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ドイツゲーム大賞受賞の野鳥集めボードゲーム『ウイングスパン』デジタル版の魅力に迫る!【爆速プレイレポ】

「ドイツゲーム大賞」「ドイツ年間ゲーム大賞・エキスパート賞」をダブル受賞した、野鳥を自分の自然保護区に集めるボードゲーム『ウイングスパン』デジタル版の爆速プレイレポをお届けします。

連載・特集 プレイレポート
ドイツゲーム大賞受賞の野鳥集めボードゲーム『ウイングスパン』デジタル版の魅力に迫る!【爆速プレイレポ】
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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」です。

今回はMonster Couchが開発し、同社とStonemaier Games, indienovaによって2020年9月18日にPC(Steam)向けにリリースされた『WINGSPAN (ウイングスパン)』デジタル版について生の内容をお届けします。ニンテンドースイッチでも今年秋に配信が予定されています。北米ストアページでは、サポート言語に日本語が記載されていますね。

本作のボードゲーム版は2019年に発売され、同年の「ドイツ年間ゲーム大賞・エキスパート賞」と「ドイツゲーム大賞」を受賞しています。この両者はどちらもボードゲーム界では権威のある賞で、「ドイツ年間ゲーム大賞」は専門家による選出、「ドイツゲーム大賞」は一般のゲームファンによる投票で受賞作が決まります。これを同時に取ったということは、専門家からもゲームファンからも太鼓判を押された作品と言えます。

『ウイングスパン』のトレイラー

本作の内容ですが、簡単にいうと自分の自然保護区に多くの野鳥を集めるのが目的です。最大5人までプレイ可能。本作には様々な鳥がカードとして登場し、その数なんと170種類です(ダブリ無し)。

鳥カードにはそれぞれ、その鳥のトリビアまで記入されていますので、プレイしながら鳥に関する知識まで身に付くというお得感もあります。しかも、日本語がサポートされているのも嬉しいところ。ボードゲームの日本語版は、2019年10月にアークライトから発売されています。

本作のゲームデザイナーであるエリザベス・ハーグレイヴ氏は自然を愛し、夫と共にバードウォッチングをしているときにアイディアを得たと言います。氏は2018年に「花」をテーマにした『Tussie Mussie』、今年には「蝶」をテーマにした『Mariposas』といった「自然」に関するボードゲームをリリースしています。本作は前述したように「鳥」がテーマですが、いったいどのような作品なのでしょうか?その内容と魅力に迫っていきましょう。

『ウイングスパン』の実内容に迫る!



本作のオフラインプレイでは、遊び方を学べる「チュートリアル」、一般のプレイモードである「カスタムゲーム」、そして「オートマ」が選べます。実は本作のボードゲーム版は、ソロプレイでも遊ぶことができるように作られています。そのソロプレイの対戦相手を「オートマ」と言います。

具体的には、オートマデッキからカードを引いていき、それに対応したアクションを行わせるというものです。これが案外強かったりします。人気戦略ボードゲーム「サイズ -大鎌戦役-」もそうですが、近年はソロプレイにも対応したボードゲームが増えている印象です。「対戦相手がいない……」という方でも、ボードゲームが買いやすくなったとは思います。

平和そうなゲームなのに、「ここで大事なのは鳥ですが、同じく重要なこと……それは勝つことです」と弱肉強食の何たるかをまず叩き込んでくるチュートリアル教官のロビンさん。

「チュートリアル」では、ゲームの遊び方について解説してくれます。また、パッドでの操作にも対応しています。ゲームの概略ですが、前述したように「多くの野鳥を自分の自然保護区に集める(=配置する)こと」です。

配置された野鳥は、それぞれ特殊能力を発動することができます。配置されている野鳥が多いほど、発動する能力も多くなるというコンボ的な気持ちよさがあります。また得られるボーナスも野鳥の数に応じて多くなるため、野鳥を配置すればするほど強くなると思ってください。最終的に勝利点が一番多いプレイヤーの勝ちです。

ゲームは4ラウンドあり、1ラウンドは8ターン、2ラウンドは7ターン、3ラウンドは6ターン、4ラウンドは5ターンで構成されています。合計26ターンで、そこそこ時間のかかるゲームです。一応重量級ボードゲームの部類ですが、やること自体は案外シンプル。先にゲームの流れをざっと見ていきましょう。


自分のターンでやることですが、「鳥カードを場に出す」「鳥の餌を獲得する」「鳥の卵を獲得する」「鳥カードを獲得する」の4つのアクションの内、どれか1つを選択。

鳥カードを場に出す」のアクションですが、プレイヤーそれぞれの自然保護区には「森」「草原」「湿地」の3つのエリアがあり、鳥カードはそのいずれかに配置することになります。鳥によって配置できるエリアは決まっており、一つのエリアにつき最大で5枚の鳥カードが配置可能。また鳥カードには勝利点が書かれており(鳥によって点数が違います)、ゲーム終了時の得点計算に使われます。

