『バトルフィールド 2042』漠然とした「残念さ」はどこから?【コラム】 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『バトルフィールド 2042』漠然とした「残念さ」はどこから?【コラム】

『BF』、生きてくれ!!

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強く不満に思う点

次に、強く不満に思う点についてです。数ある不満点の中でも、マップについてはとりわけ問題が多くなっています。

不具合の多さ

プレイに支障をきたす不具合が非常に多いです。数度のアップデートで幾分マシになったとはいえ、PS5でブレイクスルーをプレイしていると、最後までプレイできる試合の方が少ないレベルでアプリケーションが落ちまくります。

環境によってはそもそもゲームサーバーに接続できない場合もあるようです。フルプライス(8700円)のゲームが発売後1か月以上まともにプレイできないのは致命的です。他にも、武器が初期兵装に戻るといった、普通にプレイしていてプレイ続行不可能になるレベルの大量の不具合が散見されます。

ただ、こうした不具合は徐々に解消されていくと思われるので、本記事ではこれ以上言及しません。

マップの構造は最悪

数ある欠点の中でも、マップに関しては最も致命的かつ、今後の改善に期待し辛く、さらに欠陥も複合的と絶望感漂う欠点になっています。

『BF2042』のマップの何が問題なのか、なぜ面白くないのか、なぜ改善に期待できないのか、過去作のマップやマップデザインを分析しつつ見ていきましょう。

単純に広すぎる・使われないスペースが多い。

もはや細かい説明は不要でしょう、少しでもプレイした方ならばすぐに感じるはずです。今作はシリーズ過去作に比べても異常なほどにマップが広くなっています。

『BF』は他のFPSとは異なり、コンスタンスに撃ちあい続けるゲームでは無く、以前から揶揄的に「マラソンゲー」と言われることもありました。ただ、今作は今まで以上に広く、無意味に拠点間の距離も離れています。今作は正真正銘の「マラソンゲー」です。

また、使わないスペースも多くなっています。ディスカードの下の方は必要でしょうか。本拠地とB拠点の距離は適切でしょうか。

人流の動線が考慮されていない

様々なマップに関する問題の中でも、もっとも問題だと感じるのは人流の動線が全く考慮されていない点です。

この件に関しては、シリーズ過去作のマップから具体的に数種の例を挙げつつ説明していきます。これまで多種多様なマップが登場しましたが、『BF4』以降の作品に登場したマップを類型化すると2つのマップ構造に大別されます。

第一に中央拠点激戦区型のマップ構造。第二に分散戦闘型のマップ構造です。

中央拠点激戦区型のマップ構造は直線状のマップが多く、『BF4』ではZavod 311やOperation Lockerなど『BF1』ではSUEZやAMIENS、ARGONNE FORESTなど『BFV』ではDevastationやOperation Undergroundなどです。分散戦闘型のマップ構造は拠点が分散している場合が多く、戦線が明確になりにくい、展開の早い戦いが特徴です。『BF4』ではGolmud RailwayやSiege of Shanghai『BF1』ではFAO FORTRESSなど『BFV』ではArrasやAl Sundanなどが挙げられます。

こうして類型化すると自分がどちらのタイプのマップを好んでいるのか分かるのではないでしょうか。『BF4』のZavod 311やOperation Lockerはファンが多いですが、一方で、Golmud Railway専用のサーバーも見たことがあります。

今までの『BF』のマップはこの2種が意図的に混在され、ゲームプレイ全体に緩急をつける役割があったと思われます。ただ、『BF1』のDLCからはマップサイズや拠点数が多くなる傾向にあり、分散戦闘型のマップの比率が多くなり、『BFV』ではいよいよその傾向が強くなります。『BF1』や『BFV』のマップが合わないという方はこの辺りも関係していそうです。(筆者は『BF1』の後半DLCマップや『BFV』のマップが合わなかった)では、ここからは実際にマップごとにどのようなマップデザイン、人流の動線設計になっていたか簡単に見てみましょう。

