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Game*Sparkレビュー:『バイオハザード レクイエム』はシリーズの歴史を塗り替える。やや粗のある物語だがゲームプレイは反則級の面白さ

2026年2月27日に発売された『バイオハザード レクイエム』は、ナンバリングタイトル9作目にあたるシリーズ最新作です。

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2026年2月27日に発売された『バイオハザード レクイエム』は、ナンバリングタイトル9作目にあたるシリーズ最新作です。

『バイオハザード ヴィレッジ』発売から約5年ぶりとなる、ファン待望の続編。発売前には最大の隠し玉として、人気キャラクター「レオン・S・ケネディ」の登場が告知され、大きな反響を呼びました。卓越したプロモーション戦略で期待が最高潮にまで達した本作は、はたしてユーザーを納得させる作品に仕上がっているのでしょうか。

執筆にあたり2周クリアした結論からお伝えすると「こんなの面白いに決まってるじゃないか」と叫びたくなる、反則級の楽しさでした。

新主人公を絡めた引力のあるストーリーと、巧みな味変で延々と遊んでいたくなるプレイフィール。天にそびえるようなハードルを、圧倒的なクオリティとファンサービスで軽々と飛び越えていったのです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、本作はいろいろな意味で『バイオハザード』の歴史を塗り替えるタイトルと言えるでしょう。

本稿では、『バイオハザード レクイエム』のレビューをお届けします。核心的なネタバレには言及していませんが、新鮮な気持ちで楽しみたい方はご注意ください。


引き込まれるストーリーと巧みなゲーム構成


本作のストーリーは、新主人公「グレース・アッシュクロフト」の視点で幕を開けます。彼女は、とある連続変死事件を担当するFBI分析官なのですが、上司・ネイサンの口から「新たな変死体が見つかったホテルで、過去にグレースの母が殺されている」と衝撃的な過去が語られました。

トラウマの現場へ一人向かわせられるグレース

物語が始まって早々に、母親が殺された事件の回想、グレースを狙う謎の男の登場、彼女が男から「特別な子」と呼ばれる理由など、展開が気になる強いフックが次々に仕掛けられ、冒頭からプレイする姿勢が前のめりになりました。

そもそもグレースは『バイオ』の世界とは無縁の、臆病で怖がりな女性です。そんな彼女の視点で物語の大きな渦へと巻き込まれていくため、シリーズ未経験の方も問題なく感情移入できるでしょう。

本作のコートもイカすレオン・S・ケネディさん

もうひとりの主人公であるレオン・S・ケネディは、グレースと同じ連続変死事件を追うDSO(対バイオテロ組織)の捜査官として物語に参加します。

恐怖に震えっぱなしなグレースと比べると、常に冷静で危機的状況にもジョークを飛ばすレオンは、存在そのものがセーブエリアのような安心感です。しかし、そんなレオンの手には、連続変死事件の被害者に共通している「黒いアザ」が。「まさかレオンは本作で退場してしまうのか?」と、グレース編とは趣の異なるフックでストーリーが進行していきます。

ストーリーの序盤は、グレースとレオンの視点をテンポよく切り替えつつ、全く異なるストーリーラインとプレイ体験を提示している点が見事という他ありません。

『バイオハザード』の主人公としては頼りない印象を受けるグレースですが、序盤に彼女のパートを長めに用意することで、プレイヤーの感情移入を促します。

物語前半の舞台「ローデスヒル療養所」で出会う、目の見えない少女「エミリー」との関わり合いを通して、グレースは小さな勇気を振り絞らざるをえない状況になっていくのです。自分が恐怖で限界を迎える中、エミリーを安心させようとする健気な姿を見て、筆者はグレースを一気に好きになりました。

療養所内に監禁されている謎の少女「エミリー」

そしてストーリーの中盤にかけて、衝撃的な展開が次々に巻き起こり、筆者の口は半開きになります。

グレースパートでたっぷりとホラー体験を味わいつつも「レオンをもう少し長く操作したいな」と感じ出したところで、ラクーンシティへ帰還するレオンのメインパートが始まるなど、ユーザーの心理を把握しつくしたようなパート配分でした。

