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中華ゲーム見聞録外伝:唐代を舞台にした推理ADV『Detective Di: The Silk Rose Murders』中国史上の名臣・狄仁杰となって難事件を解決しよう

「中華見聞録外伝」では、中国・台湾以外の海外デベロッパーによる中華を題材にしたゲームをご紹介します。今回は唐代を舞台にした推理アドベンチャーゲーム『Detective Di: The Silk Rose Murders(狄仁杰之錦薔薇)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録外伝:唐代を舞台にした推理ADV『Detective Di: The Silk Rose Murders』中国史上の名臣・狄仁杰となって難事件を解決しよう
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「中華見聞録外伝」では、中国・台湾以外の海外デベロッパーによる中華を題材にしたゲームをご紹介します。今回は唐代を舞台にした推理アドベンチャーゲーム『Detective Di: The Silk Rose Murders(狄仁杰之錦薔薇)』をお届けします。

本作はカナダのインディーデベロッパーNupixo Gamesが開発し、同社とWhisper Games(軽語工作室)によってSteamで5月2日に配信されました。本作の主人公となるのは、中国史上で有名な名臣・狄仁杰(てきじんけつ)。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、中国では狄仁杰を主人公にした小説や映画、テレビドラマが数多くあります。名探偵や名裁判官といった立場で登場することが多く、同様にテレビドラマなど多数の作品の主人公になっている北宋の名臣・包公(包拯。包晴天とも呼ばれる)と人気を二分しています(知名度的には包公の方が上ですが)。

『Detective Di』狄仁杰のイラスト

本作の原案になっているのは、R・H・ヒューリックの推理小説「ディー判事(Judge Dee。ちなみにゲームの方は「Di」)」シリーズと思われます。ヒューリックはオランダの外交官でもあり、第二次世界大戦時には中国の大使館で勤務していたため、中国文化にも通じている人物です。大戦終結後の1951年に狄仁杰を主人公にした「The Chinese maze murders」を発表。以降、「ディー判事」シリーズとして次々と作品を出版していきました。日本でも早川書房などから翻訳出版されています。

「ディー判事」シリーズによって欧米圏では狄仁杰がそこそこ知られているようで、本作のクラウドファンディングをKickStarterで行ったところ、目標額の16,000ドルを超える17,470ドルが集まりました。ちなみにストレッチゴールとして19,000ドルを越えた場合、英語・中国語以外の3つの言語をサポートする予定でしたが(バッカーの要望で決めるようです)、残念ながら到達しませんでした。今後の売り上げで日本語サポートの可能性もあるかと思います。

『Detective Di』のトレイラー

本作の内容ですが、ポイントクリック型のアドベンチャーゲームです。ゲームはレトロ感のあるドット絵で表現されており、何だかファミコンにあったアクション推理ゲーム『ミシシッピー殺人事件』を思い出させます(ちなみに筆者は『ミシシッピー殺人事件』をクリアできず、「犯人はワトソン」と決め付けていました)。さっそくプレイしていきましょう。

名探偵・狄仁杰登場!


オープニング


舞台は唐代の蓬莱県(現在の山東省・蓬莱市)。ストーリーなども特に語られず、狄仁杰がどこかの屋敷の前にたどり着きました。そしてそのままゲームスタート。操作方法の説明なども一切ないので、適当に周辺をクリックしつつ操作確認。基本的にはポイントクリックで物を調べたり、人と会話をしたりします。また地面をクリックすると、狄仁杰がその場所に移動します。


門前にいる守衛に話しかけてみました。どうやら狄仁杰は蓬莱県の県尉(県の警察長)に任命され、都からこの地にやってきて間もないようです。科挙(官吏採用試験)に受かって都での研修を終えたばかりなので、まだ駆け出しといったところでしょうか。目前の屋敷に住む王大人から呼び出され、ここにやってきたとのこと。

ちなみに狄仁杰は唐の三代目天子・高宗のころから女帝・武則天の時代まで仕えていた人物です。相手が天子であろうと実直に物を言い、史実でも名判官ぶりを発揮して多くの冤罪の者たちを救い、民に慕われていました。独裁政治をしていたあの武則天でさえ狄仁杰の言をよく聞き、宰相に任命して尊敬していたぐらいです。


門番は「屋敷では大変なことが起こっているので、証明書がない者は通せない」と言われます。やはり何か事件が発生しているようですね。アイテムを渡さなければならないようですが、画面にはそれらしきアイコンがありません。カーソルをあちこち動かしてみたところ、画面上に持っていったときにアイテム欄が表示されました。ちょっとわかりづらかったです。


アイテム欄にあった「朝廷法令」を渡します。すると守衛は「失礼しました」と素直に道を開けてくれました。いったいどんな事件が発生しているのか。さっそく屋敷に入ってみましょう。

滝の裏での殺人



屋敷に入ると、調査の依頼主である王大人がいました。この屋敷で何が起きたのか、話を聞いてみます。王大人が言うには、この屋敷は国外からの貴賓たちを接待するための場所だそうです。外交に関わる交渉もしたりするので、朝廷では高機密の場所とされているとか。

