
クトゥルフ神話をモチーフとする美少女ホテル経営シミュレーション『ヨグ=ソトースの庭』。日本語版のリリースもアナウンスされた同作ですが、それを継承する新作『夜明けの笛吹き者』の開発も進んでいます。本稿では、『夜明けの笛吹き者』の紹介を交えながら、同作を手掛けるBone Nailへの『ヨグ=ソトースの庭』『夜明けの笛吹き者』両作品のインタビューをお送りします。
栽培と錬金術を組み合わせた経営シミュレーション

『夜明けの笛吹き者』は褐色の美少女の姿をした死神と主人公が、何かを賭けて「ブラックジャック」をしている場面から始まります。本作もラヴクラフト作品から多大な影響を受けており、非常にポエミックな文体が特徴的です。どうやら賭けているものは魂と巨万の富らしく、紆余曲折あって主人公は廃墟と化した錬金工房と栽培園を手にすることに。イントロダクションが終わると、早速経営シミュレーションがスタートします。
デモ版の範囲では、錬金工房と栽培園、そしてアイテム購入ができるショップなどがある街に訪れることができました。基本的なゲームの流れとしては、栽培園で作物を作り、錬金工房でそれを加工。商品として売ることで資金を集めて、さらに設備を増強しつつ、時には住民との交流を図りながらストーリーを進めていきます。


栽培園は『Stardew Valley』の冒頭さながらに荒れ果てており、雑草や石を片付けながら、じゃがいもやサトウダイコン(てん菜)などの作物を育てていきます。作物を育てる方法はシンプルで、田畑を増やし(耕し)、種を植えて水をまき、収穫できるまで待つだけ。その合間に適したアイテムを用いて栽培園を整地したり、作業を効率化してくれる生産設備を配置したり、錬金工房へ移動して商売にかかる下準備を行ったりしていきます。
そうやって商品を作っていき、その生産が安定していくと錬金工房で営業開始です。ひっきりなしにお客さんが足を運んでくるので、彼らが満足のいく買い物ができるようにディスプレイを工夫しましょう。並行して住民からの依頼をこなせば、報酬が貰えるので効率的に資金を稼げます。工房運営を続けるうちにレベルが上昇していき、新しい棚や製造設備、そして高度な錬金レシピの研究も解禁されていくのだとか。
たくさんも美少女が登場するもハードコアな世界観?


冒頭に記したように、ラヴクラフト作品からの影響が色濃く、“ストーリー重視の経営シミュレーション”と称している本作。これでもかと登場する美少女キャラクターたちと、舞台となる「ダイヤモンドシティ」をとりまく謎に満ちた世界観も魅力です。
主人公を錬金術師様と慕う、本作のヒロインである双子のひとりである「アカネ」が栽培園で“謎の人骨”を掘り起こしてしまうなど、やたらと物騒な事件が起こります。「楽園」とも呼ばれるダイヤモンドシティでは、さまざまな組織・住民がそれぞれの思惑のもと動いており、それらと交流をすることで色んなストーリー展開が待ち受けているとのことです。「BitSummit the 13th」の際の試遊時点ではローカライズに難がありましたが、今後そちらが改善されることに期待しましょう。
Bone Nailインタビュー!『ヨグ=ソトースの庭』、トリポカやはり大人気
――本作の正式日本語版の実装が決定したきっかけは何でしょうか?
Bone Nail:松竹様との協業のおかげで、日本のプレイヤーの皆様に本作をお届けする機会を得ることができました。心より感謝申し上げます。
――公式日本語版の翻訳は、どのようなプロセスで進められているのでしょうか?
Bone Nail:ゲームの全テキストをこちらからお渡しし、松竹側で専門の翻訳者に翻訳していただいています。その後、完成した翻訳をゲームパッケージに組み込む形で進めています。また、翻訳の一貫性を確保するため、専用の用語集も提供しています。
――公式日本語版にあたって、既存の有志翻訳版を参考にしていますか? 両者に差異が生じることについてはどうお考えですか?
Bone Nail:自発的な翻訳版については、以前プレイヤーの方からお話を伺ったことがあり、日本のプレイヤーの皆様が本作を期待してくださっていることを知るきっかけとなりました。今回の公式翻訳は松竹様が主導しており、皆様により良い体験をお届けできればと願っております。

――本作はすでに多くの評価を得ていますが、改めて日本のプレイヤーに本作の魅力をご紹介いただけますか?
Bone Nail:ローグライク(神託システムなど)と経営シミュレーションを融合させたゲームプレイに加え、約60万字に及ぶ綿密に執筆されたシナリオと24種類のエンディングをご用意しております。ゲーム世界の細部まで構築することで独自の雰囲気を持たせています。キャラクター面では、それぞれの魅力や感情をプレイヤーの皆様に感じていただけるよう心がけています。
――本作がクトゥルフ神話から大きな影響を受けたきっかけは何でしょうか?
Bone Nail:最初はシナリオの担当者が「凡人が夢の世界に入り込む」という夢を見たことがきっかけでした。夢の中では「地球上の古代神話の神々と、クトゥルフ神話の外なる神々が戦う」といった展開があり、とても面白いと感じました。そこから世界観が派生し、この世界体系では、神のレベルでは古代の原初神と外なる神の対立や協力があり、人間のレベルでは未知に立ち向かう姿が描かれます。両者の物語線が交わることで、多くの興味深いアイデアが生まれます。
――発売以来、各国の反応の中で特に印象に残ったものはありますか?
Bone Nail:まず、死神「トリポカ」が非常に人気を集めたことです。これは私たちの予想を大きく超えるものでした。特に三つ目のビジュアルは多くの好評をいただきました。

