基本プレイ無料というビジネスモデルが普及し、早数年。もはや「無料なのにこんなにクオリティ高いの!?」と驚くことすら人類が忘れかけている昨今ですが、筆者は久々に心を掴まれる作品に出会っています。
その名も、NetEase Gamesが贈る『風燕伝: Where Winds Meet』。本作は、基本無料タイトルはいつもなんとなくやる気が尽きてリタイアしてしまう筆者ですが、“基本無料っぽさ”を感じる部分がほとんどなく、長く用意された試遊時間中ずっと夢中でプレイできました。本記事では、中国・杭州で行われた先行プレイレポートをお届けします。
超細かいキャラメイク!
本作は、武侠をテーマにしたオープンワールドRPGです。舞台は10世紀、五代十国時代の中国。プレイヤーは若き剣客として、江湖の世界に入り、自らの出生の謎を突き止めるべく混沌の時代を生きることになります。
開発を担当するEverstone Studioは、オープンワールドと東洋風の叙事を軸にゲーム制作をする新進気鋭の開発スタジオ。ベテラン開発者が多数在籍し、コアメンバーは深いゲーム愛とプレイヤー視点を持ち合わせています。

プレイヤーキャラは細かくキャラメイクすることが可能。AAA級洋RPG並にパーツ単位で細かくいじることができるので、絶対にあなた好みのキャラが作れるはず。筆者はキャラメイクはそれほど得意ではありませんが、プリセットも用意されていて、そこから少しいじって好みの美男を作ることができました。たまらん……!ちなみに、男性キャラでプレイしている人が圧倒的に多いそうです。

ゲームプレイはチュートリアルを兼ねたカットシーンとゲームプレイから始まります。山奥で2人の男が話しているところに大量の刺客が現れ、逃げることを余儀なくされます。


その後馬に乗り、彼岸花がびっしり咲いた野原で敵を弓で射貫きながら駆け抜けます。このドラマチックな展開はAAA級ゲームと遜色がなく、プレイヤーの心をガッシリ掴んできます……!

こうした展開の後は、時間軸が現在へ。相棒の少女・ホンシェンとともに冒険に繰り出します。

ソウル的なエッセンスを混ぜつつ、アクションが苦手でも「本当に」大丈夫
アクションが苦手でも大丈夫!という表現は幾度も使われてきましたが、本作は「本当に」大丈夫です。というのも、本作には「受け流し補助」というシステムがあるからです。

基本的なアクションとしては、回避やパリィをベースとした、現代的な――いわゆる「ソウルライク」的な――要素を取り入れていて、現代的なアクションゲーマーが満足できる面白さの戦闘を実現しています。加えて、スタイリッシュな強力スキル「武術」やへんてこな技を出せる「奇術」があり、攻撃の手数は非常に多いです。

ただ、本作はソウルライク的な戦闘デザインではありますが、ソウルライクではありません。本作はあくまでオープンワールドRPGであり、戦闘はいち要素でしかないのです。そのため、受け流し(パリィ)できる瞬間に時間がとまり、長めの時間猶予が与えられるという大胆な仕組みがあります。真に、「アクションが苦手でも大丈夫」と言えるでしょう。(もちろん、ON/OFFは切り替えできます)。
また、トドメ攻撃(『エルデンリング』『ダークソウル』でいうところ致命の一撃的なもの)もY+Bボタンで簡単に発動できるので、ハードコアなアクションにはなっていません。
余談ですが、本作の戦闘モーションは香港と台湾の映画で最優秀アクション設計賞を受賞したトン・ワイ氏が公式武術指導として起用されており、見応えがあります。苦手というだけでなく、美しいモーションをしっかり楽しみたいという人も、受け流し補助を利用するのは悪くない選択と言えるでしょう。
“基本無料っぽさ”ほぼなし!「やらなきゃいけない」強制はない。でも「やりたくなっちゃう」魅力はある
冒険に旅立つと、本作はワクワクに満ちていて、歩いていたらなにかに遭遇します。馬を盗んでいる兄弟を発見するイベントでは、高圧的な態度の兄と戦いを避けたい弟に遭遇し、見逃すか、取り返すかを選ぶことができます。村で、石の隙間に蹴鞠を落としちゃった…と落ち込む子のために石を壊したら、地下にはダンジョンのような空間が広がっていたり。走っている集団を追いかけていたら、いつの間にか自分も走り込みしていたり。好奇心がむくむくと湧いてくるイベントやミニゲームがたくさん散りばめられています。


太極拳を木にかましているクマから技を盗み見て習得したり、怪しい商人から買い物をしようとしたら、99999999の銅貨が必要だったり、なんか異常に強いガチョウに絡まれて死んでしまったり……思わずくすっと笑ってしまうようなハプニングに出会えるのも魅力的で、それは自分の成長やレアなアイテムの入手に繋がっています。フィールドを探索するのがとても楽しいものに仕上がっています。オープンワールドゲームとして、素晴らしい出来栄えです。

そして、「悪さ」をすることも。詐欺師や暴徒になることまでできるという本作ですが、今回のプレイでは武術を使って遠くからモノを取ったり、人の持ち物を覗き見たりすることができました。悪さできるゲームって、つい無意味にやってしまいますよね。


風景の作り込みもたまらない仕上がりで、複雑な構造の装飾や建物が見応え抜群の都から、平民たちが汗水垂らして働く田んぼまで、リアルでグッとくる風景が世界中にあり、そこを探索しているとなにか興味の惹かれるものに遭遇できるのです。もちろん、世界を眺める目的で探索するのが好きというプレイヤーも満足させうるポテンシャルがあります。


この世界には極めて大量のNPCがいますが、誰一人としてただの背景ではありません。それぞれ名前や行動、思考していることが異なり、一部には好感度も用意されています。それぞれの出会いは、プレイヤー自身が体験したひとつの物語のように紡がれていきます。
今回のプレイではあまり体験できませんでしたが、1,000以上の建築パーツで建物を作ったり、影絵芝居・火吹など中国文化を反映したミニゲームなどもあるそうで、底の知れないコンテンツ量に圧倒されました。

この世界には、「強制」されることはありません。しかし、積極的に探索したくなってしまう魅力は秘めています。この体験は“基本無料っぽさ”を感じさせず、良質なAAA級RPGと同等の体験に仕上がっていると言えます。本作の課金要素はビジュアルに関連するコスメティックアイテムのみなので、課金でキャラやエピソードをアンロックするということはありません。
ローンチ時点で150時間程度のコンテンツが用意されており、それらは完全にソロでプレイできます。マルチプレイには2種類あり、最大4人まで招待してゆるくマルチプレイを楽しむほか、「マルチプレイモード」ではPvP(1v1、2v2、3v3、30v30)からPvE、競争やチームでのダンジョン攻略、共同建築やさまざまなアクティビティが楽しめるとのこと。ひと粒で二度美味しい作品に仕上がっています。
AAA級RPGと呼んで差し支えない物量と豪華さを持ったRPGが、なんと基本無料で遊べる。基本無料といっても、課金要素はビジュアルだけで、そこにこだわらなければフルに無料で遊べてしまう。思わず、「大丈夫?」と言いそうになってしまうほどよくできた体験に仕上がっています。でも、これほどセンスのいいビジュアルを魅せてくれる作品ですから、おそらくつい課金してしまうことでしょう……。すべてが「自信」に満ちた期待すべき作品です。
『風燕伝:Where Winds Meet』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5向けに2025年内に配信予定です。現在、ファイナルベータテストが開催中です。













