これがボドゲ大国ドイツ史上最高の戦略ゲーか!名作のデジタル版『コンコルディア: デジタルエディション』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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これがボドゲ大国ドイツ史上最高の戦略ゲーか!名作のデジタル版『コンコルディア: デジタルエディション』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】

今回はドイツ史上最高の戦略ボードゲームとして名高い「コンコルディア」のデジタル版『コンコルディア: デジタルエディション(Concordia: Digital Edition)』をお届けします。

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これがボドゲ大国ドイツ史上最高の戦略ゲーか!名作のデジタル版『コンコルディア: デジタルエディション』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】
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デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力のデジタルボードゲームを特集。今回はドイツ史上最高の戦略ボードゲームとして名高い「コンコルディア」のデジタル版で、Acram Digitalによって2021年9月28日にSteamで配信された『コンコルディア: デジタルエディション(Concordia: Digital Edition)』をお届けします。

もととなる「コンコルディア」は二千年前のローマ帝国時代を舞台にしたストラテジーゲームで、第一次世界大戦をテーマにした「インペリアル」や、大航海時代を舞台にした「ナヴェガドール」など、戦略ボドゲで知られるマック・ゲルツ氏が開発し、2013年にリリースされました。2014年には「ドイツ年間ゲーム大賞」において「年間エキスパートゲーム大賞」にノミネートされ、現在でもボドゲ大手サイト「BGG」で20位以内に入る人気ゲームです。

ローマ時代を舞台にしていますが、プレイヤー同士で戦争するのではなく、入植者を地中海各地に送って商業ネットワークを構築し、繁栄を目指します。

これだけ聞くと「難しそうなゲーム」だと思うかもしれませんが、プレイヤーが毎ターンしなければならないのは、突き詰めると「手札のカードを1枚出すだけ」。それでいて運要素は無く、非常に頭を使う、レベルの高い戦略ゲームに仕上がっています。「学ぶのは簡単、極めるのは難しい」という優れたゲームデザインになっていますね。そのため、「ドイツボードゲームの完成形」とも謳われています。

カードデッキ構築要素もあるため、人によってはデッキ構築ゲーム「ドミニオン」と、交易ゲーム「プエルトリコ」を合わせた、中毒性のあるゲームとも。一体どんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう!

ルールは簡単、カードを1枚出すだけ

本作には「チュートリアル」「ローカルプレイ」「オンラインプレイ」の3つのモードがあります。チュートリアルは文字による説明がメインで、正直わかりづらいため、実際のゲームプレイを中心にルール説明をしていきます。

マップですが、現在のところ、地中海マップと、イタリアマップがあります。実際のボドゲだと、盤面の表と裏にこれらマップが印刷されています。一般的によくプレイされるのは地中海マップですね。

他のマップをプレイしたい場合は、拡張DLCを購入する必要があります(後述)。この拡張性の高さも本作の特徴と言えます。

次にゲーム設定。「対戦相手の手札可視化」「リアルタイム勝利点計算」などのオンオフができます。本作は勝利点を競うゲームですが、その計算方法がちょっと面倒なため、実物版ではゲーム終了時にまとめて計算します。そのため、ゲーム中に「いま誰が何点か」という情報がだいたいでしかわからないのですが、デジタル版だとリアルタイムでわかるのが便利ですね(実物版のプレイ感覚を味わいたい場合はオフ推奨)。他にも拡張DLCによって、追加ルールのオン・オフも可能になっています(後述)。

最後にプレイ人数や、プレイヤーAIを使う場合はそのレベルを個々に設定します。本作は手元のカードを隠す必要がないため、友達とのオフラインプレイもできます。最大6人までプレイ可能(推奨人数は2~5人)ですが、最初の内は2人プレイの方がルールを把握しやすいでしょう。

地中海マップでのゲーム画面。マップ各地に都市があり、産出する物品が表示されています。物品は「レンガ・食糧(小麦)・道具(金床)・ワイン(壺)、織物」の5種類で、この順番で価値が高くなっていきます(レンガ(価値3)、食糧(価値4)、道具(価値5)、ワイン(価値6)、織物(価値7))。

各都市の物品はランダムで決定されるので、プレイごとに戦略は変わります。プレイヤーはこれらの都市に開拓者を送り込み、を建設することで、勝利点が得られます。できるだけ多くの都市に家を建設するのがいいでしょう。

画面右上の目のマークをクリックすると、デジタル版の特徴でもある「リアルタイム勝利点」が表示されます。前述した通り、本作は勝利点の一番多いプレイヤーの勝ちです。勝利点は「勝利点カード」と、「勝利点に必要な家や物品」の掛け算になります。

つまり、各地に大量に家を建てても、勝利点カードが1枚しかなければ、こちらの半分の数の家しか建てていないのに勝利点カードが3枚ある相手の方が高得点になります。

画面下に並ぶカードは手札です。ゲーム開始時に決められた7枚のカード(護民官、建築家、長官(x2)、商人、外交官、元老院議員)が配られます。毎ターン、プレイヤーはカードを1枚出して、それに合ったアクションを行います

