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【RTA特集】バトルは1回のみ、わずか15分で殿堂入り。『ポケモン ダイパリメイク』スピードランの進化と今

「15分の壁」を打ち破った方法とは?現世界記録保持者にも話を訊きました。

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ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール(以下、ポケモンBDSP)は、2006年に発売された『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のスイッチ向けリメイク作品です。2021年11月の発売直後には、原作を忠実に再現している点が高く評価された一方で、バグの報告が相次いだことでも話題になりました。これらのバグの多くは12月に配信されたバージョン1.1.2で修正され、本作に関する盛り上がりは一旦落ち着きを見せました。

一方、バージョンアップデートをあえて回避し、現在もバージョン1.1.1で本作をプレイし続けている人々が世の中には存在します。それは、1秒でも速いタイムを追い求めて何百周もクリアを繰り返し続けているRTA走者達です。

発売から約2週間で15分台という記録が達成された本作のRTAですが、その後も研究が進み、本稿執筆時点(2022年6月)では、14分31秒というタイムが世界記録となっています。

(画像は Pokémon Brilliant Diamond/Shining Pearl - speedrun.com より)

本記事では、現在RTAで使われている攻略ルートの概要と、「15分の壁」が破られるまでの軌跡について紹介します。

15分で殿堂入りする方法とは?RTAの現行ルート紹介

普通にプレイすると20時間以上かかる本作ですが、RTAではどのようにしてたったの15分でクリアするのでしょうか?本節では、「Any%(達成度不問)」カテゴリで現在使われている攻略ルートについて紹介します。

本作では、BGMをオフにすると様々な効果音が流れなくなり、効果音が流れている間の待機時間を節約することができます。この仕様を活用するため、オープニングムービー終了後、まずはBGMの音量を0に設定します。

続いて、ゲーム本編開始後にムックルとのチュートリアルバトルを行います。この戦闘はAny%における最初で最後のポケモンバトルです。御三家の中から「こうげき」が最も高いナエトルを選択して、ムックルを2ターンで倒せるよう祈ります。個体値やダメージ乱数次第ですが、およそ6割ほどの確率で3ターンかかってしまうため、世界記録を目指す上では大きなリセットポイントとなります。

さて、ナエトルを手に入れたのは、ポケモンバトルのためではなく、グリッチを利用するためです。「つよさをみる」画面でバッグを複数個開くことによって、「メニューストレージ」と呼ばれる強力なグリッチを発動します。そして、画面遷移時やイベント開始時などの「時が止まるタイミング」でメニューを閉じることで、時が止まった状態のまま主人公を動かすことができます。

時が止まっている状態では、草むらでのエンカウントやトレーナーとのバトルといった全てのイベントが起こりません。この状態を利用して、諸々のイベントを無視してコトブキシティへ真っすぐ向かいます。時止め状態では建物の中に入れないので、次のイベントに備えてセーブ&リセットで時止め状態を解除します。

コトブキシティに来た最初の目的は、ボロのつりざおの入手です。本RTAにおけるボロのつりざおは非常に強力なアイテムで、「時止め」とその解除を自由に行えるようになります。つりざおを陸地で使おうとすると、博士から「使いどき」ではない旨のメッセージが表示されますが、博士のセリフ中にメニューを閉じれば「時止め」、セリフを全部読めば解除されるという仕組みをうまく活用していくのです。

続いてGMSに向かい、「謝罪」をストレージします。ここで言うストレージとは、イベント発生直後にメニューを閉じることによって、イベントを保持して別の場所で再開できるようにすることです。そして、GMSに近づくと発生する「謝罪」イベントには、主人公を右へ1マス押し戻す作用があります。

その他必要な準備を終えた後、202番道路から「なぞのばしょ」へ侵入し、直接ポケモンリーグへ向かいます。なぞのばしょでは周囲が全く見えないため、タイマーの秒数などを頼りに所定の座標を目指します。

なぞのばしょから通常マップへの復帰はそのままでは上手くいかないので、ここで「謝罪」を発動します。1マス右に押し出されることを利用してポケモンリーグに侵入したあと、セーブ&リセットでマップを読み込みます。

あとはここまで使ってきたグリッチを応用して、ライバル、四天王、チャンピオンのシロナを次々にスキップします。四天王の部屋では、2マス上に押し出されるイベントを保存&開放することによって扉をすり抜けて進みます。入力タイミングのシビアな技も多く、正確なコマンド入力が求められる緊張の区間です。最後はシロナの部屋でうまくリフトに乗ることができれば、いよいよ殿堂入りの時間です。

