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中華ゲーム見聞録外伝:ロードトリップADV『Road to Guangdong』亡き父の残したオンボロ車で90年代の広東省をまったりドライブ

中華を題材にした中華圏以外の海外作品を紹介する「中華ゲーム見聞録外伝」。今回は、亡き父の残したオンボロ車に乗って広東省をドライブするロードトリップアドベンチャーゲーム『Road to Guangdong』をお届けします。

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中華を題材にした中華圏以外の海外作品を紹介する「中華ゲーム見聞録外伝」。今回は、亡き父の残したオンボロ車に乗って広東省をドライブするロードトリップアドベンチャーゲーム『Road to Guangdong』をお届けします。

本作はJust Add Oil Gamesが開発し、Excalibur Gamesによって6月7日にSteamで早期アクセス版が配信されました。Excalibur Gamesは2018年3月29日に、東欧を舞台にオンボロ車でドライブする『Jalopy』というゲームを配信しており、人気を博していました。

筆者も『Jalopy』はプレイしましたが、トラバントのような中古小型車(中古どころかほぼスクラップですが)を組み立てるところからゲームが始まり、ドライブ中に故障しては直すといったことを繰り返しながら目的地へと向かうという、異色のドライビングシミュレーションです。この修理作業が結構面倒で初プレイ時はかなりイライラさせられましたが、プレイするにつれ、だんだんとオンボロ車に愛着が湧いてくるといった不思議な魅力がありました。


本作は、トレイラーを見るかぎりは『Jalopy』と似たドライビングゲームです。オンボロ車を運転するというコンセプトは同じで、舞台は東欧から90年代の広東省へと移ります。

筆者は80~90年代は北京に住んでいましたが、90年代の中国といえば天安門事件後の停滞した経済を立て直すため、外資を取り入れるなどの積極的な経済変革によって急激にGDP(と物価)が上がっていった時期です。社会主義から本格的な資本主義に移行する時期でもありました(中国的には「社会主義市場経済」と呼んでいますが)。広東省は経済特区も多いので経済的に潤っているイメージでしたが、本作ではどのように表現されているのか。さっそくプレイしていきましょう。

亡き父の残したオンボロ車



ゲームを開始すると、主人公のサニー(右側)と唐おばさん(左側)が登場。背後のガレージには、あちこち塗装の剥げたオンボロ車が見えますね。ちなみに香港や台湾など、本名以外に英語名を使う人は結構います(筆者の親戚も英語名を使っている人がいます)。海外の人と話をするとき、そのほうが呼びやすい(覚えてもらいやすい)というのがあります。サニーは唐家の子なので「サニー唐」といったところでしょうか。


サニーは事故で父親を失ったばかりのようです。父の兄妹である唐おばさん(ストアページに「叔母」とあるので父の妹かと)は、父の愛車「サンディ」を保管しているガレージにサニーを案内し、ガソリンスタンドまで運転して修理するよう言います。本作はADVパートに力を入れており、会話中には選択肢が出てきます。

サンディはかなり年季の入った車で、運転しなくなったのちも売るに忍びなく、ずっとガレージに置きっぱなしにしていたようです。一応動くようなので、このまま乗ってガソリンスタンドへ向かいます。ちなみに『Jalopy』のように一人称視点で主人公を動かしたりすることはできず、車の点検や修理もかなりシンプルになっています(後述)。このあたりの簡略化は、『Jalopy』ファンにとっては意見の分かれそうなところですね。


ADVパートが終わると、車に乗った状態でドライブパートが始まります(『Jalopy』だと自分で車に乗り込まなくてはならない)。画面上部にはスタート地点(左側)から目的地(右側)までの簡略図が表示されます。道路は分岐なしの一本道なので迷うことはありません。ガソリンスタンドを目指して道なりに進んでいきましょう。


オンボロ車なのであまりスピードは出ません。そしてやけに上下にガタガタします。ガソリンスタンドまで無事にたどり着けるか心配になってきましたが、画面上の簡略図を見るともうすぐで到着ですね。

オンボロ車を修理!