山東の沿岸一帯は、高句麗人による略奪をよく受ける地域です。この事態を解決しようと朝廷は王大人を派遣し、高句麗と秘密条約を結ぼうとしました。交渉のため高句麗からは大使が屋敷にやってきたのですが、どうやらその大使が殺されてしまったようです。ただの殺人事件どころか、外交問題に発展しそうな案件ですね。

殺人事件の現場検証


王大人は「朝廷で天子を陥れようとする者の仕業ではないか」と言います。このころの天子は高宗。668年に高句麗を滅ぼしていますので、物語はそれ以前ということでしょうか。狄仁杰は30代ぐらいかと。殺人現場に案内してくれるようなので、付いていってみましょう。


滝の裏側にたどり着くと、高句麗の大使がうつ伏せに倒れていました。王大人の話では、何日もの交渉の末、条約締結は上手くいきそうだったとのこと。しかし夕食後に最後の協議をしようとしたところ、王大人はめまいを感じて倒れてしまいました。目を覚ましたときに大使はいなくなり、屋敷の者たちに探させたところここに倒れていたとのことです。


「外交問題にならないよう、今晩中に真犯人を探してくれ」とむちゃ振りをされますが、我らが狄仁杰は二つ返事で引き受けます。死体を調べてみたところ、後頭部に何か尖ったものが刺った跡があります。また自衛のために暴れた様子もないことから、犯人は知り合いの可能性も。それに状況からして殺された後にここへ運ばれたのではなく、ここまで自分の足で歩いてきたようです。とりあえず情報を集めましょう。

屋敷内の聞き込み


屋敷内の探索・聞き込み


滝の外に出ると、大使の従者である裴隊長がいました。他の者が殺人現場に近づかないよう、ここで見張ってくれているようです。裴隊長は唐に対してよい印象を持っておらず、「大使の安全も守ることができない国など信じられるか。おまえも信じられん。そもそもおまえが犯人の仲間じゃない証拠でもあるのか」とあまり協力的でない様子。ある程度証拠を集めてからまた来たほうがよさそうです。


それとこの木の穴の中に何かひっかかっているようです。位置的に、滝の裏から流れてきたものかもしれません。しかし細長いものがないと取れないとのこと。どこかでアイテムを拾ってくる必要があります。


屋敷の建物のそばの庭には、宋という管家(屋敷の管理人)がいました。殺人が起こっているにもかかわらず掃除をしています。聞いてみると、「恐ろしい事件が起こったので、仕事をしていないと気が休まらない」とのこと。

事件発生前、宋管家は屋敷で厨房の料理人が倒れたのを見て、駆けつけようとしたら自分も倒れて意識不明になってしまったそうです。気を失ったのは王大人だけではなく、屋敷にいた者たち全員だったようですね。先ほどの裴隊長も気を失って倒れていたとのこと。そして目を覚ましたとき、大使の姿だけが消えていました。一番最初に大使の死体を発見したのは裴隊長とのことです。


屋敷の中にいた侍女の孫英に話を聞きます。王大人と大使はここで夕食を取ったとのこと。料理が運ばれてきたのち、宋管家が厨房へ向かいました。それから皆が気を失ってしまい、茶を淹れていた孫英も倒れてしまったそうです。厨房にも行って聞き込みをしたほうがよさそうですね。狄仁杰は犯人を見つけ出すことができるのか。続きは自身の目で確かめてみてください。

完成度の高い歴史アドベンチャー


本作は、リリース前は中国の掲示板などで「海外の人が開発したゲームだからディティールは大目に見よう」みたいな論調で話されていました。海外の人が大真面目に作っていても、本国の人にとっては「どこか変」というのはよくあることです。

日本で言えば、海外映画などに登場する「ニンジャ・サムライ・ゲイシャ」のようなものでしょうか。ディズニー映画の「ムーラン」なども、中国から見ればいろいろと変ですしね。欧米人にとっては日本と中国の区別が付いていないことも多いですし、日本ものなのに衣装が中国っぽいという作品もよく見られます。

しかし本作はそのような不自然さがなく、中国デベロッパーが開発したと言っても信じられるレベルです。また中国語への翻訳ですが、普通に中国の歴史ものの文体で登場人物たちが会話をしていました。中国のパブリッシャーであるWhisperGamesが翻訳を担当したようですが、きっちり翻訳できているのは素晴らしいです。

ゲーム中にはパズル要素も

謎解きの難度ですが、海外のアドベンチャーゲームで見られるような理不尽な難しさ(「そんなの思いつくか!」みたいなやつですね)はなく、基本的には会話をよく聞いたりアイテムを調べたりするなど、必ずどこかにヒントが隠されています。テキスト量が結構多いので、ヒントを見逃さないよう会話には注意しましょう。それと遊んでいて、『スキタイノムスメ』というアドベンチャーゲームにどことなく雰囲気が似ている気がしました。ドット絵アドベンチャーゲームファンや中国史ファン、「ディー判事」シリーズファンにはおススメの作品と言えそうです。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら

※UPDATE(2019/5/14 21:07):「狄仁杰」の表記揺れをゲームタイトルに合わせ、修正しました。
《渡辺仙州》

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