里吉里」で開発されているため、日本語Windowsで起動させるとエラーが出ます。解決方法ですが、システムロケールを中国語に変更してPCを再起動します。ゲームが始まると、どことなく日本っぽい風景が。しかし標識を見ると「揚州」と書いていますので、中国の江蘇省でしょう。ちなみに南京も江蘇省で、揚州とは隣り合っています。日本っぽく見えるのは、桜みたいな木が並んでいるからなのかもしれません。

主人公は大学卒業後、老人から譲り受けた田舎の果物屋を経営しています。この老人が何者かの説明がまだありませんが、すでに他界されたようです。仕事ですが、朝5時起きで仕入れをしなければならず、しかも収入は多くないといったもの。ある日、老人の知り合いが来るので、駅へ迎えに行くことになりました。


駅にたどり着きました。ゲーム中では明記されていませんが、南京の浦口火車駅(「火車」は中国語で「汽車」の意味)をモデルにしているようです。調べてみたところ、イラストそのままの景色でした(左右の木は緑色でしたが)。清朝から民国時代にかけて造られた歴史ある駅で、2004年には廃駅。現在では国の文化財になっています。


少し奥へ進んだところの風景です。これも日本っぽいのですが、実際このイラスト通りの場所がありました。日本っぽく見えるのは、電車のせいかと思います。となると、一番最初の風景も実在するのでしょう。画像では、主人公の独白で「千と千尋の神隠し」の話をしています。日本のアニメやゲームネタは結構出てくるようです。

ちなみにここで主人公の名前がわかりますが、「晴樹」と言うそうです。日本人っぽい名前ですが、中国のADVゲームではよくあること。「中華ゲーム見聞録」第14回でお届けした『端木斐 VS 小林正雪』では主人公が日本人名ですし(理由は記事の最後に掲載しているインタビューをご参照ください)、第5回目の『One-Way Ticket』に至っては登場人物全員日本人です。中国では「ADVゲーム=日本」みたいな考えが浸透していて、日本に敬意を表しているのか様式美なのかはわかりませんが、必ずと言っていいほど日本的なものが登場します。

ヒロイン登場!



駅に列車が到着し、銀髪の少女がキャリーバッグをガラガラと引きながら現れました。二人は小さいころに会ったことがあるようですが、晴樹は名前も覚えていないようです。しかしそれを言うと相手に悪いので、知っているふりをして話を合わせます。ちなみにセーラー服っぽい服装も、中国のADVゲームでは日本リスペクトとしてよく登場します。


駅から家へ戻る途中、晴樹はなぜ田舎に来たのかを少女に聞きます。少女は民俗学の研究者で、仕事でこのあたりの風俗や民話を調べに来たとか。この少女の年齢がよくわかりませんが(そもそも「少女」と呼んでいいのかわかりませんが)、「大卒でセーラー服」は前述した『One-Way Ticket』という前例があり、中国のADVゲームではとくに珍しいことではないようです。


村に到着。この辺りの家の造りは日本っぽいですね。ただ南京の石塘人家という観光地化された農村は、実際にこんな感じの家が並んでいます。入り口に提灯があるのもそのまんまです。日本っぽく見える理由は、屋根の色が原因なのではないかと(実際はもっと黒っぽい)。少女(いまだ名前不明)は晴樹の家でしばらく世話になるようです。

自宅に到着!



ここが晴樹の果物屋のようです。入り口のところに果物が並んでいるのが見えますね。これもすごく日本っぽいのですが、先ほど述べた南京の石塘人家の建物が基になっているのかもしれません。しかしこのイラストを中国人に見せて、南京だと思う人がどれだけいるのかが疑問ですが。筆者もこのゲームのSteamストアページを見たときは、日本のゲームだと思いました。

暖簾や風鈴など、和風な文化を連想させるようなパーツがちらほら加えられているのも日本っぽく見える理由ではないかと思います。暖簾も風鈴も中国にはありますが、配置の仕方が日本っぽいと言うか……。実際、南京でこういう場所があるのかもしれませんけど。あと日本アニメ調の、淡い色の塗り方をすると日本っぽく見てしまうのかもしれませんね。濃い色で塗ったら中国っぽくなりそうな気がします。


