僕が小学生だった頃……今のようにインターネットが普及しておらず、ゲームの情報が知りたければ基本的にゲーム雑誌を買う以外ありませんでした。
しかし、当時の財力では定期的にゲーム雑誌を買うのは難しく、新しいゲームを買う時はパッケージのデザインで内容を見定めていました。
いわゆるジャケ買いなので「当たり」を引くことがあれば「ハズレ」を掴まされることもあり、あの頃は酸いも甘いも噛み締めて……時には、あえて奇ゲーを求めてジャケ買いすることもありました。
そして、ジャケ買いをした中でもダントツで当たりだったのが、1990年発売のSFC向けソフト『アクトレイザー』。そのリマスター版が突如配信されたのだから驚きです。
スクウェア・エニックスの『アクトレイザー・ルネサンス』は、荒廃した世界で神として人々を守り導いていくクリエイション・アクションゲーム。本作には、横スクロールのアクションパートと、シミュレーション要素があるクリエイションパートのふたつのパートが用意されており、オリジナル版が発売された当時としては珍しい要素でした。
そういえばオリジナル版は、古代祐三氏が手掛けるBGMも素晴らしかったですね!
小憎たらしかった天使がこんなに可愛くなるなんて!
その昔、魔王サタンとの戦いにより傷ついた神は、天空城で長い眠りについていた。そして神が目覚めた時、地上は魔物がはびこる荒廃した土地となっていた。
プレイヤーは、眠りから目覚めたばかりの神となり、世界を人々の手に取り戻すべく立ち上がるのだ!
神の名前は……吉田輝和。過去の戦いにより力を失っている。かつての力を取り戻すには人間たちの信仰心が必要だ。
人類の発展を手助けして信仰心を集め、魔物に対抗する力を手に入れるのがゲームの目的だ。
そんな神を手助けしてくれるのが天使だ。
というか、「力を失った吉田輝和」って本当に何も出来なさそうだよな……って、あれ?
オリジナル版は、天使がやや憎たらしく描かれてると感じたが、本作では可愛らしく描かれている。
まさに天使だ。
しかし、人間に対しての辛辣さは健在!
こんな可愛い見た目で口が悪いと……新たな扉を開いてしまうプレイヤーが続出しそうだな……。
まずは、このフィルモアの地にはびこる魔物を追い払い、人間が住める環境にする。
さあここから横スクロールアクションパートだ。
攻撃方法は剣による斬撃で、最大3回まで連続攻撃が繋がる。その他にも切り上げ、切り下ろし、前進しながらの攻撃が可能だ。
ストーリーが進むと様々な魔法を使えるようになるが今はまだない。
新たな回避アクションであるバックステップの発動中、無敵になるので、敵をすり抜けて進むことも可能だ。
ステージのグラフィックはオリジナル版と比べて格段に美しく、色鮮やかに描かれている。その分おどろおどろしさが減っている印象を受けてちょっと残念。
敵キャラクターもグラフィックが刷新されている。
オリジナル版ではただの禿頭の爺さんのような見た目だった大木の敵も、なかなかにいかつい顔に生まれ変わっているな。
ステージの最奥にたどり着くと、電撃と突撃攻撃を繰り出すセントールが待ち受けていた。ボス戦だ。
オリジナル版のセントールは、突撃攻撃をしてもある程度の距離で立ち止まるので、その隙を突いて攻撃していたのだが、本作では画面端まで突っ込んでくるじゃないか!
敵の動きを見極め、新たな攻略法を見つけ出さねばならないと思っていたけど……
なんかダメージ覚悟でボコスカ殴り合ってたら普通に勝てちゃったぜ!
創造の前に破壊あり……なクリエイションパート!
