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Game*Sparkレビュー:『スーパーマリオRPG』オリジナルを尊重した素敵なリメイクだが、現代のRPGと比べるとシンプル

27年ぶりに、マロやジーノに会いに行こう

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『スーパーマリオRPG』素敵な追加要素とオリジナルを尊重した素敵なリメイクだが、現代のRPGと比べるとシンプル
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スーパーマリオRPG [Nintendo Direct 2023.6.21]

ついに発売されましたリメイク版『スーパーマリオRPG』。27年の時を経て、SFCの名作が蘇ると聞き、初報からずっとワクワクしていた方も多いのではないでしょうか。本作を5時間遊んだ段階のプレイレポはこちらに掲載されておりますが、本記事ではより詳細に、ラスボス撃破まで遊んだ上でのレビューをお届けします。

SFC版『スーパーマリオRPG』は、任天堂とスクウェアの奇跡のコラボレーションとして当時のゲーム業界を震撼させましたが、今回のリメイク版はその頃の衝撃を超えられたのでしょうか? また、ここ数年でリリースされてきた現代のRPGと比べて“面白い”と言えるのでしょうか? 今回のレビューでは、そういったポイントについて考えていきます。

『スーパーマリオRPG』の世界を俯瞰―マリオに宿りしRPG精神

本作のストーリーは、マリオがいつも通りクッパにさらわれたピーチ姫を助けに行くシーンから始まります。問題なくクッパを倒したかと思うと、上空から剣が降ってきて、武器世界の王カジオーと戦わなければならないという運命を背負わされます。まさしくスクウェア的な、JRPG世界の常識がその通りの形を持って迫ってきたという感じですね。

ゲーム的な流れもとてもRPGらしく、新しい街に着いたら住民たちの問題を聞き、そこで新しい装備を整え、併設されたダンジョンに潜り、問題を解決してまた次の街へ……という繰り返しです。各地のロケーションやそこで暮らす人々はバラエティ豊かで「次はどんな冒険が待っているんだろう?」と胸躍らせる体験があり、普遍的な面白さを感じられます。

マリオ世界の雑魚であるクリボーやパタパタもいれば、『ファイナルファンタジー』っぽいモンスター(リチャード、ダウトなど)もワンサカ登場し、両社のアイデアが惜しみなく投入されております。音楽やSEも素晴らしく、下村陽子さんの印象的なフレーズがいつまでも頭に残ります。

また、マリオシリーズは、常に低年齢層のゲーマーをターゲットにしてきた経緯があります。その辺りの前提も踏まえ、世界各地で起きるイベントは、その他のRPGに比べると、ちゃんと血生臭い空気がオミットされています。登場人物の死や、いがみ合いに別れといった展開はありませんのでご安心ください。

といっても、マロが両親を探す決意をするシーンや、ジーノがワガママなクッパを立てるシーンなどは、大人のプレイヤーでも充分に読み応えのあるテキストとなっております。世界を巡り、色んな人と出会い、影響を受ける……およそRPGファンが楽しみにしているイベントがいくつも用意されており、場合によってはハッとさせられるかもしれません。

一方で、ブッキーなどのあまりにイカれた台詞を放つキャラクターや、敵モンスターやNPCが喋るパロディギャグ&しょうもない下ネタも『スーパーマリオRPG』の個性のひとつです。当時ですら「なんで入れたの(笑)」と言いたくなるようなものも多かったのに、今回のリメイクでそれらをほとんど残したのは、資料性という観点からは英断だったと筆者は思っております(もちろん、不快な思いをしたというプレイヤーもいるかもしれませんが……)。

総じて、あの時代、あの瞬間でしか成り立たなかった唯一無二のRPGなのは間違いありません。あなたがゲーム史に少しでも興味があるならば『スーパーマリオRPG』の空気を吸うことをオススメします。

RPGの肝となるコマンドバトル―現代で遊んでも面白い?

