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あなたは人々に何を伝え、何を信じさせますか?『ヘッドライナー:ノヴィニュース』プレイレポ

新聞社の編集長となり、世論を操作していく短編ADV『ヘッドライナー:ノヴィニュース』のプレイレポートを掲載。あなたはメディアを用いて、どんな世の中を作っていきますか?

連載・特集 プレイレポート
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「人生は決断の連続」なんて言葉は随分と陳腐になってしまいましたが、真理でもあります。今日の夕飯に何を食べるか、という些細なことだって決断のひとつ。そんな決断の連続の上に、今の自分が成り立っているわけです。ただ、自分の下した決断がどんなふうに影響を及ぼすかわからないだけ――このゲームを除いては。

『ヘッドライナー:ノヴィニュース』は、架空の国・ノヴィスタンにある一流ニュースメディア「ノヴィニュース」の敏腕編集長となって、世論を操作していく短編アドベンチャーゲームです。編集長になるだけで世論なんて形成できるの?と思うかもしれませんが、可能なんです。ノヴィニュースは、この国唯一の新聞なのですから……。


この決断が国を左右する


編集長であるプレイヤーには、ノヴィニュースのライターや編集者によるいくつかの記事が提示されます。プレイヤーはこれらの記事を取り上げるかボツにするか選択することができ、選んだ記事によって、世の中の反応……つまり世論や人々の思考が変わっていきます。

ノヴィスタンはとてもリアルに描かれていますが、現実とはほんの少しだけ乖離している点があります。それはこの国、もとい、この世界では、人間の遺伝子操作がポピュラーになっていること。子どもの頃から遺伝子操作を行い、“健康的な”肌の色にすることも可能です。

ゆえに、遺伝子操作技術をもつ隣国との関係は、多くの国民の関心事。一方で、ノヴィスタンには自国を守らねばと強い言葉を放ち続ける首相もいます。グローバル化するかどうかは、この国の行方を左右するかもしれません。編集長であるあなたはどう考えますか?あなたが手にするハンコは、グローバル化を望む国民を「作る」こともできるのですよ。


国内にも議論されるべきことは多く存在します。現在、ノヴィスタンでは原因不明の病が流行しており、道端で戻してしまう人もざらにいるという状況です。そんな中、「国民皆保険制度」が採択されるか否かが注目の的に。

この制度が適用されれば、ある一定の条件さえクリアすれば、すべての国民が病院の治療を受けることができます。しかしそれは、病院の大混雑と薬の不足……つまり医療の質の低下と薬価の高騰にもつながります。果たして、本当に必要な制度と言えるのでしょうか?


プレイヤーは記事を選りすぐるという編集長の責任を果たしたあと、家路につきます。その道すがら、同僚や友人、さまざまな市民の声が耳に入ってくるのです。

例えば、仕事をやめてコメディアンの夢を追いながらも、メンタルの病気に悩まされる兄。国民皆保険制度が成立すれば、彼はセラピーを受けることができます。


例えば、地元に根付く小さな個人商店の店主。彼には9歳になる小さな娘がおり、遺伝子改良が施されていますが、店主はそのローンや学費、家賃に追われています。グローバル化は一見喜ばしいことですが、国際化が進んだ結果、彼の営む個人商店の近くに外国からやってきた大型スーパーができてしまい、お店の経営はますます苦しいことになってしまいます。


つまり、意図的に選んだ記事によって操作した世論の影響を受ける人物が、プレイヤーのまさに目の前にいるということです。彼らの声をどう受け止めるかは、あなた次第といってもいいでしょう。

彼らは往々にして、我々と同じように人生における悩みを抱えています。あなたは彼らの声に耳を傾け、時には金銭という不幸にならないための道具で助けることも可能です。もっとも、手を差し伸べた結果が良い方向に転がるとも限らないのですが……。

己の中の確固たるスタンスを問う作品


筆者個人の話をさせていただくと、割と何でも(一度は)受け入れてしまうパーソナリティゆえに、自分のスタンスを隠してしまうことが多々あります。ただ、このゲームをやっていると、だんだんとノヴィスタンで起きることに対して「報道者としての自分のスタンスはこうだ」というものが出てくるのです。このゲームによって掘り起こされている、といってもいいかもしれません。

これは自分を守るために大切なこと。リアルでもそうですが、ゲーム内でも然り。編集長である自分のスタンスは、新聞社のスタンスでもあります。メディアが突然、その立場を変えると、政治家に集まっていた国民の不信感を、一気に買うことにもなりかねません。国民は従順に見えて、時に暴力的です。


ゆえに、一貫性のある、確固たる信念が必要になります――と言葉で言うのは簡単ですが、先述したように、編集長の目の前には、世の中の変化によって幸福にも不幸にもなる人が現れるのです。これがプレイヤーの信念を効果的に揺さぶってくる。誰もが幸せになれる世の中なんて、本当にあるのでしょうか?

政府、スポンサー、ボス、同僚、国民、友人……さまざまなステークホルダーがいる中で、あなたは14日間、決断を重ねることになります。1周(ゲーム内の14日間)は、おおよそ2時間前後で終わるため、手軽にプレイできるでしょう。また、クリアすると登場人物が増え、物語に変化が生じます。時には登場人物の一人と恋に落ちることも。14日後のノヴィスタン、そして自分自身がどうなっているのか、確かめてみてください。
《ばかいぬ》
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