ゾンビの世界で生き残るサバイバル・ルールを学べ!「ゾンビランド」【コントローラーを置く時間】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ゾンビの世界で生き残るサバイバル・ルールを学べ!「ゾンビランド」【コントローラーを置く時間】

GameSparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。今回は「ゾンビランド」です。

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(c) 2009 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC. All Rights Reserved.
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ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。

そこで本連載では、GameSparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。今回ご紹介するのは、ゾンビの蔓延する終末世界を描いたブラック・コメディ映画「ゾンビランド(原題:Zombieland)」(2009)です。

これぞ、ゾンビ・コメディの決定版!


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ジョージ・A・ロメロといえば、古今におけるゾンビ・ムービーの嚆矢となった人物。名作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)を筆頭に、「ゾンビ」(1978)、「死霊のえじき」(1985)、「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)など、生涯にわたってゾンビ映画を撮り続けた、ゾンビ映画の第一人者として知られています。のちに、エドガー・ライト監督の「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004)からザック・スナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」(2004)、ダニー・ボイル監督の「28日後…」(2002)など、影響を受けたゾンビ映画は枚挙にいとまがありません。

本作「ゾンビランド」の監督は、テレビ・コマーシャルやミュージック・ビデオ、短編映画で実績を積んだ新進気鋭の映像作家ルーベン・フライシャー。彼の劇場用長編デビュー作となった「ゾンビランド」は、ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画を彷彿する、血肉飛び散る過激アクションと、ばかばかしいコメディ要素を一緒くたに盛り込んだ、ハイブリッドなゾンビ・シーンが特色です。作中の背景としては、ある日突然、謎の新型ウイルスが流行し、全世界でパンデミックが発生。感染者は、生きた人間の肉を喰らう低劣なゾンビと化し、人類はほぼ滅亡寸前となっています。生けるしかばねで溢れかえった“ゾンビランド合衆国”を舞台に、笑激のゾンビ紀行を描き出しています。

主人公は、テキサス州ガーランドに住むさえない大学生のコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)。ひ弱で臆病、引きこもりで友達なし、週末になればビデオゲームに興じる典型的なオタク青年です。人類は壊滅し、ゾンビだらけのテーマパークと化した地上で、ひとり生き抜く術を学んだコロンバスは、両親の住むオハイオ州コロンバスへ向かう途中で、高度な射撃スキルを有するクレイジーな強面男タラハシー(ウディ・ハレルソン)と出会うのです。まるで対照的なふたりは、ゾンビの倒し方も正反対。慎重派で、警戒心の強いコロンバスですが、一方でタラハシーは、いかにも凶悪そうな鈍器を手にし、ご自慢の腕っぷしで次々にゾンビを粉砕。食料品店での暴れぶりは、まるで『デッドライジング』のよう。

本作の製作にあたっては、あらゆるゾンビ映画をリサーチしたと語る監督。おそらくビデオゲームをはじめとした種々のゾンビ・コンテンツにも親しんだことでしょう。名作ゾンビ映画の引用だけでなく、『デッドライジング』などビデオゲームのエッセンスも作中のいたる箇所から散見されます。

さて、コロンバスとタラハシーが次に出会うのは、処世術で男をダマす美人姉妹のウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)。からっきし不釣合いでコミカルなメンバーでしたが、生きるためには協力すべきと感じ、行動をともにすることに。血肉に飢えたゾンビが行き交う酸鼻のアメリカ合衆国を、ひたすら血なまぐさく蹂躙し、ゾンビとは無縁のオアシスだと噂される、ロサンゼルス郊外の遊園地“パシフィックランド”を目指して、ドタバタ珍道中を繰り広げるのです。

『Left 4 Dead』シリーズのような協力プレイ的ゾンビ映画の本作には、したたる鮮血の裏で、ウィチタとコロンバスの意外なラブストーリーも展開します。友達なし彼女なしのコロンバスにとっては人生で最高の瞬間。小心者のコロンバスが次第に成長していく姿は爽快です。さらに作中では「ゴーストバスターズ」(1984)の名優ビル・マーレイが、あろうことか本人役としてカメオ出演するなど、フライシャー監督のコメディセンスが画面いっぱいに襲いかかってきます。コメディとホラー、さらにロマンスを練り合わせた痛快なゾンビ・ロードムービー。この映画、ただのゾンビ映画じゃないんですよ……!

オスカー受賞の豪華俳優が競演!


