新型コロナの影響で『鉄拳』新作を制作するレベルの改修を行っていた―『鉄拳7』原田プロデューサーが激動の2020年を振り返る | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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新型コロナの影響で『鉄拳』新作を制作するレベルの改修を行っていた―『鉄拳7』原田プロデューサーが激動の2020年を振り返る

『鉄拳』シリーズ総合プロデューサーの原田氏に2020年を振り返っていただきました。新型コロナウイルス感染症の拡大は『鉄拳7』にどのような影響を与えたのか―PC(Steam)での展開に注力する理由や今後の展望についてもたっぷり伺いました。

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新型コロナの影響で『鉄拳』新作を制作するレベルの改修を行っていた―『鉄拳7』原田プロデューサーが激動の2020年を振り返る
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今や世界の3D対戦格闘ゲームの代表作である『鉄拳7』。年々e-Sportsシーンが加熱しており、鉄拳生誕の地である日本や、修羅の国と呼ばれる強豪揃いの韓国、最もコミュニティの活動が活発なアメリカといった国の選手たちだけではなく、パキスタンやペルーなど意外な国から新星が誕生するドラマも大きな話題を呼びました。

『鉄拳7』はコンソールとPCで発売されてから3年が経過し販売本数は600万本を超え、プレイヤー層だけでなくe-Sportsの視聴者層も広がり、さらなる飛躍が見込まれました。しかし2020年は他のe-Sportsタイトルがそうであったように『鉄拳7』にとっても決して明るい年ではありませんでした。新型コロナウィルスの感染拡大がその理由です。

新型コロナウィルスは『鉄拳7』の開発陣や世界中のプレイヤーたちにも大きな影響を与えます。その裏側では、一体何があったのでしょうか? 今回は『鉄拳』シリーズの総合プロデューサーであるバンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏に、激動の2020年を振り返っていただきました。

新型コロナウィルスが与えた、『鉄拳7』への影響

――今年2020年は、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大もあって大きな変化があった年だったと思います。『鉄拳7』の運営や開発のほか、世界のゲームコミュニティにどれほど影響がありましたか。

原田氏(以下、敬称略)ちょうどこの『鉄拳7』に限らず、「ファイティングゲームコミュニティ」というものはe-Sportsという言葉が世に広まる前から、それこそ90年代からずっと存在していたんですね。

いわゆる(ゲームメーカーが主催する)公式大会ではなくて、ファンコミュニティが自ら開催して、大きな大会に育てていく文化がありました。最初は日本のアーケードシーンを皮切りに、アメリカ、そしてヨーロッパ、その周辺国に広がっていったという経緯があったんです。

特にこの10年の成長は目覚ましく、e-Sportsというキーワードもここ数年でかなり広まり、ゲームメーカー以外がスポンサーになるパターンも当たり前になりました。PCや配信関連の機材メーカーはもちろん、飲料メーカーのようないわゆる業界外のスポンサーですね。そういった方々も増えてきて、とても盛り上がり始めていたんです。

――確かにここ数年はプロシーンの盛り上がりが注目されてきています。

原田『鉄拳』でもこの盛り上がりを後押しする仕組みを2017年から導入していて、“TEKKEN World Tour”(以下、TWT)という世界をラウンドするツアー大会を公式で年間を通してやっているんですね。

もちろん、公式で世界ツアーを開催すること自体は珍しいことではなくて、各地域ごとに規模の大きい大会をツアー公認大会にして、F1のようにそれらの順位に応じてポイントが割り振られ、年間総合ポイントでランキングが決まるようにしました。そしてランキング上位者が最終決勝の場に集う「Finals」を開催しています。

他の格闘ゲームの世界ツアー大会と大きく異なるのは、この流れのなかで、ファンの方や、もしくは大会をオーガナイズしたいという意志を持った人が自ら大会を主催しようとしたとき、自分が開催した大会でTWTポイントが獲得できるということです。

たとえば主催者が自分の大会に選手を100人集めたとします。集めた人数に応じて、公式からTWTポイントを割り振る、というのを行ったんですよ。

要は、TWTにファンが作った大会で参加できるんです。これはすごく盛り上がりました。このシステムを「DOJO」と呼んでいるのですが、実は他社さんからも「DOJOの仕組みをマネさせてほしい」ということで、相談があったくらいでした。

DOJOの導入に至った経緯のひとつは、公認大会は限られた地域でしか開催できず、大きな集客が望めなかったり渡航が難しい地域では開催しにくかった、という点です。ですがDOJOを導入することで、世界中のあらゆる地域でTWTポイントが獲得できるようになりました。

