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TGS初出展!壮大宇宙船シム『X4』開発元インタビュー!“ネオ日本語”、VR対応、今後の展開…気になるところを明らかに

有名宇宙船シム『X4: Foundations』を手掛けるEGOSOFTにインタビュー。拡張「Split Vendetta」やTGS2019出展内容にも迫ります。

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20年に渡り、宇宙船シムを作り続けるドイツのデベロッパー、EGOSOFT。Game*Spark編集部は、2019年度の東京ゲームショウで初出展となる同社にメールインタビューを実施しました。同社の人気宇宙船シム新作『X4: Foundations』の拡張「Split Vendetta」の内容などに迫ります。

EGOSOFTの『X』シリーズは、1999年よりシリーズが展開するオープンワールドの宇宙船シミュレーションゲーム。初期作以降では、世界全体に影響する製品のサプライチェーンのシミュレート、各々に目的を持ったNPCや多数の部下AIの雇用、戦闘機から空母まで操縦可能な幅広さや、ゲームの自由度などを中心に、同ジャンルでは唯一無二の独特な魅力をもつ人気タイトルとして知られています。また、“日本”が大きな役割を果たした世界観を下敷きとしていることもファンの間では有名です。





――最初に、自己紹介とEGOSOFTについての解説をお願いします。

Bernd Lehahn氏(以下、Lehahn氏)私はEGOSOFTの創業者であり、シリーズのリードゲームデザイナーです(筆者注: 今回の訪日では他にも広報Gregory Wintgens氏が帯同)。弊社はドイツ・アーヘン近郊にあるゲーム開発スタジオで、過去25年間は宇宙シミュレーションゲーム『X』シリーズを手掛けてきました。1999年の『X: Beyond the Frontier』を皮切りとして、私たちは常に宇宙における完全な自由度を追求してきました。交易・戦闘・独自のステーションの建築・そして宇宙全体の変化。それが私たちのゲームの目指すところです。

――EGOSOFTの長い歴史の中で、TGS 2019が東京ゲームショウへの初出展となります。以前に(個人的に)訪日されたことはあるのでしょうか。

Lehahn氏私はこの夏、生まれて初めて日本に訪れましたが、とても楽しかったです。展示会への出展は、以前は長年ゲームの宣伝や配信に協力してくれたパブリッシャーと仕事をしていたため(筆者注訳: 過去作はかつてのTHQや、Deep Silverなどが海外パブリッシャーであった)機会がなかったのです。近作『X4: Foundations』では“インディー”として自己パブリッシングへと移行しました。

アジア市場、特に日本は私たちのゲームにとって常に興味深いものであり、私たちは10年以上も前の旧作『X3: Terran Conflict』(および拡張パック『X3: Albion Prelude』)において日本語版をリリースしていました。現在はアジア市場に更に多くの注意を払い、すべてを自分たちで行っています。





――次にゲームシリーズについての質問です。『X』シリーズ、そして『X4』とはどんなものであるのか、開発者の立場としてコメントくだされば幸いです。同作は非常に長い歴史を持ちますが、その内容を説明するのには(コアなファンですら)言葉を選ぶことがあるほどに、特殊で膨大で複雑です。

Lehahn氏『X』は、あなたを宇宙船に載せ、宇宙の大冒険へと誘うゲームです。お金を稼いで船を改良するために、戦ったり、探検したり、交易してください。『X』では基本的に、あなたが望むどんな職業にだってなれます。平和的な貿易商や、宇宙に工場を有する産業界の大物、小さな戦闘機パイロットから壮大なスケールで戦争を繰り広げる巨大な船団所有者まで。この銀河系の片隅で最大のサンドボックスにはもちろんミッションやストーリーもあります。実は『X』にはゲーム本編のほか、今までに5冊の小説が刊行されているほど多くの物語が存在していました。

私たちは、あなたにいかなるキャリアも強要しませんし、ゲーム内の異なる派閥との関係をどのように進展させていくのか、強制することもありません。つまり、あなたは自由に味方や敵を作り、軍隊や海賊のメンバーとなることもできます。ミッションはあなたをゲームに導くだけで、あなたの可能性は無限大なのです。

