本作の半分ほどはカナダ、アメリカ、メキシコを旅しながらバンの中で開発―俯瞰視点レース『art of rally』開発者ミニインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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本作の半分ほどはカナダ、アメリカ、メキシコを旅しながらバンの中で開発―俯瞰視点レース『art of rally』開発者ミニインタビュー

シンプルながらもカラフルで美しいビジュアルが特徴です。

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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Funselektor Labs開発、PC/Mac/Linux向けに9月23日リリースされた俯瞰視点レース『art of rally』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、美しいビジュアルが特徴の俯瞰視点のレースゲームです。かつてラリーシーンを彩った、1960年代から80年代のグループBからSまでの特徴的な50台以上の車が登場。キャリアモードでは、フィンランド、サルディーニャ、ノルウェー、日本、ドイツまでの総数60ステージによりラリーの黄金期を追体験できます。日本語にも対応済み。

『art of rally』は、2,570円で配信中





――まずは自己紹介をお願いします。

DuneFunselektorのDuneです。私たちはカナダ・バンクーバーを拠点とする小さな開発スタジオで、私のキャンピングバンの中が主な仕事場です。チームの他のメンバーは、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、アメリカと、世界各地にいます。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?

Dune2015年、ミニマリスティックなドリフトゲームであり、私のデビュー作である『Absolute Drift』をリリースした後に本作の開発がスタートしました。私は『Colin McRae Rally』シリーズや他のレースゲームをプレイして育ちましたので、いつか自分でも同じようなゲームを作ってみたいと思っていたのです。『Absolute Drift』はクリアすると本作のヒントを見ることができますので、実際に作らなくてはいけないように自分を追い込んでいました!『Absolute Drift』のような感じでラリーゲームを作るのはとても難しく、本作の開発には何年もの勉強と実験が必要でした。

2017年、私はカーゴバンをベースにキャンピングバンを作り、机と電源を取り付けました。ですので、本作の半分ほどは私がカナダ、アメリカ、メキシコを旅しながらバンの中で作ったことになります。旅の中で見た美しい景色が、本作の背景にも生かされていますし、このようなゲームの作り方というのもクレイジーで楽しかったです。


――本作の特徴を教えてください。

Duneハンドリング、アートスタイル、そしてサウンドトラックが本作を特徴付けているでしょう。本作のハンドリングは『Absolute Drift』のシステムと同じもので、本物の車の挙動をシミュレーションしていますので、本物の車の運転スキルが要求されます。とはいえ、ゲームとシミュレーションの中間のように調整しています。

アートスタイルはミニマリスティックで、自然を独特なスタイルで描いています。シンプルな形や明るい色を採用しているので、迷ってしまうようなことはありません。

サウンドトラックはTatrealによるもので、シンセウェイヴスタイルです。エネルギッシュで、楽しく、アグレッシブで、80年代の音楽を思い出させます。車の激しい走りや明るい色のランドスケープを盛り上げながらも、耳障りにならず、ゲームに集中できるのではないでしょうか。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Dune本作は『Absolute Drift』と『Colin McRae Rally』シリーズ、そして『Dirt』シリーズから多大な影響を受けています。また、初代『GRID』と『Lonely Mountains: Downhill』の影響もありますし、シモン・ストーレンハーグによるアートスタイルとランドスケープにも影響を受けました。

――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?

Dune感染拡大が始まった時、当時唯一の開発者だった私はアリゾナ州フェニックスにいました。ちょうどビザが切れそうだったので、カナダに戻らなくてはならないという状況でした。その後、オーストラリアとニュージーランドの開発チームを雇ったのですが、彼らは3月からロックダウンすることになり、大変だったと聞いています。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?

Duneはい、自由にしていただいて結構です。制限はありません!

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Dune私たちが作るゲームは、日本からの影響が多くあります。『Absolute Drift』にも日本のロケーションがありますし、本作ではサクラの木や峠道が登場します。今年、京都で行われるはずだったBitSummitにはパンデミックのため参加できませんでしたが、いつか皆さんの住む美しい国を訪れたいと思っています。もし私たちを日本で案内(とドリフトイベントの紹介)をしていただけるような読者の方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。ステッカーをプレゼントしますよ!

――ありがとうございました。



◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に300を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
《Chandler》
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  • スパくんのお友達 2020-10-11 19:22:53
    ちょっとだけ癖のある挙動にさえ慣れれば滅茶苦茶気持ちよくて楽しい神ゲー
    車両がどれも実在した物をモチーフにしつつうまい事ミニマルに落とし込んでて秀逸だし
    色使いがメリハリ効いてて綺麗でその車両のミニマルなモデルにもピッタリ合ってる
    個人的に2020年のインディーズゲームオブザイヤー筆頭だわ

    にしてもこんな開発秘話があったとは バンで旅しながらの開発とか聞いた事無いわ 面白いなぁ
    15 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2020-10-11 14:11:26
    こういう生活に憧れる
    7 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2020-10-11 12:10:41
    俯瞰視点と聞いてスルーしていたのだけれど、
    リアル系とは違う美意識や楽しさを持ったタイトルなんだな

    それでいてリアルのラリーへのリスペクトにも溢れていて、
    過剰なリアル路線で予算もかかりすぎるレースゲーの世界に一石を投じる存在かもしれん
    14 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2020-10-11 11:42:51
    Absolute Driftと雰囲気似てると思ったら同じデベロッパーだったのね
    素晴らしい
    9 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2020-10-11 10:54:21
    このゲームまじおもろいよ 見た目ミニゲームっぽいけど挙動はかなりしっかり遊びこめるつくり
    13 Good
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  • スパくんのお友達 2020-10-11 9:40:02
    キャンピングカーで旅をしながらなんて、
    なんて素敵な働き方なのかしら…。
    18 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2020-10-11 9:08:14
    人柄の良さが伝わってくる良いインタビュー記事でしたー
    13 Good
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