そして家の庭……ってもう日本だろ、ここ!いや、実際このまんまの場所が南京にあるかもしれませんけど。竹の窓や水道管も中国にはよくありますし、おかしくはないのですけれども。しかしなんというか、日本にしか見えないと言うか……。やはり色の問題なんでしょうか。


室内は無国籍っぽいですね。どこかで見たような石仮面やらPylonやら多脚戦車が棚に置いてあるのが気になりますが。ここでの少女との会話で、晴樹が名門大学の出であること、晴樹に果物屋をゆずった老人が少女の祖父であることがわかります。


ここで言父という人物が登場。晴樹の叔父のようで、少女の祖父とは兄弟のような仲だったとか。この村は過疎化が進んでいて若い人が少ないので、少女が来てくれたことを喜んでいます。ちなみに少女の名が「林素馨(りんそけい)」ということがここでわかりました。素馨はジャスミンの一種で、夏に白い花を咲かせます。

言父の娘は天文台で働いていて、長らく会っていないそうです。娘はやっとのことで一カ月の長期休暇が取れるようですが、ヨーロッパに行く予定とのこと。言父は晴樹に、娘を一度里帰りさせるよう頼みます。父娘の仲があまり上手くいっていないようですね。

紫金山天文台へ



そして店内兼台所。畳に床の間と、これはさすがに和風ですね(外国の方が好きそうな日本っぽさですが)。畳の上にビーチサンダルがあるのが気になります。掛け軸の「序」の文字は、ゲームがまだ序章だからなのでしょうか。とりあえずイラストレーターが日本好きなのはわかりました。


翌日、言父の娘に会うため、天文台のある南京の名勝地・紫金山へ。素馨も付いてきました。途中、琵琶湖を通ります。日本の琵琶湖と同じ名前であることも加わって、南京の有名な観光名所になっています。


紫金山天文台に到着しました。実在する中国初の近代天文台で、中国科学院に属しており、多くの小惑星を発見したことでも有名です。紫金山山頂へ向かうロープウェイの途中駅に紫金山天文台駅があり、観光名所にもなっています。

天文台では、言父の娘の言茜が登場。晴樹とは幼馴染です。「どうせ家に戻るよう父から言われたのでしょう」とこちらの意図を読まれています。やっとのことで長期休暇を取れたため、どうしてもヨーロッパに行きたい様子。すでに飛行機のチケットも予約しているそうです。「もうしばらく考えさせて」と言われ、晴樹たちはいったん家に戻ります。この後の3人の運命は、あなた自身の目で確かめてみてください。

読み応えのある長編小説


本来の目的は南京の文化を伝えるためのものでしたが、描写がしっかりしており、政治的な内容もなく、人間関係の織り成す長編青春小説としても読み応えのあるものでした。かなりボリュームがあり、ここで紹介した序盤の内容だけでも読むのに結構な時間がかかっています。とくに晴樹の独白が長いですね(それこそ村上春樹作品のように)。全部で3幕150万字ぐらいとのこと。中国の大長編小説「三国演義」が70万字ほどなので、その2倍ほどあるということでしょうか。読み終わるまで数十時間はかかりそうです。

ゲーム中の移動先選択シーン

玄武湖公園から見える高層ビル・南京紫峰大廈。450メートル89階建てで、上海環球金融中心に次ぐ中国2位の高さ。南京のランドマークになっています

和服姿の素馨。テキスト中にも「和服」と書かれています。コスプレ的なもののようです。打ち上げ花火は中国ではよく行われています

背景が日本っぽく見えてしまうのは、明らかに狙ってやっている部分もありますが、やはり色の塗り方や日本っぽいものの配置の仕方の問題かと思います。ただ南京に実在する風景であることは間違いないので、南京の観光ガイドとしても楽しめるのではないかと。現在のところは中国語のみですが、いずれ日本語もサポートされることを期待しています。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

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