昔は大きなコミュニティの存在をあまり見聞きしなかった中東や中南米、アフリカなどでもこのシステムを用いた大会が行われました。世界中でいろんな大会がものすごく活発に開催されるようになって、この仕組みを導入した2019年と前年までの開催数を比べると、数倍じゃきかないレベルで差ができたんです。

――……凄まじいですね。

原田すごいじゃないですか? シーズン中の週末はかならず世界のどこかでTWTの大会が行われている勢いだったんですよ。世界中で『鉄拳7』の大会を視聴しない土日がないほうが珍しいくらいに。

――ファンコミュニティ主催を利用することで各地域にTWTへの参加機会を提供し、TWTの規模を大きくするインフラを作り上げたことは興味深いです。

原田想定以上の開催申請があったので、アメリカや日本、ヨーロッパなど、各エリアのe-Sports担当者が承認作業に追われる日々が続くという嬉しい悲鳴があったのは、インフラとしては反省点ですけどね(笑)

ファンコミュニティからもDOJOシステムは好評で、「大会を開催したい」というオーガナイザーが増えました。「大会を開催してくれ!」とバンナムにお願いするだけじゃなく、自分たちで大会を開催しようという機運が高まって2年くらいが経過していた時期でした。……ちょうどそこに新型コロナの感染拡大の波が押し寄せてきたんです。

――それは辛いですね……。

原田ガーっとここ2年間くらい盛り上げてきたものが……。格闘ゲームの人気のバロメーターとされる大会「EVO」でも、普通は新作の格闘ゲームが出たら、リリースされて最初の年が一番、大会の参戦人数が多いんですね。

普通はその後、参加人数は右肩下がりになるんです。ところが『鉄拳7』は3年連続でずーっと右肩上がりで増えていったんです。そのことからもわかるとおり、世界的にフィジカルなイベントに集まる熱が高まり続けていた時期で、過去にないくらいシーンが盛り上がっていました。そこへちょうど……。

――コロナが来てしまったんですね……。

原田DOJOを導入してちょうど2年目ですね。1年目の反省を生かして、さあまた盛り上げていくぞ!という時期に、コロナがボーンと被って……。

突然、フィジカルな大会には集まれなくなってしまい、我々もTWTを延期、延期、そして中止みたいになっていって。コミュニティの大会も当初はアメリカの人はコロナに対して強気だったんですが、やっぱりダメになっちゃって。

――とくに興行は慎重に対応していますからね。

原田プレイヤー達が地域をまたいで流動できなくなって、大会もすべて中止になって……。ファンコミュニティも、みんなショックを受けていました。僕は長いあいだ世界中のファンコミュニティを相手にしているので、その反応はニュースを見るよりも(早く、詳細に)確認できる状態でした。

TwitterやFacebookって、網羅していない国はないんじゃないかというくらい、いろんな国の反応が見られるじゃないですか。こんなにある意味、世界がひとつの苦難に立ち向かったことってないと思うんです。世界中の人がマスクしていますし。こんな地球単位の逆境ってないじゃないですか。

ファンコミュニティの間では、「まあ夏くらいには収束するでしょう」という意識が国境を越えて共有されていました。夏を過ぎれば収束しているから、みんな年末はこれまで通りバリバリやれるんだという気持ちでいたのです。

でも夏が近づいてきて「いよいよこれはダメだぞ」となったとき、ゲームの仕様について、特にオンライン関連の要望が急にグワーっと来まして。「これはえらいことになったぞ……」と思いました。

『鉄拳7』は家庭用がリリースされて3年が経っており、今までもオンライン機能の要望はいただいていたのですが、たとえば「友達同士でロビーに入って対戦するときに、自分の番が回ってくるまでのタイムアウトの時間が長すぎる」とか「スキップできない」とか、以前にはあまり見られなかった部分の要望が増えたのです。

――自宅で遊ぶことが増えているから、オンラインの需要が高まったことが原因なのでしょうか。

原田そうですね。大会もオンライン開催になったし、オンラインでしか集まれなくなった結果、みんなが要望するところが増えてきたんですね。

もともとオンラインは、大会のための練習の場だったり、ストリーミングでみんなが視聴する場所だったんです。しかしそこが主戦場になった瞬間に、すごく細かい要望がたくさん来ました。

