
任天堂の新世代機・ニンテンドースイッチ2では、アクセシビリティ機能が搭載されており、そのうちの機能のひとつとしてHOMEメニューなどに表示されるテキストを音声で読み上げるというものがあります。
この機能は主に視覚に障がいを抱えるユーザーやまだ文字が読めない子どもなどに向けたものですが、その機能にたどり着くことができないと全盲のゲーマーが訴えています。
アクセシビリティ機能にたどり着けない…
全盲のスイッチ2ユーザーである猫氏は、7月1日にスイッチ2を入手しました。しかし、いくつかの情報源や任天堂公式サポートへのメール連絡を行った後、本体に入っている読み上げ機能にたどり着く前の段階である本体の初期設定時には読み上げ機能が有効にできないことがわかりました。
これは購入しても自力では何もできないことを意味しており、猫氏はアクセシビリティに自力でアクセスできないという問題について任天堂宛に抗議文を送付。アクセシビリティ機能が追加されたことに感謝を覚えつつも、PS5やXbox Series X|Sなど他社製品における例を上げつつ、任天堂に向けて現状の作りでは問題があることを訴えました。

また、読み上げ機能を使っている他のユーザーに対しても、問い合わせ窓口からの意見表明を呼びかけました。
ニンテンドースイッチ2に追加された、これまでの任天堂ハードになかったアクセシビリティ機能。機能そのものの評判は良いようですが、現状では初期設定時に有効にできないという大きな欠点を抱えています。視覚に障がいを持つユーザーから見れば、一刻も早く改善してほしいところでしょう。すべての人がゲームを楽しむための障壁が無くなることを祈るばかりです。
なお、Game*Sparkでは猫氏により詳しくお話を訊きました。以下に質問と猫氏の回答を掲載します。
――Xboxにおける読み上げのアクセスにキーボードが必要なのはアクセスしづらいのではないかと感じたのですが、重要なのは「少し複雑でもオフィシャルなな解決方法が有るか無いか」というところなのでしょうか。
猫氏:これは、「読み上げへのアクセスにキーボードが必要」という点が事実と異なります。確かにメールに書いてある情報だけを元にするとそうなってしまうので、補足説明を入れます。
実は、 Xbox で読み上げ機能を有効にする方法は3つあります。メールでは、文章のテンポを保つためと、最もわかりやすい事例に絞るために、そのうち最もシンプルな1つを抜粋したかたちとなります。
以下に公式からのガイドを引用します。
コントローラーを使用している場合は、Xbox ボタンを振動するまで長押しし、Menu ボタンを押します。 ナレーターをオフにするには、これらの手順を繰り返します。
Xbox ボタンを押してガイドを開きます。[プロフィールとシステム] > [設定] > [アクセシビリティ] > [ナレーター オン] を選択して、オンまたはオフにします。
キーボードを使用している場合は、Windows ロゴ キー + Ctrl + Enter を押します。 ナレーターをオフにするには、同じキーをもう一度押します。
記載の通り、一番上の方法である「コントローラーが振動するまで Xbox ボタンを押し、その後メニューボタンを押す」ことにより、キーボードは不要となります。
――音声読み上げが搭載されているゲーム作品はまだ多くないと思いますが、プレイのためにOCRやAI分析などさまざまな方法を取られると仰っていました。ブログでも仰られていたとおりキャプチャーボード+OCRでなんとかHOMEメニューを操作している人もおられると思いますが、猫様の基本スタンスとしては、少なくともハードメーカー側には標準でしっかりサポートしていてほしいという認識でしょうか。
猫氏:はい、私個人のスタンスとしてはそうなります。個々のゲーム会社は予算規模がさまざまですし、作品によりゲーム性が異なります。全てを読み上げだけで解決しようとすることは、現実的とは言えません。逆に言えば、ゲームの起動や購入にストレスがなければ、工夫して遊べるゲームはたくさんあるということになります。入り口ユーザーを増やすことにもつながります。
――ニンテンドースイッチ2の読み上げはHOMEメニューなど本体機能に関わる部分のみだと思いますが、HOMEメニューだからこそ読み上げがほしい理由はありますか。
猫氏:私にとっての大きな理由は、以下の4点です。
初期設定時、ID/パスワードのような個人情報を入力する必要があり、第三者に依頼することで情報漏洩のリスクを伴うため
Switch のホーム画面において、一番最近遊んだものをベースにゲームの並び順が変わり、なにを選んでいるのかぱっとわからずゲーム開始までの負担が大きいため
ゲーム内でオンスクリーンキーボードが表示された際に、入力内容を確認する方法がないため
家の外に持ち出した際、その場にあるWi-Fiに接続しようとするときに読み上げがないと実施できないため