Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編

リブートされたエージェント47の物語の完結編。すべてのゲーム要素が高クオリティなシリーズ屈指の作品です。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編
  • Game*Sparkレビュー:『HITMAN 3』―すべてのシリーズファンに捧ぐハイクオリティな完結編

IO Interactiveより、2021年1月20日に『HITMAN 3』がリリースされました。本作は2000年からシリーズが続いている暗殺アクションシリーズの最新作。スキンヘッドの後頭部にバーコードのある暗殺者「エージェント47(以下47)」を主人公として、世界中を舞台にした暗殺が描かれる作品です。

『HITMAN 3』は、2016年にリブートされた新シリーズ「World of Assassination」3部作の完結編となるもの。47とパートナーの「ダイアナ」、前作で大きくストーリーに関わった「ルーカス・グレー」などの物語がついに完結を迎えます。

本稿では、ついに完結を迎えた新シリーズ3部作最終章のレビューをお届け。完成したゲームシステムと重厚なストーリー、そして「完璧な暗殺」「楽しい暗殺」を求めるために何度もプレイする本作の魅力を紹介していきます。

なお、筆者はPC(Epic Games ストア)版でプレイしています。そのため、VRでは遊べていないことをご了承ください。

これまでの『HITMAN』シリーズを振り返る

本シリーズは2000年にPC向けで発売された『Hitman: Codename 47』が原点。シリーズの特徴的なルール「ターゲットをどのような手段を用いてでも暗殺して脱出する」「倒した相手の服を着ることで変装できる」は、第1作目ですでに完成していました。2002年には第2作『Hitman 2: Silent Assassin』がリリースされ、以降2016年の『Hitman: Absolution』まで直接の続編となるシリーズ作品が発売されています。

2015年にIO Interactiveは、本シリーズのリブートを発表。「World of Assassination」と名付けられた3部作『HITMAN(2016)』『HITMAN 2(2018)』『HITMAN 3(2021)』がリリースされました。47の出生、ダイアナの両親の秘密、秘密組織「プロヴィデンス」などが語られる一本のストーリーを描いた作品です。

記念すべき第1作『Hitman: Codename 47』

第4作『Hitman: Blood Money』。
コイン最強ゲー。

本作の暗殺は銃殺、絞殺、毒殺、溺死などさまざま。シリーズを重ねるごとに暗殺アクションの選択肢が多彩になり、より自然な「事故死」を演出できるようになりました。変装やステルスなどのシステムもより洗練されていき『Hitman: Absolution』では探知システム「Instinct」などの新機能も登場します。

リブート3部作ではこれまでのシリーズで評価が高いシステムを採用しているほか、暗殺のヒントとなるゲーム内ストーリー「ミッションストーリー(1ではアプローチ)」が追加されています。殺害方法やエリア探索などのチャレンジも用意されているため、ステージを何度もリプレイして楽しめます。

また、本シリーズには『Hitman Go』『Hitman: Sniper』などのスピンオフ作品も存在しています。

完成されたシステムの安心感、感じる進化

「47がターゲットを暗殺して脱出する」という絶対的なルールが完成している本シリーズ。暗殺のためにはステルスで潜入するもよし、変装して近づくのもよし、マシンガンを持って突撃するのも自由です。拾ったりんごを頭に投げつけてダウンさせてとどめを刺すのも暗殺。プレイヤーの数だけ暗殺方法が存在する、それが『HITMAN』シリーズの魅力そのものと言えます。

また、リブート3部作では自由なプレイのほか「〇〇に変装する」「〇〇を見つける」など、特定の行動を行うとプレイヤー経験値を得るチャレンジ要素が存在。エリア発見などゲーム内容で上昇する「ロケーションマスタリーレベル」も用意されており、新しいスタート位置や持ち込みアイテムなどがアンロックされていきます。何度もプレイすることでゲームプレイの幅が広がっていくシステムです。

オーソドックスな暗殺も楽しい

リプレイ性を向上させるため、本作では新要素「ショートカット開放」が登場。各ステージにある「非常ハシゴ」「ロックされたドア」などのオブジェクトをアンロックすることで、次回プレイ時からその道を利用できるようになるものです。潜入のために回り道をする必要がなくなるため、暗殺の時間短縮に役立ちます。


開けておけば次回から裏口が使い放題。

そのほか、グラフィック向上やUI改善など細かい部分の遊びやすさが増している本作。シリーズの完成された魅力を損なわず、とてもポジティブな意味で「変わらない」安心を感じられます。次項からは、『HITMAN 3』をプレイして感じた進化ポイントをクローズアップして紹介していきます。

マップの作り込みがすごい!楽しい新ギミック「カメラ」も

本作のステージはこれまでのシリーズ以上により複雑に、より多彩に構築されています。最初のステージはドバイの世界最大級の高層ビル「Burj Al-Ghazali」で、47はターゲットのいるビルの上層へとパラシュートで降下。暗殺を行うステージはビル上層のほんの一部なのですが、それでも7階層が用意されています。

