今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2025年4月23日にPC(Steam)向けに正式版がリリースされた、サバイバルスローライフ『Dinkum(ディンカム)』です。
ソロ開発で作り上げたオージー風生活シム
『Dinkum』は、インディー開発者のJames Bendon氏がソロ開発で作り上げた作品。本作は同氏が2018年頃から開発をスタートし、2022年7月14日にSteam早期アクセスをスタートしています。
本作の舞台となるのは、オーストラリアの大自然にインスピレーションを受けた自然豊かな島。プレイヤーは、資源集めや拠点づくり、新たな住民を招聘などを行いながら、自由気ままに自分だけの町を作り上げていきます。ソロプレイだけでなくマルチプレイにも対応しています。


島での暮らしは決して楽なものではなく、最初はテントとたき火、寝袋だけという状況から始まります。少しずつ島を開拓していく中で、釣りや虫集めをしたり、島に残された謎の施設を復旧させたり、住民たちと季節の祭りを楽しんだり、自分なりの遊び方を見つけるスローライフを堪能できます。
本作は2025年にKRAFTONとIP全体のグローバルパブリッシング契約を締結し、日本語を含む多言語に対応しています。同年4月には『Dinkum』の正式リリースに関するアナウンスを行い、およそ2年8ヶ月の歳月を経てゲームが完成しています。
正式版となるアップデートでは、さまざまな町の施設の追加のほか、2人乗りの乗り物「飛行機」を追加。また、自由に町づくりを楽しめる「クリエイティブモード」が登場し、さまざまなスタイルでゲームを楽しめます。



灰色の街から自由な島へ
まずはプレイヤー名と見た目、移り住むことになる島の名前を決定します。本編の舞台となるのは自然豊かな島ですが、最初に世界観の説明が始まります。この世界は過去に大きな事件があり、残った人々はコンクリートに囲まれた都市「サウスシティ」に住むことになり、変化を恐れて無気力な生活を送っているのです。
そんな鬱屈した生活に不満を覚えていた主人公は、とある一通の手紙で転換点を迎えます。住人のひとり・フレッチが自身の故郷の島ヘと戻るので、一緒に旅立ってくれる人を探しているというのです。主人公は早速応募してフレッチとともに飛行船で島へと到着。そこは、植物や生物たちが溢れている、素晴らしき自由な世界だったのです。





しかし、長らく自然のままだった島には生活できる場所などありません。そこで最初はチュートリアルとして、島の中心となる「拠点テント」やプレイヤーが住む「テント」を設置したり、周囲から食べ物を集めたり、焚き火をクラフトしたりと、この島の中で生活するためのさまざまな方法を学んでいきます。
チュートリアルとしては最初のゲストNPCである商人「ジョン」を定住させるまでが大きな目的です。NPCを定住させるためには依頼などをこなして好感度を上げるだけでなく、NPCのテント内でディンク(お金)を消費する必要があります。お金を稼ぐためには、島で色々な素材を集めて販売するのが近道です。



しかし、自然豊かなこの島ではワニやサメなどの危険な野生生物もたくさんいます。気がついたら近くにいた動物が肉と骨になっていることも珍しくなく、思った以上に過酷な自然に恐怖を覚えるかもしれません。それはそれとして、落ちている肉や骨はありがたく拾って売ってしまいましょう。こうして少しずつ島に馴染んでいくわけですね。




採掘も狩猟もライセンスが必要
『Dinkum』での生活で重要なのが「ライセンス」の存在です。ゲーム序盤でフレッチからもらえるジャーナルでは、プレイヤーの行動に対応した称号が与えられ、報酬としてポイントを獲得できます。このポイントでフレッチにライセンスを申請することで、プレイヤーはさまざまな行動が快適に行えるようになります。
ライセンスを持つことで斧やツルハシといったツールのレシピが開放されるほか、対応したアイテムを商人から購入できるようになります。ゲーム内では採掘・収穫・狩猟・釣り・虫取りなどのレベルを上げていくと上級ライセンスも取得可能になり、より高度なツールを作れるようになっていきます。