ガソリンスタンドに到着すると、ADVパートが始まります。ガソリンスタンドのお兄さんは唐おばさんの知り合いで、サンディを修理することを前もって伝えられていたようです。


ガソリンスタンドのお兄さんがサンディを直してくれるのかと思いきや、サニー自身で点検するよう言われました。とりあえずサンディを見てみましょう。


まずはタイヤです。「生命値」が相当減っていて、危険な状態になっていますね。『Jalopy』だとジャッキで車体を持ち上げ、レンチでナットを外して……といったリアルな作業をしなければならなかったのですが、本作だと交換するタイヤを指定するだけで取り換えが完了します。車の修理についてはかなりカジュアルになってますね。とりあえずタイヤを4本とも取り替えましょう。


次はボンネットを開けて中を点検。エアフィルターもヘタっていますので取り替えましょう。これも交換する物を指定するだけで作業完了になります。ボンネット内で修理・交換できるパーツは他にエンジン、オイルフィルター、ファンベルト、エンジンオイルがあります。


部品交換を終えました。店にオイルフィルターの在庫がなかったので、またあとで来ることにします。唐おばさんのもとへ報告に戻りましょう。

親戚めぐりに出発!



唐おばさんは亡き父が経営していたレストランにいました。レストランはサニーの祖父の代からあったもので、父亡きあとはサニーが後継者となります。しかし若いサニーが跡を継ぐことに、親戚たちは不安があるようです。そこで、これからサンディに乗って親戚めぐりをし、彼らを安心させようというのが唐おばさんの計画です。ついでにそれぞれの家庭から秘蔵の料理レシピも得て、レストランを繁盛させようと考えています。


「でも親戚に会うだけなら、新車を借りたり列車に乗ったりすればよくない? なんでわざわざ修理費のかかるサンディで」と、ゲームのコンセプトをひっくり返すような発言をするサニー。唐おばさんは「サンディはあなたのお父さんが大切にしていたものだし、家族のようなもの。私が老いたら見放してしまうのかい?」と言いくるめます。


出発前にオイルフィルターを取り替えるため、唐おばさんを乗せてガソリンスタンドへ戻ります。オイルフィルターの替えが届いていたので、さっそく交換。若者と老人で長旅をするというのも『Jalopy』っぽいですね。


最初の目的地は佛山市。サニーの父親の弟が住んでいます。中国拳法を教えており、サニーも幼いころにそのおじさんから習っていたことがあるとか。しばらく走っていると夜になりました。ガソリンも少なくなってきましたね。途中で給油しながら道を急ぎましょう。

拳法道場の師匠と弟子たち



市街地を抜けたころには夜が明けてきました。旅館などには泊まらず、徹夜で運転したようです。坂道を上がると急激にスピードが落ちるあたり、オンボロ車であることが実感できます。


佛山市に到着したようです。市街地を進んでいくと、また日が暮れてきました。ずっと運転していて大丈夫なのでしょうか。


結局到着したのは翌日の朝。門を叩くと道場の女性弟子が出てきました。師匠は忙しくて人に会いたくないとのこと。親族だと伝えると態度が変わり、中へ案内してくれました。


道場主のおじさん登場。「大きくなったな」と喜んでサニーを迎え入れてくれました。サニーがここで拳法を習っていたころは、背がおじさんの腰の高さまでしかなかったそうです。


おじさんが唐おばさんと話をしている間、サニーは弟子たちに会いに行きます。しかし弟子たちの話によれば、最近師匠は一緒に拳法の訓練をしなくなったとのこと。弟子たちからは不満の声もあり、師弟関係も悪くなっているようです。師匠が訓練に参加しなくなった理由は何なのか、そしてサニーは解決できるのか。この後の展開は自身の目で確かめてみてください。

カジュアルなロードトリップADV



本作の構造としては「ドライビングパート」と「ADVパート」を交互に繰り返す形で、特にADVパートに力が入れられています。ドライビングパートについてですが、基本的に道路は一本道で、途中にあるガソリンスタンドで給油や修理をしておけば特に問題なく目的地にたどり着けるでしょう。

ゲーム自体はADV寄りなので(ADVの合間にドライブがあるというイメージ)、『Jalopy』のような自由度の高いリアル志向のドライビングシミュレーションを期待すると「何か違う」ということになるかと思います。ストアページでの評価が芳しくないのもこれらが理由になっているようです。まだ早期アクセスなので今後ゲームプレイに変化があるかもしれませんが、現状『Jalopy』とは別のジャンルのゲームと思ったほうがいいかもしれません。


ただ本作はドライブ部分の煩雑さを無くし、ADVパートでの人間ドラマを重視したことで、誰でも(車に興味のない人でも)カジュアルに楽しめる作りになっています。特に90年代の広東省の雰囲気や街並みは見ていて楽しいですね。勉強や仕事に疲れたときに、気軽にドライブに繰り出してみるのもいいかもしれません。

本作は現在のところ日本語サポートはありませんが、『Jalopy』は日本語に対応していたので、いずれ本作も翻訳されるかもしれません。ADVゲーム好きの方、ノスタルジックな雰囲気のゲームが好きな方はぜひ本作をプレイしてみてください。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

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