また、私たちのゲームデザインにはかなり複雑な錬金システムがありますが、優れたプレイヤーの方々が研究を重ね、ゲーム内の錬金資源を増やし続けられる方法を発見し、それを「無限資源回転」と呼んでいました。とても面白いと思いましたし、設計意図とは異なりますが、プレイヤーの皆様が楽しんでくださっているので、この点は修正する予定はありません。
――本作のストーリーにおいて、キャラクターや共通のテーマに意図的な設定はありますか?
Bone Nail:はい。キャラクター面では、ニュクスのようなキャラクターが全体を通して登場します。ゲームプレイ面では、「神託」や「錬金術」といったシステムが複数の作品に登場します。また、「隕石」はいくつかの作品を通じて共通する要素です。私たちの物語全体の枠組みにおいて、一部の外なる神の力は隕石に宿り、この世界に到来することで、さまざまな予測不能な結果をもたらします。
――Bone Nailの開発体制について教えてください。魅力的な美少女キャラクターや物語は、どのように、誰が中心となって制作しているのでしょうか?
Bone Nail:基本的には全員で協力的な体制で制作しており、それぞれが得意分野で主導しています。ゲームプレイ、シナリオ、美術といった各分野の案を出し合い、協議の上でゲームの骨組みを決めています。キャラクターとストーリーについては、シナリオと美術の担当者が中心となって決定しています。
――トリポカは2作品に登場していますが、開発チームのお気に入りキャラクターなのでしょうか? また、三つ目の設定はどこから着想を得たのでしょうか?
Bone Nail:チームはゲーム内の全ての女性キャラクターに心血を注いでおり、ストーリーと美術の両面で全力を尽くしています。それぞれのキャラクターには独自の魅力があります。トリポカが2作品にわたって登場するのは、以前のクラウドファンディングにおいて多くの支持をいただいたからです。
「死神」をテーマにしたゲームを制作することは、クラウドファンディングでの約束の一つでもありました。三つ目の設定は美術の担当者によるデザインです。「ロリータ風の黒と白のワンピースを着た死神が、力を解放する際に顔に異常さを表現する」というリクエストに基づき、デザインと創作を行いました。
――国ごとにキャラクター人気に差はありますか?
Bone Nail:他国のプレイヤーから直接フィードバックをいただく機会はあまり多くないため、この点については判断できません。ぜひBone Nail StudioのDiscordチャンネルにご参加ください。プレイヤーの声は私たちにとって非常に重要です。

――本作は料理の種類が多いことで有名ですが、その中で特に自慢の一品はありますか?
Bone Nail:本作の料理は主に中華料理の四川料理と広東料理からインスピレーションを得ています。どちらも非常に美味しく、Bone Nail Studioのメンバー自身も大好きです。面白いものとしては「護国菜」が挙げられます。以前、メンバーの一人が潮汕地方で食べたことがあり、料理の見た目が太極図(陰陽魚)の形になっていて、味も非常に美味しく、大変印象に残っています。ただ、潮汕を離れるとなかなか食べる機会がないのが残念です。

――グッズについてですが、今回のBitSummitでは周辺グッズの販売もありました。今後、日本で正式にキャラクターグッズを展開する可能性はありますか?
Bone Nail:松竹側では試験的にオンラインストアでも周辺グッズの販売を行ってくださっていますが、現時点ではそれ以上の計画はありません。まずはゲームの発売を優先し、その後に機会があればその他のグッズを展開することも検討したいと考えています。皆様のご支援に心より感謝いたします。
『夜明けの笛吹き者』も共通世界観に。今度のテーマは「時間と愛」
――本作のテーマは何ですか?
Bone Nail: 時間と愛です。
――開発はいつ頃から始まりましたか?
Bone Nail: 2024年の半ば頃からスタートしました。
――世界観は前2作と共通していますか?
Bone Nail: 基本的には一致しています。そこに新たな神話的要素を取り入れ、物語の舞台をヨーロッパへと移しました。
――BitSummitの体験版段階では、ゲームの基本的な方向性がまだ見えませんでした。最終的には『ヨグ=ソトースの庭』に比べて経営SLG寄りになるのか、それとも『ヨグ=ソトースの庭』のようにストーリー重視のバランスを保つのでしょうか?
Bone Nail: 私たちは常に、ゲームプレイとストーリーのバランスを模索しています。今作では、ゲームプレイとシナリオの両方において、前作から大幅なボリュームアップを図りました。ゲームの規模も前作より大きくなります。
――経営シミュレーションとして、前2作と比べて大きな変化はありますか?
Bone Nail: まず今作では、「ローグライク(Roguelite)+経営シミュレーション」というゲーム性の特徴を貫いています。
そして今回は、「農業、製造、開店、受注」というサイクル全体を網羅し、遊びの幅が以前よりさらに広がりました。また、釣りやカードゲームといったミニゲームも追加されています。
「農業-製造」のプロセスにおいては、「人薪(ヒトマキ)」というシステムを設計しました。これはプレイヤーが自ら組み合わせる「道具としての人間(ツール)」のようなものと捉えていただければと思います。このシステムにより、ゲーム中盤以降の単調な繰り返し操作が軽減され、より楽しさを感じていただけるはずです。
全体として、プレイヤーの皆様に新鮮さを感じていただけることを願っています。
――現在の完成予定時期はいつ頃ですか?
Bone Nail: 2026年の初頭には皆様にお届けしたいと考えています。現在は、ゲームの品質をしっかりと磨き上げることが最優先事項です。

2P Gamesがパブリッシングを手掛ける美少女錬金工房運営シミュレーションADV『夜明けの笛吹き者』は2026年初頭に配信予定。松竹がパブリッシングを手掛ける美少女ホテル運営シミュレーションADV『ヨグ=ソトースの庭』日本語版の配信日は未定です。