使ったカードは捨て札になりますが、「護民官(Tribune)」カードで捨て札をすべて手札に戻せます。戻したカードの4枚以上の分に付き、1枚1コイン貰えます(4枚で1コイン、5枚で2コイン)。できるだけカードを使って、最後に「護民官」カードで一気に回収すれば、多くのお金を得られます。

元老院議員(Senator)」カードを使えば、カード2枚購入可能。カードを増やし、デッキを強化していく様は(そして捨て札を「護民官」カードで回収してまた手札に戻す様は)、デッキ構築型カードゲームっぽさがありますね。

それと、これらカードは「勝利点カード」も兼ねています。前述したように、カードが多いほど、勝利点も多くなります。「勝利点カード」には「家を建てた数」や「物品・お金の合計値」「開拓者の数」など、様々な勝利点条件があります。

場にある購入用カードが尽きた時点(もしくは誰かが家を15個建てた時点)でゲーム終了。最後にカードを購入した人、もしくは家を15個建てた人は、7勝利点が得られる「コンコルディア」カードが貰えます。後は勝利点を計算して、一番多いプレイヤーが勝利となります。

商業ネットワークを構築せよ!

それではゲームを2人用でプレイしてみましょう。各プレイヤーは前述の7枚のカード以外に、「レンガ・食糧(x2)・道具・ワイン・織物」と、「開拓者(x3)・開拓船(x3)」、さらにお金を5コイン(2番目の人は6コイン、3番目は7コインと、1コインずつ多く受け取れる)が貰えます。

各プレイヤーは、開拓者と開拓船を1つずつ、ローマに置きます。残った開拓者・開拓船と物品は、すべて倉庫(画面下中央)へ。倉庫は最大で12個まで置くことができ、ぞれ以上物品が手に入った場合、廃棄しなくてはなりません。

地域の色違いは「」を意味しています。州の中に複数の都市があり、ローマはイタリアに属しています。

このゲームの勝利点計算ですが、前述したように、それぞれのカードは勝利点カードにもなっています。例えば「建築家(Architect)」カードには、「ユピテル(Jupiter)」の神が付いています。これは「都市に置かれた家1つに付き1勝利点(ただしレンガを産出する都市は省く)」です。建築家カードが2枚あれば、勝利点は2倍になります。

実物版ではカードに神の名(勝利点の種類)が書かれているのですが、本作の手札には書かれていません。代わりに「My Point」の欄(画像の左側)に、どの神を何枚持っているかの一覧があります。

実物版を知らない方には、これら勝利点がどのカードから来ているのかわからないかと思います。なぜこのような仕様にしたのか、筆者としては正直意味不明なのですが、同様の疑問を持った他のユーザーが開発者に問い合わせたところ、「初期の勝利点の種類は全員固定なので、あえて手札に書く必要は無い。ゲーム中で購入するカードの方には対応する神を書いているから、プレイに支障は無い」とのこと。確かにそうなのですが、初プレイの方もいますし、わざわざカード表記を削らなくてもいいような……。

一応、これから本作をプレイする方のために、勝利点の種類(神の種類)を以下に表記しておきます。6種類ありますので、プレイ中にでも利用してください。

  • ウェスタ(Vesta):所持している物品の価値をお金に換算し、さらに手持ちのお金を加えた金額の、10に付き1勝利点(34ならば3点)。

  • ユピテル(Jupiter):都市に置かれた家1つに付き1勝利点(レンガ都市以外)。

  • サトゥルヌス(Saturnus):家のある州1つに付き1勝利点。

  • メルクリウス(Mercurius):家のある都市の、物品の種類1つに付き2勝利点。

  • マルス(Mars):マップ上の開拓者・開拓船1つに付き2勝利点。

  • ミネルヴァ(Minerva):カードに示された物品の都市に家があれば、1つに付き、以下の点数が得られる。レンガ・食糧・道具(3点)、ワイン(4点)、織物(5点)。カード購入でのみ入手可能。

それではプレイ開始。筆者が先攻になります。前述したように、毎ターン手札のカードを1枚選んで出すだけです。まず対戦相手より先に都市を押さえてしまいたいので、初手は「建築家(Architect)」カードを使用。開拓者・開拓船を動かし(動かせる歩数はマップ上の開拓者・開拓船の合計数まで)、隣接する都市に家を建築できます。

建築は、都市の物品の種類によってコストが変わります。レンガ都市なら「レンガ+1コイン」、食糧都市は「レンガ+食糧+2コイン」、道具都市は「レンガ+道具+3コイン」、ワイン都市は「レンガ+ワイン+4コイン」、織物都市は「レンガ+織物+5コイン」必要です。

すでに家が建っている都市に、対戦相手がさらに家を建てることも可能ですが、その場合はコインのコストが倍になります(必要物品は同じ)。ワイン都市にさらに家を建てれば3コインだったのが6コインに、3軒目になれば3倍の9コイン必要。コストの高い都市をいかに速く押さえるかが重要になります。