『スーパーマリオRPG』は、90年代の大体のRPGと同様、コマンドバトルを採用しております。

基本的な戦闘は『ファイナルファンタジーVI』以前の戦闘メカニクスをさらにシンプルにしたもので、FP(MPと同義)を使った大技を相手の弱点属性に合わせて撃ち、こちらのHPが0になる前に回復して押し切るといった作りです。正直言って大して頭を悩ませるポイントはなく、良く言えば疲れていても遊べるし、悪く言えば簡単すぎます。

オリジナル版からあるユニークな点として、攻撃や防御のタイミングでボタンを押すと効果が上がる「アクションコマンド」というものがあり、これがマリオっぽいアクションを引き立てています。しかし、中盤以降のボスはアクションコマンド無効の大技を乱発してくるので、たまに形骸化してしまうのが残念でした。

今回のリメイクで、アクションコマンドによってステータスにバフがかかる「ゲージ」や、そのゲージをマックスにすると撃てる大技中の大技「3人技」や、「弱点属性の可視化」、「控えパーティとの交代」といった細かい調整により、ゲーム自体がさらに簡単になりました。極めつけは「エンジョイ」モードという難易度を選べば、もう全滅すること自体が難しくなります。

それらすべてはライトユーザーを取り込むシステムであり、昨今の『ファイナルファンタジー』のリメイク作でも、再プレイの面倒臭さを倍速やレベルカンストといった追加オプションでスッ飛ばすことを取り入れているので、むしろ良い調整だと思えます。

しかし、現代でも生まれ続けているRPGの傑作たちと比べると、あまりにバトルが簡素であるのは強く主張したいポイントです。

ダンジョンにも特に手は加わっていませんが、こちらは元からマリオ的なジャンプアクションや、途中で挟まる初代『ドンキーコング』らしいステージ、ちくわブロックの連続ジャンプなどのミニゲームで飽きを軽減しようという試みをしています(すべてのミニゲームが面白いわけではないですが)。ダンジョンひとつひとつの長さもほどよいので、問題ないかと思われます。

そもそもが本作以降に出たマリオを基にしたコマンドバトルRPG自体が、パークやスキルを付け替えたり、押し引きによって戦場全体を管理したりするような複雑なメカニクスはほとんどなく、どちらかというとアドベンチャーゲーム的な作りになっていることから、バトルに複雑性を求めるのが無理筋なのかもしれません。

逆に言えば、クッパがチームにいると部下であるノコノコの兵士が逃げ去っていくとか、そういったイベント演出の面白さに振っていると考えれば、その点は面白いと感じられるでしょう。

ゲームの脇を固める機能や演出―気になる細かい評価点やバッドポイント

今回のリメイクで筆者が最も評価したのは、カットシーンの豪華さです。元のドット絵も好きでしたが、今回は全ての画面が3D化。新たに描き直されたカットシーンへとスムーズに繋がっており、まるでアニメを観ているような感覚になりました。ボスたちが必ず見栄を切るのも良いですね。

また、ヘルプ周りやオプション設定も丁寧であり、初めてRPGを触るというプレイヤーでも安心して遊べるような配慮があります。公式サイトからダウンロード可能な、パンフレットが作れるPDFも可愛らしいので、ぜひとも作ってみてください。

他には、これは多くのスイッチタイトルで見かけられますが、やはりフレームレートの低下が問題点として挙げられます。街で画面をスクロールするとほぼ確実に起こりますし、プレイに支障をきたすほどではないのですが、スイッチのハード性能の限界をまたしても垣間見てしまう瞬間でした。


ゲーム自体に古さは覚えましたが、流石は往年の名作RPGを何度もリメイクしているArtePiazzaだけあって、その忠実さ、隙の無さはもはや職人芸です。これでSFCやミニスーファミを引っ張り出さなくても、いつでも『スーパーマリオRPG』を遊べる環境が整いました。彼らの仕事に敬礼です!

総評:★★★(満点)
良い点
・リメイクとしての忠実な仕事ぶりと、素敵な追加要素
・オリジナルが持つセンスあるテキストや世界観

悪い点
・96年時点でもシンプル過ぎたバトルは、今回も変わっていない



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《各務都心》

各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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