最初のボスを倒し、フィルモアの地は人が住めるようになった。
ここからはクリエイションパートだ。
導きたい方向を指示すると道が出来、その周囲に住居や畑、工場が自動で建設される。
これを繰り返して人口を増やし、都市に発展させていく。
人々からのお願いを聞くのも神の仕事だ。
今回は「住民が喧嘩して相手の家を燃やしちゃったから火を消して!」といったお願いだ。
喧嘩で放火って蛮族かよ……。
神は、雷、雨、太陽、風、地震といった奇跡の力が使用可能だ。雷を落として邪魔な樹木や建物を破壊したり、雨を降らせて乾いた大地を潤したりできる。
今回の場合は、雨を降らせて火事を鎮火させるのだろうけど……
すぐに雨を降らせなかったせいか、住居は燃え尽きてしまったらしい。
小憎たらしい表情で「人間の自業自得」と切り捨てる天使。
うんうん、そうだよな!僕は悪くないよな!
「でも雨くらい降らせてあげても良かったんじゃないですか?」
き、急に真面目なトーンになるなよ……。
人口が増えると文化レベルが上がる。これまで簡易的な掘っ立て小屋だったが、立派な住居が建てられるようになった。
古い建物を壊し、人間に新しく建物を建てさせるのも神の役目だ。
掘っ立て小屋に狙いを定め、雷の奇跡を放つ。
……って、あれ?
いやいや避難しているよね?ね……?
新要素はRTS風!神の奇跡で魔群の侵攻を食い止める
本作では、魔群の侵攻から町を守るリアルタイムストラテジーの要素が追加されている。
魔物の巣はランダムに発生し、そこから魔物の大群が現れ、住居や畑を壊しながら侵攻してくるのだ。
防衛柵を建てて魔物を足止めしたり、建物の合間に砦を建てて迎撃する。
神の奇跡の力でもダメージを与えられるぞ。
SPが切れたら、住民から捧げられる回復アイテムを待つしかない。SPが切れた神はポンコツなのだ……。
そんなポンコツ神をフォローしてくれるのが、人の身でありながら魔物に立ち向かう力を持った仲間ユニットの存在だ。
仲間を魔物の側まで誘導すると、あとは自動で戦ってくれる……とはいっても、複数の場所から魔物が現れると仲間一人では対処しきれない。
SP回復するまで防衛柵、頑張ってくれ……!
人々を導き、魔物の巣穴をぶっ壊せ!
マップ上にある魔物の巣から魔物が定期的に湧き出してくるので、天使を操作して弓で魔物を退治しなければならない。
人口が増えて人間の勢力が強くなってきたら、魔物の巣を封印するために人々をそこに導く。
巣の内部では、横スクロールアクションパートに切り替わる。
魔物発生の大本を、神が直々に破壊するのだ。
人々からのお願いを聞き、全ての魔物の巣を破壊すればその土地はクリアだ。
あとは天空城を操作し、次の土地へ向かう。
この後は、砂漠や、湖が血のように染まった恐ろしげな土地が登場する。
各土地にはまた横スクロールアクションパートがあり、敵の猛攻も徐々に激しさを増していく。
新しい土地では、別の土地で出会った仲間も召喚出来る。ストーリーが進むごとに戦力は増強されていくが、それでも徐々に難しくなっていく……。
いつでも難易度を変えられるゲームって、ゲーム下手にとってありがたいよね……!
クリア時間は25時間ほど。平和になった土地で無意味に破壊と創造を繰り返して遊んでいたので、普通に進めていればもうちょっとクリア時間は短くなりそうです。
BGMがクラシック音源とリメイク音源にいつでも切り替え可能なのは、オリジナル版の思い入れが強い僕には嬉しかったです!
オリジナル版の横スクロールアクションパートは難易度高めでしたが、本作では3段階の難易度変更がいつでも可能なので、自分に合った難易度でプレイ出来ます。しかし、新アクションのバックステップの無敵時間がやたら長いため、難易度を変更するまでもなく難しさはかなり控えめになった印象を受けました。ただ、魔群の侵攻は後半になるに連れて熾烈さを増し、苦戦することが幾度もありましたね……。
全体的に難易度控えめになっているので、「当時難しくて手を出せなかった」「途中で諦めちゃった」という人は、ぜひルネサンスした本作をプレイしてみてください!
『アクトレイザー・ルネサンス』はPS4/ニンテンドースイッチ/PC/iOS/Androidを対象に配信中です。