根強いファンの多い『BF4』のOperation Lockerは典型的な中央拠点激戦区型のマップです。多くの場合C拠点を取り合うことになり、実際Cを確保し続けたチームが勝つことが多いマップです。一方で、Cに集中しすぎると背後の拠点を脅かされる恐れがあり、その駆け引きや歩兵同士が密集した戦闘スタイルが人気の要因と言えるでしょう。

人流の動線は2本、D―C―B間の地下も含めて3本と少なく、いずれの経路をとっても敵と激突するのは必須でした。

似た構成のマップとしてARGONNE FORESTが挙げられます。こちらも拠点Cが重要な一方で、Operation Locker程は閉鎖的では無く、Cの後背を脅かすルートがロッカーより多かったです。

Zavod 311も中央拠点激戦区型のマップですが、中央はDCの2つの拠点が密集する形式となっています。CD拠点を制するのが重要な一方で、裏取りもしやすく、背後を脅かす強かな分隊に上手く対処するのが勝利の秘訣でした。激戦のCD拠点と緊張感のあるAF拠点、緩急のバランスが良い人気のマップ(Zavod 311のみのサーバーもあった)でした。

Zavod 311に似ている構成にはAMIENSも挙げられます。

中央拠点激戦区型か分散戦闘型で迷ったのがMONTE GRAPPAです。ここはC拠点が中央なのですが、CD拠点の繋がっておらず、制圧しても他より高度が低いのでそれほど有利ではありません。また、拠点以外で戦力が衝突するポイントがBD間に設定されています。ただ、人流の動線がしっかり確立されており、「ここに敵がいるかも」という予見性がしっかり確保されていました。

Siege of Shanghaiはどこよりも高所で、制圧すればフリーハンドで他の拠点に浸食できるC拠点が重要な一方で、Cに固執すれば他の拠点を制圧される、分散戦闘型に寄ったマップでした。(上の画像はCに固執して周りの拠点が落とされた状態ですね。)

林立するビルの影響でヘリが強すぎたり、ビル上にこもるプレイヤーに対処し辛かったりと、賛否分かれるマップなのですが、それでも戦力を集中させる必要のある拠点が意図的に設定されており、それでいて裏取りも容易なため、展開の早い戦闘が楽しめました。ビルが倒壊するレボリューションの要素や遮蔽物の多さも特徴でした。

ST. QUENTIN SCARも分散戦闘型のマップですが、BCDEを囲んだ中央で戦闘が起きることが多く、戦闘が起きやすい区画は設定されていました。

以上で例示した通り、マップの多く(もちろん、過去作にも残念なマップはそれなりに存在した)は「戦力が結集しやすい拠点や地点」が意図的に設定されており、そこからの「外し」として裏取りの経路が設定されていました。特にBF1では、パラシュートで何処にでも行ける。というマップが無く、戦線が出来やすいのが特徴でした。

また、裏取りは強力な分隊が行うと瞬時にパワーバランスが変化する戦い方ですが、拠点間の距離が『BF2042』に比べて近かった従来作は対処までの手間が少なく、不条理感は少なかったです。むしろ、裏取りや裏取り潰しは個人のプレイスキルに依存する部分が多く、『BF』らしからぬ緊張感ある戦いで好きでした。

さて、『BF2042』はどうでしょうか。

広すぎて人流の動線以前の問題となっており、加えて重要拠点や激戦区が設定されていないので、偶発的に始まる「群れ」同士の戦いになってしまっています。拠点を制圧するために戦うというよりは、集団が出会ったから戦う、と言うような状態です。

アワーグラスを見て、どこが重要拠点だと思われるでしょうか?1度の制圧でエリアを獲得できるBCD拠点が重要ですが、それはゲームシステム上重要になっているだけであり、高所や中央の拠点だから、といった直感に反します。