鳥の餌を獲得する」のアクションでは、森エリアに配置された鳥カードの数に応じて、もらえる餌の数が増加。他のアクションについても同じ要領で、鳥カードを配置すればするほど、1回のアクションで多くのリターンが得られるシステムになっています。餌は鳥カードを場に出すときのコストとして使用されます。


鳥の卵を獲得する」のアクションでは、草原エリアに配置した鳥カードの数に応じて、多くの卵が入手できます。またゲーム終了時に、卵1つに付き1勝利点追加されることも見逃せません。勝利点の多いプレイヤーの勝ちなので、多くの卵を得ることが勝利の鍵となります。

得られた卵は鳥カードの上に載せていきます。それぞれの鳥カードには載せられる卵の上限が設定されており、大型の鳥ほど、卵が少ない傾向にあります(実際の鳥のデータに基づいて設定されているとのことです)。


鳥カードを獲得する」のアクションでは、湿地エリアに配置した鳥カードの数に応じて、多くの鳥カードが得られます(最大3枚)。鳥カードは、すでにオープンされている3枚のカードから選ぶか、もしくは鳥カードの山札の一番上から取ることができます。

ゲーム終了時には、「卵の数」「鳥カード」「各ラウンドごとの順位(後述)」などで得られる勝利点を合計し、もっとも多いプレイヤーの勝ちとなります。ゲーム自体は、先程紹介した4つのアクションの内の1つを行うというだけの、極めてシンプルなものです。

魅力の鳥カード!



本作の売りともなる170種類の鳥カードですが、実際の生息場所や餌の種類が取り入れられていることも特徴の一つ。また、タイトルともなっている「ウイングスパン(翼長。鳥の大きさを表す数値)」も記載されています。

画像にあるカロライナコガラですが、「森」に生息し(森エリアにしか配置できない)、餌は「無脊柱動物」か「種」(配置するときのコスト)、翼長は20cmということが分かります。

また鳥の能力や巣の形、卵の保有数といったデータも現実に則して設定されています。カード左上にある羽根マークの左の数字はゲーム終了時に得られる勝利点です(カロライナコガラは2点)。右クリックをすると、カードのテキストが鳥に関するトリビアに変わります。カードを左クリックでその鳥の鳴き声が聴けるのは、デジタル版ならではの仕掛けですね。


鳥カードを場(自分の自然保護区)に出す場合、前述したようにコストとして餌が必要です。本作のチュートリアルでは「餌箱」に関する具体的な説明がないので、補足しておきます。ボードゲーム版ではゲーム開始時、餌のマークが描かれた5つのダイスを、巣箱の形をしたダイスタワーの上から入れます。落下したダイスは、下にある「餌箱」と呼ばれるトレイの中に入ります。これが本作の「餌箱」です。

プレイヤーが「鳥の餌を獲得する」のアクションを実行したとき、餌箱から欲しいダイス(餌)を取ります。前述したように、森エリアに置かれている鳥カードが多いほど、たくさんのダイスを取れるのです。餌箱のダイスが無くなるか1種類になってしまったら、5つのダイスを振り直せます。


カロライナコガラ」を森エリアに配置してみましょう。そのためには、餌(コスト)として「無脊柱動物」か「種」が必要です。勝利点の多い鳥カードは、その分必要な餌も多くなります。例えば「ハクトウワシ」は餌として「ネズミ1匹と魚2匹」が必要ですが、勝利点を9点も得られます。


次は「餌を獲得する」を実行。カロライナコガラが森エリアに配置されているので、餌を取ってもまだターンは終わりません。カードに「激活時」と書かれている場合、その能力を発動します(一番右の鳥カードから順に処理。発動したくなければしなくてもOK)。

カロライナコガラの能力は、「種1を獲得し、カードの上に載せる」というものです。カードの上に載せられた餌は、ゲーム終了時に1つにつき1勝利点が得られます。


鳥によっては、「捕食者」の能力を持っているものもあります。例えば「アメリカフクロウ」は、能力発動のたびに「鳥カードの山札の一番上から一枚引き、翼長が75cm未満なら本カードの下に差し込む」ことが可能です。差し込まれたカード1枚につき、ゲーム終了時に1勝利点が得られます。


また、ボーナスカードを引く能力を持った鳥もいます。「ベルモズモドキ」はボーナスカードを2枚引き、1枚を手元に残せます。ボーナスカードは、例えば特定の巣の形を持つ鳥の数に応じて、ゲーム終了時に追加得点がもらえるなど、様々な効果を持っているのが特徴です。

本作の面白さというのは、やはりこれら鳥カードによる能力発動ですね。鳥カードが場にたくさん並べば、アクションのたびに多くの能力が発動され、コンボのような爽快感があります。


各ラウンドにはランダムでラウンドボーナスが設定されます。例えば今回、1ラウンド目は「森エリアに配置された鳥カードの数」です。1ラウンド終了時で1位のプレイヤーは4点、2位は1点、3位以下は0点です(ラウンドによって点数は異なる)。プレイするときは、ラウンドボーナスの順位も意識していきましょう。

対戦してみよう!



