ミャンマーで活動中の人民派の防衛軍を、スマートフォン向けゲームを通じて資金援助する取り組みについて、その現状などをイギリス公共放送BBCが報じています。
2021年2月、ミャンマー国軍がクーデターを実行。軍はアウン・サン・スー・チー国家顧問をはじめとする、民主派の与党・国民民主連盟(NLD)の幹部を拘束し、政権を掌握しました。
軍事政権に対抗し、民主派勢力は亡命政府・国家統一政府(NUG)を樹立したほか、その軍事部門として国民防衛軍(PDF)を設立しています。2023年時点でもミャンマー国軍に対し抵抗を行っているPDFですが、IT専門家のKo Toot氏はその活動を、スマートフォンゲームで得た収益を通して支援しているそうです。
本作は2022年にリリースされた広告収益型の無料アドベンチャー。プレイヤーはミャンマー国軍と戦うPDF兵士としてミッションを遂行する内容となっており、Toot氏は登場するキャラクターについて、医師やイスラム教徒、LGBT+といった現実でミャンマー国軍と戦っている人々を元にしていることを明らかにしています。
本作の収益に関して、最低でも現在までに総額50万8,000ドル(約7,400万円)になっているほか、現在は月を追うごとに月収が増えているそうです。Toot氏はこれらの資金がPDFの食料や武器だけでなく、紛争で遭難した子供たちや負傷した人々への人道支援にも使われていることを語りました。
本作の存在はミャンマー国軍も把握しており、国営メディアを通して4月、“本作をプレイした国民は法的措置を受ける可能性がある”と警告。“テロ組織がPDFの資金を稼ぎ、軍に対する不信感を植え付け、反軍の革命精神を高めるためにゲームを作成した”といいます。
なお、Toot氏は「彼らは幾度も止めようとしているが、私たちはただ続けるだけだ。このデジタル攻撃を止める方法は無い」と語っているほか、反軍運動を支援し続ける意向を示しました。
※UPDATE(2023/8/30 17:38):BBCに関して、当初「国営メディア」と記載していた箇所を「公共放送」に修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。