開拓船を2歩動かし、ヒスパニアにある織物都市を押さえることにしました。織物が一番高価ですしね。これでターン終了。ゲーム自体はこのようにサクサク進んでいきます。ちなみに開拓者は陸、開拓船は海しか移動できません

次のターンでは「長官(Prefect)」カードをヒスパニアに使用。これは任意の州に対して、物品を1つ徴集できます(各州ごとに徴集できる物品は異なり、ヒスパニアは織物)。州内の都市に家がある場合、その都市の物品も追加でゲット可能。先程、織物都市に家を置いたので、織物を合計2つ貰えました。

ちなみに順番が一番最後のプレイヤーは、「大長官(Prefegtus Magnus)」カードが貰えます。これは徴集時、州から貰える物品が2つになります。「大長官」カード使用後は、自分より順番が1つ前のプレイヤーに渡します。

3ターン目、「商人(Mercator)」カードを使用。物品を2種類まで売り買いできます(物品の数はいくつでもよい)。織物(7コイン)を2つ売却し、レンガ(3コイン)を2つ購入。レンガは家を建築するのに必ず必要な物品なので、常にキープしておきたいですね。

4ターン目、「元老院議員(Senator)」カードで、「職人(Smith)」カードと「開拓者(Colonist)」カードを購入。購入には、カード下に表示されている物品をコストとして支払う必要があります。また、一番左のカードはお金を払う必要はありませんが、その次のカードから1コインずつ多く支払わなければなりません(2番目は1コイン、3番目は2コイン)。

大長官」カードが回ってきたので、5ターン目でもう一度「長官」カードをガリアに使って、道具を2つ徴集。6ターン目では、先程購入した「開拓者」カードを使用し、倉庫にある開拓船を1人出陣させます(コストとして、1人に付き「食糧1・道具1」必要)。

7ターン目、本作のトリックスターとも言える「外交官(Diplomat)」カードを使用。前のターンに対戦相手が使ったカードを、自分のターンで使えます。自分が持っていないカードも、これを使えば使用できてしまうので、タイミング良く使えばゲームを有利に運べます。前のターン、相手は「長官」カードを使ったので、この効果を利用して、アジアから織物2つをゲット。

出せるカードが無くなったので、8ターン目は「護民官(Tribune)」カードで捨て札を回収。捨て札4枚以上の分に付き、1枚1コインが貰えます(「護民官」カード含む)。これで5コインをゲット。さらに開拓者・開拓船を「食糧1・道具1」で購入できますが、物品が足りないのでターン終了。

9ターン目、手札が一気に増えたので、戦略の幅が広がりました。ちなみにリアルタイム勝利点を見ると、こちらが1点リードしています。果たしてこのまま逃げ切る事ができるのか。続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。

簡単に学べて、奥深いストラテジーゲーム

ゲーム自体は手札を1枚出すだけですが、どのような順番で出すのか、どういう戦略を取るのかなどを常に考えなくてはなりません。相手の出方によって戦略変更する必要もあるでしょう。「ルールは簡単、極めるのは難しい」というのは、ボドゲデザイナーの目指す完成形でもあります。

本作のデザイナーであるマック・ゲルツ氏は、「ロンデルシステム」というボドゲのメカニクスを考案したことでも有名です。「ロンデル」とは「車輪」の意味で、時計の針のように物事が一方向にしか進まず、一歩前に戻るためには一周する必要(大きなコストを払う必要)があります。これによってプレイヤーは常に前進を続け、どんどん少なくなっていく選択肢の中から最良の選択をしなければなりません。無限の選択肢を与えないことで、プレイヤーは常に判断をし続ける必要があるのです。

本作でも手札のカードが減っていくと、プレイヤーの選択肢は狭まっていきます。「護民官」カードで回収しない限りは、元の状態には戻りません。1枚カードを出すだけなのですが、「どれを出すのか、今出していいのか」など、プレイヤーは緊張感を持って判断し続けることになるでしょう。

なお、本作では今後、拡張DLCがリリースされる予定です。実物版の拡張は1つ数千円という高額で、しかも日本で販売されていないものもありますが、デジタル版では「Season Pass」(もしくは本体を含めた「Imperial Bundle」)を購入すればすべて入手できます。新マップ・新ルールを安価でお試しできるのは、デジタル版の利点とも言うべきところ。すでに現物版をプレイしたことのある方も、拡張目当てに購入しても良いかなとは思います。

現在、日本語はサポートされていませんが、非言語ゲームに近い作りなので、ルールとカード効果が分かればプレイに支障はおそらくないでしょう。ボドゲに興味のある方は、ドイツボドゲの完成形とも言われる本作に触れてみるのもいいかと思います。

製品情報

『コンコルディア: デジタルエディション』
開発・販売:Acram Digital
対象OS:Windows、macOS
通常価格:1,950円( Imperial Bundleは5,040円)
サポート言語:英語、ドイツ語など5カ国語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1450330/Concordia_Digital_Edition/

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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