全編を通して物語を振り返ってみても、グレースとレオンは全く面識のない関係性でしたが、過去の「救えなかった」という痛みと悔恨で共通しており、このふたりが本作の主人公を担う理由にも説得力が感じられるストーリーに仕上がっています。

ただし、メインストーリーには勢いと引力がある一方で、よく考えると「なぜ?」と思うような展開もあります。そもそもトラウマを抱えた気弱な女性を、変死体が見つかった現場へひとりで向かわせるスタート時点で大ツッコミなのですが、それを言ってしまうとストーリーが進行しません。

その他にも、印象的なキャラクターがあっさりと退場したり、物語のラストがややご都合的な展開に感じられたりと、もったいないと感じる場面もありました。しかし、後述するゲームプレイの魅力が、ストーリーの粗さを良い意味で吹き飛ばします。

メインストーリーにおける未解明の謎もあり、ラストには追加DLCを予感させる演出もあったため、今後の展開も目が離せません。

圧倒的なグラフィックとサウンドによる臨場感


筆者は通常版のPS5でプレイしましたが、湿度や質感まで伝わる繊細なグラフィック表現に、何度も見惚れてしまいました。

冒頭で印象に残ったのは、グレースが謎の男に連れ去られ、逆さの状態で目を覚ます一連のシーンです。

目を見開いたときの眼球、血がのぼって紅潮した皮膚、重力にしたがう髪の広がり、首の血管や喉ぼとけの動き方など、たった数分に過ぎない映像に、とんでもない技術の積み重ねを見ました。本当に一瞬だけ、目の前の映像がCGであることを忘れてしまったほどです。

ステージに関しても、雨で湿気っている街の雑踏感、消毒液の匂いが漂う療養所の空気感、血液が大気中に漂っていそうな地下エリアなど、本当にその場にいるかのような臨場感を演出しています。

また、序盤のグレース編は心臓がはねるような恐怖演出も多いのですが、光と闇のグラフィック演出が醸しだす不穏な空気感にも恐怖心を煽られます。伸ばした腕の先すら見えない闇、その先に何が「いる」のか分からないまま、それでも前へ進まなければならない抵抗感に本能的な恐怖が刺激されるのです。

恐怖に凍る一方で、毛先を照らす光の表現が美しい

そして、サウンドの臨場感も濃密なホラー体験に大きく寄与しています。

たとえば、天井を這う大型クリーチャーの位置や距離感が音だけで分かるため、「まずい、この曲がり角の少し先にヤツがいる」「今右上を通っていったよ・・・」と、嫌な音が聞こえるたびに何度も歩みを止めてしまうのです。

大型クリーチャーの地鳴りを思わせる唸り声や、後述するゾンビの突然変異の音など、緊迫感を煽られるサウンドによって耳から恐怖心を掻き立てられました。

よく、「耳にはまぶたがない」と言います。筆者は現在3周目のプレイに入りましたが、何度遊んでも序盤のグレースパートで緊張感が走るのは、否応なく耳に飛び込んでくるサウンドの力によるところが大きいでしょう。


グレース編:パワーアップした緊迫感と達成感

グレース編のプレイフィールは『バイオハザード RE:2』に近く、ゾンビがちゃんと強くて厄介なので、緊張感のある戦闘と探索のリズムで夢中になりました。

ステージ各所に散らばる2~3発程度のハンドガンの弾や、進行に必要なアイテムをかき集めてリソース管理しつつ、困難な状況を打破していく達成感がやみつきになるゲームデザインです。

お馴染みの「サイドパック」で所持アイテム容量が増える

彼女の戦闘パートでは主に、やや頼りないハンドガンか、貴重な弾薬を消費する大型リボルバー「レクイエム」を使い分ける必要があります。『RE:2』のように、ショットガンなどの「そこそこ強い武器」は入手できませんし、武器の強化パーツも存在しません(チャームの装備は可能)。

弾薬1発1発がとても貴重なので、照準を定めるときにも「外したくない」という思いが常に脳裏をよぎるのです。かといって射撃をためらっていると、ゾンビがずんずんと迫ってくるため、焦りで外してしまうことが何度もありました。それこそ、ゾンビが同時に3体でも向かってこようものなら、一気に絶望感が生まれるくらいの戦闘バランスです。