拠点間が離れすぎていて、敵と戦うまでに何分も走る必要がある

オービットも同様です。拠点が分散し、それぞれの距離が離れています。結果的に拠点の制圧状況が相互に影響しあう度合いが低下しました。「ロッカー」のC拠点背後がとられそうだから、一時的に退こう、といった戦略性は皆無です。今作の人数は2倍なのにチマチマしていて、盛り上がりに欠けるという印象はこれが原因かと思われます。

マニフェストは『BF2042』のマップの中では比較的小さいですが、離れ小島のような拠点が地形によって他の拠点に影響しあわない配置になっています。

「離れ小島拠点」は『BF1』のSINAI DESERTや『BF4』のFlood ZoneのD拠点などでもありましたが、とりわけ『BF2042』ブレイクアウェイのE1拠点は距離の上でも移動経路の上でもアクセス性は過去類を見ない程悪く、どういった考えでこの拠点を設定したのか理解できません。

なんとなく『2042』を思い出す『BF1』のDLCマップ

もっとも、過去作も全てのマップが良いマップという訳ではありませんでした。重要拠点が無く、人流の動線が考慮されていないマップもそれなりにありました。『BF1』ではマップそのものが作り直されることになったものもあります。

ただ、これまでのマップと比べても『BF2042』はより出来の悪いマップになっています。全てのマップは広すぎで、人流の動線が全く考慮されていないのに加え、拠点間の距離が離れすぎています。また、多くのマップや拠点は平坦で、人数で平押ししていくしかないため、プレイヤーが魚群のようになり、戦略性無くマップを回遊し続ける状態になる場面も多く見受けられました。

中央拠点激戦区型のマップが無く、全てのマップで拠点が分散しているのもゲーム全体で見た時に変化がありません。過去作では意図して設定されていた重要拠点も『BF2042』は機能していませんでした。

最初の出撃時は強制的に本拠地から出撃させられるため、最寄りの拠点まで1分以上走らされるのも大いに不満です。

遮蔽物が無く、ビークル・歩兵双方に理不尽さがある。

今作のマップは驚くほど遮蔽物が少なくなっています。『BF1』や『BFV』でも遮蔽物が少ないと感じましたが、比較にならない程です。

この遮蔽物不足で問題になるのがビークル・歩兵双方に理不尽さが降りかかるという点です。

リスポーン地点に遮蔽物が無いため、緩やかな平地を走る敵兵。撃ち放題である。

と言うのも、射線を遮る遮蔽物や隠れられる建物が無ければ、遠距離からの攻撃が歩兵を苦しめます。また、ビークルにとっても、開けた場所が多い今作は遠方からの集中攻撃を受けやすく、後退しても為す術なく倒されていく姿をよく見かけます。また、ドローンにC5爆弾を付けた一撃必殺の戦法は本当に理不尽です。

このように、『BF2042』のマップの酷さには広さ・地形・拠点数・拠点の配置・遮蔽物、と様々な問題が複合的に絡み合っており、改善は難しく感じます。そもそも、全く異なるゲームであるバトロワと大規模戦闘をマップを共用にしてゲームにしようというのは素人目から見ても無茶な試みに感じます。

ひどいUI

率直に言って『BF2042』のUIは使い辛いです。FPSで頻繁に行う武器変更をするには、メニュー画面で□ボタン→R12度押し→メニューから選択し×ボタンという随分な遠回りとなっています。とはいえ、武器変更は死んでから行うのでまだ時間に余裕があります。

さらに使い辛いのは問題は味方分隊員が拠点に密集している際は重なって何を選択しているのか分からない出撃画面です。『BF4』では可能だったマップの拡大や分隊員の視界といった情報はありません。

マップUIも分かり辛いです。このマップ上でプレイヤー(筆者)がどこにいるのか、分かるでしょうか?