本作「ゾンビランド」の見どころは、血みどろのゾンビ描写やくだらないギャグだけではありません。いまでこそオスカーに輝く人気俳優の競演は、本当に豪華。

胃弱な青年コロンバス役には、ディラン・キッド監督、キャンベル・スコット共演の青春コメディ映画「Roger Dodger(原題)」(2002)でスクリーンデビューを果たした若手演技派ジェシー・アイゼンバーグ。監督のフライシャーによるとコロンバス役には何人もの若手俳優を検討したそうですが、常にリストの一番上にいたのがアンゼンバーグだったそう。「Roger Dodger」での好演ぶりを見て、ひ弱なコロンバス役に適任だと感じたとそうです。

アイゼンバーグは「ゾンビランド」出演後、世界最大のSNS「Facebook」の誕生秘話を描いた「ソーシャル・ネットワーク」(2010)に主演し、アカデミー賞主演男優賞にノミネート。近年では、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)「ジャスティス・リーグ」(2017)でレックス・ルーサーを演じています。

腕力に物を言わせるタフガイ・タラハシー役には、オリバー・ストーン監督「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994)で一躍注目を浴びたウディ・ハレルソン。「ラリー・フリント」(1996)でゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた名優ハレルソンが本作「ゾンビランド」への出演を決めた理由は、タラハシーのキャラクター性と脚本にあったといいます。過去のできごとからゾンビを心底憎むタラハシー。フライシャー監督はこの脚本を読んで、最初に思い浮かべたのがハレルソンだったといいます。

脚本を読んで感銘を受けたというハレルソンも出演を快諾し、見事にタラハシーを好演。ハレルソンは「ゾンビランド」に出演した後、「スリー・ビルボード」(2017)のような社会派から、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(2018)のような娯楽大作まで、幅広い映画に顔を見せています。

世界的な大ヒット・ミュージカル「ラ・ラ・ランド」(2016)で、アカデミー賞主演女優賞に輝いたエマ・ストーンが演じたのは、妖しげな美人姉妹の姉・ウィチタ。コメディの才能と類い希なる演技力、最高の美貌を兼ね備えた彼女は、ゾンビ映画と相性抜群です。近年では「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(2017)から「女王陛下のお気に入り」(2018)といった賞レースを席巻する話題作に立て続けに出演しており、いまや世界的な大女優へと昇華しています。

ウィチタの妹にして、メンバー最年少のリトルロックを演じるのは、若手有望株のアビゲイル・ブレスリンです。M・ナイト・シャマラン監督の「サイン」(2002)で大きな注目を浴び、「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)では、アカデミー賞助演女優賞にノミネート。その後は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョディ・フォスターといった錚々たる名女優と共演しています。本作「ゾンビランド」の出演オファーが舞い込んだ際には、「これまでに出演してきたどの映画ともまったく違う作品だった」という理由から出演を許諾。監督は、ハツラツとした少女リトルロック役に、ブレスリンのイメージが明確に合致したと語ります。

本作「ゾンビランド」は、まさにフライシャー監督が思い描いた通りの豪華キャスティングが実現したのです。

ビデオゲームにも通用する? ゾンビ世界を生き抜く32のルール


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青年コロンバスが自らに課した生き残るための絶対ルール。彼がこの世界で生き延びてこれたのは、このルールに沿って行動してきたから。迫り来るゾンビと真正面から戦うことを避けて、どんな時でも警戒心を解くことなく、安易に他人を信用しない――。コロンバスをはじめ、この映画の登場キャラクターは自分の素性を隠しています。もちろん名前も偽名なのです。また、屈強なタラハシーとは違い、フィジカル面に弱点だらけのコロンバスは、このゾンビ世界を合理的に生き抜くために、彼独自のサバイバル・ルールを編み出すこととなったのです。

特に「ルール1:有酸素運動」は、この世界における基本的なルールでしょう。なんたって昨今のゾンビは足が速い……! ゾンビに追われた時でも常に冷静に、ジョギング感覚でゾンビを引き離します。そのためにも「ルール18:準備体操を怠るな」を忘れてはいけません。あわてて逃げ込んだ車内では「ルール31:後部座席を確認しろ」「ルール4:シートベルトをしろ」がなにより重要。アクセルを踏み込む前にもう一度このルールを思い出してください(なんだか『バイオハザード2』などを彷彿とさせますね)。

ゾンビを撃ち殺したとしても油断はできません。ゾンビはもはや“歩く死体”のようなもの。一度の射撃だけでは簡単には死にません。この世界では「ルール2:二度撃ちして止めを刺せ」が生死を分けるのです。とはいえ、ゾンビランド合衆国には心の休まる場所なんてありません。胃腸の弱いコロンバスにとって、トイレはセーフルームのようなもの。しかし油断禁物です。無防備になりがちなトレイ内では、「ルール3:トイレに用心」を心がけましょう。トイレに入る前には周囲の安全確認を!

タラハシーの言葉からヒントを得た「ルール32:小さいことを楽しめ」は、人生における心得といったところ。この殺伐としたゾンビランドでは気の休まることなんてありません。たとえ苦境に直面しても、些細な何かを楽しむことで、気が晴れることもあるんです。ビデオゲームオタクのコロンバスが考案した独自のサバイバル・ルール。ゾンビをはじめとしたサバイバル系のビデオゲームにも一部通用するところがあるかも……?



映画「ゾンビランド」はU-Nextで視聴可能。現在、オリジナルキャストが再集結し、フライシャーが再びメガホンを執る続編「Zombieland: Double Tap(原題)」が始動中。
《Hayato Otsuki》
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