とくに大きな声として、「遠くに住む人とオンライン対戦で遊びたい」ということで、いわゆるネットコードまわりを改善してくれという要望も来ました。たとえばアメリカだと西海岸と東海岸では、時差があるくらいの相当な距離がありますよね。そういった国を跨ぐような距離があっても隣にいるようにラグなしで遊びたい、という要望がたくさん来るようになった。フィジカルな大会の中止によるショックで、ファンコミュニティからオンラインに対する要望が高まったんです。

実は今、「シーズン4」としてリリースし始めているものは、少し前までは検討していなかった項目が多いんです。

――本来は違う展開を考えていたと。

原田もうちょっとキャラクターだとかステージとか、音楽とか、コンテンツのボリュームが増える方向でした。そうしたら、(コロナの感染拡大によって)世の中のニーズが一気に変わっちゃったので。

――方針を急展開しなくちゃならないのは確かに厳しいですね。

原田それが僕らにとってはけっこう重たくて(苦笑)。ネットワーク周りの要望はアップデートで積み重ねていけばいいんじゃないか?と思う方もいるかもしれませんが、そう上手くはいかないんです。

ゲームのアップデートは、パッチを”当てる”とか“増やす”というイメージを抱くユーザーさんが多いと思います。有り体に言えば、「元の建物の屋上に上の階を建てて足していく」ようなイメージですね。ですがネットワーク周りにおいて、こと格闘ゲームに関してはそういうわけにもいかなくて。

もともとの設計でオンライン対戦にかかる負荷として、CPUとかGPUの処理負荷があります。それをギリギリまで最適化して、描画などを設計して、なんとかぴったり60フレームで快適に動くぞというところに設計しているわけです。

オンライン対戦の最適化の例として、“メモリのスクリーンショット”に関する話があります。『鉄拳7』はすべてのフレームの流れを追いかけ、メモリを通してスクリーンショットとして撮っています。そこで対戦中に何らかのラグが起きて処理がズレたとき、画面を数フレーム前に巻き戻す、いわゆる「ロールバック」と言われるプログラムを入れています。

このロールバックの巻き戻る幅は、大きくすればするほど二つの影響があります。スクリーンショットを取るということは、メモリも使うしCPU処理も使います。CPUの処理として重たいので、いわゆる処理落ちしやすくなるんです。もうひとつは、巻き戻す量が増えれば増えるほどアニメーションが汚くなってしまうんです。

――えっ、つまりキャラの動きが悪く見えるみたいな……。

原田特に『鉄拳7』は1フレーム目から秒間60コマで滑らかに動くアニメーションなんですね。2D格闘ゲームのように、かっこいいポーズを絵的に止めて作る格闘じゃない。たくさんのボーン(※3DCGモデルをアニメーションさせる骨格のこと)がものすごく滑らかに動き始め、全フレームが補完されて繋がるので、コマという概念ではなく全て繋がってしまう。

ソウルキャリバー』シリーズがわかりやすくて、刀を振った軌跡がエフェクトでスーッと出るじゃないですか。あの軌跡は僕らが描いているわけじゃなくて、プログラムでなめらかに動きを繋いで描かれています。あれが数フレーム巻き戻ることを考えると想像しやすいですが、刀の軌跡がぐにゃんとなってしまうわけですね(笑)。

――きれいな軌跡を描いていたのに、ちょっと荒れた感じになりますね。

原田スーッと行っていたものが戻るから、ぐにゃんとなるわけですよ。つまり、動きがえらく汚くなってしまうんです。さっき言った処理落ちと、アニメーションが妙なことになるという二重苦が待っているんですね。

――競技性も担保したい『鉄拳7』では、正直致命傷になる問題ですね……。

原田ここまでの話で、ネットコードをさらによくすることと、長距離間のオンライン対戦に対応するということを同時にこなさなければならない、という困難さがご理解いただけるのではないかと。

つまり、より処理負荷がかかる巻き戻しをしなきゃいけないし、よりカクつく可能性を考えなければいけないんです。ですがそれを、今までと大枠を変えずにネットコードだけを変えてしまうと、根本的な処理の見直しや処理負荷となるアニメーションをどうするかという問題が降りかかってくるわけです。

――簡単には対応できない高いレベルの要望を受けていたわけですね。

原田これがもし『鉄拳』の新作だったならば、もっともっと長距離設計にするためにネットコードと処理負荷の問題にゼロベースで向き合って対応していました。

極端な話、CPUの数%、たとえば3%しか使っていなかったものを10%に上げちゃおうと。その分グラフィックを軽く作らなきゃいけないとか、データの持ち方変えなきゃいけないとかメモリを開けなきゃいけないとかは、最初から設計すればできるんです。だけど『鉄拳7』は、もともと100%で振り切れそうになっていたんです。

