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初代『鬼武者』発売20周年!PS2の和風ゲーム新時代を切り開いたスラッシュアクションを振り返って見えた現代への繋がり

『鬼武者』発売20周年。間口を広げるため難易度を下げたことから、ソウルライクと爽快スラッシュアクションが融合したタイトルとなった

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初代『鬼武者』発売20周年!PS2の和風ゲーム新時代を切り開いたスラッシュアクションを振り返って見えた現代への繋がり
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2021年1月25日に、カプコンから2001年にPS2で発売された戦国サバイバルアクション初代『鬼武者』が20周年を迎えました。本稿では、『鬼武者』発売20周年を記念して、本作が切り開いた現実の俳優を取り込むフォトリアル表現と、現代に繋がるスラッシュアクションを振り返ります。

PS2最初のミリオンヒットタイトルとなった『鬼武者』

初代『鬼武者』は1999年に、PlayStation向けに開発が発表されたタイトルです。ハードの移行期と重なっており、後にプラットフォームをPlayStation 2へと変更し、グラフィックや3Dモデルの向上など様々な部分が大幅に変化しました。

鬼武者』は、日本の戦国時代を舞台に大河ドラマの時代劇のようなリアリティあるビジュアルを前面に押し出しており、説明書やゲーム本編の書物が縦書きで構成されていることも含め、和風へのこだわりを強く出しています。一方で、オープニングのCG映像も背景などケレン味を強く演出していますが、一目で違和感が無いように構成されているのも特徴の一つでしょう(なお、オープニング映像は世界のCGの祭典「SIGGRAPH 2000」で最優秀賞を受賞している)。

物語は、永禄三年(西暦1560年)の美濃の国(現在の岐阜県)にある稲葉山城が舞台。主人公の明智左馬介秀満(以下、左馬介)が稲葉山城にいる従姉妹の雪姫から人々が次々と消える怪事件で不安になっているという手紙を受け取り、稲葉山城へ駆けつけるもののあと一歩のところで連れ去られてしまいます。

巨大なオズリックの一撃で倒されてしまった左馬介は、気絶している間に鬼の一族から幻魔の魂を封じ込められる小手を授けられ、連れ去られた雪姫を救出するために城の奥へと進んで行くのです。

『鬼武者』は、前述の2001年1月の発売から2ヶ月後の2001年3月末に、国内においてPS2初めてのミリオンヒットを達成。さらに、2002年1月末には全世界の出荷数が200万本を超えています。

当初から三部作構成とされており、その後も相次いで続編がリリースされたことはご存知の方も多いはずです。主人公を柳生十兵衛(モデルは松田優作、CVは大森達也)に据え、4人の仲間が登場しストーリーも分岐する続編の『鬼武者2』は2002年3月に発売(出荷本数210万本)。

初代の左馬介に加えてジャック・ブラン(モデルはジャン・レノ)のダブル主人公で、天正10年(西暦1582年)の日本と2004年のフランスで交互に戦う完結編の『鬼武者3』が2004年2月に発売されています(出荷数152万本)。三作品ともにミリオンセラーを達成していることから、PS2の和風ゲームを代表するタイトルと言っても過言ではありません。

無双系とソウル系の要素を合わせ持つ『鬼武者』―「一閃/弾き一閃」のシステムが生み出した緊張感

『鬼武者』は、固定視点であることやラジコン操作、そして多彩なパズルが盛り込まれていることから、基本のシステムとしては同社の『バイオハザード』と似ており「戦国バイオ」と呼ばれたこともありました。操作も□ボタンからの直接攻撃に加え、ロックオンを兼ねた構えからの横移動と蹴りで相手の動きを翻弄しつつ、体勢を崩した時にはトドメの一撃を発動可能。通常の難易度的にプレイヤー攻撃時の多少のラグや相手のガードなどありますが、基本的には攻撃ボタン連打で倒せるものになっています。

