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幕末京都の「ガヤガヤ感」を細やかに再現!『龍が如く 維新! 極』はゲーム業界の「王様と私」になれるか?

先日開催された東京ゲームショウにおいて、注目の新作『龍が如く 維新! 極』の試遊が実施されました。

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幕末京都の「ガヤガヤ感」を細やかに再現!『龍が如く 維新! 極』はゲーム業界の「王様と私」になれるか?
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先日開催された東京ゲームショウにおいて、注目の新作『龍が如く 維新! 極』の試遊が実施されました。

この『維新! 極』は2014年発売の『龍が如く 維新!』のフルリメイク作品。キャストが一部変更され、さらにグラフィックも現代のテクノロジー水準に合わせて大幅進化しています。

そして『維新! 極』は、欧米でのリリースも決まっています。この点はもしかしたら、「日本史の世界輸出」という流れを呼び起こすかもしれないアクションではないか……と筆者は考察しています。

それはどういうことか?

世界史的にはローカルな「日本の幕末」

9月16日のTGSビジネスデー。

この日の午前まで、筆者は『龍が如く』シリーズとは全く関係のない別のタイトルの試遊を行うつもりでした。しかしそのタイトルが登場しないと判明し、急遽セガブースの『維新! 極』をプレイすることに。

ところで、TGS前日の、同シリーズの新作発表会には海外のメディア関係者も顔を出していました。しかし、これは「幕末」が舞台であり、「坂本龍馬暗殺」を始めとした幕末期の重大事件を取り扱う作品です。

坂本龍馬が暗殺された近江屋事件は、西暦では1867年。イギリスはヴィクトリア朝の最盛期、アメリカの大統領はアンドリュー・ジョンソン、そしてフランスではナポレオン三世が第二帝政の皇帝として君臨していた時代です。

では、現代の欧米人に日本史の一区分に過ぎない幕末期が広く知られているのか……という話になると、それは難しいところだと考えています。

ペリーの黒船来航をきっかけに、日本でも「欧米列強の手が及んでいる=欧米の植民地になるかもしれない」という危機感が共有されるようになり、それを何とか回避するために日本各地の有力者や知識人、そして若き志士たちが各地を奔走する……というのが我々日本人がよく知っている幕末のドラマです。しかしこれは、欧米人にはなかなか共感されづらいことではないでしょうか?

また、そもそも幕末自体が世界史の視点から見れば「ローカルな出来事」に過ぎません。それを舞台にしてしまっているゲームは、果たして欧米でも需要はあるのでしょうか?

「アジア史は魅力的!」ということを証明した『Ghost of Tsushima』

日本のゲーム関係者を長年悩ませていたその問いは、『Ghost of Tsushima』の世界的ヒットで一気に氷解することになりました。

『Ghost of Tsushima』の舞台は13世紀後半の日本の九州、フビライ・ハーンの大元ウルスによる日本侵攻、即ち「元寇」をテーマにしています。欧米、特に13世紀には影も形もなかったアメリカの人々に理解されるのか……という疑問は、今では持つだけナンセンスです。そもそも『Ghost of Tsushima』の開発者は、アメリカのSucker Punch Productions。「日本史のドラマ」は、欧米の人々の胸を鷲掴みにしてしまうということが『Ghost of Tsushima』の成功で見事に証明されました。

そしてよくよく考えてみれば、日本の幕末期に相当する「19世紀後半アジアのローカル史」の作品化が欧米で大ヒットした例は存在します。ただしそれは、ゲームではありません。

ミュージカル作品『王様と私』です。

19世紀タイ王国を有名にしたミュージカル作品

『王様と私』の舞台はタイ王国。絶大な権力を誇る王様が、欧米列強の脅威に対抗するためにタイの近代化を決意します。では、一番最初にどこから近代化するべきか? タイの王様は「まずは自分の子どもたちに西洋式の教育を受けさせよう」と考え、何とイギリスから女性の家庭教師を呼び寄せました。

その家庭教師と王様のロマンスを描いたのが『王様と私』です。そしてこれは、実話を基にしています。「国を近代化させるため、いの一番に自分の子供たちに近代的教育を受けさせた」という聡明な王様が、タイに実在していたのです。

この『王様と私』は1951年の初演以来ブロードウェイの定番作品となり、また何本もの映画が制作されている「世界的コンテンツ」です。

そして『維新! 極』も、ジャンルは違えどまさに『王様と私』のようなビッグタイトルへの道を歩んでいくのではないか……というのは筆者個人の過度な期待でしょうか?

メシを食う姿で分かる「細やかな描写」

『維新! 極』には様々なお店が登場します。

はなまるうどん、富士そば、ドン・キホーテ、すしざんまい、和民といった「馴染みの看板」が我々の目の前に現れます。このあたりはリメイク元の『維新!』と同様です。

筆者が『維新! 極』を試遊する最中で一番強烈に感じたのは、それらの看板がもたらす「安心感」。普段の街歩きで見かけるロゴを、ゲームの世界でも目の当たりにすることができる。それはこの空間が「自分たちの地元」であるという認識を感じ取るための取っ掛かりでもあります。

しかし、もしも筆者が外国人であればどう感じるでしょうか?

「日本にはこんな料理を出す店が実在するのか? 食べてみたい!」と考えるかもしれません。

Unreal Engineで制作された優美なグラフィックの中で、主人公が心底美味しそうにうどんを食べる姿は、一度見たら忘れられません。ああ、この男もやっぱり人間なんだな。腹が減ったらこんな感じでドンブリにかじりつくんだな。何だ、こいつも我々と一緒じゃないか!

うどんをすする音と共に再現されている「食事中の男」の画像は、ある意味で戦闘シーンよりも強烈なインパクトをプレイヤーに与えます。

『維新! 極』がそのような細かい表現を重要視する作品ということを、此度の試遊ではっきりと確認することができました。

路地を1本挟んだだけで世界が変わる!

賑やかな京の都の様子、そしてそこに住む人々もグラフィックの進化と共によりリアルになっています。

江戸時代の京都は、全国有数の大都市。昼間は老若男女様々な人が歩いています。不用意に走れば肩がぶつかってしまうほどです。

そして「江戸時代の京都」といえば上品なイメージがあるかもしれませんが、その市街地は江戸や大坂のような雑多な空間。いろいろなお店が立ち並ぶ大通りの「ガヤガヤ感」が周囲を支配しています。かと思えば、路地を1本挟むといつの間にか人混みはなくなり、代わりに顔つきの怪しい奴らが刀の鞘を左手で握りながらこちらを睨んでいます。

そのような「空間のギャップ」も、『維新! 極』の見どころと言えるでしょう。このあたりの細やかな描写は、読者の皆様にぜひ体験していただきたい!

そんな具合の網の目を縫うかのようなきめ細かい表現が、最終的に「幕末」という大きな時代の括りを見事に造形しています。『維新! 極』は単に「幕末が舞台のゲーム」ではなく、現代のエッセンスを取り入れながらも「当時の賑やかさ、華やかさ」を完全再現している作品と言えるでしょう。

最後に一言。マジで腹減った。うどん食いてぇ!


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《澤田 真一》
澤田 真一

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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