「家庭用機版が出たらゴール」とは考えてない―『ウィザードリィ外伝 慈悲の不在』【INDIE Live Expo 2023 参加デベロッパー連続インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「家庭用機版が出たらゴール」とは考えてない―『ウィザードリィ外伝 慈悲の不在』【INDIE Live Expo 2023 参加デベロッパー連続インタビュー】

「INDIE Live Expo 2023」で紹介された作品の中からGame*Spark編集部が注目作をピックアップ! 開発や販売を担当する方々に連続インタビューを実施しました。

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「家庭用機版が出たらゴール」とは考えてない―『ウィザードリィ外伝 慈悲の不在』【INDIE Live Expo 2023 参加デベロッパー連続インタビュー】
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2023年5月20日と21日に、インディーゲーム紹介番組「INDIE Live Expo 2023」が配信されました。本記事では300タイトル以上のインディーゲームが飛び出したこの配信の中で、編集部注目タイトルの開発者に行ったインタビューをお届けします。

今回は59 Studio開発のPC(Windows)向けダンジョンRPG『ウィザードリィ外伝 五つの試練』のイード側ディレクターを担当する堀江陽氏へのミニインタビューをお届けします。

本作は「シンプル&ハードコア」をキーワードに掲げる3DダンジョンRPG。多くのファンを持つRPG『ウィザードリィ』シリーズの完全に独立した外伝作品のひとつであり、2006年に発売された作品の大幅なバージョンアップ版です。今回のINDIE Live Expo 2023ではダウンロードコンテンツ第2弾となる「慈悲の不在」を2023年6月22日に発売することを発表しました。

ゲーム本編となる『ウィザードリィ外伝 五つの試練』はSteamにて販売中です。


――最初に、ご担当者様または開発担当チームについての自己紹介をお願いします。本プロジェクトを始めたきっかけについてもお聞かせください。

堀江陽『五つの試練』で、イード側のディレクターをやっております。実のところ、Game*Spark Publishingの名は伊達ではなく、このGame*Spark自体でも色々やっていますよ。きっとみんな気づいてないページ下部の「Game*Sparkについて」にも名前がしっかりと。

『五つの試練』を今回復活させたことについては4Gamer.netさんのインタビューなどでも度々話が出ていますが、『戦闘の監獄』含めWindows10で動作させるには「癖」がある状況になってしまったのと、既に販売サイトの多くが消失してしまい、新たな販路を確保しないと本格的に現代の環境で楽しめる日本語の『ウィザードリィ』がほぼ皆無になってしまう、というところです。そこに、もともと59さんが内々に作っていた、iOS『戦闘の監獄』をベースにしたWindows10対応版『五つの試練』という計画がタイミングよくハマった感じですね。

――本作の特徴を教えてください。

堀江陽『ウィザードリィ』の名に限らずかつてのPC向けRPGが持っていた、手探りで道と正解を探すような古の体験から、トレジャーハントやレベルの数値の上昇にワクワクするシンプルなRPGの楽しさの体験まで幅広く楽しむことができます。

今回の「慈悲の不在」ではこの内の前者、手探りで道と正解を探すような体験を主に、比較的程よいボリュームや難易度で楽しむことができるでしょう。

――どのような経緯で本作のイード側のディレクターを担当されることになったのでしょうか。

堀江陽プロジェクトの発案自体が自分だったからですね……。いざ、リブートさせようというところまではよかったのですが、そもそもイード(の前身のIRI-CT)でゲームを出していたことを知っている人間も殆ど残っておらず、担当者も大分昔の出来事なのでそもそも記憶もおぼろげ……といった状況でした。プロデューサーのタンクトップおじさん(宮崎)の尽力がなければ発売までこぎ着けるのも難しかったかもしれません。

――本作の開発期間で、最も印象深いエピソードを教えてください。

堀江陽我々もゲームメディアを運営しており、ゲーム開発に関わった経験も全くのゼロではありませんが、やはりゲームをパブリッシングするというのは外から見ているよりも困難が多いのだと気付かされました。メディアなのに詳らかにできないのは心苦しいですが、発売前日に延期を発表した時は一番辛かったかもしれません。おかげ様で万難を排してリリースできたので、今となっては笑い話にもできますが、当時はメンタル的にも相当やられました。

それ以外では、我々の始動のタイミングが各所の動きと被ったこともあり、既にお話しているエピソードとしてこちらの記事で触れているロゴの話もとても印象的でした。


――本作はどのようなゲーマーに遊んでもらいたいと考えていますか?