さっきの例えで言えば、建物の屋上に継ぎ足すのではなく、一度外壁を剥がして、鉄骨の部分から修正しなきゃいけないようなものなんです。鉄骨の軽量化や鉄骨を足したうえで全体の軽量化、みたいなことをしなければならないので……。

――ユーザーにとっても切実な要望ですが、開発者側からしてもゲームの根本に関わる要望なので、ものすごく大変なことに取り組まれていたんですね。さらにコロナの感染拡大によって、開発作業にも多くの影響があるなかでやらなければいけないのが想像されます。

原田ハードでした。他のゲームってそういうことをやっていないじゃないですか。ネットワークに関して、シリーズの途中でそこまでの大改修をやった例はほぼないのではないでしょうか。

パッチを当ててというレベルではなくて、根本の処理の見直しが入るからです。また、おっしゃる通りコロナ禍でそれをやろうとしても、テストができないという問題もあり……。

コロナ禍以前であれば「ここまでできたから、テストでアメリカに機材を持って行って、カリフォルニアのホテルとニューヨークのホテルでネットワーク対戦だ!」ってチェックしていたんですけど、今はそう簡単に渡航できる状況ではないので。

――まさかそんな問題があったとは……。

原田渡航できないどころか、出社すらも問題がありました。出社して社内の関係者だけでもネットワーク対戦をやろうとも思いましたが、やはりこの状況でデバッガーを20人くらい集めてテストというのも簡単にはできませんでした。

――この時期だと、たくさんで集まってテストするのも困難ですね。

原田そうなんですよ。「じゃあ自宅から繋ぐ?」といっても「開発中の新しいビルドですよね?」ということになって。 世に出していないビルドを社外に持ち出したうえで、外部の回線からテストって、セキュリティ問題はどうするんだ?と。

他にも、ものすごくいろんな課題が降ってきて「なんなんだこれは!」と。ちょっと前振りが長くなりましたけど、要はそういう状況でコミュニティも困っていたし、僕らも解決すべき問題が大きくて。本当……(少し間を置いて)本当に、そういう意味で、影響があったかと言われると、ありましたよ。方針からやることまで全部ガラッと変わりましたね。

――ちょっと極端な例えになりますが、ここまでのお話をうかがってみて、ある意味で続編を作るくらいのパワーをかけなきゃいけない状況にも感じました。

原田そうですね、続編を作るとしたらこういうことが求められるだろうから今からテストしよう、みたいなことをやるとか(笑)。そういう意味ではまだ救いがあったのかもしれないですね。

今、ネットワーク周りが『鉄拳』シリーズ史上いちばん評価が高いので、Steamの評価までバーッと上がっちゃって(笑)。リアルタイムでどんどん上がってスコアも上がっていって、みんなが「最高の出来だ!」って言ってるんで、今後も生かせるノウハウを蓄積できたという意味ではよかったんですけど。

『鉄拳7』をPCで展開してゆく目的とは

――今月12月は、「TEKKEN Online Challenge Japan」と「MASTERCUP TRY ONLINE 2020」のふたつの公式大会が開催されています。これらはPC(Steam版)の大会ということもありますが、『鉄拳7』をPC展開する意義についてうかがえますか。

原田もともと「PC版を出してほしい」という要望はずっとあったんです。今まではコンソールオンリーだったので。それで『鉄拳7』ではじめてPC版を出したんですね。じつはコンソールはゲームプラットフォームの中でもメジャーな存在ですが、行き渡っていない国もたくさんあるんです。

PCじゃないと遊べないって国って、本当にいっぱいあったんですね。まずそういう地域のファンコミュニティが「ようやく鉄拳ができる!」って喜んでくれたんです。彼らにとってはコンソールを手に入れるほうが難しかったりします。

――なるほど、PC展開が地域格差を解消する意味もあったんですね。

原田あとは僕自身がまさにPCゲーマーだったりするんです。僕みたいなPCゲーマーからすると、いろんなグラフィックのオプションからサウンドまわりも含めてカスタマイズできる環境で遊べるわけですから、ハイエンドな環境で遊びたい人たちはすごく喜んでくれました。

けっこう面白いのが、PCってお客さんの振れ幅がすごいんですね。「PCゲーマーだから一様にこういう反応」みたいなものがなくて。その人の趣味の領域の幅と経済的な幅があって、ハイエンドからローエンドまで本当に様々な反応がある市場で、すごく面白いんです。

