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【特集】『DEATH STRANDING』超豪華な顔ぶれが揃う世界的キャスト陣に迫る! ハートマン役ニコラス・ウィンディング・レフン編

全世界待望のコジマプロダクション作品第1弾『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』。本連載では、『DEATH STRANDING』のキャスト陣を、映画、ドラマなどの代表作を含めてご紹介していきます。第3回では、ハートマン役のN・W・レフンに迫ります。

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「ネオン・デーモン」 (c) 2016 Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
  • 「ネオン・デーモン」 (c) 2016 Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
  • 【特集】『DEATH STRANDING』超豪華な顔ぶれが揃う世界的キャスト陣に迫る! ハートマン役ニコラス・ウィンディング・レフン編

コジマプロダクション開発の完全新作アクション『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』(2019年11月8日発売)。『メタルギア』シリーズの生みの親として知られる小島秀夫監督の最新作にして、同スタジオの処女作となるこのゲームは、発売前から世界中で大きな注目を集めています。

人々や都市が引き裂かれ分断された世界を舞台に、プレイヤーは滅亡に瀕した人類のため、そして未来のために、人々の希望をつなぐ危険な任務に旅立ちます。そして、この壮大な世界観を彩るのは映画顔負けの豪華すぎるキャスト陣。本連載では、『DEATH STRANDING』のキャスト陣を、映画、ドラマなどの代表作を含めてご紹介していきます。第3回では、ハートマン役のニコラス・ウィンディング・レフンに迫ります。

ニコラス・ウィンディング・レフンが演じる、ハートマンというキャラクター



アメリカ再建を掲げて組織された“ブリッジズ”の一員。彼の身体にはAEDが取り付けられていて、21分毎に心停止しては蘇生する、という特異体質のキャラクター。心停止中の3分間だけ、彼は“ビーチ(あの世とこの世の結び目となる場所)”に行くことができて、そこで家族を探したのち、AEDによって息を吹き返すのです。よって、1日に60回死んで60回生き返るという奇妙なサイクルを繰り返しています。

彼の生活は21分間の中に収束しているので、映画や音楽などのあらゆる娯楽に関しても、彼にとっては21分以内で完結するものでなければなりません。公開中のトレイラーで、彼が書棚から取り出したのは、喜劇王チャールズ・チャップリンの初監督映画「恋の二十分」(1914)。これも21分以内で完結する、短編のサイレント映画です。しかし、彼にとってこの世での生活は、あの世に家族を探しに行くまでの“待ち時間”でしかないようです。

ニコラス・ウィンディング・レフンは、ハートマンの3Dスキャンと一部のモーションを担当。多忙なレフン監督に代わって、全体のパフォーマンスキャプチャーと英語版声優は別の方が担当しています。

ニコラス・ウィンディング・レフンってどんな人?



作家、映画監督、プロデューサーのニコラス・ウィンディング・レフンは、1970年にデンマークのコペンハーゲンで生を享けます。父親は、映画監督のアナス・レフンで、母親は、撮影監督のヴィベケ・ウィンディング。まさに映画を家業とする一家だったので、レフンにとって映画というのは幼い頃から身近な存在でした。レフンの異父兄のカスパー・ウィンディングは作曲家、カスパーの息子でレフンの甥ジュリアン・ウィンディングも作曲家兼ミュージシャンとして多くの映画に音楽を提供しています。

レフン監督は、8歳から17歳まで、両親とともにニューヨークに在住し、そこで10代のほとんどを過ごしました。17歳のとき、彼は母国のコペンハーゲンに戻りましたが、高校を卒業すると再びニューヨークに渡って、アメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ(多数の名優を輩出した名門)に入学。しかし、教室の壁にテーブルを投げつけるなどの素行の悪さから、すぐに放校処分に。母国デンマークの映画学校に通うも、またもや退学。どうやら、やんちゃな一面もあったようです。

その後、彼は自主制作の短編映画でキャリアをスタート。レフンが脚本、監督、出演のすべてを手がけた短編映画は、ケーブルテレビのニッチなチャンネルで放送され、それを観ていた映画関係者から、その後の人生を大きく変える運命的なオファーが舞い込みます。オファーを受け入れたレフンは、わずか24歳という若さで長編初監督となる「プッシャー」(1996)を手がけました。本作はカルト的な人気を集め、批評家筋からも好意的に受け入れられました。

続く長編第2作となる「ブリーダー」(1999)は、ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、大きな話題に。「Fear X」(2003)では、初の英語作品に挑戦。興行面では不発に終わるものの、次いで発表した「プッシャー2」(2004)と「プッシャー3」(2005)で起死回生し、この「プッシャー」3部作はレフン監督の代表作として輝いています。ライアン・ゴズリングとタッグを組んだ「ドライヴ」(2011)でハリウッドに進出し、以降はアメリカを拠点に「ネオン・デーモン」(2016)、テレビシリーズ「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」(2019)などを手がけています。

