古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第70回目は、美麗なグラフィックに映画のような演出の本格武侠バトルアクションRPG『The Wind Road 紫塞秋風』をお届けします。

連載・特集 特集
古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】
  • 古代シルクロードをモチーフとした本格武侠ARPG『The Wind Road 紫塞秋風』【中華ゲーム見聞録】

中華ゲーム見聞録」第70回目は、美麗なグラフィックに映画のような演出の本格武侠バトルアクションRPG『The Wind Road 紫塞秋風』をお届けします。

本作は甘粛嘉元数字科技有限公司が開発し、鳳凰遊戯によって2020年7月10日にSteamで配信されました。甘粛嘉元数字科技有限公司は中国・甘粛省蘭州市を拠点とするデベロッパーです。甘粛省は中国の西北部に位置しており、「河西回廊」と呼ばれる、西域と中国との重要な交易路になっていました。三国志に詳しい方なら、「涼州」と言えばわかるでしょうか。馬超らが活躍していたあたりですね。

河西回廊を北西に抜けると、小説や映画の舞台にもなったオアシス都市・敦煌にたどり着きます。これら東西交易路は、広義的に「シルクロード(絹の道)」とも呼ばれています。中国から絹が輸出されていたことから付けられた名前ですが、物だけでなく宗教や文化、技術、哲学、科学なども東西に伝搬されてきました。


本作は架空の古代中国、シルクロードを舞台とした武侠アクションRPGです。現地のデベロッパーだけあって、背景やその空気感はリアリティのあるものとなっています。音楽は地元である蘭州市の有名バンド「低苦艾」が担当しているとのこと。いったいどんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう。

美麗で幻想的なグラフィック



ゲームを開始すると、まずは難度選択です。茅盧(イージー)、了然(ノーマル)、宗師(ハード)の3種類が用意されています。本作は『ダークソウル』のようなバトルアクションが中心のゲームで、難度は高め。イージーでもきついとのことなので、とりあえずイージーにしておきます。


ナレーションとともに、空中から落下してくる主人公。提灯の質感やそこから透過する中の光がやけにリアルです。主人公が誰なのか、ここがどこなのかは一切語られません。ただ、武林(武術界)において、修練者が邪道に陥ってしまうという恐ろしい武術書がある話がなされます。

「武侠物」における「武術書」は、ファンタジーにおける「魔術書」のようなものです。習得すると武術を超えて、もはや魔術と言っていいレベルの技を習得できたりします。武侠物の映画やドラマを見たことのある方なら分かると思いますが、空を飛んだり、手から火焔を飛ばしたり、空中で剣を飛び回らせたりといったものですね。


浅瀬に落下した主人公は、立ち上がってよろよろと歩き始めました。状況からしてここは精神世界で、主人公は自分の心にある「魔」と戦おうとしているようです。武術書を習得した影響なのでしょうか。主人公の名前は「孟荊」と言うようです。

ちなみに中国における「武侠物」は、欧米における「SF」や、日本における「ライトファンタジー」のように、安定した人気のあるジャンルとなっています。「とりあえず武侠物を出しておけばコケにくい」みたいな感じで、映画や小説、ゲームなど、各分野の題材としてよく使われています。

近年は実際の歴史よりも、架空の古代中国を舞台にした武侠物が多くなっていますね。中国では「歴史改ざん禁止令」のようなものが出されており、創作で歴史を扱う場合、史実に沿わなくてはならないことになっています。特に歴史的に有名な人物の行動を改ざんすることは許されません。そのため、武侠物が架空の古代中国に逃げ道を作るのも、仕方のないこととも言えます。


本作は操作が結構特殊で、パッドの場合、決定ボタンにはLBを使います。地面に落ちているアイテムを拾ったり、障害物を破壊したりするときもLBですね。またジャンプや障害物の乗り越えは右スティックの押し込みと、これも慣れない操作です。

というのも、本作ではパッドのA,B,X,Yボタンはすべて攻撃アクション用に使われるからです。多彩な中国武術を表現するため、技を多くしてモーションにかなり力を入れているわけですね。



拾ったアイテムは立体的に見回すことができます。また、拾った素材を合成して新しいアイテムを作り出すことも可能。レシピ自体はすでに用意されているので、素材が集まればすぐに作成できます。

バトル開始!



