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『ジェダイ:フォールンオーダー』宇宙人にはいつ会える?SFを真面目に考えるドレイク方程式とフェルミのパラドックス【ゲームで世界を観る#43】

異星探査は天文学者のロマンです。

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『ジェダイ:フォールンオーダー』宇宙人にはいつ会える?SFを真面目に考えるドレイク方程式とフェルミのパラドックス【ゲームで世界を観る#43】
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はるかかなたの銀河系で、地球を凌ぐ高度な宇宙文明が星々を駆け巡る技術を開発していたら?現代天文学によって「宇宙人」が存在する可能性が示されて以来、多くの人々の想像力をかき立ててきました。星間移動で多種多様な種族が登場するSFのジャンル「スペースオペラ」はその最たるもので、「スター・ウォーズ」はまさに金字塔に位置づけられる作品です。『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』では、映画やスピンオフに登場したロケーションを自らの足で回ることができます。

生命が育ちうる地球のような惑星は探せば十分見つかる、というのが現在の常識で、「宇宙人」(地球外知的生命)はいるかいないか、と天文学者に尋ねれば、ほぼ全員が「どこかにはいる」と答えるでしょう。そもそも、私たち地球の民も立派な宇宙人ですしね。とはいえ、なんとなく「いる」「いない」で話を進めるのは科学的ではないので、ある条件を設定したら1つの銀河でどのくらい存在する可能性があるか、というのを計算する式があります。

アメリカの天文学者フランク・ドレイクが1961年に考案した「ドレイクの方程式」と呼ばれるもので、地球外文明の探査「SETI」を始めるに当たって科学的に予測できるであろう要素を具体的に示しました。

N = R × fp × ne × fl × fi × fc × L
(またはN=Ns×R×fp×ne×fl×fi×fc×L÷Lg)

N=銀河系内で電波で交信する文明を持つ惑星の数
Ns=銀河系の恒星の数
R=文明を持つ生命を生み出す条件を満たす恒星の割合
fp=その恒星が惑星系を持つ割合
ne=その惑星系で生命を生む環境がある惑星の数
fl=その惑星上で生命が誕生する確率
fi=生命を持つ惑星の中で知的生命が誕生する割合
fc=知的生命が宇宙に強い電波を出すようになる確率
L=その文明が存続する期間(つまり文明の寿命)
Lg=銀河系の寿命

ざっくり言うと、星の中で生命が誕生して文明を築き、科学を発展させて電波発信を行うまでのハードルを想定したものです。少なくとも、この地球がそれを成し遂げた実例であり、広い天の川銀河であってもどこか1つがこの条件を満たせば、何らかのシグナルを地球が受信できるかもしれない。フランク・ドレイクはそう考え、前年1960年に地球初の知的生命探査「オズマ計画」を始動させていました。

ドレイク博士はN=銀河内の交信可能な文明の数は20以上になると推定し、電波望遠鏡を使えばいずれ見つけられるのではないかと真剣に考えていました。SETI以外にも異星人コンタクトを目指す複数のプロジェクトに関わり、探査機パイオニア、ボイジャーに搭載したメッセージ板とゴールデンレコード、アレシボ天文台から発信したアレシボ・メッセージ、それぞれの作成に携わりました(博士は昨年9月に逝去)。
 

文明の部分は当てずっぽうにはなるものの、恒星や惑星の数、生命の可能性までは観測によって導き出すことも不可能ではなく、エウロパやエンケラドゥスなど惑星の衛星にもハビタブルゾーンが見いだされた現在はその数字は上昇しています。最新の論文では最低36という予想が出ていて、いたらいいなというロマンと共に、地球に生命が何故生まれたのかを紐解く鍵として多くの研究者が「いる」と言うようになりました。

現在も探査は各地で進行中ですが、今のところほぼ空振り状態が続いています。唯一可能性が見込まれる「WOW!信号」も、未だに確証を持って何かの信号と断定はできません。ドレイクの方程式では「文明がある」というところまでなので、そこからコンタクトが取れる可能性となると、光年単位の距離やタイミング、通信を発信する方向などの問題で確率は一気に下がります。

結局のところ、地球外文明の手がかりを見つけなければ正確な方向へ送信することもできないので、銀河全域を詳細にスキャンできるテクノロジーを持つ宇宙人が現れない限り、残念ながらコンタクトがマッチする見込みは限りなく低いでしょう。宇宙が広い故にすれ違うことすらままならないのです。

科学的視点では「いるかもしれないけど会えるかどうかはわからない」で止めるしかありませんが、想像の世界ではもう一歩進んで、「もしかしたら既に地球に到達している可能性はあるから、それでも地球人の前に姿を現さないのは何故なのか?」という、知的な遊びのような問いが立てられました。いわゆる「フェルミのパラドックス」と呼ばれるもので、ドレイクの方程式よりもよりも前の、50年代のUFO=宇宙人の乗り物説が出たときに提示されました。

この問いは分野を限定せず様々な説を答えにできることから、SF的想像を喚起するのにも大いに役立ちます。単純に時期や場所が合わなかったから、でも良いですし、既に来ているけれど様子を見ている、地球人が関知できない高度なステルス技術がある、希少な原住民として保護監察下にある、など色々と考えることができます。新しいものだと、文明は「スター・ウォーズ」のようにたくさんあるから、逐一征服するのに時間がかかっているから、なんてものも。単に放っておかれてるだけなのかもしれませんが、いるならいるで一度はお目見えしたいところです。

そんな感じで天文学者のロマンは尽きませんが、2017年には太陽系の外からやってきた観測史上初の天体「オウムアムア」が見つかりました。どこから飛んできたのかは不明ですが、少なくとも太陽系内では描けない軌道で通り過ぎたので、別の恒星系が出自であるのは間違いないでしょう。つまり恒星間移動の実例を確認したのです。人類の宇宙進出が本格的になるこれからというときに現れたのは、何かの兆しなのかもしれません。

人類もいつかは恒星間移住にチャレンジをする時期が来るのでしょうが、そのとき「宇宙人」として人類はどうなっているのか、果たして異星人に出会えるのか。スペースオペラの世界は案外間近まで迫ってきているのかも?


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

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