剣術アクションゲーム自体は、1999年の『ライジングザン ザ サムライガンマン』など90年代において時折リリースされてきましたが、本作が他と異なる部分があるとすれば、「一閃/弾き一閃」のシステムが挙げられるでしょう。「一閃/弾き一閃」は、敵が攻撃を繰り出す瞬間に攻撃ボタン又は防御→攻撃ボタンを押すことで発動できる特殊攻撃で、発動すれば閃光と共に敵を一撃で斬り倒せるのです。

昔は難しさが目立った一閃だが、ソウルシリーズやソウルライク作品で鍛えた今なら難なく出せることに驚く

加えて、敵が攻撃を行う予備動作は大きいために、「一閃」を狙うか防御/回避するかを見極めることも出来ます(60fpsで動作していることも強く作用している)。勿論、ガード不可能な攻撃もあるため、なおさら敵の動きを繰り返し観察する必要があるのです。

「一閃」はプレイヤーが主として発動させる技でなく、相手の攻撃がトリガーとなるある意味で受け身ともいえる技です。その「一閃」のルーツを解く鍵となるのが、当時プロデューサーを担当していた稲船敬二氏が『鬼武者』のメイキング映像で黒澤明映画のファンであると述べている所にあります。

黒澤映画で「一閃」的な一撃必殺が光るシーンと言えば、1962年公開の「椿三十郎」における最後の居合いシーンが思い当たります。長い沈黙の末に、相手が抜いた剣より素早い動作で抜刀し倒すあの緊張感といえば観たことのない人でもイメージは掴めるでしょうか。

『鬼武者』は、それら黒澤映画からの居合い的な要素を抜き出し、「一閃」というゲームシステムとして昇華させることに成功したタイトルともいえます。今回記事の執筆にあたりオリジナルのPS2版を再プレイしていて気付いたことは、カメラアングルの高低差や遠近が次々変わるためプレイキャラが隠れたり、操作性も含め戦闘が難しく最初のボス戦がなかなかに難しく攻撃動作を見極めるのが難しいことでした(オリジナルのPS2版はラジコン操作のみ、加えてアナログスティックの操作もできない)。

『鬼武者』でプレイヤーが倒されると「死」でなく「終」なため強制的に幕が下ろされタイトルへと戻される

他にも『鬼武者』には、後の『DARK SOULS』(シリーズ)や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』のような「相手の動きをよく観察し、隙を突いて攻撃する」というセオリーが存在します。『鬼武者』は、両タイトルに繋がるようなシビアなダメージ管理や回避動作を求められるわけではありませんが、通常の難易度でもそれなりにダメージ量が高く、防御不可能な攻撃を見極めないと為すすべ無く倒されてしまうところに共通項が見えてきます。

加えて過去ゲーム雑誌における初代『鬼武者』に関連した稲船氏のインタビューでも、プレイヤー自身がアクションの腕を磨いて成長する面白さと、ボスなどの弱点を見つけられることが再挑戦への気概になることについて言及していることから、ある意味で『鬼武者』がソウルライクの基礎を2001年に作り出していたとも言えるでしょう。

『鬼武者』の同世代タイトルは、コーエーの『真・三國無双』シリーズや、カプコンの『デビル メイ クライ』シリーズのように、一騎当千的で爽快感あるスラッシュアクションがどちらかと言えば主流でした(『鬼武者』も『3』で、登場させられるキャラが増え一騎当千的なアクションも含むようになった)。その中でも初代『鬼武者』は、前述のスラッシュアクションと、ソウルライクに繋がる丁寧でシビアな要素をそれぞれ含み、絶妙なバランスで融合していたタイトルではないかと今の視点から思えます。

フォトリアルとオーケストラ、そして現実の俳優をゲームに取り込んだ衝撃

『鬼武者』は、プラットフォームをPS2へと移したことで表現力が大きく変わったことは前述の通りです。本作がこれまでのタイトルと大きく異なる点と言えば、ゲーム内モデルやオープニングなどのCG映像も含めてフォトリアル表現とリアリティを前面に押し出していることでしょう。