特に『鉄拳7』をPCで出す意義としては、世界中のすべての人にリーチできるってことが大きかったです。大会もPCだと、たとえばコンソールやデスクトップをたくさん用意するのはハードルが高いですよね。だけど最近はゲーミングノートPCがここ数年ですごく普及して、ほとんど統一規格みたいなものに近いものもできつつあって、このスペックなら大会で運用しても劇的にトラブルが減るんじゃないか、と。デスクトップPCのときは、そもそもPCの中を覗いてみたらデスクトップごとに機械構成が違うみたいなこともありましたからね。 

――PCごとに全然スペックが違っているものが集まるなんてことがあったんですね。

原田そうそう、「違うじゃん! スペックが!」と(笑)。えらい古い人と新しい人だったら、トラブルにも差が出るじゃないですか。たとえば電源が古い人もいるわけで、そりゃあかんやろというのがあったんですけど。ゲーミングノートPCが今以上に広まったとき、そうした不安というのが運営する人にとってもかなり払拭されるんじゃないかというのと、ユーザー自身もどんなPCを買えばいいのかわからないという問題が解消できると思います。

デスクトップだったら「CPUはなに?」「メモリはなに?」とか、「ハードディスクはなに?メモリは相性があるからこれにしたほうがいいよ」とか小難しいアドバイスを聞かなきゃいけなかったんですが、ゲーミングノートPCだと、たとえばどこのメーカーでこんなスペックだけ決めればだいたい同じようなものが買えるじゃないですか。それくらいハードルが下がって、ユーザーも大会を開きやすくなるだろうし、参加しやすくなると思います。

大会に参加した人も、大会で見たり触ったりしたPCがよかったねと言ってそれを買う、ということも増えてくると思います。

――そういう相乗効果もありそうですね。

原田汎用性が高くなって、一気に間口が広がって、大会を運営しやすくなるというところが大きい。

――最後の質問になりますが、今後の『鉄拳7』の展開についてはいかがでしょうか。

原田従来の計画通りに事が進んでいたら、いろんなコンテンツのアップデート展開などがもっと早かったと思います。新型コロナの感染拡大の影響で、僕らの予定していたことがだいぶ遅れていたので、今は急ピッチでいろんなことを巻いて準備しています。

3年前には考えられなかったのですが、実はシーズン2まで出したら終わる予定だったんです、『鉄拳7』は。今はシーズン4まで来ちゃっている。

――あらためてなんですが、原田さんが他のメディアで語られていることも含めて、『鉄拳7』チームの皆さんは前例のない道を進んでいるようにも見えます。

原田そうですね。だから販売本数のペースが落ちないのかなと。販売本数って会社にとって一番わかりやすいバロメーターじゃないですか。このあいだ600万本達成の発表をしたんですが、その後もペースが落ちずにもうすぐ700万本を達成しそうなんです。

――おお、それは凄まじいですね。

原田そんなレベルで順調に伸びているので、僕らとしては運営の手を緩めるわけにはいかなくなってしまったというのもあって(笑)。

本来なら少しづつ作品の人気も落ち着いてオンライン率も下がっていき、一息つくような形でまた次の展開を考えているような状況だったはずですが、逆にみんながオンライン対戦をするようになり、結果としてありがたいことに忙しくなっている状況です。

今後の展開としては、まだ内容を明かしていないコンテンツもありますし、大会のサポートだけではなくて、普段のゲーム対戦が面白くなるようにできるだけバランスの調整も含め、頻度を高くアップデートしていきたいと思っています。

新型コロナウィルスについてワクチンの話が出ていますが、そこから収束するまでにはまだ時間がかかると思うので、少なくとも収束するまでは楽しんでいただける自信を持ってやっています。そこは期待してください。


あらためて原田氏のお話からうかがえるのは、3D対戦格闘として最前線を行く『鉄拳7』が未踏の地を歩み始めている状況でした。

TWTがいかに活況となったかの仕組みと、それと入れ違う形で新たに改善の声が大きくなったオンライン環境の整備、プラットフォームにおけるゲーミングPCの台頭など、興味深いお話がうかがえました。『鉄拳7』が盛り上がり続けている理由を感じる内容となったのではないでしょうか。

新型コロナウィルスの感染拡大という大きな環境要因さえも、未来に向けての糧としてしまう強さも感じさせるインタビューとなりました。

《葛西 祝》

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