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元任天堂開発者が作った『ピクミン』のような対戦RTS『Jelly Troops』―スライム増やして、旗を運んで、勝利を目指せ【プレイレポ】

「画面分割」ではないオンライン対戦ならではの駆け引きも生まれています。

連載・特集 プレイレポート

『ピクミン』シリーズの対戦モードは面白い。元々『ピクミン』シリーズは、「今ピクミンを増やすべきか」、「ものを運ぶべきか」、「壁を壊すべきか」、といった選択肢の中から最適で効率の良いものを選びだす“ダンドリ”のゲームです。対戦となると、さらに、相手プレイヤーによる妨害、相手の現在の位置やスコア、ピクミンの量なども考慮しなければいけなくなるため、とにかく脳が忙しい!

夢中になって遊んだ人も多いと思いますが、このモードは唯一明確な欠点を抱えています。それは「オンライン対戦ができない」ということ。

『Jelly Troops』は、任天堂出身で、『ピクミン』シリーズのチームに参加していた経験もある開発者による対戦ゲームです。開発者いわく、『ピクミン4』でもオンライン対戦が実装されなかったから、もう自分で作ってしまったのだとか。本記事は、発売前に提供いただいた本作のデモ版をプレイした感想をお届けします。

スライムを増やして、分担作業で勝利を目指す

本作で使役するのは「ピクミン」ではなく、「スライム」。ランダムマッチやプライベートマッチで対戦相手との試合が始まると、プレイヤーには最初に3匹のスライムが割り当てられます。まずは近くの「魔法の実」を運ぶように指示を出して―しばらくすると、拠点となる魔法陣のなかに魔法の実が運び込まれ、ぽこっとスライムが増殖します。

対戦の勝利条件は、フィールド上にある「小旗」を3本回収すること。増えたスライムでまた魔法の実を運んで…というようにして、一定の数までスライムを増やしたら、そろそろ小旗を回収しに向かいましょう。

対戦の舞台となるフィールドは、戦うたび、魔法陣やアイテムの出現位置、フィールドの構造自体がランダムに配置されています。小旗の位置も当然ランダムです。

さらに、フィールド上には、範囲内のキャラクターを見境なく攻撃する「ガーディアン」も存在しています。アイテムを運搬する際のルート上にガーディアンがいれば、当然スライムたちはやられてしまいます。ですが、これを逆に利用して、ガーディアンを自身で釣って相手陣地の近くに誘導することで、相手の作業を妨害するといったことも可能。スライムたちでガーディアンを倒すことができないのも『ピクミン』と大きく違うところです。

ステージ中には、魔法の本が落ちていることがあります。これを使用すると、たとえば周囲に落雷を落として、敵のスライムたちを痺れさせて作業を妨害したり、ガーディアンを召喚して敵のスライムを倒したりといった様々な効果を発動させることができます。

とにかく、相手より先に3本の小旗を見つけてさっさと勝利したいところですが、相手もまた同様に小旗を狙っています。たくさんのスライムを小旗の奪取に費やせば、当然運搬速度も速くなりますが、その分ほかの作業に割くスライムが少なくなってしまう。どこにリソースを割くのか、今は妨害に徹するほうが得なのか、といった判断力が勝利の鍵を握っています。

画面分割がないことで生まれる『ピクミン』との差

本作をプレイしながら、筆者はある違和感を抱いていました。「確かに基本的にはピクミンの対戦なんだけど、何かが違う・…」。しばらくプレイし続けて気づきましたが、このゲームのオンライン対戦は『ピクミン』の対戦モードと違って、「画面分割」ではないのです。

ピクミンの対戦モードは、上述の通りオンライン対戦がなく、ローカルのみになっているので、画面分割で遊ぶことになります。その際、やはり勝つためには相手の画面もチラチラ見ながら、今何をしているのか把握することも重要になってくるのです。

しかし、『Jelly Troops』の売りはオンライン対戦できること。そのため、オンライン対戦時は自身の画面しかみることができません。相手が今何をしているのかわからないということは想像以上に体験に差を生んでいました。

おそらく、本作はその体験の差に自覚的なように思います。上述した通り、本作はアイテムやエネミー、魔法陣の位置がランダムになっているため、そもそも相手の拠点がどこにあるのかすら、ゲーム開始時点ではわからないのです。当然、相手が今何をしているのかもわかりません。

実は、このゲームには上述していなかったもう一つの勝利条件があります。それは、小旗ではなく相手陣地にある「大旗」を自分の陣地に運ぶこと。3つ集めなければいけない小旗と違い、大旗は回収することができれば即座に勝利となります。画面分割がないからこそ、こっそり大旗を回収することができるわけで、本作独自の駆け引きとなっています。

ちなみに、本作にはローカルで遊べる画面分割モードも用意されています。これも遊んでみましたが、やはりオンライン対戦と比べると味気なく感じます。相手の画面が見えるからこその駆け引きも当然あるのですが、少なくとも大旗は運んでいる様子が丸見えなのですぐに阻止しにいけてしまいます。筆者としては、やはり本作のウリにもなっているオンラインでプレイするのがおすすめです。


『Jelly Troops』は、単に『ピクミン』の対戦モードをオンラインで遊べるようにしただけ…と思いきや、実はオンラインならではの遊びにしっかりと仕上げられていました。対応プラットフォームはPC(Steam) / ニンテンドースイッチとなっています。6月10日から6月17日にかけて開催される「Steam Nextフェス」では本作も参加し、デモ版が限定公開される予定です。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:お茶缶,編集:みお

ライター/ミンナニ ナイショダヨ お茶缶

任天堂タイトル中心に、けど色々手を出すゲーム好きな人。ベストゲームは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。

編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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