道中で剣を手に入れた孟荊。これはバトル開始の合図ですね。本作では剣を使った戦いが中心になります。ちなみに武侠物自体、素手よりも剣での戦いが多い感じです。特に、しなりのある「軟剣」がよく使われます。


桟橋の奥まで進むと、画面が切り替わってバトルが始まりました。チュートリアルのようなものはなく、いきなり戦わされます。敵が「心魔」という名前なので、やはり精神世界なのでしょう。

操作方法ですが、RTでローリング、RBで防御、LTで回避(短距離ダッシュ)、A,B,X,Yボタンは攻撃です。さらに十字キーの左右上下で武術の型を切り替えられるので、攻撃技は4X4の16種類あることになります。随分多いですね。


相手はザコ敵ですが、生意気にもしっかりブロックしたり避けたりしてきます。攻撃の種類がありすぎて、どの攻撃が有効なのかがそもそもよくわかりません。とりあえずAボタン攻撃の発生が速いので、これを中心に戦っていきます。

それと、画面の左上に表示されている赤いバーがプレイヤーの体力です。青のバーはスキルポイント、白はスタミナになります。走ったりなどのアクションをするとスタミナは減っていきます。


戦いの最中、特定のボタンを押すよう指示が出る場合があります。いわゆるカウンター技やフィニッシュ技で、うまくボタンを押せれば相手に大ダメージをあたえられます。強い敵相手の場合は、タイミングよく防御してからのカウンターを狙っていかないと、なかなか倒すことができないでしょう。


3人のザコ敵を倒し終えたのち、今度はコンボ攻撃のチュートリアルが入りました。「A→A→A→B→X→Y→LT」と、そこそこ長いコンボです。しかも、ただ連打していればいいだけでなく、一部はヒット確認をしないとうまく繋がりません。格闘ゲームをやっているような感じですね。


次はさらに複雑で、型も変えていかなくてはなりません。先程、十字キーが4つの型に対応しているといいましたが、それらの型をすべて駆使するコンボです。まず十字キーの上の型で「A→A→A」を、その後十字キーの左の型に切り替えてまた「A→A→A」、同じように下と右の型でも「A→A→A」をした後に「B→Y」です。これもヒット確認してからの切り替えが必要です。



奥の方へ行くと、ボスキャラと思われる敵「看門羅漢」が出てきました。敵はしっかり防御してくるので、カウンター攻撃を見逃さないようにしてダメージをあたえる必要があります。中国の伝統音楽のようなBGMが戦闘にマッチしていますね。


看門羅漢を倒した後、背景が切り替わって、どことなく仏教色の強いものになりました。ちなみに中国武術は、仏教寺院である少林寺から発達してきた歴史があります。伝説では達磨大師が少林寺に来て禅を教える際、僧たちの体力向上に鍛錬法を伝え、それが「羅漢十八手」という少林拳の基礎に結びついたといいます。



さらに奥に進むと、「長須羅漢」という敵が出現。この敵もかなりしっかり防御してくるため、ボタン連打だけでは崩せません。敵の攻撃をタイミングよく防御しつつ、カウンターなどを狙っていきましょう。

西方のリアルな街並み




長須羅漢とのバトルが終わるとオープニングのクレジットが流れ、7日前に話が戻ります。背景が作り込まれていて、中国西方の雰囲気が出ていますね。主人公の孟荊は、ここの酒場の女将さんに会うために、東方からやってきたようです。ゲームはフルボイスで会話が行われます。



なかなか生活感のある街並みで、牛や馬などの動物もやけにリアルです。道でたむろしている人たちの会話もすべてボイス入りという凝りよう。中国版の『スカイリム』といった感じでしょうか。ただ、道のり自体はほぼ一直線ですね。


目的の酒場では、2人の男がジャンケンのようなゲームをしています。負けた方は酒を飲まなければなりません。現在の中国でも、食堂や酒店などに行くとたまに見られる光景です。すごい大声で遊んでいるため、まわりにはかなり迷惑だったりします。あと顔が青ざめるまで飲んでたりするので、見ていて怖いです。



女将さんは酒場にいないようです。酒場の椅子に座って2階を見ると、2人の男が争っているのを見つけました。それから突然、片方の男が、もう1人の男を刺して逃げ出しました。孟荊はすぐに立ち上がり、刺された男を助けに2階へ向かいます。しかし男はすでに息を引き取っていました。


酒場の裏から外に出ると、先程男を刺した犯人と、その仲間がいました。追いかけてきた孟荊を相手に戦闘が発生。こいつらはそれほど強くなく、楽に倒すことができました。よく見ると孟荊のHPの最大値が少なくなっていますし、型の種類も4種類から2種類に減っていますね。今は7日前の話なので、強さが違うのでしょう。

鍵を手に入れろ!