武器の選択肢が両極端だからこそ、取捨選択に緊張感が生まれ、サバイバルホラーとしての深みがさらに増しています。特に、一人称視点でゾンビが近付いてくる絶妙な迫力と、銃で撃退できた安堵感はぜひ体験してほしいポイントですね。

また、本作にも「クラフト要素」は継承されており、グレースはフィールドや死体付近の「血溜まり」を採血して強力なアイテムや回復薬を作成できます。特に、背後からゾンビを確実に葬れる「破血アンプル」は、使い所が重要なアイテムです。

FBI分析官ともなれば血液で弾薬すら作れる

たとえば、ゾンビが突然変異した「ブリスターヘッド」は非常に厄介で、ハンドガンを10発当てても倒れないことがあります。そこで重要になるのが、前述した「破血アンプル」です。破血アンプルがあれば、敵の背後からステルスキルが実行可能に。アンプルを注射された敵は跡形もなく爆散するので、ブリスターヘッドを一撃で倒す、ゾンビの死体が変異するのを未然に防ぐといったメリットが得られます。

このように、敵の強さやステージの状況をふまえながら、「いつ誰にどのアイテムを使用するか」を考える戦略の楽しさも、グレース編ならではの魅力と言えるでしょう。

それにしても、ブリスターヘッドは恐怖に満ちた存在でした。なぜ怖いのかと言うと、すべてのゾンビが起き上がってくる可能性を見せつけてきたからです。

何とかカツカツのリソースでゾンビたちを倒して、安全に通れるルートが増えてきた──と安心しはじめたところにブリスターヘッドが満を持して初登場。これによって、すべてのルートが再び不安に満ちてしまうのです。

この「恐怖の再配置」を実施するタイミングが見事でした。

そして、本作の目玉である「人間のようなゾンビ」も、自分でプレイしてみると意外な怖さがあります。体格のいい料理長ゾンビが延々と謎肉を包丁で叩いていたり、ピアノの近くで女性ゾンビが不気味なハミングを奏でて笑っていたりと、遭遇するたびに妙な緊張感を覚えるのです。

何が怖いのかというと「行動範囲が微妙に予測しづらい」のです。

たとえば、トイレで掃除していたはずのメイドゾンビが、別の場所で倒したゾンビの血溜まりを掃除するため移動しており、予想外のタイミングで「なんでヨゴしたのォ!」と叫びながら迫ってきた時は心臓が縮みました。

ゾンビが何を仕掛けてくるか分からない不安と同時に、個性的な動きから次の展開を予想して動く謎解き的なおもしろさもあり、怖さと楽しさを内包した素晴らしいアイデアだと感じます。

開発陣のインタビューを読んだ時点では、「グレースの恐怖がレオンの前振りに過ぎない」という印象で若干不安でしたが、グレースパートにも緊張と緩和があり、探索と戦闘にリズム感があって想像以上に楽しかったのが好印象でした。特に、絶対に外したくない貴重な「レクイエム」の一撃で、厄介な敵の頭を破壊できたときの爽快感は格別!

もし、グレースパートが敵を怖がって逃げるばかりのパートだったら、ビビりな筆者にとっては「レオンで遊びたいだけなのに」というただのストレス要素になっていたでしょう。


レオン編:『RE:4』から大幅に進化したアクション

レオンパートでは、筆者が大好きな『RE:4』のアクションシステムが採用されており、敵の頭や脚を狙って撃ち、敵を次々に蹴り飛ばしていく爽快なプレイフィールが継承されていました。

しかし、ただ同じことの繰り返しではプレイヤーは満足できないでしょう。

大切なのは、「レオンのエージェントとしての成長をどう表現したのか?」という点ですが、本作では「すべてのアクションを拡張する」という形で彼の戦闘スキルを見事に表しています。分かりやすい例でいえば「環境を利用した体術」が挙げられます。

通常、銃撃で体勢を崩したゾンビに対しては、回し蹴りや飛び蹴りといった美しい足技を披露します。そして本作はさらに一歩深くなり、近くの壁など環境を利用してゾンビの顔面を踏み潰すといった、より洗練された体術スキルを見せてくれるのです。