本作はアクションでのスタミナ消費が激しいのも特徴。食事でスタミナやHPなどの回復量を上げることはできますが、連続して作業をしているとすぐスタミナが尽き、しばらくの間はまともに行動できなくなります。良いツールを導入できれば効率がアップするので、経験を積むことで島内生活はどんどん快適になっていきます。
ライセンスは農業や飼育許可といったものから、ボートやヘリコプターなどに乗ったり、貴重な資源が眠る地下鉱山に入るためにも必要です。申請用のポイントは生活の中でどんどん貯まっていくほか、誘致した住民の一部施設を利用しても稼ぐことができます。とはいえ一気に稼ぐのは難しいので、プレイスタイルに合わせた運用も考えましょう。





『Dinkum』は多彩な遊び方が用意され、称号システムのおかげで色々と体験してみたくなるゲームデザインになっています。新しい作業を始めるための準備は簡単ではありませんが、マイペースで遊べるゲームでもあるので、島内生活を楽しみながら己を磨いていきましょう。





住民を集めて理想の町づくり
主人公の島での最初の大きな目標は「住人を5人集める」というものです。ゲーム内では最初の住民であるフレッチ、チュートリアルで加入する商人ジョンにくわえ、島内のさまざまな虫や魚を展示する博物館を管理するセオドアの3人が住民として加入しますが、残りはプレイヤーが集めなければなりません。
NPCは定期的に島を訪れて、農業ショップや服屋など、それぞれの専門分野の店を1日オープンします。彼らと交流していくことで、やがて島に定住したいと思うようになってくれるので、その後はフレッチから「許可証」をもらい、施設を作ることでNPCが島に住み着いてくれるのです。




お店が増えれば買えるアイテムやレシピが増えたり、プレイヤーの生活の大きな助けになります。ただし、新しい施設を建てる際は町の借金(建築費用)をすべて返済する必要があります。素材集めだけでなく、しっかりとお金を稼ぐ方法を探さなければ島の発展はできないのです。
NPC依頼を受ければお金や衣服、家具などの報酬も獲得できます。また、季節ごとに島でのイベントもあり、特殊なアイテムや報酬を獲得できます。毎日の生活の中で増えていく住人や施設、ライセンスでの行動の広がりなど『Dinkum』は“遊べば遊ぶほどできることが増える”というのが実感しやすいのも大きな魅力ですね!




個人的に面白いのが、夜中になると時間が終わりなのではなく、プレイヤーのスタミナが極端に減るという形での制限。これによって採掘などのアクションはほぼ不可能になるのですが、料理などのスタミナを消費しない行動であれば続けられます。日中に物を集めて、夜中に時間を気にせず加工するというプレイができるのはありがたいですね。

『Dinkum』では自分だけの島を自由に発展させる町づくりと、農業や釣りなどを通じたさまざまな採集・クラフト要素をたっぷりと楽しめます。称号とライセンスシステムのお陰で繰り返し作業でもご褒美を感じられますし、ゲームが進んで複雑なツールや乗り物を入手したときの嬉しさをたっぷり味わえます。
最初は島の地形もわからず迷っているうちに夕方になる、ということもあると思います。マップはランダム配置ですが、バイオームの方向性に関してはある程度ルールが決まっていますし、バイオームの名前も簡単に参照できます。島の中にはファストトラベルを可能にする特殊な施設もあるので、まずはそのアンロックを目指すのもいいかもしれません。

開発チームは今後のアップデートにて実績を導入するだけでなく、ナイトマーケットイベントなどのさらなるコンテンツの追加も予告しています(記事執筆:2025/06/20)。遊んでいくことで、しっかりと成果が実感できるゲームなので、最高の島を目指して是非遊んでみてください!
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