【特集】真夜中にじっくり読みたい短編ADV『ファミレスを享受せよ』スイッチ版をプレイ。新要素も追加された“穏やかで退屈な楽園”の物語 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【特集】真夜中にじっくり読みたい短編ADV『ファミレスを享受せよ』スイッチ版をプレイ。新要素も追加された“穏やかで退屈な楽園”の物語

ドリンクバーは飲み放題 まちがいさがしもあるよ

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【特集】真夜中にじっくり読みたい短編ADV『ファミレスを享受せよ』スイッチ版をプレイ。新要素も追加された“穏やかで退屈な楽園”の物語
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ファミレスを享受せよ [Indie World 2023.11.15]

深夜のファミリーレストランと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? 深夜料金で割高に感じるメニュー、マイルドヤンキーの溜まり場、別れ話をしているカップル……あ、いや、そっちじゃない、そっちじゃないです。もっとこう、雰囲気が良くて気だるい感じがする空間を思い浮かべてほしいんです。

アンビエント系の落ち着いた店内BGM、雨の国道から差し込むハイビーム、眠いけどもう少し起きていられる時間……それが深夜のファミレスってなもんです。エドワード・ホッパーの有名な絵画「ナイトホークス」のような、穏やかで退屈な楽園に、永遠に閉じ込められたとしたら、あなたはどうしますか?

エドワード・ホッパー「ナイトホークス」シカゴ美術館所蔵(Public Domain)

『ファミレスを享受せよ』月刊湿地帯により開発された、永遠のファミレス「ムーンパレス」に閉じ込められる短編ノベルゲームです。リリース当初はitch.ioでフリーゲームとして頒布されましたが、追加要素を加えたSteam版が公開され、その際に筆者も魅了されました。

この度、ついにニンテンドースイッチ版がリリースされたということで、もう一度あのムーンパレスに赴いたわけですが、やはり何度遊びに来てもたまりません……今回実装されたアップデートにも触れつつ、まだ遊んでない人でも「ファミレス」をたっぷり享受できるように、じっくり解説していきたいと思います!

1.永遠のファミレスで何が楽しめるの? ネタバレ無しのプレイレポ

試験のために深夜遅くまで起きていた主人公は、明るい月に誘われて、深夜営業をしているファミレス「ムーンパレス」に足を運びます。ソフトクリームを注文してウトウトしながら待っていると「あれ、本当にここはさっきまでいたファミレスか?」と違和感を覚えます。店員もおらず、椅子やテーブルの配置も何か変……そこで、ファミレスに居た先客たちに話を聞いてみると、どうやらここにずっと閉じ込められているらしく……。

そんな感じで始まるのが『ファミレスを享受せよ』。基本的にやることはポイント&クリックであり、気になる箇所を触って話題を得て、先客たちに聞いて回ることで物語が進展します。複雑なギミックはほとんどなく、ゲームパッドかスイッチのジョイコンで遊ぶ分には勝手にカーソルが合わさるので、詰まることはほぼないと言っていいでしょう(ちょっとした謎解きはあります)。

ファミレスと言えば……まちがいさがし!

細かなアクションを要求されることもないので、携帯モードにして寝ながら又は作業しながら遊ぶのにも最適です。隅々まで遊んでも3時間ほどで終わるので、忙しい人にもちょうどいいボリュームですね!

また、脱出を図るゲームだからといって、ホラー要素は一切なく、当然ジャンプスケア(プレイヤーを突然驚かせる恐怖演出)もありません。そういう表現に触れたくないときでも安心してプレイできます。

2.個性豊かなキャラクターたちと、万人に向けられたストーリー展開

何と言ってもノベルゲームはストーリーやキャラクターが重要ですが、これが記憶に深く刻まれるほど素晴らしいものでした……まず、ファミレスの先客たちがユニークです。

物静かで知的なセロニカ、相棒を失って嘆き悲しむガラスパン、かつてとある小国を率いていた王レールロード・スパイク、引きこもって何かに怯えているツェネズ……彼ら彼女らと雑談を繰り返しながら、ちょっとずつ事の真相を掴んでいくわけですが、どのキャラクターもほどよい塩梅で味付けされており、もっと喋っていたいと思わせるような素敵な性格をしています。

舞台設定が変わらない以上、どうしてもキャラクターたちを殺したり問題を起こさせたりして話を動かしたくなるものですが、本作では彼らのあいだに大きな反目は起きないにも関わらず、ドラマが進行していくのも見所です。

また、本作は深夜のファミレスという、雰囲気の良さだけで何となく一本作れちゃいそうな感じの設定と、何となく意味ありげなセリフ回しなどから「これ本当にちゃんと終わるの?」と訝ってしまうかもしれませんが……ご安心ください。しっかりとしたオチが付くのも高評価のポイントなのです。

最初から最後まで一定の空気感を保ったまま「あ、そういう風に転がっていくのね」と膝を打つほどユニークな方向に展開していく物語を、是非とも味わってほしいと思います。いやはや、こういうタイプのお話が一番作れないんですよね……。

3.どっちのサウンドがお好み? スイッチ版追加要素のご紹介

今回のアップデートにより、スイッチ版にはBGMのピアノバージョンが追加されました。オプション画面の最下にある鍵盤のマークから選択できるので、聴き比べてみてください(ちょっとON/OFFが分かりづらかったですが……)。

スイッチ版『ファミレスを享受せよ』BGMオリジナル版/ピアノ版を比較

皆さんはどちらがお好みですか?

また、テキストの表示方法も3種類に増加しました。今まではテキストウィンドウは必ず表示される上で、字幕機能を付けるかどうかしか選べませんでしたが、今回からはそれぞれのON/OFFを選べるようになります。

画面内の吹き出しが「テキストウィンドウ」 右下の文字が「字幕」

なお、これらのアップデートはSteam版には11月29日(太平洋時間)に実装予定とのことです。

以上、『ファミレスを享受せよ』ファンによるプレイレポでした。永遠の味を求めて、ムーンパレスにふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか? また、Game*Sparkは本作の開発を手掛けた月刊湿地帯・おいし水さんへのインタビューも後日掲載予定です。本作の制作エピソードをより深く語ってもらったのはもちろんのこと、新作『METRO PENGUIN EUTOPIA(メトロペンギンユートピア)』や開発者としてのルーツについても伺いましたので、お楽しみに。



『ファミレスを享受せよ』はニンテンドースイッチ/Steamにて配信中。追加要素のないオリジナル版はitch.ioで無料でプレイできます。


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《各務都心》

各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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