さらに、瀕死のゾンビに至近距離で銃を構えて撃つと、新アクションの「フィニッシュアタック」が発動します。ゾンビの懐に潜り込んで顎下から撃ち抜いたり、背後に回ってリボルバーをぶち込んだりと、トドメのモーションが非常にカッコよく、最後まで飽きずに戦闘を楽しめました。

もっと細かい点で言えば、『RE:4』で実装された「状況に応じて銃の構え方を変える」というモーションも、一歩進んだ表現になっています。

例えば、通常だとハンドガンは両手で構えて射撃します。しかし急接近してきた敵に急いで構えて撃つと、「片手で撃ってから両手で構え直す」といったモーションが発生するのです。ショットガンなど別の武器種でも同様にモーションの変化があり、状況に対する反応がいちいち「激つよレオン」なのがファンとしてはたまりませんでした。

このように『RE:4』のアクションが正当進化しているため、レオンを動かす醍醐味を本作でもしっかりと体験できます。

「フィニッシュアタック」がキマると酔える

レオン編では、武器種がかなり限定されているグレース編と違い、多種多様な武器を選んで自由にカスタマイズ可能です。

使用頻度の高いハンドガンを強化するのか、マグナムやライフルで攻撃力に特化するのかといった、自分好みの戦い方を模索できます。近代的なアサルトライフルからクラシカルなスナイパーライフルまで、色々な武器を試しながら、手に馴染む相棒を決めていく楽しさも健在でした。

『RE:4』ほどの拡張性はないものの、リロードを短縮したり、リコイルを抑えるといった強化も可能です。強化によって武器の外観が変化するのもナイスポイント。

そして、銃に並ぶレオンの相棒が、軍用トマホーク(手斧)です。

流石に月日が経ちすぎて先輩譲りのナイフは使えなくなったのか、本作では代わりにトマホークを携帯しています。『RE:4』と同じ感覚で、敵のつかみ攻撃や武器攻撃をパリィしたり、そっと近付いてステルスキルしたりと、様々な場面で活躍してくれました。

タイミングよくパリィすると、蹴りなどで敵の重心を崩し、そのまま斧を振り下ろして頭部を破壊できます。『RE:4』と違い、パリィのタイミングは表示されませんが、ジャストパリィのリターンが大きくなっていることから、ゲームバランスを取るための変更かと思われます。

どれだけ強いかというと、グレースパートで苦戦した「ブリスターヘッド」でさえ、ジャストパリィとトマホークの一撃で簡単に葬り去る威力!レオンの圧倒的な強さと怒りを具現化したアイテムでもあり、力いっぱい叩きつけるインパクトがコントローラーの振動からも伝わってきました。

スマートなレオンとトマホークのギャップが「良い」

このようにレオン編のアクションには安定した爽快感がある一方で、過去作のファンだからこそ気になる点もありました。

まず、中盤以降のゾンビはやや硬くて怯みにくいため、体術を使える場面がやや減ってしまうことです。途中から遠距離で狙撃するシチュエーションが増えてしまい、一般的なTPSを遊んでいる感覚になった場面も少なくありません。蹴りを見舞うシーンが中盤以降に減ってしまうのは、若干寂しいものがあります。

また、ジャストパリィした後の選択肢がトマホーク1択である点もやや不便でした。パリィ時にトマホークの耐久値がゼロになり、弾く→研ぐ→トドメを刺す、とテンポが悪くなる場面も。膝立ちでレオンの攻撃を待つゾンビを前に、悠々とトマホークを研ぐ姿はかなりシュールでした。

アイコンを2種類表示して、一撃必殺のトマホークでトドメを刺すのか、蹴りである程度のダメージを与えるのかなど、プレイヤーに選択肢が用意されていても良かったように思います。


過去作を超える日本語版のゴア表現

『バイオハザード』シリーズは例年、日本版に表現規制が掛けられてきた歴史があります。分かりやすい例で言うと、『バイオハザード4』や『バイオハザード6』のように、ヘッドショットでクリティカルが発生しても敵の頭が欠損しない作品もありました。

しかし本作では、しっかりとゾンビの四肢が欠損し、爽快感を大きく損なわない表現内容になっていた点はかなり好印象です。頭部を含む四肢欠損、頭部の一部損壊描写、欠損箇所の黒塗り範囲など、過去作と比較しても、規制の表現がかなり緩くなっていると感じました。