何よりも『X』を定義するのは(世界の)シミュレーションの側面です。ゲームの宇宙にある何千もの船や、船のステーションはすべて正確にシミュレートされています。すべての製品は実際に製造されており、(NPCらの)輸送船で運ばれています。すべての船とステーションも、もとを正せばゲーム宇宙で採掘された資源から作られています。このことがあなたの無限大のキャリアと可能性の下敷きとなるのです。

――TGSに訪れる日本のユーザーに、TGSで体験可能な「X4」の魅力について説明してください。

Lehahn氏TGS 2019では、2018年11月末にリリースされた近作『X4: Foundations』の最新拡張「Split Vendetta」のプレイアブルなデモプレビューをお見せします。訪問してくださるほとんどの方は、まず主力艦のブリッジからゲームを始め、小型戦闘機を用いた短い戦闘デモを体験することになります。ドックまで歩いて、はしごを登って、指示に従ってのちょっとした戦いです。非常に基本的な操作方法がいくつか説明されており、キーボードとマウス、またはゲームパッドでプレイできます。

ゲーム自体は宇宙船シミュレーションファン向けにHOTASデバイスや(本格的なフライトゲーム用)ジョイスティックなども用いることができますが、今回のような展示会では少し複雑すぎるでしょう。

また、異なるデモとして、ゲームで後に展開される可能性のいくつかを垣間見ることもできます。非常に大きな船の操船や、艦隊の遠隔操作、小惑星帯の探索や採掘などですね。





――次に、シリーズ設定のお話です。X-ユニバース(ゲーム舞台の外宇宙宙域群のこと)では設定上、異星人たちやプレイヤーは「ネオ日本語」を共通語として使っていることが特徴的です。また、同作の地球の歴史では日本が非常に大きな役割を果たしています。このような世界観はどうやって作られたのでしょうか。

Lehahn氏近未来の地球に幕を開ける初代作品『X: Beyond the Frontier』のプロローグでは、人類の宇宙探検の物語を紹介し、皆様もご存知であろう1969年のアポロ月面着陸が描かれています。ここから展開する、人類が協力し外宇宙を探検する未来では科学的にも文化的にも日本がその発展に重要な役割を果たしたのです。

私たちは人類を一つの国や文化に支配されているものではなく、色彩豊かな混合物として描きたかったのです。

――『X』シリーズでは過去作で“保持距離” “うおめ” “ユエアオオ”など、日本語風の看板を見ることができます。X4では「ジンコ・テキナ」という船メーカーも登場しますね。

Lehahn氏X-ユニバースにおける主な人類“アルゴン”の間では、すでにその祖先は大まかにしか伝えられていません。彼らは長い間“地球”が存在したことすら覚えていませんでした。旧作の物語でプレイヤーはこれを変える大きな役割を果たしています。したがって“アルゴン”の日本語は度々おかしいのです。他の言語でも、単語の一部をおかしな具合に混ぜた名前をつけることがよくありますよね。これは『X3』系の作品にて本作参戦を果たした本来の地球人“テラン”と対照的です。




過去作から近作までの変な看板たち

――X-ユニバースの地球は、文化的にはどうなっているのでしょうか。旧作では地球の軍属として行動することもありましたが、その部分についてはあまり見えてきませんでした。日本的な風習などはすっかり廃れてしまったのでしょうか。また、世界が大きな変化を遂げた『X4』で彼らの姿を再び見る可能性はあるのでしょうか。

Lehahn氏前述の通り、アルゴンの文化と習慣は、人類が地球上で覚えていること、考えていることや日本文化との混合です。『X3』の後、(宇宙中をつなぐ)超光速ゲートネットワークは遮断され、星系は分断されて数十年間独立して発展してきました。『X4』では少しずつゲートが復旧しており、プレイヤーはそれを見つけていくことでしょう。“テラン”は『X4』には現在登場していませんが、「Split Vendetta」では好戦的な種族“スプリット”が再登場し、それ以外(の種族)もそれに続くでしょう。