以上がポケモンBDSP『Any%』の現行ルートの概略です。驚くべきことに、攻略の基本的な流れは本作の発売から約2週間で確立されています。本作のスピードランコミュニティの研究力の高さには、ただただ敬服するばかりです。

Any%世界記録「15分の壁」は如何にして破られたか

ここからは、現世界記録保持者であるばすたぁ氏に伺った話に基づいて、記録達成までの経緯や今後の展望について見ていきます。

同氏が本作のRTAに参入したのは、発売から約3週間後、世界記録が15分台に突入した頃でした。世界記録を次々に塗り替えていった同氏は、大晦日に15分00秒00という記録を打ち立てます。14分台まであと1フレームというこのタイムは、次の記録更新への大きなモチベーションとなりました。もしこの記録が14分台だったら、その後の更新は無かったかもしれない、と同氏は語っています。

同氏は、同じルートで再走するのではなく、既存のルートの改良に取り組みました。その結果、2つの大きな短縮ポイントを見出しました。

1つ目は、四天王スキップを完全目隠し状態で行うというものです。従来は、壁抜けの仕込みを終えてから、部屋の内部が見える状態で移動を開始していました。新たな方法では、壁抜けを仕込みながら、メニュー画面状態で地形が見えないまま、部屋の内部を移動することによってタイムを節約し、約12秒の短縮に成功しました。

2つ目は、「3重ストレージ」の活用です。通常のメニューストレージではバッグを2重に開く動作が用いられますが、バッグを1度で3重に開くことで、1回分の動作を節約できます。

3重ストレージという現象自体は知られていましたが、これをRTAにも取り入れようと考えた同氏は、Any%において全部で5回、3重ストレージを利用できることに気づきました。成功すれば1回につき2秒の短縮が見込まれる技です。実行する際にはかなりの連打力が要求される技で、通常は5回中2~3回決まる程度の成功率だそうですが、世界記録では4回成功しています。

現世界記録のランにおける主なミスは、シロナの部屋でリフトに上手く乗れず2秒弱ロスしていることと、3重ストレージに1度失敗していることの2つです。同氏曰く、現行ルートで達成可能なタイムは、14分25秒あたりが限界だろうとのこと。これは、14分の壁を破るためには、何か革新的な発見が必要であることを意味します。

そのような発見がもし起こるとすれば、ランの中で3度ある「セーブ&リセットの削減」が有力な候補です。1度のセーブ&リセットにつき約45秒かかるため、仮に1回でも節約できれば13分台が見えてきます。あるいは、四天王スキップを目隠し状態で行うようになったのと同様のことを、他の場所でも実行することも考えられます。ただし、より長距離の移動を目隠し状態で行うことは、RTAで導入するのはかなり難しいと予想されます。

本節で紹介したばすたぁ氏は、Any%のRTAを80時間以上に渡って約1,200回試行してきた日本人走者です。Youtubeチャンネルにて、他のポケモン作品のRTAにも挑戦していますので、普段の配信の様子もチェックしてみて下さい。

また、本記事では『Any%』に焦点を当てて紹介してきましたが、ポケモンBDSPのRTAには、他にも面白いカテゴリが多数存在します。先日のMeme RTA Marathon 2で走られた『Reverse Badge Order』では、8つのバッジを逆順で取得して殿堂入りするための、様々なテクニックが披露されました。

また、7月2日にはSummer Games Done Quick 2022にて、『Any%』に加えて『Any% Glitchless(バグ利用禁止)』のRTAも披露される予定です。NPCとの交換で手に入るユンゲラーが大活躍するのが特徴的なこのカテゴリでは、3時間45分でのゲームクリアが予定されています。今後ますます洗練されていくであろう本作のRTAの今後に、是非ご注目ください。

※本記事の画像は、1枚目を除いて 【RTA Speedrun】Pokémon Brilliant Diamond/Shining Pearl Any% Glitched in 14:31 (Current World Record) より引用しました。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)



《とんこつ》
とんこつ

RTAプレイヤーです とんこつ

福岡県出身。東京大学卒業後、2018年にRTA(リアルタイムアタック)に出会い、現在に至るまでTwitch & Youtube Partnerとして活動中。主なプレイタイトルはスーパードンキーコングシリーズとマリオ&ルイージRPGシリーズ。RTA in JapanやGames Done Quickへの出場多数。

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