正解は赤円で囲ったBS拠点の近く、一秒を争う戦場で地図が読み取り辛いのは致命的です。画像データが粗いため、地形も読み取りにくくなっています。

銃の種類が少ない。

銃の種類はサブウェポンも合わせて全22種類。これは、現代~近未来戦を舞台にした『BF4』はもちろん、時代背景から銃種が限られる『BF1』や『BFV』にも大きく劣っています

確かに、マガジン容量など過去作に比べて銃の性能が大きく変わるカスタマイズがありますが、それを加味しても銃の種類は少ないと言わざるを得ないでしょう。これはFPSゲームをガンマニア的に楽しむ筆者のような人種には致命的な欠点です。別に性能差を付けなくても、弱い武器があっても構わないのです。

しかも、種類が少ないにもかかわらず、銃器バランスが悪く、発売当初はPP29の一強状態、現在はPKP一強状態です。

兵科システムの廃止

本作では約20年前のシリーズ最古作『BF1942』から連綿と受け継がれてきた兵科システムが事実上廃止され、『オーバーウォッチ』や『Apex Legends』といったヒーローシューターの要素が導入されています。

従来は4種の兵科で役割分担をしつつゲームを進行していったのですが、これが10種の特殊な能力を持つキャラクターとなっています。それも、自己完結する能力のキャラクターが殆どで、役割分担というより、個々人が勝手に戦っているという印象が強いのです。

また、肝心の特殊能力も、敵を自動でスポットしたり、ビークルに対し一方的にハッキングしたり、高所から長距離滑空できる。といった一方的で理不尽(対抗手段が無い)な能力が多く、戦闘の奥深さに繋がっていません。少人数戦闘であれば、能力発動の読み合いが戦闘の奥深さにもつながりますが、大人数戦ではこうした読み合いは機能しません。兵科システムの廃止と『バトルフィールド』シリーズに馴染まないアビリティ制は百害あって一利なしと言えるでしょう。

ガジェットが一つになった事で連携要素が薄くなった

個々人が勝手に戦っている、という印象はガジェットを事実上1つしか持てなくなった変更でさらに強化されました。従来では、メイン武器とサブ武器に加え。例えば、医療バッグ(ガジェット1)蘇生器具(ガジェット2)を持っていたのですが、今作ではキャラクターごとの特殊なガジェットで1が既に埋まっているため、ガジェットを1つしか持てなくなっています。

このため、弾薬パックや医療バッグをガジェットに振り分けているプレイヤーは少なくなっています。弾薬の補充や回復といった、見知らぬプレイヤー同士を協力させ、チームに一体感を与える要素が全く機能していないのです。

さらに、今作ではコモローズ(意思伝達システム)が分隊内でしか共有されないため、援護兵に近づいて「弾が欲しい」とコモローズを出せば弾薬箱が出てくる。といった気軽な野良との協力プレイは不可能になっています。蘇生してもらった礼を言っても相手には届きません。連携要素や共闘要素が薄くなったのは非常に残念です。ただ、味方が集団(群体)になっている場所ならば助け起こしてもらえることは多いです。

コンクエストとハザードゾーン。二兎を追った弊害

ガジェットであるモーションセンサーは自動で範囲内の敵を瞬時にスポットしてくれる優れもの。対してドローンは自分で操作してスポットする必要があります。2つのガジェットのバランスは、ハザードゾーンでは補給しにくいモーションセンサーアビリティなので時間経過で補充されるドローンでバランスが取れていましたが、モーションセンサーを簡単に補充できる「All-out Warfare」では強さのバランスが取れていません

また、マップもバトロワライクな「ハザードゾーン」と「All-out Warfare」で共用されているので、コンクエストやブレークスルーにかみ合わず、明確な欠点になっているのでしょう。

他にも

上記に挙げた以外にも、過去作と比べて破壊要素が減少、「All-out Warfare」における出撃時の強制演出。キルログやコモローズが分隊内しかない。といった問題点があります。人によってはまだまだ不満点が多いでしょう。

ページ3 『バトルフィールド2042』良かった点、ハザードゾーン・ポータルについて
《大塩》
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