スパくんでも分かる! ゲームニュースを深く知る為の「科学論文」読み方ガイド | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

スパくんでも分かる! ゲームニュースを深く知る為の「科学論文」読み方ガイド

今日び増加傾向にある論文紹介メディア、是非ソース元を読んでみたい方に。

連載・特集 特集
スパくんでも分かる! ゲームニュースを深く知る為の「科学論文」読み方ガイド
  • スパくんでも分かる! ゲームニュースを深く知る為の「科学論文」読み方ガイド
  • Game*Spark掲載「オンラインシューターのプレイ時間と攻撃性に目立った関連見られず―海外の最新研究が公開」より
  • スパくんでも分かる! ゲームニュースを深く知る為の「科学論文」読み方ガイド
Game*Spark掲載「オンラインシューターのプレイ時間と攻撃性に目立った関連見られず―海外の最新研究が公開」より

唐突ですが皆さんは論文を読んだことはありますか?インターネットの普及した現代では、ニュースメディアにとどまらず、TwitterからYouTubeまで、様々な媒体で論文は紹介されており、今では身近な存在と感じる人の方が多いかもしれません。

例えば“ゲームは有害か否か”という話題において、科学論文が引用されることは非常に多く見られます。過去にGame*Sparkではこれらに関連して、“学力とゲームの関係に着目した研究”や“オックスフォード大教授のゲーム論文”などを取り上げてきました。

また、直近ではオンラインシューター『Apex Legends』&『OUTRIDERS』のプレイ時間と、“プレイヤーの攻撃性に目立った関連性は見られなかった”という最新の研究結果を紹介国内でゲーム規制論が展開されるいま、ゲーマーの皆さんとしては、これらは関心の高いニュースかもしれません。しかし、ソースである論文そのものを“1から10まで読んだ”という人は意外と多くないのではないでしょうか?

そこで、今回の記事ではジェニファー・ ラフ博士が執筆した「科学論文の読み解き方:非科学者のためのガイド」(+同博士による実践編)を本記事筆者の補足も交えて紹介していきます。

ジェニファー・ ラフ博士とガイドについて

ジェニファー・ ラフ博士とは、米カンザス大学の人類学部准教授です。過去にはアメリカ人類遺伝学会(AAAG)の会長を務め、今年にはニューヨーク・タイムズのベストセラー本「Origin」を出版するなど、人類遺伝学をリードする学者の一人と言えます。そんな彼女が2013年に自身のBlog掲載した記事が「科学論文の読み解き方:非科学者のためのガイド」、当時投稿した“Googleの検索結果よりも主治医を信じたほうがいい”という主張に対する、一部コミュニティの反響を受けて執筆されたものです。

本ガイドは、一般の人が科学的なリテラシーを身に着ける手助けをするため、専門的な知識を全く持たない人を対象にしています。ブログやニュースを読むのとは違い、科学論文を読むには「根気と実践」が必要ですが、「経験を積めばもっと早く読めるようになる」とのことなので頑張りましょう。

1. 読み始める前のアドバイス

ラフ博士はまず、著者とその所属機関に目を向けることをオススメしています。特に最初に名前が掲載されている人は研究の大部分に携わっており、最後に記載された人は研究の総監督者である傾向が高いとのこと。また所属する機関によっては、“特定の立場を主張してきた歴史”があるなど、論文にバイアスがかかっている可能性も存在するそうです。

さらに、その論文が掲載されている学術誌(ジャーナル)にも注意した方がいいとラフ博士はいいます。博士はWeb of Scienceといった索引を参考に論文を探すことを推奨する一方で、お金さえ払えば正式な論文の掲載を許可するハゲタカ出版などに気を付けるよう勧告しています。

また、ガイドでは論文を読んでいる間に理解できない単語があれば書き留めるべきとのこと。これは面倒な作業ですが、「単語の意味がわからなければ論文の理解はできない」と注記されています。

2. 「概要(Abstract)」ではなく、「イントロダクション」から読み始めよう

大半の研究論文には「概要」「イントロダクション」「メソッド」「結果」、そして「結論/解釈/考察」がそれぞれ掲載されています。このうち「概要」には論文全体の抄訳が掲載されており、この部分だけを読んで科学的議論を展開しようとするような一般人も多いとのこと。しかし、この部分は著者の解釈によってバイアスがかかっている懸念があり、論文を深く理解するには「最後に読む」ことが推奨されています。

※本記事筆者の補足:論文の構成について

論文は主に、全体の抄訳である「概要」、研究背景などが記された「イントロダクション」、採用した研究方法などがまとめられている「メソッド」、その名の通り研究結果が載った「結果」、著者による結果の解釈や今後の課題を提示する「結論/解釈/考察」という5種類のセクションで構成されています。
※本記事筆者の補足:“論文を概要だけで語る”行為について

またラフ博士が挙げた“論文を概要だけで語る”という行為は、日本でもSNSなどで散見される問題です。冒頭で述べられた通り、論文全体を読むには「根気と実践」が必要なので、多忙な現代社会では致し方ない側面があるかもしれません。とはいえ、概要では文字数などの都合から“研究が抱える課題”や“研究の手法”といった情報が含まれていないことが多く、これらをスキップすれば論文への深い理解が得られない可能性が考えられるでしょう。

この行為が蔓延している背景には、多くの論文が概要以外のコンテンツを有料化している実情もあります。しかし、機関によっては別途で一般や報道機関向けにプレスリリースを配信している場合があるので、そちらも確認するといいでしょう。論文を取り上げているメディアを見かけた際は、“概要だけをソースにしていないか”という点にも注目するといいかもしれません。

3. 大まかな議題(疑問)を特定しよう

ラフ博士によると、「この論文は何について書かれたものか」ではなく「この(研究)分野が解明しようとしている疑問は何か」に焦点を絞るといいそうです。これにより、研究が行われた理由について考え、提示される証拠に注視することができるとのこと。

4. 背景(イントロダクション)を5行以内に要約しよう

大まかな議題を特定した次のステップとして、“その議題に研究者たちがどのように取り組んできたか”を簡潔にまとめることが、論文理解の一助になるとラフ博士は言います。「これまでにどのような研究が行われてきたのか」「先行研究の課題は何だったのか」などを書き出して、論文で取り上げられている研究の文脈について考えることができるそうです。

5. 具体的な議題を特定しよう

ここでラフ博士は“論文の具体的な議題”を特定することを提唱しています。「著者がその研究で何を証明しようとしているのか」に主眼を置き、研究で帰無仮説(ある仮説が正しいのかを判断するための仮設)を検証している場合は、それを明らかにすることも重要であるとしました。

6. アプローチを特定しよう

先ほど判明した具体的な議題に関して、著者が何をもって回答しようとしているのか、そのアプローチを特定する必要があるとのことです。

※本記事筆者の補足:「イントロダクション」について

ここまでが主に「イントロダクション」で行う作業となります。なお、本セクションは一般的に主題でないことを理由にメディアでは無視されがちですが、先行研究から世間一般のニュースまで様々な話題を取り扱い、ソースを明記した上でまとめてあることから、単体の読みものとしても中々に読み応えのある部分です。もちろん、著者が自身の研究に有利な資料ばかりを紹介する「確証バイアス」的な内容の可能性もあるので、両論併記となっているかも含めてじっくり確認するといいでしょう。


《ケシノ》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top