『鬼武者』のメイキング映像によれば、主人公の左馬介は金城武さんの声だけで無く、顔のシリコンマスク制作を経て3Dモデルとして収録。さらに、フェイシャルキャプチャーを導入し金城さんの表情の演技を直接取り込んでいます。

ゲーム本編におけるキャラクターのクローズアップでも役者の顔が崩れず判別出来るほどの再現度を持って描画されたことは、フォトリアル表現の追求を、現実を取り込むことで加速させたとも言えます。

一方でグラフィックは60fpsでの動作によって演技やアクション自体にリアリティが生まれていますが、全てがフル3Dでなく背景のみがプリレンダCGのため、視点のカメラの移動などが行えないなど制約がありました。そのため、リアルタイムカットシーンのカメラワークは定点カメラの切り替わりこそあるもののカメラ移動がほぼ無く、キャラクターのアクションによって視線誘導を表現しています(一部カットシーンはプリレンダ映像で表現)。

他にも、本作では一部楽曲に本格的なオーケストラが導入されたことも含め、グラフィックだけでなくBGMまでもリッチになり、かつて様々な形で語られていた「映画のようなゲーム」という謳い文句が現実味を増した瞬間でした。

なおリマスター版は、オリジナル版の音楽を担当した音楽家のスキャンダルのため、全ての音楽が新規に収録されています(リマスター版ではリードコンポーザーを近藤嶺氏が担当)。オリジナル版の音楽も素晴らしいですが、前述の通りスキャンダルが2014年にあったため未だ触れにくい事柄でもあり、2021年の現代にこれらの楽曲を最新ハードで聴けないのが残念です。

和風ゲーム新世代を切り開き、現代へと受け継がれる『鬼武者』

『鬼武者』は、実在の俳優を3Dとして取り込み、ゲーム内でも違和感のないグラフィックで表現されたことや、リアリティのある時代劇の大河ドラマのような和風の世界観を打ち出したこと。『デビルメイクライ』など爽快感のあるスラッシュアクションや、シビアなソウルライクへも繋がるゲームバランスに仕上がったことでも21世紀到来を告げるタイトルでした。

本作は、プレイする時代やシステムへの注目点が異なれば違った評価をされるタイトルではないかと20年ぶりに再プレイしてみると思えます。『鬼武者』発売当時は、「空前絶後のバッサリ感」の宣伝通りボタン連打で敵を切り倒す爽快スラッシュアクションの側面が取り上げられがちで、一閃など敵の動きをよく見て倒すソウル系のような部分は無視されているように感じていました。

『鬼武者』にもパズル要素は数多く登場する

筆者自身も発売当時は、爽快スラッシュアクションのようにボタン連打で戦うことが多かったのですが、時代や考え方が変わりソウルライクが主流となった近年の状況から『鬼武者』を再プレイすると、ソウルライクで培われた「相手の動きをよく観察し、隙を突いて攻撃する」が強く働き、タイミングを見計らって一閃/弾き一閃を狙うことが増えたことに驚きます。

さらに過去に掲載された『鬼武者3』に関する稲船氏のインタビューを読み返してみると、初代『鬼武者』はアクションが苦手な人や普段ゲームを遊ばない人がプレイしても楽しめるように、難易度を低く抑えている側面があるとのこと。それらを考慮すると、『鬼武者』の最終的な完成形は、より調整が加えられた初代Xbox向けの『幻魔 鬼武者』やソウルライクにたどり着くのではないかと思えてきます。

さて、今から初代『鬼武者』を遊ぶには、グラフィックの向上だけでなく、音楽や音声のキャストを一新した(金城武さんの声も新規収録)リマスター版が、PS4/ニンテンドースイッチ/Xbox One/Steam(PC)向けにリリースされているために2021年現在もアクセスは容易です。『鬼武者』20周年という機会に再びプレイしてみてはいかがでしょうか。

今回の記事執筆にあたってかつてのゲーム誌を参考にしました。

※ UPDATE(2021/02/01 19:58):本文中の誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。

《G.Suzuki》

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