日本語版声優を務めるのは、大塚芳忠


ハートマンの日本語版声優を務めるのは、声優として40年以上のキャリアを誇る大ベテランの大塚芳忠。洋画、アニメ、ビデオゲームなどのエンタメ作品はもちろん、報道番組やバラエティ番組におけるナレーションの仕事も多く、滋味な声質で多くのファンを獲得しています。過去には『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のラモン・ガルベス・メナ役、『メタルギアソリッドV』では主治医役を務めるなど、小島作品の常連声優として知られています。

また、洋画の吹き替えでは「インデペンデンス・デイ」シリーズ(1996, 2016)のジェフ・ゴールドブラム、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001, 2002, 2003)のヴィゴ・モーテンセン、さらにアジア俳優では「イップ・マン 序章」(2008)のドニー・イェンなど、渋めで個性的な俳優を担当。ビデオゲームでは『キングダム ハーツII』のシグバール、『コール オブ デューティー ブラックオプス』のヴィクトル・レズノフなど幅広いキャラクターを演じ、ゲーマー界隈にもよく知られた存在となっています。

一度は観るべき! ニコラス・ウィンディング・レフンの代表作


「ネオン・デーモン」 (c) 2016 Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
「ネオン・デーモン」 (c) 2016 Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch

今作『DEATH STRANDING』で、ハートマンに扮したニコラス・ウィンディング・レフン監督。彼の代表作にはどのようなものがあるのでしょうか。少し覗いてみましょう。

■「プッシャー」シリーズ

レフン監督の地元、コペンハーゲンが舞台のクライム・ギャング映画。第1作では、多額の借金を背負ってしまった凄腕の麻薬密売人フランク(キム・ボドゥニア)の凋落ぶりを描き、第2作では、フランクの相棒トニー(マッツ・ミケルセン)が裏社会から抜け出そうともがく姿を活写しています。そして、続く第3作では、老いた麻薬王ミロ(ズラッコ・ブリッチ)を主役に、これまで以上のバイオレンスで裏社会の狂気を映し出しています。また、2010年にヒンディー語版リメイク、2012年に英語版リメイクが製作され、後者はレフン監督自身が製作総指揮を務めました。この「プッシャー」シリーズは、レフン監督を語る上では外せない作品でしょう。

■「ドライヴ」

こちらも「プッシャー」シリーズと並ぶ、レフン監督の代表作です。昼は自動車整備士と映画のカースタントで生計を立てる普通の青年。しかし夜になると強盗の逃がし屋に変貌する、二足のわらじを履く“ドライバー”が主人公。隣人アイリーン(キャリー・マリガン)との出逢いが、一筋縄ではいかない恋の歯車をさらに加速させます。ハリウッドでの初監督作品となった本作は、第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞、第84回アカデミー賞では音響編集賞にノミネートするなど、多くの映画賞、映画祭を獲得しました。強烈なバイオレンスと、イノセントな恋物語を結合させた、レフン節炸裂の快作です。

■「ネオン・デーモン」

レフン監督のこれまでのフィルモグラフィの中でも、特に異彩を放っている作品です。人気若手女優のエル・ファニングを主演に迎えた本作は、ファッションモデル業界の狂気と、業界の知られざる暗部を暴き出した作品です。世間知らずで無垢な少女ジェシー(エル・ファニング)が、多くの憎悪と嫉妬があふれるモデル業界に足を踏み入れ、次第にその泥沼に飲み込まれていく姿を描写しています。恐ろしく鮮烈な映像美と、極めて悪趣味なバイオレンス、それでいてアート的感覚さえ抱く美麗な映像表現は、一見の価値アリです。ちなみに本作には、レフン監督の甥のジュリアン・ウィンディングが一部音楽を提供しています。

■「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」

レフン監督がプロデューサーを務めるテレビシリーズ。職務上の理由から女性を銃殺するという悲劇を起こし、心身を病んだロサンゼルス郡保安局の巡査マーティン・ジョーンズ(マイルズ・テラー)が主人公。期せずしてマーティン巡査は、メキシコの違法カルテル、ロシアン・マフィア、そして日本のヤクザといった裏の組織に引き込まれていくことに。本作は、監督特有の強烈なコントラストによる、極めて現代アートのような映像重視の作品。鮮烈な暴力描写はもちろん、哲学的なテーマさえ孕んだ、極めてセンセーショナルなドラマです。主演を務めるのは、「セッション」(2014)のマイルズ・テラー。ちなみに本作には、『DEATH STRANDING』が控える小島秀夫監督が友情出演しています。第1シーズン全10話で構成される本作は、Amazonプライムで独占配信中です。



『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』はPS4向けに、2019年11月8日に発売予定。バイオレンスでイノセントなレフン監督の作品群は、『DEATH STRANDING』にも少なからず影響を与えていそうです。
《Hayato Otsuki》
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