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【特集】ポーション売りは実在する!錬金術シムRPG『Potion Permit』で知るインドネシアの健康事情

インドネシアでは、コロナ感染予防のため大統領もポーションを飲んでいる!

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インドネシアのMassHive Mediaが制作した錬金術シムRPG『Potion Permit』は、その名の通り「ポーションの製造」をテーマにしています。

主人公は都からムーンベリーという村に派遣された薬師。周辺の森で素材を探しつつ、病気になった村人を治療できるポーションを生産していきます。ポーションはファンタジー作品には欠かせない回復アイテムですが、実はインドネシアでは「ポーション売り」という職業が確立しています。

そして『Potion Permit』自体、よく見ればインドネシアらしい背景が見事に反映されている作品なのです。

開発元の所在地はインドネシア・西ジャワ州バンドゥン

『Potion Permit』は2月9日に国内スイッチ/PS4/PS5向けに配信されました。もちろんSteam版でも日本語の言語対応が施され、日本人ユーザーの増加が期待されているタイトルです。そんな『Potion Permit』をざっとプレイしつつ、このゲームを開発したMassHive Mediaの所在地である西ジャワ州バンドゥンについて解説していきたいと思います。

インドネシアの首都ジャカルタはジャワ島にありますが、このジャワ島内には複数の文化圏が存在します。ジャボデタベック(ジャカルタ経済圏)を形成する工業地帯ブカシ、デポック、ボゴールはジャカルタ首都特別州ではなく西ジャワ州の都市。そして西ジャワ州の州都はスンダ文化圏の中心都市バンドゥンです。なお、ジャワ文化圏はスンダよりも東に位置します。

割と平野の多いジャワと山の只中にあるスンダ。この両者は、ウラジミール・ケッペン博士の気候区分においてもはっきり区別されます。ジャワは熱帯モンスーン気候ですが、スンダは熱帯雨林気候です。

バンドゥン市街地の標高は、なんと700m以上。従って朝方は、ここが熱帯地方とは思えないほど涼しくなります。日本で言うところの軽井沢のような別荘地でもあり、郊外には避暑目的でやって来た富裕層を相手にする飲食店がドンと建っていたりもします。

伝統的なスンダの民族衣装に身を包んだ女性が、大きな荷物を背負いながら道を歩いています。この荷物は、瓶やボトルに入れられた色とりどりのポーション。インドネシアでは伝統的薬師が調合した「ジャムウ」が広く売られているのです。

大統領もポーションを飲んでいる!

ジャムウは日本では「漢方」と訳されることがありますが、日本人がぼんやり想像する中国漢方とはまた違うもの。

ジャワ文化圏とスンダ文化圏で製造されるジャムゥは、食品・飲料メーカーのものはさておき大抵は家内制手工業で作られます。そして、それを抱えて行商する仕事は伝統的に女性の役割です。

山で採取した薬草やハチミツ、ショウガ、シナモン、ウコン等を混ぜ、ほとんどの場合は液状の飲み物として製造します。その工程は『Potion Permit』のポーション生産と大差ありません。固定のクリニックを持つか市街地へ行商に出るかという違いはあるものの、インドネシアでは今でもジャムウが民間療法の一環として実施されています。

インドネシアの第7代大統領であるジョコ・ウィドド氏も、ジャムウの愛飲者です。

ジョコ大統領は新型コロナウイルス感染予防のため、インドネシア原産のタムラワ(ジャワジンジャーと呼ばれることもある)、赤ショウガ、ウコンから作ったジャムウを朝昼晩の1日3回飲んでいます。

もっともこれが医学的に正しい予防法であるかということはこの記事では言及できませんが(厚生労働省が発表している新型コロナ感染予防の情報はこちら)、少なくともジョコ大統領がジャムウの効能を信じていることは事実。そして、ジャムウそのものをブランド化する取り組みにも力を入れています。

言い換えれば、国家がポーションの生産及び流通の拡大を後押ししているということです。

近代化したポーション売り

「ジャムウの行商は伝統的に女性の役割」と上述しました。このあたりは、現代ではとある外国資本の手によって近代化されています。

それはヤクルトレディです。

ヤクルトにとって、インドネシアは最も成功した国外市場。スーパーマーケットやコンビニ、個人経営の雑貨店でも売られていますが、何より全国に1万人以上いるヤクルトレディが販売を支えています。

より正確に説明すれば、1万人のヤクルトレディが配達と同時に営業を実施し、それを見た雑貨店店主やグロシール(卸売業者)が「あれは売れるぞ!」とばかりに自分たちでも取り扱いを始めた……という流れです。繰り返しますが、インドネシアでは行商は女性の仕事。彼女たちの足腰の強さをフル活用すれば、海の向こうからやって来た未知の飲み物を「定番の健康飲料」として定着させることも可能です!

インドネシアの銭湯

『Potion Permit』を進めていくと、もうひとつ「インドネシアらしい点」を見つけることができます。

それは「銭湯がある」ということ。

もっとも、インドネシアの銭湯は日本人の想像する大衆浴場ではなく、どちらかと言えばプールに近い感じです(水着を着て入浴します)。しかし、これらはれっきとした温泉。日本もインドネシアも環太平洋火山帯に沿った島国で、あちこちに火山が存在します。

バンドゥン近郊にも温泉付きの保養施設がたくさんあり、腰痛や関節痛に悩むジャカルタ市民が湯治目的でここを訪れることも。このあたりの感覚は、日本人のそれとあまり変わりません。


そんなインドネシアの事情がところどころに反映されている『Potion Permit』は、PC/ニンテンドースイッチ/PS5およびPS4向けにリリース中。素材の採集、ポーションの調合、住民との交流などゆったりとした薬剤師ライフを送れる本作が気になっている方は、インドネシア産らしい空気を味わいつつ、プレイしてみてはいかがでしょうか。


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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