戦闘が終わって酒場へ戻ろうとすると、途中で大男が登場。手に持ったニワトリの喉にそのまま食らいつき、ワイルドにも血を飲み始めます。先程の悪党たちとは関係がなく、酒場の料理人のようです。


事件のあった2階に戻ってみると、先程の死体がきれいさっぱり消えていました。いったい誰が運び去ったのでしょうか。とりあえず女将さんが酒場に戻ってくるのを待って、話を聞いてみることにしましょう。


酒場の椅子に座って待つこと1時間。女将の鞠二娘が現れました。追いかけて自己紹介をしたところ、女将さんは「孟家の子だね」と言い、とりあえず「天字房」という部屋で休むよう言われました。渡したい物もそこにあるそうです。部屋の鍵は、外にいる従業員が持っているとのこと。さっそく向かいましょう。


従業員は先程の料理人の部屋の前にいました。魚の入った水桶を届けに来たといいます。鍵について聞くと「料理人が持っている」とのこと。ただ、あの料理人は気性が荒いので、自分で何とかしてくれと言われました。



先程の従業員が持ってきた桶を取ってみたところ、突然建物から料理人が飛び出してきました。こちらにしゃべる暇もあたえず、肉切り包丁を振り回しながら、すごい勢いで襲い掛かってきます。気性が荒いにもほどがあります。そして攻撃速度も速く、恐ろしく強い。


そしてまさかの初ゲームオーバー。武侠者なのに、酒場の料理人に圧倒されて負けてしまいました。というか、精神世界で戦った羅漢たちよりもはるかに強い気がします。どうしたものか……。


次は桶に触らず、直接料理人の家に侵入してみました。しかし入った瞬間、料理人がすぐに襲い掛かってきます。あっという間にHPが削られ、またもや殺されてゲームオーバー。勝てる気がまったくしません。


ゲームオーバーを何度か繰り返しつつ、試行錯誤して作戦を思い付きました。水桶を取った瞬間に逃げ、身を隠します。料理人が出てきたら、気付かれないように家の中へ。どうやら正解だったようで、侵入に成功しました。何だか『Hello Neighbor』のような鬼ごっこ系ホラーゲームをやっている感じです。


怖い人が戻ってくる前に急いで鍵を探します。建物内には多くのアイテムが落ちていますが、なかなか鍵が見つかりません。2階に登って、やっとのことで鍵を発見しました。捕まる前に急いで立ち去りましょう。


天字房の鍵を開けに行く前に、女将さんに先程の2階での殺人事件を報告しました。死体が消えたことも言いましたが、女将さんは「何も不思議はないわ。ここで人が死ぬことは、ネズミが死ぬこととあまり変わらない。そんなことより、早く部屋で休んでらっしゃい」と気にしていない様子。この世紀末感あふれる西方で、果たして孟荊は生き残れるのか。続きは自身の目で確かめてみてください。

中国ゲーム業界の開発力を感じさせる作品


本作の特筆すべき点は、やはり作り込まれたそのグラフィックでしょう。幻想的で生活感のある古代シルクロードの雰囲気が良く表現されています。甘粛省のデベロッパーとのことですが、今やデジタル分野においては、地域差はほとんど無いようなものですね。

アクション性の高い戦闘についてですが、技が本当に多く、様々なアクションを繰り出せます。ただその反面、複数の型の切り替えなどもあり、ちょっと多すぎるかなという気もしました。慣れるといわゆる「魅せプレイ」みたいな芸当もできるのかもしれませんが、筆者の腕だとそこまでたどり着くのは難しそうです。


主人公のその後ですが、倒した殺人犯たちの仲間が復讐にやってきます。武侠物の定番とも言えますが、因縁が因縁を生んでどんどん話が大きくなっていきますね。西方というだけあって、どことなく『レッド・デッド・リデンプション2』のような「西部劇」のノリも感じられます。中国版西部劇といったところでしょうか。

現在のところ、本作は中国語と英語のみです。アクション中心のゲームではありますが、本記事で紹介したようにアドベンチャーパートも多いので、ある程度内容を把握しないと次にどこへ進んでいいのか、わからなくなるかと思います。中国語か英語ができないとプレイは厳しいかもしれません。何にせよ、中国ゲーム業界の開発力と未来を感じさせる作品でした。

製品情報


    『The Wind Road 紫塞秋風 』


    開発・販売:甘粛嘉元数字科技有限公司、鳳凰遊戯
    対象OS:Windows
    通常価格:3,090円
    サポート言語:中国語(簡体字・繁体字)、英語
    Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1264670/The_Wind_Road/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、繁体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter
《渡辺仙州》

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top