堀江陽シンプルかつハードコアなRPGを遊びたいゲーマー向けだとは思っています。2006年版のユーザーだけでなく、新しいプレイヤーにもですね。

――本作品や、Game*Spark Publishingとしての今後の展開についてお聞かせください。

堀江陽「慈悲の不在」で一旦告知されたDLCは終了となりますが、その後は正式版や、おまたせしてしまっているオンラインエディタに向けての開発を進めてまいります。

そして、正式版以降の大目標については、かねてからお話している他ハード展開へと向けた対応作業・改修を進める予定です。

エディタに関しては、既に熱心なユーザーさんたちの協力を得てクローズドなテストとともに開発は進めていますが、一般公開できるまでにはもう少々お時間をいただきそうです。しかし、当初のアナウンスからそこまでずれないタイミングでお披露目できれば……と考えています。

現代のゲーマー間には、ミドルエンジンを使っていれば移植もらくらく、という空気も一部ありますが、実際にはゲムスパ読者のコアゲーマーの皆様であれば昨今の様々なタイトルでも報じられている通り、そう簡単な話でもありませんので(特に我々含む、極少人数のインディー開発だと……)それなり以上にお時間はいただくと思います。とはいえ、長い目で……と思っているとそう遠くない時期に嬉しいお知らせができるかもしれません。

また、移植作業と並行して段階的に本体アップデートも重ね、随時機能の改善や追加を行っていく計画です。正直なところ、いただいた要望のなかで、様々な制約により先送りにしているものもありますので、一旦正式版として納得できる内容でリリースし、その後もユーザーさんの声を拾いながら開発を続けていきたいと思います。一方、本体開発や移植のリソースを圧迫しないようなDLCなどのコンテンツ追加については随時検討してまいります。「家庭用機版が出たらゴール」とは考えておりませんので、ユーザーの皆さまが望む大規模な新コンテンツを含むようなDLCが可能な範囲で提供できないかなども含めて年単位の長期を見据えて計画を進めてまいります。

Game*Spark Publishingとしての動きについては、タンクトップおじさん(宮崎)からコメントを貰ってきました。

宮崎紘輔Game*Spark Publishingとしては、現状具体的な計画はありませんが、Game*Spark自体には今回のようなゲームのパブリッシングのほか、出版を含む広義でのパブリッシングなど、ウェブメディアに止まらない構想があります。そう遠くないタイミングでコアゲーマーに喜んでもらえるようなサービスもいくつか展開したいと思いますので、Game*Spark本誌とあわせて楽しみにしていただければ幸いです。

ちなみに我々がパブリッシングしても、Game*Sparkが使いたい放題使えるというくらいのメリットしかありませんが、興味があるという奇特な方がいればぜひお声がけください。ただし、金銭の動きこそなくても、Game*Spark上では直接の関連情報は全てPR記事扱いになります。ステマ、ダメ絶対。

――最後に、本作のファンや読者に向けてメッセージをお願いします。

堀江陽本作はよく「インディーか?」と言われるところですが、実際のところは59さんを含めても、本体だけなら余裕で片手で収まるレベルの超極小人数での開発かつ、(上場企業で体力があるとはいえ)会社に開発・宣伝予算などを準備してもらってるわけでもなく、人的サポートもなく、本業のメディア運営と早期アクセスでコツコツ稼ぎ、その金でDLCを開発し……という、お借りしているIPの大きさを除いては完全に「インディー」としか呼びようがない代物です。

皆様にはぜひぜひDLC「慈悲の不在」含め、応援よろしくお願いします。


Game*Sparkでは他にも多数の「INDIE Live Expo 2023」参加デベロッパーやパブリッシャーにミニインタビューを実施しています。その他の記事はこちらからご覧ください。


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