だいたいの遊び方が理解できたら、対戦をしてみましょう。今回はAIを入れた3人プレイでの対戦をしてみます。これもチュートリアルで説明が無い部分なのですが、ゲーム開始時、それぞれのプレイヤーは5枚のカードと5種類の餌がもらえます

プレイヤーはこれら中から、手元に残したいカードか餌を合わせて5つ選びます。できればゲーム開始後に、1枚以上の鳥カードがすぐに出せるよう、手元に残すカードと餌を考えましょう。今回は鳥カード3枚、餌2個を残しました。


ボーナスカードも2枚配られますので、どちらか1つを選びます。最終ラウンドが終わった後の得点計算に使われますので、達成しやすそうな方を選択するのがいいでしょう。これでゲームスタート時のセットアップは完了です。


ゲームスタート。ノーコストで、しかもどのエリアにも配置できる「カリフォルニアコンドル」があるので、さっそく草原エリアに配置。「打出時」と書かれているカードは、カードを出した時点で1度だけ能力が発動します。

カリフォルニアコンドルは「打出時、ボーナスカードを2枚引き、その内の1枚を獲得」という能力。カード自体の勝利点は1点と低いですが、コスト・能力的には良いカードです。トリビアを見てみると、「1980年代には22羽まで減少しましたが、現在は200羽まで回復」という絶滅危惧種です。貴重な鳥を保護しましたね。


次に「カタアカノスリ」を森に配置。スズメっぽくて可愛く見えますが、実はタカ科の鳥で、ネズミを餌とします。捕食者であり、「激活時、鳥カードの山札から1枚引き、翼長が75cm未満ならカードの下に差し込む」ことが可能です。

現在手札に「大鳥の専門」というボーナスカードがあり、「翼長65cmを超える鳥」を集めることでボーナス点が得られます。カルフォルニアコンドルもカタアカノスリも65cm以上なので、このまま大型の鳥をメインに集めていきましょう。


オウサマタイランチョウ」のカードを獲得して湿地に配置。第1ラウンド終了時に争われるラウンドボーナスは「『鉢状の巣』を持つ鳥カードの上にある卵の数」です。オウサマタイランチョウは鉢状の巣なので、ラウンドボーナスも狙っていきたいところ。ちなみに配置された鳥のイラストは動きます。これもデジタル版の良さですね。


森エリアで餌獲得のアクションをします。餌を得た後に、カタアカノスリの捕食能力が発動。鳥カードの山札から1枚引き、翼長75cm未満だったので捕食成功。カタアカノスリのカードの下に差し込み、ゲーム終了時に1枚1勝利点になります。


カードに「次の手番までに1回」と書かれているものは、対戦相手の行動によって効果が得られるものです。先程配置したオウサマタイランチョウの能力は、「次の手番までに1回、他のプレイヤーが森エリアの鳥をプレイしたときに、餌(無脊椎動物)を1個得られる」というもの。これが発動し、ターンを消費せずに餌が得られました。能力発動が決まると気持ちいいですね。


第1ラウンド終了。ラウンドボーナスで1位になり、4勝利点をゲット。残るはあと3ラウンドです。現在のところ勝利点の合計値も1位ですが、このまま最終ラウンドまで逃げ切れるでしょうか。続きはぜひとも自身の手でプレイしてみてください。

何度でも遊びたくなる野鳥集めボードゲーム


本作は、多くのゲーマーたちには馴染みの薄い「鳥」というジャンルを扱ったものですが、さすがドイツの権威あるボードゲーム賞をダブル受賞しただけあって、ゲーム自体の面白さは折り紙付きです。

ルール自体は、4つのアクションから1つを行うというシンプルなものですが、鳥カードの能力やその相乗効果、ラウンドボーナスやボーナスカードによる勝利点の獲得など、様々な勝ち筋が用意されていることで、「簡単に学べて、奥深いプレイ」という理想的なボードゲームに仕上がっています。ゲームプレイも気軽かつ平和的なものなので、特に家族でプレイするには最適でしょう。


ゲームプレイ中に登場した鳥カードは、カードギャラリーで眺めることもできます。170種類の鳥たちが登場するので、ギャラリーのコンプリートを目指すのもいいでしょう。本作は、野鳥好きな人にはもちろん、興味が無いという方にもおすすめのできる作品です。本作をプレイすることで、新たな世界に足を踏み入れることができるかもしれません。ぜひとも一度遊んでみてください。

タイトル:ウイングスパン
対応機種:PC(Steam
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2020年9月18日
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格:2,050円

《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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