Game*Sparkレビュー:『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』懐古主義と温故知新の間で | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』懐古主義と温故知新の間で

懐古主義的とも言えるが、抗いようのない魅力がある

PC Windows
Game*Sparkレビュー:『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』懐古主義と温故知新の間で
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2025年4月23日、ほぼ予告なしの形で突如としてリリースされた『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered(以下オブリビオンリマスター』。リアルタイムのファンは熱狂し、またたくまに「今年三番目に売れたタイトル」となるなどゲーマーの間で話題を集めました。筆者にとっても本作の発売は嬉しい驚きとなりましたし、リアタイ勢として思い出に浸りながらちょっとずつ遊んでいます。

『オブリビオン』は”プレイし終わる”ことや”遊び尽くす”ことがなかなか難しいゲームですから、今回の記事はメインクエストを最後まで遊んで、ほかウロウロしたり、サイドクエストをちまちま遊んだ上での(プレイ時間十数時間ほどの)”一応の”レビューとなっています。かつてのグリッチなどがそのまま残っており、それをそのままスピードランに利用できる、というような報告もあり、おそらく安定性には問題がある作品だろうと思うのですが、少なくとも筆者環境ではメインクエスト終了まで進行不能バグなどの致命的な状態には陥りませんでした。

これは言い換えれば「プレイ時間がバグに遭遇するほど長くない」ということでもあるでしょう。そのため以下に続く本文ではバグやグリッチに関する記述はありません。ですが、Steamレビューを見るにバグに遭遇している方も多いので、購入を検討されている方はその点やや注意が必要であろう、という点をまず最初に書いておきます。

進化したグラフィックス

プレイしていて一番最初に目につくのが、その圧倒的に進化したグラフィックスでしょう。原作の今となってはローポリゴンにも感じられる時代がかったグラフィックスは徹底的に見直され、ルック的には完全に「現代のゲーム」と感じられるものになっています。といっても完全に別物になっているわけではなく原作ならではの雰囲気も残っているため「違和感なく全体がきれいになった」と感じました。

自然の表現が美しくなっているのはもちろんのこと、都市やダンジョンなど建造物内の質感も向上しており、よりシロディールの世界を実在感のあるものとして感じられるようになっています。ふつう思い出の風景は美化されるものですが、本作においては「思い出の風景より美化された映像で実際に遊べる」という体験が新鮮でした。「すべてのリマスターがこうならいいのに」とも思います。

もともとやや不気味だったキャラクターの「顔」の表現も劇的に進化しているのが特徴です。表情は生き生きとしたものに感じられ「不気味の谷」的な気色悪さも感じません。特にトカゲ種族であるアルゴニアンは皮膚の質感も向上し、存在の説得力がかなり増しているように感じました。マーティンなど本作プレイヤーからするとおなじみのキャラクターの顔もかなり精巧に作り変えられており、一瞬「誰だお前!?」と思わないこともないのですが、客観的には良い出来だとおもいます。

本作のタイトルにもなっている異界「オブリビオン」の風景もかなり向上していますが、もともとコピペっぽくバリエーションがあまり豊かではないため、連続して潜っているとやや飽きてくる、という問題はありました。が、このあたりはもともとの『オブリビオン』通りですし、あくまでリマスター作品であるため仕方のないことだともいえます。新規プレイヤーの方はサイドクエストを混ぜながらときどきオブリビオンに行く、というプレイスタイルのほうが体験の質は上がりそうだな、とも感じましたが自由に遊べるのが本作の良いところですし、余計なお世話かもしれませんね。

隅々まで改善されたゲーム体験、そのまま残ったゲーム体験

調整箇所は多岐にわたりますが、個人的にはUIの改善とPC版のコントローラー対応したことが非常に嬉しかったです。また長きにわたってPC版の『オブリビオン』は公式で日本語に対応していなかったのですが(日本語化パッチは存在しました)、このリマスターはデフォルトで日本語に対応しているため、本作の発売によって日本のPCゲームプレイヤーが『オブリビオン』を手にとって遊ぶことが遥かに容易になりました。筆者個人としては今まで『オブリビオン』を再プレイするというのはかなり腰が重いことだったため、この「日本のPCゲームプレイヤーにとって遊びやすい」という点が本作の一番嬉しいところと言っても過言ではないかもしれません。

リマスターによって色々改善されているとはいえ、コアなゲーム体験はそのまま維持されているというのも本作の特徴です。本作をプレイしていてダンジョンの迷いやすさ、対象物の発見しづらさ、目的地への到達しづらさに驚きました。当時もめちゃくちゃに迷いながら本作を遊んでいた覚えがうっすらあるので、これは『オブリビオン』らしさの一部であると思います。