地図がないと迷う!
(地図があってもよく迷ってます)

ステージは簡単に移動できるわけでなく、関係者以外立入禁止のエリアばかり。47の変装能力を利用して入ることは容易ですが、複雑に構成されているエリアでは適切な変装を選ばないとすぐに怪しまれます。また、変装しなくても隠れて潜入できるような「裏口」も多彩にあるため、ステージの攻略ルートはほぼ無限です。

もちろんこれまでのシリーズでも、複雑なマップや裏口要素は用意されていました。しかし本作では、用意されているすべてのマップがより多彩になり、そしてユーザーが発見しやすい丁寧なレベルデザインとなっています。変装してマップを探索しながら新しい侵入口を見つけることで、「今度はここから潜入してやろう」と思わせる導線が非常に自然に配置されている印象を受けました。

また、本作から47の初期装備に「カメラ」が追加されました。カメラは電子制御のドアを開ける、ガラスを透明/不透明に切り替えるなど、電子機器のハッキングに使用可能。電子戦に対応できるようになったことで、これまで以上に47の行動力が広がっています。もちろん通常のカメラとして撮影も可能です。

暗殺ビギナーも安心!充実の「ミッションストーリー」

リブートシリーズの「ミッションストーリー」は、ガイドに従うことで暗殺のヒントとなる機能。例えばターゲットが面会予定の人物になりきれば、簡単に警戒エリアへの潜入が可能になるのです。もちろんターゲットに近づく機会も生まれ、ミッションによってはそのまま暗殺チャンスも得られます。

また、ミッションストーリーではターゲットや周囲のNPCなどの性格が窺える「物語」が楽しめるという点も魅力です。ストーリーが佳境に入っている本作では、物語の本質に迫るターゲットが多く存在。変装して彼らの信頼を得れば、彼らが所属している組織の驚くような秘密が発覚することもあるのです。


より複雑になったマップでは、自由に動けるチャンスを得られることが非常に親切に感じられます。形にとらわれない暗殺も楽しいのですが、まずはじっくりとミッションストーリーを楽しみながら、暗殺の可能性を探るのがおすすめです。


探偵のマネごとをすることも。

VIPが落下死しちゃったなー。

引き込まれるストーリー展開!

「World of Assassination」3部作では、47が所属していた「ICA」や、ストーリーに関わる「プロヴィデンス」などの組織が複雑に関わってきました。前作『HITMAN 2』では47の秘密に関わる重要人物「ルーカス・グレー」の正体が明かされるなど(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)、物語が大きく展開したところで完結編『HITMAN 3』へと続く内容でした。

本シリーズは各ミッションを挟む形でストーリームービーが用意されている形式。本作では導入部から47と仲間たちが大きな目的のために行動するシーンが描かれ、クライマックスに向けて怒涛の展開が押し寄せてきます。これまで積み重ねられてきた伏線などを消化しながら語られる47の物語は、とても興味深く複雑な思惑が絡み合う、映画を観ているような満足感のあるストーリーです。


本作単体でもゲームとしての面白さを損ねることはないのですが、前作『HITMAN』『HITMAN 2』のストーリーを踏まえればより一層楽しめます。なお、リブート3部作は『Hitman: Codename 47』など旧シリーズとも関連のある描写が存在するのですが、直接的に絡むことはないため、そこまで意識する必要はありません。3部作だけでも充分に完成している物語です。

まとめ

ついに完結を迎えた『HITMAN』リブート3部作。暗殺アクションとして完成されたシステムをより楽しませようという、開発の丁寧な作り込みを感じさせる作品です。アクション、ストーリー、システムすべての要素が安定しつつ、これまでのシリーズを超える高クオリティで成立しています。現在のシリーズ最終作としてふさわしい完成度と言えるでしょう。

ゲームとしても面白いだけでなく、いよいよ佳境を迎えるストーリー展開も本作の見どころ。ただし本作には日本語が用意されていないため、細かいニュアンスなどはどうしても伝わりづらいところがあります。いずれ日本語で遊べる日が来ると嬉しいのですが……。

なお、本作は同プラットフォーム内で対象となるシリーズ前作(『HITMAN』『HITMAN 2』)を所有している場合、過去作品のステージをプレイできるシステムが採用されています。PC版は現在『HITMAN 2』のステージを引き継ぐための調整中ですが、PS/Xbox版ではすでにプレイが可能です(国内では未発売ですが……)。実際に『HITMAN』に登場する北海道で遊んでみましたが、ミッションストーリーやNPCの位置などが変わることなくプレイできました。

『HITMAN 2』でプレイする北海道。
『HITMAN 2』でも1のマップはプレイ可能です。

『HITMAN 3』でプレイする北海道。
マップのUIなどが変わっているのがわかると思います。

総評:★★★

良い点

・『HITMAN』シリーズとして圧倒的クオリティの完成度
・前作の展開を裏切らないストーリー展開に引き込まれる
・新機能がリプレイ性を大きく向上


悪い点

・日本語がない
・PC版では引き継ぎで現在一部コンテンツが遊べない


《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top