来る日も来る日も一日中ハイテク機械に囲まれ、コントローラーを操作し続ける我々「ゲーマー」は、まさに現代社会の申し子と言えるでしょう。もちろん我々はゲームが大好きでそうしているので、苦痛に感じることはありませんが、ふと「自然たっぷりの田舎で過ごしてみたい」と思うことはないでしょうか?たとえば、異国の片田舎に赴きゆったりと過ごす……なんてことに憧れたりしませんか?
そんなゲーマーの皆さんにオススメなのが、10月24日にPS4/ニンテンドースイッチ向けに発売されたばかりのアドベンチャーゲーム『トルバーブルック』です。私もそんな現代社会に疲れたゲーマーの一人。ということで早速本作を体験してきましたので、そのプレイレポートをお届けしたいと思います!
本作の最大は特徴はミニチュアで実際に作られたという触れ込みのグラフィックスです。Kickstarterでその制作過程をちょっとだけ見ることができるのですが、おそらく気の遠くなるような作業だったと思われます。ゲーム内で目にするのは3Dスキャンされたデジタルデータですが、それでもミニチュア的な質感が残っていて、独特な世界観を構築しています。
『トルバーブルック』はポイント&クリック式のアドベンチャーゲームです。気になった場所があったら調べ、アイテムを入手し、時には使用することでゲームが進行していきます。コンソール版では操作システムがコントローラーに最適化されていますが、「取得したアイテムの使用」があまり直感的でなく、慣れるまでは大変かもしれません。とはいえそもそものゲームプレイがシンプルなので、気構えは不要です!
主人公は「ハンス・タンハウザー博士」なる人物。とある理由で「トルバーブルック」という名前の街に訪れた量子物理学者です。人気のない田舎町で休暇を過ごそうと思っていたハンスでしたが、謎の人物に自分の論文を盗まれてしまいます。そして犯人の足取りを追ううちに、奇妙かつユーモラスな状況に巻き込まれていくことに……。謎めいたストーリーで先が気になるでしょう?
ストーリーと同様に謎解きも一筋縄ではいきません。「何をしたらどうなる」というような因果関係がとても分かりづらい……というか実際のところ推理してプレイするのはほぼ不可能でしょう。内容としては古典的なポイント&クリックアドベンチャーなので、難解ではありつつも総当りでクリアできるようになっています。謎解きを含めその世界観は非常に独特で、プレイしていくうちに不条理演劇の登場人物にでもなったかのような気にさせられます。
もちろん登場キャラクターも一癖や二癖ある人々ばかり。ネタバレになるため詳細は割愛しますが、途中で登場する病院パートではあまりに理不尽な状況になり、もはや笑いがこぼれるほどでした。ジャンル的にはSFミステリーなのですが、どことなくダグラス・アダムス(「銀河ヒッチハイク・ガイド」「ダーク・ジェントリー」など)の作品を連想させるようなユーモラスな雰囲気を持っています。
また、本作のタイトルであり舞台でもある「トルバーブルック」には「トルバーポーク」や「トルバープーク」という表記揺れ/誤字と思しき表記があり、翻訳の品質に少々気になる点もありました。「トルバーポーク」という表記は本作のSteamストアページでも用いられているため、PC版の翻訳の名残が残ったものかと思われます。
主人公の名字「タンハウザー」は、シーンによって「タンフーザー」と表記されていることも。気になるところではありますが、「表記揺れが存在する」ということを前提にプレイすれば、混乱せずに済むかと思います。
本作のPS4パッケージ版には、特典として小冊子とポストカード、そしてポスターが封入されています。これがなかなかかわいい仕上がりで、所有欲をそそられます。奇妙な世界観、やりごたえのある難易度、愛らしいミニチュアの風景に興味があるプレイヤーであれば、『トルバーブルック』はきっと満足できるゲームです。ハイテク社会に嫌気のさしたプレイヤーは本作を一度プレイしてみると、田舎町のSF大冒険を通して穏やかな気持ちになれるかもしれませんよ!
『トルバーブルック』はPS4/ニンテンドースイッチ向けに3,500円(税込)で発売中。パッケージ版は各小売店で販売されているので、公式サイトからご確認ください。また、Steamでは通常価格3,090円でリリースされています(ハロウィンセール期間中は2,472円)。
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