――『X4』本体でのネームドキャラクターは水棲種族“ボロン”の「ボソ・タ」のみですが、あれは“彼”ですよね。ボロンの科学者などには女性が多いと聞いていました。

Lehahn氏彼は、『X4』の物語でプレイヤーが出会い、彼にプレイヤーが所有する本部ステーションの機能やテレポーテーション技術を紹介する特別なキャラクターです。彼自身は完全に他のボロンから独立しているのですが、ボロンはシリーズの人気種族なので私たちは度々ボロン(男女とも)の『X4』への本格参戦を要望されています。ただ、ボロンは水棲種族であるので『X4』の環境下で彼らを上手く描写するのは技術的になかなか困難です。そのため(良い方法の)調査中ではありますが、すぐには実現しないと思います(笑)。





――ゲームとしての今後の展開や細かい部分について質問させてください。拡張DLC「X4: Split Vendetta」ではどのようなコンテンツがどの程度の規模で加わることになるのでしょうか。

Lehahn氏「Split Vendetta」では相互に戦争中の“スプリット”の2つの派閥が追加となります。どちらも全く新しい経済を有していて、スプリットの居住区を有する新たなステーションのモジュールも持っています。新しい武器やアップグレードを備えたスプリットの船も、もちろんたくさん登場します。TGSのデモではそれらの一部が見られます!

――(DLCとともに登場する)バージョン3.0ではどのような改善を期待することができるのでしょうか。よりスムーズに動作する経済や、よりスマートに動く艦隊、護衛命令対象にもっと素早く追従する護衛機などを期待しても良いのですか?

Lehahn氏はい、私たちはあらゆる部分でゲームを改良し続けており、現在はAIを大きな焦点としています。AIについては3.0になる前に大きなアップデートが行われる予定です。数週間以内に配信予定のバージョン2.6の最初のベータ版でも、AIにはすでに多くの改善が実施されています。


――『X4』では甲板型の艦載機ドックが主流ですが、(おそらく多くの日本人プレイヤーは)宇宙空間の一歩手前をTシャツ&ジーパン姿の人々が歩き回っている様が不安でなりません。今後、船内内部へと艦載機が着艦可能な空母や、ドック位置が展開ギミックのある装甲ハッチで覆われている船などを見る機会はあるのでしょうか。

Lehahn氏着艦しようとする船をよく見ると、プラットホームの直前には人工重力を持ち、空気で満たされた空間との境となるフォースフィールドを見ることができます。『X4』では既に空母はありますし、入れ子状でのドッキングすら可能ですが、「Split Vendetta」では非常に大きな内部ドックを持つ空母を始めとした、より大きな主力艦が導入されます。

問題の甲板。見晴らしはすごく良いんですよ、見晴らしは

――空母の中に小型船を強制格納するショートカットキーなどは導入される予定はありますか。一部の船では甲板に留まったままの船は、視界やターゲットの選択に大きく影響があります。

Lehahn氏主にドローンで問題になっていましたね。該当の部分には改善を施しており、「Split Vendetta」のTGS展示デモのうち“採掘”部分では、採掘船のコックピットからドローンの発進準備を整えるための追加コントロールを見ることができます。


ユーザーModで移植された前作の巨大空母Arawn。やはり船体内のほうが落ち着くというユーザーは少なくないのでは

――「Split Vendetta」も出ていない時点で聞くには明らかに早すぎますが、2020年に予定されている「次」のDLCは「Split Vendetta」級の内容を期待して良いのでしょうか。もしDLCがX-ユニバースの主要種族を追加するものならば、“テラン”や“ボロン”を期待していますが。

Lehahn氏乞うご期待です(ウィンク)。


――話は変わりますが、『X4』のメカデザインについては、今後さらに異なる系統の機体が追加されることはあるのでしょうか。例えば、より現代航空機調の船だとか、日本のSFアニメ的な船などですね。