もちろん、この点に関してはユーザーによって評価が大きく分かれるでしょう。筆者個人としても、本来の表現を100%楽しめないことは残念に思います。しかし、過去の規制と比べるとかなりの進歩を感じられるため、カプコンの攻めた姿勢には敬意を表したいです。

その他イマイチポイント


本作は、良くも悪くもゲームプレイの魅力的な要素を使い捨てる贅沢な構成になっています。

たとえば、序盤「ローデスヒル療養所」における「人間らしさを残したゾンビ」システムは、中盤以降ほとんど登場しません。ストーリーの進行を思えば仕方がないことも分かるのですが、『レクイエム』ならではの要素なので、もう個性的なゾンビと戯れてみたかったのが正直なところです。

また、筆者は事前情報をあまり入れずにプレイしたためか、レオンがラクーンシティに入った時、ちょっとしたオープンワールド風味のマップに心底驚きました。全体マップを開くとかなり広く、「とんでもないボリュームになる」と思っていたら、オープンワールド的な要素は割とすぐに終わってしまうのです。

たしかに、荒廃したマップが延々続くと、やがて飽きてしまうであろうことは容易に想像できます。

しかし、入り組んだマップを踏破したり、各所でイベントが起こる楽しさをもう少しだけ長く味わっていたかったのです。途中で「ある乗り物」が登場したことで、「広いマップを自由に移動できるのか!」とワクワクしたこともあり、若干肩透かしを食らった気分になってしまいました。

また、グレースはストーリーを通じて少しずつ芯の強さと度胸を獲得していきます。その点は魅力的なキャラクター描写として成立している一方、結果として「終盤のグレースパートはそこまで怖くない」という感覚に。

本作は、グレース編とレオン編が相互作用する構成になっているため、個人的に中盤の終わりくらいでゲームプレイのピークを迎えてしまったように思います。端的に言えば、後半は「いつもの『バイオハザード』」でした。特に後半のゾンビは前半と違って全く個性がないため、体験として味気ないものになっています。本当に贅沢なことを言うと、「グレースとレオンにもう1パートずつ山場があれば」と感じる尻すぼみ感がありました。

しかし、終盤にかけては「ストーリーの結末が気になる」という強いモチベーションが働いているため、全体の印象を大きく損なう問題とは考えていません。


『バイオハザード レクイエム』には不思議な魅力があり、周回するごとに印象が良くなっていく作品でした。

初回クリア時には理解しきれなかったストーリーを補完したり、グレースパートで違う戦略を試してみたりしていくうちに、どんどん楽しさが増していくのです。

特に2週目以降は「一人称視点」と「三人称視点」を変えて遊ぶと、新鮮な感覚が一気に蘇ります。繰り返し遊びたくなるプレイフィールとやり込み要素によって、つい起動してしまう中毒性が本作には確かに存在していました。

サバイバルホラーの魅力を再定義する、恐怖と気持ち良さのつめ合わせセットであり、筆者はまだまだこの世界から離れられそうにありません。怖くてグロくて万人に勧められるタイトルではないかもしれませんが、少なくとも過去に『バイオ』に触れた方や、シリーズに興味を持っている方には全力で推したい作品です。

Game*Spark レビュー 『バイオハザード レクイエム』 PS5/Xbox Series X|S/PC/ニンテンドースイッチ2 2026年2月27日

過去に高い評価を獲得したふたつのゲーム性を交互に楽しむ贅沢な時間。緊張と緩和の見事な構成力で、最後までプレイヤーを魅了する。

GOOD

  • 没入感と引力のあるストーリー
  • 味わいの異なる戦闘と探索
  • リプレイ性の高さ
  • 最も攻めたゴア表現規制

BAD

  • ストーリーが荒くやや消化不良
  • 魅力的な要素の使い捨て感

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ライター:とよしま,編集:みお



ライター/ゲームと小説好きのライター とよしま

フリーランス5年目にして念願のゲームメディアライターに。言葉でエンタメの魅力をどこまで伝えられるのか真剣に追求しています。それにしてもゲームっていいですよね。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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