20世紀末に登場した和洋折衷ウルトラでセクシィなヒーロー! 『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』を振り返る【年始特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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20世紀末に登場した和洋折衷ウルトラでセクシィなヒーロー! 『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』を振り返る【年始特集】

1999年3月発売のPS向けACT『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』を今振り返ります。和洋折衷・荒唐無稽な世界観には、どのような魅力が秘められていたのでしょうか。

連載・特集 特集
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ウエップシステムが1999年3月25日に発売した初代プレイステーション向け3Dアクションゲーム『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』。爽快感のある3D剣銃アクションを備えていたものの、エキセントリックな和洋折衷の世界観等のインパクトが強く、ビジュアル面や演出から「バカゲー」とも評価されてきました。

しかしながら、本作は堅実なアクション要素を備えていますし、簡易ながらもコマンド入力方式で必殺技を繰り出せるために、『デビル メイ クライ』や『メタルギア ライジング リベンジェンズ』など、以降に登場した作品を無視できない存在感を放っています。掲載が遅れたために21周年が近付く頃合いになってしまいましたが、本稿では「忘れちゃいけない20周年作品」として『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』の魅力を探っていきます。


初代PS末期に成熟された3D描写とゲームプレイ


『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』は開拓時代のアメリカを舞台とし、保安官見習いの主人公ジョニーが厳しい修行の果てに斬(ザン)と名前を変え、小さな街に侵略してきた巨大な悪「虐殺武闘団 邪火龍(ジャッカル)」を成敗するために戦いを挑む……という物語です。


操作方法は□ボタンが銃、×ボタンが剣、○ボタンがジャンプ、△ボタンがハッスルタイム、L1ボタンがロックオンと後方へのカメラ旋回、R1がガード、L2/R2がサイドステップ、といった形式。特にカメラに関しては、アナログスティックがないコントローラーも想定しているために、右スティックなどを使ったカメラ操作は無く、ザンが向かっている方向にカメラが追従するようになっています。


敵を倒したり町の人を助けたりすることで溜まる「ヒーローポイント」を消費すると、一定時間のみ高速攻撃を繰り出せる「ハッスルタイム」を発動できるところが、本作のアクション面における大きな特徴です。さらに銃と剣の武器変更はありませんし、どちらも非常に強力。遠距離/近距離の両方でストレスなくプレイできることは、特筆するに値するでしょう。


ほかにも格闘ゲーム的なコマンド入力によって必殺技を繰り出すことで戦闘を有利に進められますが、その選択肢は豊かと言えるほどではありません。そんなシステムを搭載した本作のゲームプレイは、シンプルに「アクションゲーム」といったところ。銃と刀を駆使したギミックが多く、スロットで扉を開けるイベントや高速かつ遠距離で戦うトロッコパート、からくり招き猫との野球などバリエーションに富んでいます。



「全ボタン連打イベント」のシチュエーションは多種多様で、序盤では「落ちてきたものを投げ返す」「押されてくるものを押し返す」といったシンプルなやりあいが繰り広げられますが、後半では「怒雷武斬(ドライブぎり)で火炎放射機との勝負」「鐘つき対決」など、ユニークかつ激しい戦いを演出してくれます。一目見ると忘れられません。


1999年の世紀末に登場した和洋折衷のニューヒーロー“斬(ザン)”



本作では、奇天烈な悪の組織「邪火龍(ジャッカル)」が敵役となります。説明書では、彼らは女帝の邪火龍帝を頂点に唐栗男が発明した霊子機関を用いて敵対組織を虐殺し、ジパング征服をもくろむ組織と解説されています。



主人公ジョニーこと“斬(ザン)”は、敵司令官・鷹魔将に敗れたあと父の親友でもあるマスター・スズキに弟子入りします。そしてジパングでの修行の末、父の形見の銃「Johnny The Hero」と鬼斬刀「芸者桜」を同時に操る「生涯無敵流」を会得。「邪火龍(ジャッカル)」に勝負を挑みます。


町の人を助けつつ、全9ステージの各悪漢達を倒し、鷹魔将と唐栗男と決着をつける……というシンプルな進行ですが、彼らはあくまでも米国西部方面軍に過ぎず、その大本である邪火龍帝まで倒していません。なぜ強大な力を手に入れたのか、米国進軍へと至った経緯など謎も多く、本作のストーリー的に大団円を一旦迎えるものの、少し視点を変えると気になる要素が残ったままです。



ここで少しばかり90年代の和風ゲームを振り返ってみましょう。これまでの和風テイストを盛り込んだゲームと言えば『桃太郎伝説』シリーズや『がんばれゴエモン』シリーズが筆頭に挙がります。世界観に厳しい縛りを入れず、90/80年代当時のギャグや世相、機械文明などを取り入れた作品も少なくありません。和風の情緒溢れる様子を描いているものの、そこには何かしら現代に通じる文化が盛り込まれていました。


初代PS/SS登場以降は、『ブシドーブレード』や『立体忍者活劇 天誅』など和風ゲームがシリアスな雰囲気を持ち始めます。一方、洋画テイスト溢れる作品で言うと『バイオハザード』や『パラサイト・イヴ』などが世に現れた時期でもありす。


この流れから見れば『ライジング ザン』が、銃と刀の両方を持つ主人公の斬(ザン)と奇天烈な敵キャラクターで構成されることに不思議はなく、ゲームにおいて和風/洋画的なエッセンスが交わった初めての瞬間だったのかもしれません。斬が持つ銃+刀、そして彼の着ているハッピ+ジーンズという和洋折衷っぷりもその象徴です。

ヒーロー作品的な熱いオープニングやボスを倒した時のトドメ演出など、アニメ/特撮的な要素も導入されているため「和洋ゴチャ混ぜの世界観がそもそもギャグ的なものでないか」という視点も考慮に入れる必要があります。


2000年以降のタイトルでは『鬼武者』や『侍道』、『デビル メイ クライ』など、再び西洋か和風のどちらかにデザインの比重が置かれた作品が目立っていました。本作のような和洋折衷かつ荒唐無稽なタイトルはなかなか現れていません。

銃と刀のスラッシュアクションは、世紀を超え現代へと受け継がれる


『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』は、銃+刀というゲームシステムとビジュアルから、本作は『デビル メイ クライ』を筆頭としたスラッシュアクションの始祖の中のひとつとして数えられることもあります。


銃+剣という組み合わせは、『デビル メイ クライ』や『レッドスティール』、『Shadow Warrior』など視点は違えど様々なタイトルで登場しており、ある意味メジャーな存在であるとも言えます。


筆者としては、荒唐無稽で底抜けに明るいアクションゲームとしての本作が語り継がれていないことに、もったいなさを感じます。銃+刀アクションの「元祖」とまでは言えませんが、今振り返る価値は絶対にあるはず。本作はPS Storeにてアーカイブ版が配信中なので、興味を持った方はぜひプレイしてみてください。

《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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