Lehahn氏新たな船はゼロから作られており、これまでのシリーズ作品より遥かに洗練されています。タレットやシールドジェネレーターでのグラフィックの拡張や、ペイントによる外見の変更。複雑な船の内装レイヤーなどですね。現在私たちは古い『X』のデザインを時間経過に合わせた形で現代的に再構築していますが、この先はまだわかりません。

――『X4』では既に2つのDLCがアナウンスされていますが、「コレクターズ・エディション」に付属するこの2本の“先”の可能性はありますか。イヤー3やイヤー4、それ以降の展開が気になります。『No Man's Sky』で起こったような、超大規模な本体無料アップデートなどもあるのでしょうか。

Lehahn氏私たちは間違いなく、非常に長い期間に渡ってゲームの開発とサポートを続けるでしょう。例えば『X3: Terran Conflict』はリリースから10年経ってもアップデート(致命的なメモリリークを引き起こしていたミッションの修正や、フルスクリーンウィンドウモードへの対応など)が行われました。新作に移る前に、どのくらいの期間にわたって大規模なコンテンツ展開を行うかはまだ決まっていません。





――そういえば、VRのサポートの可能性はありますか?日本では『VRChat』など、アバターチャットを中心にVRコンテンツを楽しむユーザーも大勢います。

Lehahn氏私たちはVRが大好きで、2017年の『X Rebirth VR Edition』の開発にも大きく投資しました。『X4』のVR版を作るかについては、このような“巨大な”タイプのVRゲームの需要によるでしょう。

――同様に重要なこととして、Modのサポートが挙げられます。今後、本格的にModderをサポートする予定はあるのでしょうか。現時点では皆手探りでModを作成していて、残念ながら(スクリプト以外の)船やキャラクターのModを見る機会はほとんどありません。日本では「Blender」などの3D作成ツールが昨今勢いを増していますので、そういった手軽なツール向けの開発支援があれば嬉しいところです。

Lehahn氏私たちは間違いなく、Modder達を支援していく予定です。現在、Modの開発を容易にするためのツールパッケージを本体バージョン3.0に向けて準備しています。この分野に対し、できることやしたいことは常にありますが、非常に時間がかかる可能性があるため、それは長期的なプロジェクトです。

――最後に、TGSに訪れるファンへのメッセージをお願いします。また、今回のTGSや来日・観光で見たいものなどはあるのでしょうか。

Lehahn氏観光は今年の初めにとても楽しみましたので、今回はTGS関連に焦点を合わせる予定です。

宇宙ゲームに興味がおありの方は、ぜひ東京ゲームショウのEGOSOFTブースにお越しください。宇宙でできる多くのことを学びましょう。交易・戦闘・建築、そして検討です(ウィンク)。



長年コアPCゲーマーを中心に知られている、超ハードコア宇宙ゲーム『X』。複雑なゲームですが、今回のデモ版では分かりやすくかいつまんでのゲームプレイが可能ということで、その魅力の一端を体験したいユーザーは東京ゲームショウ2019のホール8、ドイツパビリオンの4番ブース(8-N03-04)へ訪れてみると良いでしょう。

『X4』を象徴する光景であるステーションドック内。
ひっきりなしに訪れるすべての船が見せかけではない。
各船は実際に世界で役割を持って活動した結果ここに訪れているのだ。
そのロマンを思うだけで時間はいくらでも過ぎていくだろう

『X4: Foundations』はSteam/GOG.comにて配信中。DLC「Split Vendetta」は2019年内発売予定です。
《Arkblade》

関連業界のあちこちにいたりいなかったりしてる人 Arkblade

小さいころからPCゲームを遊び続けて(コンソールもやってるよ!)、あとは運と人の巡りで気がついたら、業界のあちこちにいたりいなかったりという感じの人に。この紹介が書かれた時点では、Game*Sparkに一応の軸足を置きつつも、肩書だけはあちこちで少しづつ増えていったりいかなかったり…。それはそれとしてG*Sが日本一宇宙SFゲームに強いメディアになったりしないかな。

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