当時はなにもかもが新鮮で、迷うことすら楽しかったということを久々に思い出せましたし、こういう形質が現代ではどんどんなくなっていってることにやや寂しさも感じました。『オブリビオン』をかなり遊んだ筆者であっても本作はかなり迷いやすいと感じたので、新規プレイヤーにとっては結構辛いところかも知れません。

懐古主義か、温故知新か。今リマスターを遊ぶことの価値

今作『オブリビオンリマスター』の元となった『The Elder Scrolls IV: Oblivion(以下オブリビオン)』は約20年前の作品です。「思い出記事」にも記しましたが、当時はまだ今ほど海外ゲームが広く遊ばれているわけではなく、またオープンワールドゲームの持つ「自由度」もこんにちのゲーマーが想像するよりはるかに限定的なものでした。『オブリビオン』発売以降、『Fallout 3』『Fallout:New Vegas』『The Elder Scrolls V: Skyrim』とベセスダ製のオープンワールドゲームはどんどんファンを増やし、洋ゲーファンにとってはある種「当たり前」のジャンルとなっていきました。

賛否両論が目立った『Starfield』を経て、今また『オブリビオン』を遊ぶことにはここ20年のオープンワールドゲーム史を思い返すような特別な価値があります。という意味で、本作は実際にゲームが持つ面白さよりも遥かに豊かに感じられる瞬間があり、その体験は「ゲームのリマスター」というものの理想的な体験だと感じました。

しかし逆に、当時を知らない新規プレイヤーにとって本作がどのような価値を持つのかはなかなか未知数なとこがあるとも思います。遊びやすくはなっていますが、面倒くさく、迷いやすく、バリエーションも今ほど豊かではない「かつての名作」を今から遊ぶのは、実際古典名作映画を見るような「お勉強」の側面が強く含まれてしまうのではないでしょうか。

筆者はたとえば「オープンワールドRPG初心者のプレイヤーが一作目として遊ぶゲーム」として本作を薦める、というようなことはしないです。なぜなら、より良い作品が現代にはすでに数多くあるからです。「『スカイリム』が気に入ったので『オブリビオン』もいつか遊んでみたかった」というプレイヤーの方にならおすすめできるかと思います。

余談ですが当時筆者はレベルが上がりすぎたことで進行不能となり、そのままずっと遊んでいたため、今回初めてエンディングを見ることができました。当時より海外ゲームの文法に慣れているためかストーリーもぐっと理解できましたし、新鮮に感動できました。ということで、筆者にとっては2025年に本作を再プレイする価値が非常に大きく感じられました。これはあえて意地悪に表現すれば懐古主義でもあるのですが、しかし、ときに過去を顧みることは重要なことですし、それが感動的であるということもまた否定できない事実です。

総評

『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』は大変すぐれたリマスターです。単なるリマスターを超え、様々な部分が改善されたすばらしい出来栄えで、当時本作を遊んで好きだったプレイヤーにとってはたまらないものがあります。現代のゲームに比べてバリエーションに乏しい外観や、迷いやすさなど欠点もありますが、その欠点がそのまま残っているということがむしろ美点にもなるという評価の難しい作品です。『オブリビオン』のファンであれば当然必携の一本ですし、思い入れのゲームを美化された形で再プレイするという体験はかなり感動的です。とはいえ新規プレイヤーに手放しで薦められるかといえばそうではなく、購入すべき人を選ぶ作品であるとも思います。

Game*Spark レビュー 『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』 PS5/Xbox Series X|S/Windows 2025年04月23日リリース

今遊べることに価値がある

GOOD

  • 原作の良さを残し、圧倒的に美しくなったグラフィックス
  • 改善されたUIやPC版のパッド対応など、全体として遊びやすくなっている
  • 過去20年のオープンワールドゲームの歴史が思い出されるような特別な体験

BAD

  • 現代のゲームと比べると風景のバリエーションが少なく感じられる
  • 迷いやすさなど、原作の不便な点もそのまま残っている

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《ライター:文章書く彦,編集:みお》


ライター/「ラジオ善意X」聴いてね 文章書く彦

好きなガンダムは∀ガンダム、好きなマンガはレベルE、好きな映画監督はポール・トーマス・アンダーソン、好きなゲームジャンルはオープンワールドものとローグライク(ローグライト)、好きな昆虫はカマキリ、好きなバンドはFUGAZI、好きな作曲家は浜渦正志、好きな小説家はカート・ヴォネガット・ジュニアと舞城王太郎、好きなラッパーはポチョムキン、好きな焼酎は鳥飼、好きなルフィが言ってない言葉は「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!(ドン)」、好きな笑い男が書いてた言葉は「or should I?(だが、ならざるべきか?)」。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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