「主人公の変態性にもかかわらず、パズルは楽しくストーリーは型破りだ」海外レビューハイスコア『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』

『AI：ソムニウムファイル』シリーズを存分に楽しみ、『ZERO ESCAPE』シリーズの全作品を愛してきた者として、『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』は奇妙なミステリーとパズルゲームを愛する人に向けた完璧なハイブリッド作品に感じられた。作品全体に広がる“伊達鍵”自身の変態性にもかかわらず、パズルは楽しく、ストーリーはあまりにも型破りだったため、傑作ビジュアルノベルだからという理由でその変態性を許し、忘れることができた。

『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』はパズルを基礎とする複数のゲームスタイルを素晴らしく効果的に融合した作品であり、それらのゲームスタイルが愉快なキャラクターと混沌としたストーリーでまとめられている。シリーズの知識があれば役立つが、本作が入門作の私でも大いに楽しめた。

シリーズの他作品と比べてはるかに短く、野心的ではないものの、『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』は楽しめる作品だ。ただし、シリーズの入門にすべきではなく、特殊捜査官・伊達とその不運な冒険のファン専用という条件付きでの話である。

『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』は『AI：ソムニウムファイル』シリーズの風変わりで控えめなインタークエルであり、ファンに人気があるキャラクター間の掛け合いやシュールなユーモアを前面に押し出している。過去作のような強烈などんでん返しや壮大さはないものの、心温まる瞬間や巧妙なパズル、そして優れた声優陣のおかげで、比較的ライトでありながらも長年のファンにとって魅力的な作品となっている。

『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』はこのシリーズの物語を大きく進展させるものではないかもしれない。しかし、本作は『AI：ソムニウムファイル』シリーズの非常に面白く魅力的なサイドストーリーであり、打越鋼太郎作品のファンなら間違いなく夢中になるだろう。

『AI：ソムニウムファイル』シリーズのファンであれば本作の購入は当然のことだ。いくつか問題点はあるものの『AI：ソムニウムファイル』らしさは健在であり、私にとってはそれで十分だ。とはいえ、本作は新規プレイヤーには優しくないので、このレビューで興味をそそられたなら、まずは過去作を手に取って最後までプレイすることをお勧めする。

『伊達鍵は眠らない - From AI：ソムニウムファイル』はそれでも良いゲームだ。ただ、2つの傑作の後に出たために評価を落としている。本作単体で評価するなら、とてつもなく高いプロダクションバリュー、魅力的なストーリー、愉快なキャラクター、そして少なくとも私の意見では優れた英語の声優陣を備えた日本のアドベンチャーゲームである。ただし、期待しすぎないように注意して欲しい。